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「今度の大阪城野音では、何とか晴れ男になりたいんですが(笑)」
大ヒットアルバム『SAUDADE(サダージ)』から40年
ギターレジェンド高中正義が11/6(日)大阪城音楽堂での
野外ワンマンライブ前に語る、秘蔵エピソード満載インタビュー!

 昨年、デビュー50周年に加え、名盤『虹伝説 THE RAINBOW GOBLINS』(’81)のリリース40周年というアニバーサリーイヤーを迎え、久々の日本武道館公演も開催。名実共に日本が誇るスーパーギタリストとして活動し続ける高中正義は、今年もその歩みを止めることはない。’82年当時、インストゥルメンタル/フュージョンで初のオリコンチャート1位という偉業を成し遂げたアルバム『SAUDADE(サダージ)』から40年という節目に、現在は全国ツアー『高中正義 TAKANAKA SUPER LIVE 2022 SAUDADE』を開催中だ。アレサ・フランクリンやホイットニー・ヒューストンらの作品を手掛け、グラミー賞を獲得したナラダ・マイケル・ウォルデンがプロデュースした同作についてはもちろん、50年を超えるキャリアを振り返る中で、数々の逸話も飛び出した今回のインタビュー。11月6日(日)大阪・大阪城音楽堂での野外ワンマンライブを前に、愛するギターや音楽について今でもうれしそうに語る姿は、孤高のレジェンドでありながら、“楽しい”と“気持ちいい”を信じて追い掛け続けたギターキッズのようだった――。



好きな音楽をずっとやっていたら、50年も経ってしまった
それって幸せなことですよね


――コロナ禍の2年間で音楽との向き合い方やペースなど、何か変わったことはありましたか?

「いや、コロナが始まってから外出が減ったとは言え、もう何十年も体操や腹筋、ダンベルに、歩く時間まで決めているので、あんまり。やっぱり辛いことって続かないから、楽なことをやっているだけなんですけどね。あとは、いい映画に巡り合えたらこんなに楽しいことはないというぐらいかな。コンサートも2~3回中止にはなったけど50%のキャパではできていたし、最近はもう元に戻ってきている。まぁ飲みに行かない分、肝臓は健康になっただろうから、いい面もあったわけなんですけど(笑)」

――確かにミュージシャンは、この2年はライブの打ち上げもなかったおかげで寿命が延びたかもしれない(笑)。昨年はデビュー50周年を迎えられましたね。

「僕は18歳でプロになって、好きなギターで、好きな曲を作って、お客さんもそれを好きと言ってくれる。すごくラッキーな人生だったなと思うんですよね。40歳ぐらいでスポーツクラブに入っていろんなことを教わって、今は毎日時間を決めて腹筋をしたり歩いたりもしているから、まだ生きるだろうとは思っているんだけど(笑)。健康で、好きな音楽をずっとやっていたら、50年も経ってしまった。それって幸せなことですよね」

――去年はアニバーサリーツアーのファイナルで東京・日本武道館、その後夜祭として東京・LINE CUBE SHIBUYAでクリスマスライブも行われ、その模様は映像化されBlu-ray『デビュー50周年 TAKANAKA SUPER LIVE 2021 高中正義 虹伝説ファイナル at 日本武道館』にもなりました。久々の武道館はいかがでしたか?




「何だか武道館がちょっと小さく感じたぐらいお客さんも来てくれて、すごく喜んでくれて。好きなギター、好きな音楽を最高のスタッフとやれて......この歳になってもう一度武道館に立てたのは、本当にうれしかったですよ」

――みんなが50周年をお祝いしに来てくれて...ちょっとしたご褒美みたいな一日で。共に歩んできたファンが目の前にいることで生まれる充実感や絆はありますよね。

「デビューした頃は自分もまだライブに慣れていないし大変というか、ライブって難しいなという思いもあったんですよ。その後、東京・六本木のPIT INNで演奏するのが流行った時代があって、そこでは渡辺香津美も山下達郎もやっていたし、あの狭いライブハウスに動けないぐらいお客さんが入って、目の前で盛り上がっている姿を見て...結構あそこでライブ慣れしたというか、ライブが好きになってきて。あと、ライブってMCで何か話さなきゃいけないじゃないですか。あるとき日比谷野音でちょっと冗談を言ったら、2000人がドッと笑ったことがあったんです」

――うわ、それは快感ですね。

「これはすごく気持ちいいなぁ〜と思って。まぁ失敗するときもあるんですが(笑)。日比谷野音でやるときはよく雨が降っていたので、"雨男!"って誰かが言うとみんな盛り上がるから、晴れているときも言われましたよ(笑)」

――日比谷野外大音楽堂は高中さんにとって、それこそデビューのきっかけにもなった縁ある場所ですよね。

「日比谷野音は来年100周年なので盛大にやりたいと言われて。今年、館長さんに初めて会いましたけど(笑)」

――50年やってきてついに(笑)。それは実現するのが楽しみですね。


『SAUDADE』は深みがちゃんとあるアルバムだったと思う


――この50年で今でも思い出すような印象深い出来事はありますか?

「"サンタナとやりたい"とスタッフに言ったら、本当にライブで共演できたり(='81年に神奈川・横浜スタジアムで『SANTANA & TAKANAKA Summer Live Super Session』を開催)、"ナラダ・マイケル・ウォルデンとやりたい"と言ったら、アルバム『SAUDADE』を一緒に作れたり。あとは、バハマのスタジオでミックスをやっていたら、海がめちゃくちゃ奇麗で。だから毎年バハマに行ってました」

――いいですね~!

「冬の寒い間は、飛行機に猫まで乗せて何十時間と移動して、3〜4カ月は向こうで過ごして...みたいな生活を10年以上していたんですけど、結婚して子どももできて、そのままバハマの幼稚園に通うかと言うとちょっと難しくて。結局、軽井沢に住んでもう22年、好き勝手なことばっかりやっていますね(笑)。美しい森の中を、好きな音楽を聴きながら電動ママチャリで走るのが、また気持ちいいんですよ」

――現在開催中の『TAKANAKA SUPER LIVE 2022 SAUDADE』は、その『SAUDADE』のリリース40周年を掲げたツアーということですが、当時を振り返ると制作期間はやっぱり刺激的でしたか?

「ナラダ・マイケル・ウォルデンはドラムも歌もうまいし、アレサ・フランクリンやホイットニー・ヒューストンのプロデュースまでして、グラミー賞を3つも取っているすごい人なんですけど、当時、初めてサンフランシスコにレコーディングに行ったら、ベースのT.M.スティーヴンスとか、ずっとサンタナでパーカッションをやっていたピート・エスコヴェードの娘で、後にデビューして全世界で売れるシーラ・Eとか...ナラダがアメリカ中から集めた素晴らしいメンバーと一緒に演奏できて。ナラダはギターフリークだから、たまに"そこのフレーズにもうちょっと味を付けろ"みたいに注文されることはありましたけど(笑)、基本的にはすごく楽しい人たちで、勉強になりましたね」

――そうやって作り上げたアルバムが、インストゥルメンタル/フュージョンというジャンルで初のオリコンチャート1位になったのは本当に偉業だと思います。

「海外レコーディングは以前リー・リトナーともやっていて、ブラジルで録ったこともあるんですけど、一番絡んできたのがナラダなんです。『SAUDADE』ではギターの指導まで受けちゃって、そういう意味では、ちょっとシビれるレコーディングでしたけど、スタジオミュージシャンを雇って2時間で録って、"ありがとう、バイバイ"じゃない深みがちゃんとあるアルバムだったと思うんですよね」


天気が良かったら、外でやる方が絶対に気持ちがいいから。晴れてほしいなぁ


――9月から始まったツアー『TAKANAKA SUPER LIVE 2022 SAUDADE』の途中経過としてはいかがですか?

「"いい音って何なのかな?"といつも考えるんです。エレキギターって、いろんなアンプやエフェクターとのつなぎ方やら、お金と時間をかけようと思えばいくらでも追及できる。面倒くさいと言ったら面倒くさいし、面白いと言えば面白い。いつも"研究しなきゃ"と思うし、満足することがあんまりないんですよね。今日は"これがいい音だ"と思っても、次の日に聴いたら"あれ? ちょっと違ったかも"と思ったりもするし」

――50年以上弾いてきても、まだ底が知れないんですね、ギターって。

「そう。家でギターを弾いて、パソコンで録音して、iPhoneに移して聴くんですけど。これが家で練習した音で」

〜おもむろにiPhoneで音源を流す高中〜

――まだまだ楽しいし、まだまだ研究の余地がある。やりがいがありますね。

「そうですね。いい曲ができたり、いい音で録音できたら、寝る前に聴くんです。すると自己満足に浸れるんですよ。"いいじゃん!"って(笑)。それがいつも楽しみですね」

――高中さん、今めちゃくちゃいい顔しましたよ。ずっとギターキッズですね。

「アハハハハ!(笑)」

――ライブでコーラスを務めるAMAZONSも、最近はステージ上で高中さんの笑顔が増えたと言っていました。

「10年くらい前に渡辺プロの社長さん(=渡辺晋)の本を読んだんですけど、彼は戦後にジャズバンドをやっていた元ベーシストで。"笑いながらやれ"というのがその人の考えで、難しいジャズを難しい顔でやっても何も面白くないと。確かに笑っている方が心が広いというか、見る方もそっちの方が楽しいんじゃないかと思ったんですよね。あと、元テニスプレイヤーの松岡修造さんがテレビで、"イヤなことがあっても寝るときに思いっきり笑うんだ"と言っていて。そうすると脳がだまされて調子も良くなると。それに歳を取るとだんだん顔の肉が垂れてくるから、笑う=顔の運動をするといいんじゃないかなと思って(笑)」

――ここまで話を聞かせていただいて、11月6日(日)大阪城音楽堂でのライブがすごく楽しみになりました。あとは当日、晴れますように、ですね(笑)。

(一同笑)

――野外とホールでは音の広がりも違うと思いますけど、やっぱり野外はやる方も気持ちがいいものなんですね。

「天気が良くて明るくて、それが夕方になってだんだん照明が効き始め、ちょっといい風が吹いてきたりすると、すごく気持ちいい。やっぱり雨だとね、2000人が雨ガッパに着替えて寒い中耐えてるんだなと思うと、こっちも辛いものがありますから。だから今度の大阪城野音では、何とか晴れ男になりたいんですが(笑)。天気が良かったら、外でやる方が絶対に気持ちがいいから。晴れてほしいなぁ」

Text by 奥"ボウイ"昌史




ライター奥"ボウイ"昌史さんのオススメ!

「デビュー20周年ぐらいのアーティストにインタビューすることはちょくちょくありますが、50周年ともなると、そこまで一線でい続けられる人がまず圧倒的に少ない。"ユーミンも矢沢(永吉)さんも今年で50周年だもんなぁ..."とさらりと出てくる名前がすご過ぎた(笑)。一連の話を聞いてみて、ここまで続けられた秘訣は健康と適度なお酒(笑)、ちょっと時間が空けばすぐに音楽を聴くような、今でもミュージックラバーなところかな、なんて思いました。ネットの口コミをうっかり見て忘れられないおちゃめさも意外だったなぁ(笑)。ここには載せ切れないエピソードがまだまだありましたから、また取材でお会いできる日が楽しみです。まずは皆さん、大阪城音楽堂で虹色の音を浴びましょう~!」

(2022年10月28日更新)


Check

Release

『虹伝説』再現ライブ&ベストヒット
+クリスマスライブの豪華2枚組!

 
Blu-ray
『デビュー50周年
 TAKANAKA SUPER LIVE 2021
 高中正義 虹伝説ファイナル
 at 日本武道館』
発売中 9800円
Lagoon Records
LAGB-5~6

<DISC-1収録内容>
『デビュー50周年 高中正義
 虹伝説ファイナル at 日本武道館』
01. PROLOGUE
02. ONCE UPON A SONG
03. SEVEN GOBLINS
04. THE SUNSET VALLEY
05. THE MOON ROSE
06. SOON
07. MAGICAL NIGHT LIGHT
08. RAINBOW PARADISE
09. THUNDER STORM
10. RISING ARCH
11. JUST CHUCKLE
12. RAINBOW WAS REBORN
13. PLUMED BIRDS
14. YOU CAN NEVER COME TO
  THIS PLACE
(ME)OH! TENGO SUERTE
15. EARLY BIRD
16. Finger Dancin'
17. 憧れのセーシェル諸島
18. MAMBO NO.5(DISCO DANGO)
19. 渚モデラート
20. SHAKE IT
21. Alone
22. PALM STREET
23. TROPIC BIRD
24. READY TO FLY
25. 黒船
ENCORE
26. 一番好きな海の色
27. BLUE LAGOON

<DISC-2収録内容>
『TAKANAKA メリークリスマサヨシ
 虹伝説 後夜祭』
01. SEVEN GOBLINS
02. ONCE UPON A SONG
03. THE MOON ROSE
04. PLUMED BIRDS
05. THUNDER STORM
06. MAMBO NO.5 (DISCO DANGO)
07. エピダウロスの風 '86ver.
08. Come Back To Me
09. 渚モデラート
10. SHAKE IT
11. 白銀のギター
12. BLUE LAGOON
13. Saudade
14. Finger Dancin'
15. PALM STREET
16. TROPIC BIRD
17. READY TO FLY
18. 黒船
ENCORE
19. YOU CAN NEVER COME TO
  THIS PLACE

Profile

たかなか・まさよし…’53年生まれ、東京都出身。’71年、つのだ☆ひろ、故成毛滋に誘われフライド・エッグにベーシストとして参加。これがプロミュージシャンへのきっかけとなりキャリアをスタートさせる。’72年、サディスティック・ミカ・バンドにギタリストとして参加。同バンドは解散するが、後に結成されるサディスティックスのメンバーとして活動を続ける。’76年、アルバム『SEYCHELLES』でソロデビュー。以降、『Ready To Fly』(’80)『Blue Lagoon』(’80)など多くの名曲を発表。’81年にリリースされた代表作『虹伝説THE RAINBOW GOBLINS』は、日本インスト音楽史に残る超大作に。リー・リトナー、サンタナ、ナラダ・マイケル・ウォルデン、シーラ・E他、海外の大物ミュージシャンともアルバムやライブで共演。’00年に自社レーベル、Lagoon Recordsを設立。現在も毎年精力的に全国ツアーを行っている。

高中正義 オフィシャルサイト
https://takanaka.com/

Live

ヒット作『SAUDADE』40周年ツアー
大阪城野音ライブが間もなく開催!

 
『高中正義 TAKANAKA
 SUPER LIVE 2022 SAUDADE』

【広島公演】
▼9月19日(月・祝)広島JMSアステールプラザ
大ホール

【神奈川公演】
▼9月24日(土)神奈川県民ホール 大ホール
【東京公演】
▼10月2日(日)日比谷野外大音楽堂
【宮城公演】
▼10月8日(土)SENDAI GIGS
【福岡公演】
▼10月23日(日)福岡国際会議場 メインホール

【愛知公演】
▼10月30日(日)Zepp Nagoya

Pick Up!!

【大阪公演】

チケット発売中
※販売期間中はインターネット販売のみ。
▼11月6日(日)16:00
大阪城音楽堂
S席(お土産つき)11000円
A席9000円
[メンバー]斉藤ノヴ(perc)/岡沢章(b)/
宮崎まさひろ(ds)/宮崎裕介(key)/
井上薫(key)/AMAZONS(大滝裕子、
斉藤久美、吉川智子)(cho)
キョードーインフォメーション■0570(200)888
※雨天決行・荒天中止。
 未就学児童は入場不可。

チケット情報はこちら


【長野公演】
▼11月12日(土)長野市芸術館 メインホール
【広島振替公演】
▼11月21日(月)広島JMSアステールプラザ
大ホール
【北海道公演】
▼12月3日(土)カナモトホール



『高中正義 Merry Christmas LIVE
 サンタカナカクロースのプレゼント』

【東京公演】
▼12月23日(金)LINE CUBE SHIBUYA


Column

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