ホーム > インタビュー&レポート > 「新たな発見がきっとあるアルバムに仕上がってると思います」 自身が歌うカバー曲に込められた愛とリスペクト 聴き手を魅了するレコーディングの秘密とは May J.インタビュー
歌詞に込められた思いを伝えようと思って
私なりに一生懸命歌っています
――今作は『Bittersweet Song Covers』というタイトルですが、ラブソングが多いように感じました。
「ラブソングが多くなったのはたまたまですね(笑)。今回、選曲が先でタイトルは後で決めたんですけど、選曲してみたら、昭和の曲って恋の歌が多かったんですよね。それも、うまくいかない恋の曲が多くて...(笑)。そこにドラマがありますよね」
――たしかにそうですね。裏テーマは"失恋ソング"なのかと思いました。
「ああ、それもたまたまなんですけど、(そんな曲が多いから)"Bittersweet=ほろ苦い"っていう言葉が出てきて。 『Bittersweet Song Covers』にしました」
――山下達郎さんの『RIDE ON TIME』(M-4)は悲恋の曲ではないようですが、May J.さんのエモーショナルな歌声が圧倒的です。ライブでもハイライトになりそうな一曲ですね。
「後半に向けて盛り上がるぞー!っていう感じで、ライブで歌うのにすごく向いてる曲ですね。後半に向けてどんどんボルテージを上げるようなアレンジになってるので、ロングトーンをしたり、フェイクで盛り上げたり、ブレイクがあったりとかして。(原曲で)山下達郎さんの声がのびのびしてるので、自分もそれにつられて歌うようにしてます」
――女性の曲と男性の曲では歌ってる時に違いは何かありますか。
「キーを変えたら女性のキーになるので、あんまり気にしてないかなぁ...。でも、やっぱり男性の曲だと、多少は男性の気持ちを考えて男性目線で歌うようにしてるところはありますね」
――歌の主人公を演じるように?
「そうですね、昭和の曲はけっこう演じてますね。やっぱり今の時代ではあんまりないようなシチュエーションの曲が多いから...、自分のライフスタイルに置き換えようとしても、できない曲もあったりするのでそこはやっぱり演じますね」
――玉置浩二さんの『メロディー』(M-9)は『RIDE ON TIME』とは正反対なしっとりしたピアノバラードですね。情感が込められた歌唱に引き込まれます。
「玉置浩二さんはライブで何度かご一緒させてもらったことがあって。その空間をすごい支配できる人なんですよね。もう、うわぁ...って圧倒される歌声を持ってる方ですごいなって、自分もこんなふうに歌える人になりたいなって。自分にとって目標みたいな方なんですけど。このメロディーを聴いた時に、いつか歌いたいなと思っていたので。ある意味、玉置さんへのリスペクトを込めて、玉置さんにインスパイアを受けた歌声になってるんじゃないかなって思います」
――玉置さんの曲は難しいっていう言う方もいらっしゃいますが、やはり難易度は高い?
「う~ん...難しい曲の定義も難しいんですけど...、歌詞に込められた思いを伝えようと思って、私なりに一生懸命歌っています」
――『木綿のハンカチーフ』(M-5)は遠距離恋愛らしき男女の思いが掛け合うような歌詞ですよね。
「今またリバイバルしていて若い人たちにすごい人気ですよね。この曲は自分がカバーするまで知らなかったんですけど、最初にカバーしたのは2016年にリリースした『Sweet Song Covers』なんです。男女の思いを両方歌っている曲で、その駆け引きを1人で歌う曲ってあんまりないなって思うので。そのストーリーを伝えるのがすごい楽しい曲ですね」
大人の歌詞で
全体的に女性の方が強い曲が多いですね
――今回のカバーアルバムではご自身のYouTubeチャンネルの企画で披露していたカバー曲に加えて、新たに録音された曲も聴けますね。
「そうですね。YouTubeチャンネルの企画では主にスナックに合う曲を選曲して歌ってたので、その中からの曲と、今まで歌ったことのない70年80年代のシティポップなどを新たに選曲しました。『ウイスキーが、お好きでしょ』(M-1)と『ロンリー・チャップリンwith クリスハート』(M-2)と『土曜の夜はパラダイス』(M-3)と『埠頭を渡る風』(M-12)がそうですね。『土曜の夜はパラダイス』と『ロンリー・チャップリンwith クリス・ハート』の2曲はミュージックビデオも新しく撮りました」
――『ウイスキーが、お好きでしょ』はまさにジャジーな大人っぽい雰囲気に浸らせてくれます。
「そうですね。これは一発録りで決まった時は、 みんなで"イエーイ!"って感じで盛り上がりました(笑)」
――『ロンリー・チャップリンwith クリスハート』は今作では唯一のデュエット曲です。
「クリスとは今までもいっぱい一緒に歌っているので、もう息はバッチリ合いました。自分が18歳の時に鈴木雅之さんと鈴木聖美さんが一緒に歌ってるのを生で観て、すっごいな!って...。自分も同じイベントに出ていたのですが、凄いソウルフルに歌うし、フェイクも入れたりとかして、めちゃくちゃカッコイイなって感動した記憶がずっと残ってるんです。 今回自分が歌わせていただくことになったので、あそこまで歌えないですけど、自分なりにソウルフルに歌うように意識して歌いました」
――松任谷由実さんの『埠頭を渡る風』は切なさを乗り越えていくようなアップテンポの曲調が良いですね。ちなみにMay J.さんはこの曲をどのように解釈して歌いましたか。
「すごいカッコイイ曲でダンディーだなって思いました。すごい想像力が膨らむ歌詞で、聴く人によって解釈がすごい変わる曲だなって。登場人物は昔付き合ってた2人なのかな...、お互いまだ好きっていう気持ちもありつつ、それを隠して一緒にいる時間が自分らしくなれる...嫌なことを忘れる時間みたいな。本当は会っちゃいけない2人かもしれないけど、一緒に居たいみたいな感じですかね。難しい...正解はわかんないんですけど、女性側がすごい大人だなと思って。私に寄り添っていいのよみたいな。そういうユーミンさんの強い女性像を感じさせる歌詞だし、曲調もそうだなと思いました」
――良いことばっかりじゃない、辛い失恋も昇華した大人の歌って感じですよね。
「そうですね、大人の歌詞ですよね。私は『ロンリー・チャップリン』にも強い女性像を感じていて。"あなたが帰る場所は私"って言える女性ってすごいなと。"あなたは自由にしててもいいけど、私は待ってるわよ..."みたいな。懐が広いなって。『木綿のハンカチーフ』は女性側が大人なんですよね。『フライデイ・チャイナタウン』も女性が強いですよね。全体的に女性の方が強い曲が多いですね」
――May J.さんご自身が今回特に歌いたかった曲というのは?
「『フライデイ・チャイナタウン』ですね。岡村隆史さんのラジオ番組 のイベントで『岡村隆史のオールナイトニッポン歌謡祭』っていうのが毎年横浜アリーナで開催されてまして。私は毎年出させてもらっているんです。いつも番組からのリクエスト曲を歌っていて、リクエストされるまで知らなかった曲なんですが、すごい楽しい曲なので、一度歌ってみたらハマってしまって。自分もカラオケ行って歌ったり、スタッフみんなとツアー中にスナックで歌ったりしてて、18番みたいになってますね。いつか正式にカバーしたいなと思っていたので、今回それがようやく実現しました」
――思わず体が反応するような軽快なナンバーですよね。どんなところがお気に入りなのですか。
「自分のキーにすごい合っていて、すごく気持ちいいし、これも想像力を掻き立立てられるような歌詞なので。それを演じて歌うのが楽しみです。"港の見える場所で何か飲みたいのよ"っていう歌詞があるんですけど、(※チャイナタウン→中華街→横浜という連想から)港の見える丘公園っていうのが横浜にあるので、そういう所を想像しながら歌ってますね」
歌と楽器を同時に録る同録もしてるんです
音源が生き生きしてる感じになるので
――全体的にビッグバンドサウンドが似合う華やかなアレンジに魅了されました。
「音楽が詳しい方や好きな方にも、"おっ!"って思っていただけるような要素もしっかり入っていると思います。アレンジは曲によって大体違う人たちにお願いしていて、歌と楽器を同時に録る同録もしてるんです」
――そうなんですね。確かにすごく生っぽいですね。今はそんな風に同時に録音される方は少ないようですし、May J.さんの歌い手としての実力が高いからこそできることだと思います。ご自身でもそういうレコーディングスタイルがお好きなんですか。
「好きです!みんなで集中して良いものを作ろう!みたいな良い雰囲気になるんですよ。 同録の時は2、3回ぐらいみんなで合わせて、 1番最後のテイクが良かったねってなります。あんまりいっぱいやっても、みんなちょっとテンション下がるので(笑)。何回も録り直したりするのとはまた違う良さがあると思いますね。Livelyになるって言うんですかね、音源が生き生きしてる感じになるんです」
――そうなんですね。では最後に、May J.さんにとって、カバーソングを歌うことやカバーアルバムの醍醐味とは?
「やっぱり世代を超えて、幅広い年代の方に聴いていただけるっていうところですかね。懐かしいなって思いながら、聴いていただける方もいらっしゃると思いますし、聴く人によって、知らない曲も中にはあると思いますので、新たな発見がきっとあるアルバムに仕上がってると思います。ぜひ一緒に歌いながら楽しんでいただけたら嬉しいです」
Text by エイミー野中
(2022年12月26日更新)
Album『Bittersweet Song Covers』(CD+DVD)
発売中
【CD+DVD】
5500円(税込)
RZCD-77617/B
【CDのみ】
3300円(税込)
RZCD-77618
《CD収録曲》
01. ウイスキーが、お好きでしょ
02. ロンリー・チャップリン with クリス・ハート
03. 土曜の夜はパラダイス
04. RIDE ON TIME
05. 木綿のハンカチーフ
06. 元気を出して
07. フライディ・チャイナタウン
08. 異邦人
09. メロディー
10. 初恋
11. 想い出がいっぱい
12. 埠頭を渡る風
《DVD収録内容》
01. ロンリー・チャップリン with クリス・ハート [Music Video]
02. 土曜の夜はパラダイス [Music Video]
03. メロディー covered by May J.
04. 元気を出して [Music Video]
05. RIDE ON TIME [Music Video]
06. 異邦人 [Studio Session Clip]
めいじぇい…日本、イラン、トルコ、ロシア、スペイン、イギリスのバックグラウンドを持ち、幼児期よりダンス、ピアノ、オペラを学び、作詞、作曲、ピアノの弾き語りをもこなす。圧倒的な歌唱力とパワフルかつ澄んだ繊細な歌声、そして前向きでポジティブなメッセージが共感を呼び、幅広い世代から支持を受けている。2006年「ALL MY GIRLS」でメジャーデビュー。記録的な大ヒットで社会現象にもなった、2014年公開のディズニー映画「アナと雪の女王」の日本版主題歌(エンドソング)を担当。 同年の第65回紅白歌合戦に初出場。2015年1月には自身初となる、日本武道館の単独公演を開催。2018年7月、累計100万枚を突破したカバーシリーズ最新作「Cinema Song Covers」をリリース。2020年3月には、初のミュージカルとなるブロードウェイ・ミュージカル「ウエスト・サイド・ストーリー」Season2にアニータ役で出演。2021年、15周年イヤーにはyahyelの篠田ミルをプロデューサー に迎えアーティストとして今伝えたい想いを発信する新たなプロジェクトを始動させ、2021年12月4年ぶり9枚目となるオリジナルアルバム「Silver Lining」をリリース。2021年1月には、ミュージカル「ボディガード」に初主演。テレビ、ラジオ、舞台、そしてYouTubeチャンネルなど、幅広い活動を続けている。2022年11月9日に「平成ラブソングカバーズ」に続く3年7ヶ月ぶりの第6弾作品『Bittersweet Song Covers』をリリース。
May J. オフィシャルサイト
https://www.may-j.com/index.php
チケット発売中 Pコード:516-231
▼12月28日(水) 14:00
オーチャードホール
S席-11000円 A席-7840円 B席-6240円
[出演]中川晃教/島田歌穂/藤岡正明/May J./森崎ウィン/鈴木勝吾/平野良/山野靖博/石川新太/今拓哉/横山だいすけ/岡幸二郎/久保田秀敏/山本一慶/井澤勇貴/長江崚行/鎌苅健太
※【映像出演】加藤和樹 ♪ミュージカル『憂国のモリアーティ』より 鈴木勝吾/平野良/久保田秀敏/山本一慶/井澤勇貴/長江崚行/鎌苅健太
※未就学児童は入場不可。車椅子での来場は問合せ先まで要連絡。本公演購入時にご登録の氏名、緊急連絡先等は、万が一来場者から新型コロナウイルス感染者が発生した場合など、必要に応じて保健所等の公的機関へ提供させていただく場合がございます。マスクを必ずご着用の上でご来場ください。マスクのご着用がないお客様につきましてはご入場をお断りする場合がございます。その他、当日の感染予防対策や公演内容に関する詳細はhttps://jmf-musical.jp/まで。
※チケットは、インターネットでのみ販売。店頭での受付はなし。1人4枚まで。
▼12月28日(水) 18:00
オーチャードホール
S席-11000円 A席-7840円 B席-6240円
[出演]中川晃教/島田歌穂/藤岡正明/May J./森崎ウィン/山野靖博/石川新太/今拓哉/横山だいすけ/岡幸二郎/山崎大輝
※【映像出演】加藤和樹 ♪ミュージカル『チェーザレ 破壊の創造者』より中川晃教/藤岡正明/今拓哉/横山だいすけ/岡幸二郎/山崎大輝
※未就学児童は入場不可。車椅子での来場は問合せ先まで要連絡。本公演購入時にご登録の氏名、緊急連絡先等は、万が一来場者から新型コロナウイルス感染者が発生した場合など、必要に応じて保健所等の公的機関へ提供させていただく場合がございます。マスクを必ずご着用の上でご来場ください。マスクのご着用がないお客様につきましてはご入場をお断りする場合がございます。その他、当日の感染予防対策や公演内容に関する詳細はhttps://jmf-musical.jp/まで。
[問]キョードー東京■0570-550-799
チケット発売中 Pコード:223-957
▼1月5日(木) 18:30
愛知県芸術劇場 コンサートホール
S席-8800円 A席-6600円
[出演]クリス・ハート/小池徹平/昆夏美/May J.
[司会]TSUKEMEN
[指揮]河合尚市
[演奏]セントラル愛知交響楽団/アロージャズオーケストラ
※学生席・車椅子席あり。但し、ぴあでの取扱いなし。詳細は問合せ先まで。未就学児童は入場不可。やむを得ぬ事情により出演者、曲目等変更になる場合がございます。あらかじめご了承ください。ご来場にはマスクの着用をお願いします。入場時の検温(37.5度以上入場不可)、手洗い・消毒など感染症対策にご協力をお願いします。発熱や体調不良の場合はご来場をお控えください。
[問]クラシック名古屋■052-678-5310
チケット発売中 Pコード:225-413
▼2023年1月10日(火) 18:30
広島文化学園HBGホール
S席-8800円 A席-6600円
[出演]小池徹平/昆夏美/May J./山本耕史
[司会]TSUKEMEN
[演奏]広島交響楽団/アロージャズオーケストラ [指揮]河合尚市
※学生席は取り扱いなし。未就学児童は入場不可。中止以外の払い戻し不可。車椅子席をご希望の際は事前にグリークスにお問合せください。
[問]グリークス■06-6966-6555
[問]清水芸能企画■082-292-0080
チケット発売中 Pコード:223-146
▼2023年1月31日(火) 18:30
高崎芸術劇場 大劇場
S席-8800円 A席-6600円
[指揮]河合尚市
[演奏]東京フィルハーモニー交響楽団/宮間利之ニューハード
[出演]小池徹平/當間ローズ/日野真一郎/May J./山本耕史 [司会]TSUKEMEN
※未就学児童は入場不可。車椅子席をご希望の際は事前に日本ポピュラー音楽協会(JPMA)[TEL]03(3585)3903にお問合せください。
※チケットは、インターネットでのみ販売。店頭での受付はなし。
[問]キョードー東京■0570-550-799
チケット発売中 Pコード:227-577▼2023年1月22日(日) 15:30
焼津文化会館 大ホール
全席指定-6000円
[出演]高嶋ちさ子(vl)/軽部真一
[ゲスト]May J.
※未就学児童は入場不可。感染防止対策を施した上で収容人員の100%で開催します。
[問]焼津文化会館■054-627-3111