インタビュー&レポート

ホーム > インタビュー&レポート > 自信を持って“これがKALMAだ!”と言える。 最新の名刺代わりとなるミニアルバム『NO BORDER』が完成! KALMA全員にインタビュー


自信を持って“これがKALMAだ!”と言える。
最新の名刺代わりとなるミニアルバム『NO BORDER』が完成!
KALMA全員にインタビュー

畑山悠月(vo&g)、斉藤陸斗(b&cho)、金田竜也(ds&cho)からなる、全員2000年生まれの北海道在住3ピースバンド・KALMA。ぴあ関西版WEBに登場するのは『La La La E.P.』以来2年ぶり。10代だった彼らは20代になり、大人の階段を登り始めた。昨年秋にリリースされたフルアルバム『ミレニアム・ヒーロー』は彼らの新境地を開き、それを経て11月9日にドロップされたミニアルバム『NO BORDER』は、今までのKALMAと違う一面を見せつつも、マインドは初心に戻り、前作で積み上げた技術と経験を活かし、さらに「今1番やりたいことはこれだ」と彼ららしさ全開で決意表明をする1枚に仕上がった。成長しながら軽やかに前へ進む彼らはとても力強い。今作に至るまで、そして今作に込める想いをメンバー全員に聞いた。

元気なだけじゃなく、伝えたいことを言えてるし、やりたいライブをやれてる


――ぴあ関西版WEBの取材としては2020年の『La La La E.P.』以来ですが、2021年はフルアルバム『ミレニアム・ヒーロー』を出され、FM802のヘビーローテーション(2021年10月度)に『希望の唄』が選ばれたり、最近ではサンボマスターや04 Limited Sazabysと対バンされたり、『スペースシャワー列伝 JAPAN TOUR』に参加されたり、『FM802 MINAMI WHEEL 2022 EXTRA EDITION』で夜中にライブをされたり、色々と......。

畑山「ありがたいことに忙しくさせてもらってます(笑)」

――活躍ぶりが広がっていく中で、実感値はいかがですか?

畑山「ライブに誘っていただけることがすごく増えました。今までもバンド主催のライブに誘っていただけることは多かったんですけど、イベンターやラジオ局主催の出たかったイベントに誘われることが増えて。それこそ年末の『RADIO CRAZY 2022』とか。出られなかった年にちゃんと"悔しい"という感情を抱いてたので、だからこそ嬉しく思うけど、それで最後にしないで、来年も再来年も呼んでいただけるようにしたいです。今は結構ライブに自信がついてる時期なので、いつも通りのライブをできればいいなと思います」

――いいですね。

畑山「2021年はフルアルバムを出してバンドとしての自信がついてきた1年だったし、良い年だったんですけど、結構まだ迷ってる時期だったかな」

――迷いがなくなったのはいつ頃ですか?

畑山「本当に最近ですね。個人的には今年のGWぐらいからライブが変わったと思ってて。多分、劇的に良くなったんですよ。今までも悪くはなかったと思うんですけど、やりたかったライブが"これだ"というのに変わりましたね」

――ご自分の中で、何がどう変わりましたか?

畑山「3人のライブの時の温度感は変化しているかもしれません。今まではライブが終わってメンバーで話すけど、"ライブ良かったね"とかの話はあまりなかったし。スタッフからも最近は"ライブ良かったね"と言われることが増えましたね」

――今年1月に開催された『FM802 RADIO CRAZY presents LIVE HOUSE Antenna』でライブを拝見しましたが、年明け1発目からすごく元気なライブで良かったですよ。

畑山「1月の時は元気なだけだったかもしれないですね。今はもう元気なだけじゃなくて、ちゃんと伝えたいことを言えてるし、やりたいライブをやれてるので」

――おお。斉藤さんはいかがですか。

斉藤「色んなバンドさんと会話する機会が多くて、そこで色々吸収できたのが大きくて、自信に繋がってきたのはすごくあります。先輩バンドや同年代、僕らよりも年下のバンドと一緒にやる機会があると、ライブの見せ方や色んなことがわかるので」

――他のバンドから学ぶことも多かったと。今まではライブの後に反省会をされたりはしなかったんですか。

斉藤「そもそも"良いライブ"が何なのかを探っていた時期だったので、ライブが終わった後に話すこともなかったというか。"楽しかったね、お客さん盛り上がったね"ぐらいだったね」

畑山「うん」

斉藤「最近はちゃんと良いライブの時も、逆にあまり良くなかった時も、メンバーやスタッフと中身について話すようになりましたね」

――メンバー全員が共通して実感する部分があったんですね。

金田「良いライブって説明しづらいけど、でもやっぱり感覚で"今自分たち良いな"と3人が思えてる。多分それが本当にお客さんにも伝わってるだろうし、スタッフにもよく言われてるので、進化しているんじゃないかなと思います」

――お客さんからの反応も変わったりしました?

畑山「今までは、サーキットやフェスに出た時、僕らのことを見に来た僕らのお客さんは良かったと言うけど、他のバンドを見に来て偶然僕らを見てくれてる人や、初めての人の反応をあまり感じたことがなかったんですよ。最近は僕ら目当てじゃなくてもたまたま見た人が"めちゃくちゃ良い"と言ってくれることが増えましたね」

――自分たちのライブがお客さんにもちゃんと伝わってる。

畑山「はい。かと言って、僕らのファンの人を置いてってるわけじゃなくて、ちゃんと僕らのファンも初見のお客さんも楽しませるライブをできてるなというのは、本当に毎回感じてます」

――そういうライブができるようになった理由は思い当たりますか?

畑山「ライブをいっぱいやったのは、すごく大きいかもしれない」

斉藤「そうだね」

畑山「ただこなしてたわけじゃなくて、ちゃんと毎回のライブで何かを見つけようとしてたんですけど、今まではなかなかそれが見つからなくて。やっとそれが見つかったのが、今年の5月とか6月でしたね」

――いつも楽しそうに演奏されていますが、楽しさは変わらず手応えを感じるようになった感じでしょうか。

畑山「楽しさもそのままだし、手応えもあるし、むしろお客さんの反応も良くなってますね」



知識と経験を手に入れた上で、初心に戻った


――曲作りにライブの状態の良さが影響したことはありますか。

畑山「曲を作る段階でライブのことを意識してる。今までは"いい曲作ろう、いい曲作ろう"として......"いい国作ろう"みたいになっちゃったけど(笑)」

――鎌倉幕府(笑)。

畑山「(笑)。"いい曲作ろう"という頭になっちゃってて、それはメジャーデビューしてから尚更思っちゃったんですよね。曲が良くなきゃ売れない世界だと思ってるので、そこにすごく囚われてて。それから去年『ミレニアム・ヒーロー』を出して。全曲いい曲って思うんですけど、いざライブとなったら『ミレニアム・ヒーロー』の曲はあまりやらなかったんですよ。ワンマンライブではやるんですけど、フェスで持ち時間30分の中では初期の曲ばかりやってて。"いい曲作ろうと思ってたのに、意外とライブではやってないじゃん"と思った時に、多分僕らはスタイル的に、ライブで自分らがやりたい曲を優先して作んなきゃいけないなと。もちろん曲も良くなきゃいけない。その上でお客さんもライブで一緒にガッと楽しめて、陸斗と竜也も演奏して楽しいアレンジや曲の構成を意識しました。それは今作でめっちゃやりましたね。むしろ、今作からかな」

――『ミレニアム・ヒーロー』はストリングスなどが入って、かなり曲の幅が広がったと思いますが、今回はシンプルな印象です。

畑山「今作は全部シンプルにしようとなったんです。前作は色々詰め込んで、今までやらなかった音の作り方をしたんですけど、重ねることしか知らなかった僕たちがマイナスを覚えたというか、今作は初心に返ったような感じ。それも話してたよね」

斉藤「うん」

畑山「高校の時出した『イノセント・デイズ』という初めてのアルバムがあるんですけど、それみたいなのを作りたいよねと話してたんですよ。初期衝動みたいな」

――なるほど、初期衝動。『ミレニアム・ヒーロー』の経験は今作に活きましたか?

畑山「絶対大きかったですね。曲というよりレコーディングの仕方は『ミレニアム・ヒーロー』で結構身についたというか、学べたことが多かったです。僕が普段使ってるコード進行はほぼ自分の手癖なので、『ミレニアム・ヒーロー』と『NO BORDER』で曲がめっちゃ変わってるかと言われたらそうじゃなくて。僕っぽい曲ができてはいます。前作は良い環境でスタッフさんも多くいる中でレコーディングしたんですけど、今作は楽器テックさんとかもなしで、メンバー3人とディレクターさんとエンジニアさんだけだったんです。音も自分らで作るんですけど、それは前作でテックさんに教えてもらった知識を活かせたので、そういう意味では『ミレニアム・ヒーロー』を挟めてすごく良かったです」

――今回はエンジニアに川口聡さんを迎えられたんですね。

斉藤「そうなんです。でも結構好き勝手やらせていただいて。基本の音作りはそれぞれに任せて、迷った時には的確なアドバイスをくださって。本当に自由にプレーさせてくれた印象が強いですね」

金田「すごく伸び伸びやらせてもらいました。楽器テックさんがいる良さもありつつ、やっぱりどうしても自分の出したい音と違う時もあって。今回は自分が良いと思うことを信じてやってみたので、良い経験にもなりました」



畑山悠月がライブでボーダーを着る理由


――今作『NO BORDER』は、"自由にやりたいことをやるぞ"という意思が見える1枚だなと思いました。タイトルからも"境界を作らない、自分で限界を決めない"といった意味合いが込められているのかなと。

畑山「タイトルは陸斗がつけてくれて」

斉藤「まさに言ってくれた通り、自由にやってできたアルバムです。"自由"というテーマに1番ぴったりハマったのが"NO BORDER"だったので、それでタイトルは決めました」


――『ボーダー』(M-3)という曲も入っていますが、歌詞が深いですね。

畑山「自分でも結構良い歌詞が書けたと思います。表現の仕方も気に入ってて。アルバムタイトルよりも先にこの曲がありました。僕は絶対ライブでボーダーの服を着るんです。好きで着てるけど一応意味はあって。武道館に立つアーティストは、白Tシャツを着てる人が多くて。武道館ってゴールみたいな場所だけど、そこをスタートにしてまだまだ色んな色に染まっていくぞという意味で、初心に返った感じで着るらしいんです。逆にレジェントは黒を着るらしいんですよ」

――そうなんですか。

畑山「何色にも染まらない自分だけの色だから。それを聞いて、何か良いなと思いつつ、自分の色も残したいなと思った時に、ボーダーって良いなと思って。日によってボーダーの色は変えてるんですけど、絶対に白色は入れてて。赤白の日もあれば青白、黒白の日もあるんですけど、要は自分の色。赤白だったら自分の色の赤と何もない真っさらの白にツアーやその場所で見つけた色を入れてくという意味で、ボーダーを着て毎回ライブしてる。そのことを歌いたかったんですよ。だから<ボーダーの隙間を埋めて また新たな色を探す>って歌詞で、ラスサビで<明日を繰り返すよ>はボーダーは繰り返されるから、そういう意味を含めました」

――なるほど。リード曲『優しい嘘』(M-5)はラブソングですね。今までのKALMAの元気なイメージとは違う楽曲で。

畑山「そうですね」


――前にお会いした時の畑山さんは10代で、20代になられてやはり歌詞が大人になりましたよね。

畑山「うーん、ちゃんと大人になってます?僕」

――なってると思いますよ。ご自身ではどう感じますか。

畑山「いやー、わからないんですけど、昔の曲聞いたら子供だなと思うってことは、大人になってるのかなと思います」

――愛を歌ってるじゃないですか。恋から愛に変わったなと。

畑山「あ~。そこはそうですね」

――20代になって、何か変わりましたか?

畑山「物事の捉え方や心の持ちよう。たとえば余裕があるとか。大きい変化はそこですかね」

――『優しい嘘』をリード曲にしようと思った理由は?

畑山「本当に新しいKALMAってところです。今までもラブソングを歌ってたけど、前の恋人を引きずるような歌や失恋はあんま歌いたくない。それを歌ってる人が多いからというのもあるし、僕は悲しい気持ちになりたくないし、そういうのはちょっとクサいと思っちゃうタイプなんで。だからラブソングはアップテンポに歌ってたんですよ。ポップになるべく笑って歌うラブソング。内容は今好きな人に向けてで、今回の『優しい嘘』も本当に横にいてくれる好きな人への歌なんですけど、初めてミドルテンポで真っ直ぐなラブソングを書きました。お客さんもちょっとびっくりするかもしれないけど、KALMAらしさはめっちゃ残ってると思う。色んな人に届く1曲かなとは思ってますね」

――歌詞はすごく正直ですよね。曲作りの面で心がけたことはあります?

畑山「曲作りのやり方自体はずっと変わらず、弾き語りでメロから作って、2人に送って合うコードを入れて、歌詞は最後。パソコンも使ってないし、本当にそこは変わんないですね」

――今回はアナログレコーディングをされたんですよね。

畑山「レコーディングもデモ制作もですね。今回アナログでやってみて、かなり良いなって」

――アナログにこだわっていかれるんですか。

畑山「皆(曲作りで)パソコンを使ってどういう風にやってるかわかんないですけど、もしボーカルの意思をかなり入れて、ドラムもベースも打ち込んだ状態で送っちゃうと、メンバーがフレーズをあまり考えられなくなっちゃうじゃないかなって。だから僕は敢えて全投げしてる。ちゃんと陸斗と竜也にやりたいフレーズを決めてほしい。僕が打ち込むのは基本のエイトビートとかだけで、フレーズは2人が考えればパソコンでのデモ制作も別にいいとは思うんですけど。結構時代に逆らっていきたいタイプの人間なので、皆が挑戦していることには挑戦したくない。そこもありますね」



今現在でのKALMAらしさが1番出た曲


――『ペーパーバック』(M-6)は"今1番歌いたいこと歌えた曲だ"と畑山さんがTwitterで呟いておられました。

斉藤「この曲は前からライブでやってて、めっちゃアレンジが変わってるんです。でも今の最終形態が1番良いなと思うし、ポップでパンクで自分が1番好きな音楽ができてる感じがしてます。すごく良い曲です」

――KALMAらしさも全開で、"今を歌いたい"と一貫しています。個人的に曲名の"ペーパーバック"が気になって。

畑山「これは竜也だよね」

金田「悠月の歌詞を見てて、まだこれからもバンドにおいて自分たちの人生を進んでいくような感じがして。だからまたページ数が増えていくような感じで、何か良いタイトルないかなと思ってたら思い浮かんだです」

――ハードカバーでも日記帳でもなく、ペーパーバックというところが絶妙で、親しみやすくて軽くて、今後まだまだ成長していくだろうKALMAの在り方を上手く突いているなと思ったんですよね。

金田「たまたま降ってきたんですよ」

畑山「天才じゃん」

金田「確かタイトルをつける何日か前に、ペーパーバックってどういう意味なんだろうと調べたんです」

畑山「何でなんで?」

金田「ビートルズの曲で『ペイパーバック・ライター』っていうのがあるんだよ」

全員「ああー!」

金田「確かブックカバー的な意味もあれば、薄い冊子的な意味もある感じだったと思うんですけど、僕が見た時は後者でした」


――この曲が"KALMAはこんなバンドと胸を張れる楽曲"だと思えた理由は何がありますか。

畑山「サビのシンガロングとかはもうまさしくKALMAだし、歌詞もめっちゃKALMAなんですよね。<歌で>とか。ラスサビの<正解なんてどこにもないから>は、歌いたいのはそこ、という歌詞。KALMAが昔から歌ってることだと思います」

――歌っていることは変わらないけど、今現在でのKALMAらしさが1番出た曲ということですね。

畑山「そうですね」

――MVは畑山さんと斉藤さんの母校で撮られたそうで。学祭ですか?

畑山「はい、母校の先生から呼んでいただいて。たまたまMVをどうしようとなった時で、監督の川崎龍弥さんが母校で撮ろうよと提案してくださって、生徒さんにも協力してもらいました」

――どうでした、やってみて。

畑山「楽しかったし、普通に恥ずかしかったです」

――(笑)。生徒さんは嬉しいんじゃないですか。

畑山「"皆はこれからもしかしたら、もう2度と見れないかもしれないMVの撮影現場を見るんだよ"と言ったら、"いえー!!!"って喜んでくれました」

――生徒さんノリノリでしたね。

斉藤「すごかったね」



愛ってあげられるもんだし、もらえるもんだなと気付いた


――個人的には『24/7』(M-4)も好きなんです。

畑山「僕も好きですね。この曲も結構歌いたいこと歌えたかなって。特に最後の<擦り減った心に穴が開いたら埋める様に 食べたり 遊んだり 踊ったり 歌ったり キスしたり 抱き合ったり>。ここはめっちゃ歌いたかったことなので」

――そうなんですね。

畑山「2番のサビで歌ってる<僕らは幸せになりたいくせに 正しい道とは逆を歩いていく>は皆そうなんだろうなと思うし。さっきも言ったように、僕自身が時代の逆を行きたいタイプなので。右に行けば正解とわかってるのに左に行きたくなる。それって絶対良くないところでもあるんですよ。もちろん失敗したこともあるし、時間かかっちゃうこともある。良くないとこなんだけど何でやっちゃうかわかんないですね」

――政治や世相を表しているのかと思いました。

畑山「ああ、でも政治のことも割と考えたし、年金問題とか」

――そうそう、年金問題と結婚ラッシュがKALMAの歌詞に出てくるとは。

畑山「僕らも大人になってきて考えなきゃいけないことだけど、"僕には関係ないもん"っていつまで言えるかなって」

――"関係ないもん"と言っていたい気持ちはありますか。

畑山「全然ありますね、結婚とか。関係ないもんと言ってる時点でちょっと気にしてるし、関係あるとわかってるから関係ないと言ってると思うんですけど」

――いいですね、リアル22歳。

畑山「実は僕だけまだ21歳なんです。11月19日で22歳になります」

――大人になったKALMAが今の日常を歌っている曲で好きです。

畑山「ありがとうございます」

――最後の『ポシビリティー』(M-8)では、<だから僕らについてきて>と歌っています。冒頭で自信がついたとお話されていたことが、ここに表れているのかなと感じました。

畑山「そうですね。今だからこそ歌えるし、今までじゃ絶対書けなかった歌ではありますね。常日頃お客さんに沢山の愛をもらってるから、ライブでは僕らが何十倍にも大きくして返したくて。愛をあげるからとか、今まで考えたことなかったんですよ。だけど愛ってあげられるもんだし、もらえるもんだなと気付きました」

――今作のキーワードは"愛"じゃないですか。

畑山「そうですね。恋から愛に変わった感じはやっぱあるし、それは恋愛だけじゃなくて友達、家族、メンバー、色んな人に対しての愛もある。『ポシビリティー』は『ペーパーバック』と並ぶぐらい、"KALMAってこういうバンドだよ"と言える代表曲かなと思ってます」

斉藤「お客さんが求めてるKALMAってこういうものなんだろうなと思うし、『ポシビリティー』みたいな曲は皆前向きになれる。だからやっぱり僕らもそういう曲をやりたい。ライブでやっていきたい曲ですね」

――お客さんに求められるところ。

畑山「もちろん、求められているものを考えて作ってる感じはあまりないです。そうなっちゃうと良くないじゃないですか。まずは自分が歌いたい曲を作ってるけど、たまたまそれが皆の聞きたい曲にもなってる。偶然だけどそれはすごいなと思うし、めっちゃ良い関係性。僕の書いた曲が皆が聞きたい曲だし、皆の聞きたい曲は僕が書きたい曲だから」

――あと『マイシティ』(M-7)の<グッバイ マイシティ>という歌詞も気になりました。

畑山「こういう曲は上京してから書くのが当たり前だと思うけど、北海道に住んでる今だからこそ歌いたかった。実際まだ<グッバイ マイシティ>はしてないけど、もうその気持ちはちょっとあるから歌う感じです」

――もし上京されたらまた新しい街の曲が聞けるのかな。

畑山「でも僕はまだ『東京』は書きたくない。『東京』には大名曲しかないので。ミスチルもくるりも、きのこ帝国も銀杏BOYZもある。どうせ書くならそこに並びたい(笑)。沢山東京に住んでから書きたいなという想いはありますね」

――今作はシンプルめの音作りになってるというところで、ベースとドラム、それぞれ気に入っている点や苦労した点があれば教えてください。

斉藤「『優しい嘘』はシンプルにして悠月の歌が立つようにしたり、重心低めの『ボーダー』はもうブリブリに重たい音を出したり、『ポシビリティー』は逆に結構動いてみたり。曲によって本当色々試してみましたね」

――自分の中で引き出しが増えましたか?

斉藤「それは絶対あると思います」

――金田さんはいかがですか。

金田「ドラマーあるあるかもしれないですけど、デモの弾き語りをめっちゃ聞いてたら勝手に合いそうなドラムが思い浮かんでくるんです。今回ほぼ全曲それなので、自分が直感で良いと思ったドラムをやっただけ。音作りは確かに結構頑張ったんですけど、あまり苦労はしてなかったです」

畑山「バンドはそもそも好きで楽しくてやってるんで、頑張るとかはあまり言いたくないんですよ。楽しむが正解だから。それも必ず意識してるとこですね」

――改めて今作はKALMAにとってどんな作品になりましたか?

畑山「前作の『ミレニアム・ヒーロー』もめちゃくちゃ良いフルアルバムができて、"今後これ以上のフルアルバム作れる気がしなーい"とか言ってたんですけど、"これがKALMAだ"と言えるアルバムではなかったなと今は思うんですよね。今回に関しては"これがKALMAだ"って初めての人に紹介できる。『ペーパーバック』や『ポシビリティー』がそうだけど、本当に名刺になる作品だし、1番は"今KALMAがやりたい音楽はこれだから"という決意表明でもある。ここは今までとは違いますね」

斉藤「高校生の時に作った『イノセント・デイズ』の時の感覚が蘇ってきました。当時は何もわからずレコーディングしてて、1発録ったらやり直せないと思ってた。今回はアナログテープで録って、その感覚が蘇ってきて良い緊張感にもなった。知識ゼロだったのが今は自分のやりたいことはある程度自分でできるようにもなった。そんな成長も感じながら3人でスタジオに入って。前作は色んな人の意見を取り入れて作ったんですけど、今回はほぼ3人の意見で話し合って作った1枚。本当に良いアルバムになったと思います」

金田「僕も本当にその通りで、今までで1番作ってて楽しかったです。ストレートな曲が多いアルバムなんですけど、多分1番スタジオに入ったし1番曲に向き合った。楽しかったのは多分納得がいく曲というか、自分が好きでやりたい曲を作れたからだと思ってます」

――年内は12月27日(火)に『RADIO CRAZY 2022』がありますね。

畑山「今年の年末フェスはその1本なんですけど、だからこそ掛ける想いが強いです。FM802と築いてきた関係性もあるし、めっちゃ愛してくれるラジオ局なので。僕らも愛を返すじゃないけど、初めて見るお客さんも多いと思うので、しっかり良いライブをして今後に繋げていきたいです。年末にして今年1番の大舞台ぐらいかもしれないですけど、良い日になれるように楽しみます」

――そしてワンマンライブが来年2月から始まります。大阪は2月16日(木)、会場はumeda TRADですね。

畑山「コロナ禍で、フルキャパだったら立てないようななんばHatchとかZeppでやらせてもらって。良い経験ではあったんですけど、今考えると身の丈に合ってないと思っちゃうというか、何か甘えてた。フルキャパに戻った今は大きなハコではまだやれないのに。ちゃんと初心に返って、まずはやったことないハコでやりたい。『NO BORDER』自体が初心に返る作品だったんですけど、ツアーもそういう感じですね」

――今はライブも1番良い状態ということで、楽しみですか。

畑山「ライブは今が1番良いし、今後もっと良くなってくと思う。もう、自分らの中で見つけたんで」

Text by ERI KUBOTA




(2022年11月17日更新)


Check

Release

初心に戻りつつ自分たちの最高を更新した3rdミニアルバム

『NO BORDER』
発売中 2200円(税込)
VICL-65740

《収録曲》
01.DEBAYASHI ROCK
02.隣
03.ボーダー
04.24/7
05.優しい嘘
06.ペーパーバック
07.マイシティ
08.ポシビリティー

Profile

カルマ…2016年4月に札幌で結成。メンバー全員が2000年生まれ、北海道出身・在住の3ピースロックバンド。どこか懐かしさを感じさせる印象的なメロディと、エネルギッシュで躍動感のあるライブが持ち味。2018年5月よりタワーレコード札幌ピヴォ店のみで販売を始めた自主制作CD『少年から』が、同店の週間インディーズチャートで1位を獲得。7月には北海道の大型音楽フェス「JOIN ALIVE」への史上初の高校生での出演をはじめ、同年11月にリリースした初の全国流通盤ミニアルバム『イノセント・デイズ』はロングセールスを記録中。2019年1月から 半年間にわたって、高校生としては異例の地元北海道のラジオ番組AIR-G'「FM ROCK KIDS」レギュラーを担当、5月には「FM802 30PARTY Rockin’ Radio オープニングアクトオーディション」で見事1位を獲得し、大阪城野音にて、今を代表するアーティストが出揃う中でオープニングアクトを務めた。2020年3月4日に、ミニアルバム『TEEN TEEN TEEN』でメジャー・デビュー。同作は第13回CDショップ大賞2021にノミネートされ話題を呼んだ。また、TikTokから火がついた同作収録の「わがまま」は動画の投稿数が12,000件、楽曲が使用された動画は累計2億回再生を超えるなど、若者を中心に人気を集めている。2021年10月には1stフルアルバム『ミレニアム・ヒーロー』をリリース。同作品は第14回CDショップ大賞2022の北海道ブロック賞を獲得する。2022年2月に焼肉牛角CMソング「ジェットコースター」をリリースし、今夏はROCK IN JAPAN FESTIVAL、SWEET LOVE SHOWER、JOIN ALIVEなど各地のフェスに出演を予定している。11月9日、メジャーデビュー・ミニアルバム『TEEN TEEN TEEN』以来約2年8ヶ月ぶりとなる3rdミニアルバム『NO BORDER』をリリース。来年2月から全国5箇所を廻るワンマンライブツアーを行う。

KALMA オフィシャルサイト
https://www.kalma-official.com/


Live

チャレンジャーツアー2022 春
(振替公演)

【東京公演】
▼11月16日(水) SHIBUYA CLUB QUATTRO
【神奈川公演】
▼11月28日(月) 横浜F.A.D 
【茨城公演】
▼12月1日(木) 水戸ライトハウス

Pick Up!!

【大阪公演】

チケット発売中 Pコード:220-910
▼12月7日(水) 19:00
BIGCAT
全自由-4400円(整理番号付、ドリンク代別途要)
[共演]KOTORI
※4/7(木)の振替公演。未就学児童は入場不可。
※チケットは、インターネットのみで販売。販売期間中は1人4枚まで。
[問]清水音泉■06-6357-3666

『FM802 ROCK FESTIVAL RADIO CRAZY 2022』
▼12月27(火) 12:00
インテックス大阪
・4DAYS TICKET(VIPサービス付き) 39000円
・1DAY TICKET(一般チケット) 11500円
・1DAY TICKET(ジュニアチケット) 8800円
※グループサポート割チケット(グルサポ割)あり
[問]RADIO CRAZY公演事務局■06-7732-8787(受付時間:10:00~18:00 日祝除く)


KALMA 「NO BORDER one man tour 2023」

【北海道公演】
▼2023年2月11日(土・祝) PENNY LANE 24
【大阪公演】
▼2023年2月16日(木) umeda TRAD
【福岡公演】
▼2023年2月18日(土) BEAT STATION
【愛知公演】
▼2023年2月25日(土) NAGOYA CLUB QUATTRO
【東京公演】
▼2023年3月4日(土) WWW X

チケット情報はこちら