ホーム > インタビュー&レポート > 年明けに念願の大阪初ワンマンライブを開催 2022年の活動から得たマインドの変化とは―― TOMOOインタビュー&動画コメント
じわじわと実感する『17』の完成度の高さと新鮮さ
――『17』はメジャー1stシングル『オセロ』に続く作品ですが、曲ができたキッカケを教えてください。
「曲自体は、3年くらい前に書き溜めたメモにあった書きかけのワンフレーズが元になっているんです。それを去年の秋にスルッと形にすることができて。リリースは『オセロ』の後だったんですけど、曲の内容は3年前から去年までのスパンで自然と形になった感じですね。ただ、リリース時期は結構意識しました。メジャーデビューが決まって、これまで10年間音楽活動をしてきたので、今までのことを走馬灯的に振り返って思ったことが自然と『オセロ』の歌詞に詰まってるんです。『17』も、私が17歳の時から音楽を始めて今年でちょうど10年で、メジャーデビューも同じタイミングで。『オセロ』でこれまでを振り返ったのもあって、17歳についての歌を今年出したいなという意識はかなりありました」
――今年は節目の年だったんですね。
「10年だから何というわけではないんですけど、"ちょうど10年だ"と思うと、やっぱり一周回って思い出すことがありましたね」
――17歳で活動を始めた時の気持ちを思い出しながら形にされていったんですか?
「曲の内容としてはそんなに直接的には言ってなくて。ただ自分にとって17歳は特別で、そこから人生が変わったので。曲を聞いてもらうことを考えた時の17歳はもっと抽象的というか、一般的に10代真っ盛りみたいなイメージがあると思うので、そういう意味での17歳なんですけど、裏テーマというか、個人的な気持ちとしてちょうど10年だしという想いもありましたね」
――TOMOOさんにとって意味深い2曲になりましたか?
「聞いてもらう人それぞれのシチュエーションを想像してもらえればとは思ってるんですけど、歌の主人公をぼんやり描写してる部分があって。例えば2番に<回り道したね>という歌詞があるんですけど、ここは自分自身の今までの歩みで感じたことと、曲の主人公っぽい、自分のような自分ではない誰かとの境界線をうっすら重ねているというか。確かに『オセロ』も『17』も今までの歩みという意味で、今出すことに意味を持たせている2曲だなとは思います」
――なるほど。
「『オセロ』は私が作った曲の中でも、結構ガツガツしてる曲ではあるんですよ。サウンドプロデュースしていただいたことでドラムも加わって、より打撃感があって音的に強まっているので、ハード目っちゃハード目だなと自分では思ってて。ある意味力強さを大事にしてる後に出す曲となった時に、次は息抜きできる曲を聞いてほしいなって。リラックスして聞けるとか、疲れてる時に聞きたい曲にしたいなというのは、『オセロ』との対比で結構意識したかもしれないです」
――ストリングスも入って壮大な仕上がりになっていますが、サウンド面でこだわった点はありますか。
「サビのストリングスは、自分史上1番多くの方に参加いただいて豪華な感じになってるんですけど、AメロBメロはむしろあまり足さないことをこだわってて。自分が弾き語りの時に弾いてるピアノがそのまま聞こえてくる状態で、ドラムとギターとベースはうっすら有機的というか」
――有機的。
「ドラムとベースとギターはスタジオに集まっていただいて同時に録音して、少しずつディスカッションしてフレーズや叩き方を変えていただいて、その場で最後の形にしていきました。色々てんこ盛りにせず、最小限かつ自然な心の流れに全員で寄り添っていただく感じを意識して。それを私が強調してお願いしたわけではないんですけど、トオミヨウさんの今回のプロデュースではそういうふうにしていただきました。変わったことはしていなくて、スッと入ってくるものを意識して作ったなと、今振り返って思います」
――トオミさんのプロデュース、いかがでしたか。
「私の今回のこの曲に限っては、構成やコード、楽器の要素をあまりガラッと変えない形でプロデュースしていただいたんですね。弾き語りで作ったピアノと歌だけのデモから大きく方向転換するんじゃなく、なるべく形を残したまま、だけど人に届くように。私以外の人が聞いたら変わってると思うかもしれないですけど、私の実感としては、デモの延長線上だけど人が加わってくださることで、本当に自然に届くように丁寧に作っていただいいたなと。少しの変え具合で作品として成り立つようにしていただけたのが新しくて、同時にホッとして感謝しています。作品がリリースされて、ミュージシャンやリスナーの方から、音作りや仕上がりについてふつふつと褒めていただく言葉を結構いただいたりして。"あっ"というか(笑)」
――それはどういう"あっ"ですか。
「『17』は多分馴染みのある部分が多いサウンドだと思うんですけど、こんなに自然体でも新鮮に受け取ってもらえるんだなと。やっぱり作ってる側だと、だんだんわからなくなってくるんです。リアクションをいただいて初めてわかるんですよね。時代的にも、刺激的でなくてはいけないとか、トリッキーさ、要素がわかりやすくないとダメなんじゃないかみたいな意識が、うっすら私の頭の片隅にもあったんです。でも、濃い味の曲ではないと思っていたので、自分の中では素直に作った曲でした。化学調味料的な工夫はしてないけど、新鮮に受け取ってもらえて嬉しかったです」
――TOMOOさんにとっても新しい発見のあった1曲になったんですね。
「そうですね。じわじわ実感しています」
お客さんから言われた、"強なったな"
――来年1月8日(日)に大阪・BIGCATでワンマンライブが行われます。8月のLINE CUBE SHIBUYAで行われたホールワンマンライブ『Estuary』を経ての全国5か所のツアーですが、賭ける想いはありますか。
「今回初のワンマンツアーなんですけど、LINE CUBE SHIBUYAでのワンマンで思ったのは、今までの人生で2回目ぐらいにライブが怖くなかったというか。お客さんと向き合った時間がひたすら安心できて、シンプルに楽しかったんですね。活動してる中で、いつもライブで怖がることが多かったんですけど、自分の中だけじゃなく目の前のお客さんからエネルギーをもらいながら同時に熱を放つ心地や、歌ってる時の心地が、自分の中で確信になった気がしてて。それを持った状態なら、初めての場所でも、初めての人でも、"もう大丈夫だ"みたいな気持ちがあって。ずっと"(地方に)来てください"と言ってくれる声もあって、"すいません、まだ行けないんです、頑張ります"と何年も言い続けていたので、やっと会えるなというのもあるんですけど。昔なら多分"ツアー怖っ"て思うと思うんです。初めての場所だし。でも、LINE CUBE SHIBUYAで自分が無邪気に感じた熱をまた共有しに行きたいと思っています」
――ライブが怖いと思っていらっしゃったんですね。
「私、音楽を始めたのも人と喋れないからなんです。人と仲良くなるのムズいと思って溜め込んじゃうから、曲に吐露してコミュニケーションを取る。結構閉じてるタイプの人間だったというか、まだ割とそういう部分が残ってるんですけど、今は開けてきた気持ちで各地に会いに行きたいという考えがすごくあって。お客さんと通じ合えるかも、という気持ちがすごくしてます」
――良いですね。
「『BEAT』というタイトルにも色んな意味を込めていて、最小単位の共通項としてハートビート(=心臓の鼓動)があって。それだけの意味で『BEAT』と付けたわけじゃないですけど、ハートビートは言葉以前に皆が持ってるもの。ライブでお客さん1人1人と会話することはできないけど、心のチューニングを合わせていくことはできると思ってて。そういう最初の1番小さな共通項としての心臓のイメージ。通じること、熱が伝わることを共有したいし味わいに行きたいという想いを、夏からずっと持ってますね」
――BIGCATは初めてですか。
「初めてです。サーキットイベントで1番お客さんがついてる人が立てる場所のイメージ(笑)。私はまだ1度も立ててないんですよ。だからBIGCATは自分の中では憧れというか、到達点みたいな感じ。"ああ、BIGCATか"という感慨深さはちょっとありますね」
――初めての会場は緊張しますか?
「そうですね。最近こそ大阪に行く機会が増えてきて、だんだん親しみも湧いて安心できるようになってきたんですけど、6年前とかは大阪の方が東京よりもタフなイメージがあって。上手く言えないんですけど、お客さんが強いイメージ。へにゃへにゃいったら押し返されちゃうというか。芯を強く持ってないと、成り立たないイメージがあったんですよ。逆に自分が吹っ切れてガンッといけたら、すごく熱が爆発する場所だと思います」
――確かに大阪はそういう一面はあるかもしれないですね。大阪のライブでの思い出はありますか?
「ずっと弾き語りだったんですけど、5年前にサポートメンバーに入ってもらってスリーピースバンド編成を始めたての時に、大阪に何度か行く機会があって。その時に毎回"ああ! やられた!"みたいな気持ちになってた思い出があって。それから1年経って同じメンバーで大阪に行った時に、2年連続で見てくれたお客さんが"強なったな〜"と言ってくれたんです。だからすごく張り合いがあります。自分が本当に心をワッと開けた分だけ、熱くなれた分だけ、リアクションとして返ってくる。自分にとって大阪はそういう場所です」
――今回もバンドセットですよね。
「弾き語りの時間もありますけど、メインはバンドですね」
――最後に、大阪公演に向けた意気込みをお願いします。
「念願の大阪ワンマンで、多分ある程度"強なってる"と思うんですけど、自分が強い状態で臨めるかどうかよりは、来てくれた皆さんのその場・その時の温度をもらって、心を感じ取りつつ、それをエネルギーにして歌いたいと改めて思ってます。なのでもう恐れずに、借りてきた猫にならずに、安心してライブしたい。大阪がファイナル1個前の公演になるんですけど、そこに至るまできっと色々なものが乗っかって、油も乗ってるライブになると思います(笑)。楽しみにしててください!」
Text by ERI KUBOTA
(2022年12月16日更新)
《収録曲》
01. 17
https://lnk.to/_17
トモオ…瑞々しい情景描写、溢れ出る感情を表現する歌詞が魅力。ステージに上がるとたちまち目を引く存在感と、ハッとする唯一無二の歌声が人々を魅了するシンガーソングライター。6歳よりピアノを始める。父親の影響でコード弾きをはじめ、聴いたことがない楽曲の歌詞に自分でメロディをつけて歌っていたことをきっかけに作曲を始める。中学に入りオリジナル曲の制作を開始。その後本格的に音楽活動をスタートさせる。PONYCANYON/IRORI Recordsより、2022年8月3日にMajor 1st Digital Single「オセロ」をメジャーリリース。
TOMOO オフィシャルサイト
https://www.tomoo.jp/
【北海道公演】
▼12月24日(土) cube garden
【愛知公演】
▼1月7日(土) ボトムライン
チケット発売中 Pコード:224-857
▼2023年1月8日(日) 17:00
BIGCAT
オールスタンディング-5000円(整理番号付、ドリンク代別途要)
※未就学児童は入場不可。
※販売期間中は、インターネット(PC・スマートフォン)でのみ販売。1人4枚まで。
[問]GREENS■06-6882-1224