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煌めく夜のクルーズ船上ライブ、再び。
10周年を迎えるDENIMSが贈った、至高の時間。
『DENIMS premium show「Bubbly Lovely Safari」』レポート

9月4日(日)、大阪の4人組バンドDENIMSが大阪港を周遊する「サンタマリア号」で船上クルーズライブ『DENIMS premium show「Bubbly Lovely Safari」』を行った。3年前の2019年にも同じくサンタマリア号でクルーズ形式のスペシャルライブを行ったDENIMS。チケットソールドアウトの大盛況で終了した前回に引き続き、今回もチケットはソールドアウト。3年の時を経て、確実に大きくなった彼らによる2度目の船上クルーズライブの様子をレポートしよう。

KKR_3551.jpgすっかり陽が落ち、辺りが暗くなり始めた18時半。サンタマリア号の発着場である大阪・天保山ハーバービレッジ・海遊館西はとばには、乗船を待つ人々が列を作っていた。乗り遅れたら絶対に見れないライブのため、今回も「時間厳守」の注意喚起がメンバーや関係者から発信されていたが、優秀なDENIMSファンたちはしっかり時間を守り、乗船は滞りなく完了。
 
新大陸を発見したコロンブスの旗船を2倍の大きさで建造したという帆船型観光船「サンタマリア号」。威風堂々と海上に浮かぶサンタマリア号に足を踏み入れると、否が応でも胸が弾む。1階の甲板には楽器がセッティングされ、その前に陣取る大勢のオーディエンス。いつもと違う特別な「会場」に、いつもと少し違う高揚感が漂っていた。観客たちはドリンク片手にデッキで潮風に吹かれたり、レトロな船内を探索したり、大阪ベイエリアの夜景を見つめたり、それぞれ思い思いに出港までの時間を過ごしていた。
 
S__76808205.jpg出港15分前になると、DENIMSと旧知の仲のFM802 DJ・板東さえか(以下、ばんちゃん)が甲板に登場。上品なブルーのワンピースとチュールリボン付のパーティハットがキュートすぎる。船内の施設紹介や注意事項を簡単に述べ、「前来たことあるよって方、いらっしゃいます?」と問いかけると、チラチラと手が挙がる。
 
2019年に行われた『DENIMS CRUISE -FLAKE RECORDS 13th Anniversary-』は、大阪・堀江のレコードショップFLAKE RECORDSの13周年を記念して、DENIMSメンバーとも非常に親交の深いDAWAが主催した。出港前にDAWAに話を聞くと、今回はメンバー主体の開催だと話してくれた。前回参加者を白熱させた、船内に宝箱を10個隠すというDAWA考案のサプライズも、今回はメンバーが自分たちで用意したらしい。DAWAはサンタマリア号でのイベント経験があることから「俺らはサポートする形」とのことで、機材の搬入やセッティングなどを手伝ったそうだ。ライブ中もDAWAをはじめ、GREENS、ぴあ、サンタマリア号のスタッフら、DENIMSクルーの大人たちが総出で走り回っていた。このプレミアムな夜を成功させよう、良いものにしよう、記録に残そう、色んな人に届けよう。そんなDENIMSを想う気持ちがひしひしと伝わってきた。DENIMSは本当に愛されバンドだな、と思う。

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さて、ばんちゃんから船内に宝箱が5つ隠されていることを知らされたオーディエンスは湧き立ち、早速探しに行く人も。中にはDENIMSのオリジナルグッズが入っていたようだ(見つけた方おめでとうございます!)
 
そんなこんなで出港の時間がやってきた。ばんちゃんが「皆さん心の準備はよろしいですか。『DENIMS premium show「Bubbly Lovely Safari」』出航です!」と高らかに宣言。釜中健伍(g&vo)セレクトによるBGMが流れる中、ゆっくりとサンタマリア号は岸を離れて動き出した。ユニバーサル・スタジオ・ジャパンのオフィシャルホテル「リーベルホテル アット ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」や、ライブキッズにはお馴染みであるZepp Osaka Baysideの横を、夜風を切ってぐんぐん通りすぎる。

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20分ほど大阪ベイエリアをクルージングした頃、オーディエンスでぎゅうぎゅうになったフロアに、2階の甲板から階段を降りて登場したDENIMSのメンバー。さながらプロレス入場だ。前回は白シャツに黒い蝶ネクタイという出で立ちだったが、今回は全員ジャケットとサングラスを着用。グッと大人っぽさが増している(ドラムの江山真司はジャケットなし、ピンクのシャツでキメていた)。3年の月日を経て、メンバーチェンジもあったDENIMS。一体どんなメモリアルな夜になるのかと期待感が高まる。

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そしていよいよクルーズライブがスタート! 「DENIMSです、よろしく! 楽しんでいこうぜー!」と釜中が叫び、のっけから「Crybaby」で軽快に踊らせる。イントロを聴いたオーディエンスは大興奮。しかも最前列とメンバーの距離はアンプを挟んだだけの超至近距離。お互いの熱量がダイレクトにぶつかる環境でゴキゲンなサウンドが繰り出される。続けて「DAME NA OTONA」をドロップ! 客席からの抑えきれない興奮と喜びが歓声となって船上に舞う。土井徳人(b)のベースリフがブンブン唸り、岡本悠亮(g)のコーラスが美しく響く。釜中は気持ち良さそうに体を仰け反らせた。大阪ベイエリアの夜景が流れる開放的な景色も相まって、2曲目ですでに最高の気分だ。

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PA卓の後ろにもお客さんが入り、もはや360°ステージと化した甲板。船内にいればライブの音はどこでも聴けるため、2階からステージを見下ろす人もいる。ものすごくレアなシチュエーション。一時的に雨が降っても、そんなの関係ない!
 
「ソールドアウトしました! ありがとう!」と釜中が叫び、疾走感溢れる「ひかり」、「fools」とダンスナンバーを連投。ぐんぐん勢いを増していく演奏と、めちゃくちゃ楽しそうなメンバーの笑顔が眩しい。

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岡本が「ムードのある曲歌っていいですか」とThe Beatlesの「Till There Was You」の弾き語りをしている間に、釜中がピアノ前にスタンバイ。新曲「way back」をゆったりムーディーに聴かせたと同時に、サンタマリア号は大きな橋の真下を通過。さらに船体がくるんと旋回した時、夜空には上弦の月が浮かんでいた。なんとロマンチックなシチュエーション。これぞトワイライトクルーズの醍醐味だろう。

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MCでは「雨予報バッキバキやったんですけどね、晴れました! 皆の力のおかげや。ありがとうね。こうなったら最高の夜になるしかないので、大船に乗ったつもりで存分に楽しんでください」と岡本。釜中は「裏テーマとしてというか、実は『DENIMS CRUISE』とコットンクラブはDENIMSの10周年企画でもあります。今年の12月で初めてのライブから10周年になるんですけども、大阪のベテランと言われるようになってきたりして、“売れそうで売れへんとこにずっとおる”と言われたりしてムカついてるんですけど、全然これから売れる気なんでよろしくお願いします! 最高のDENIMSの4人とね、今日も手伝ってくれた色んなチームがいて出来たし、こうやって面白いことやったら来てくれる皆さんがいるんで、全員連れて売れていこうと思いますんで、今後ともよろしくお願いします」と力強く語った。
 
その気持ちがひとつになったかのように「おたがいさま」の<オー ララララ♪>では一斉にフロアの手が挙がる。<有名になっていつか大逆転>、絶対全員で叶えよう。そんな決意を共有したところでの「Goodbye Boredom」ではさらに一体感が加速。釜中と岡本が一歩前に出てギターを弾き、オーディエンスを歓喜の渦に巻き込んだ。

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そしてここからは、SoulflexのKenT(sax)とオオサカズの長山動丸(tp)がジョイン。ホーン隊が加わり、サウンドはさらにグルーヴィかつファンキーに進化。「さっき最高の4人といったんですけども、2人が入ることでさらに最強になりますんで、6人で最後まで楽しんでいきましょう!」と釜中。最強の布陣での「Marching Band!!」を経て、「INCREDIBLE」では、メンバーのエモーショナルなプレイとオーディエンスの熱量が化学反応を起こしまくり、お祭り騒ぎ状態に。客席は「たまらん!」と言わんばかりに踊りまくる。グルーヴの波を操る彼らの背中が、すごく頼もしく見えた。
 
ベイエリアの夜景と工業地帯を視界の端にとらえた頃に演奏された「AIWO」「Stomp my feet」、そしてセッション「-Skit-」は6人の魂がぶつかり合って、語彙力が消失するほどカッコ良かった。クールでジャジーで大人っぽいDENIMSを、これでもかと見せつけられた。

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上がり切った熱を少し冷ますように、「夜にとけて」と「虹が架かれば」をメロウかつアーバンに歌い上げ、本編最後は「I’m」で締め括る。釜中のピアノと伸びやかな歌声、切ないメロディ、ホーン隊のアンサンブルが心地良く体を揺らす。ちょうどこの時、サンタマリア号は真っ赤な港大橋の下を通過した。この日、この時間にしか感じられない、大迫力の演出だ。そしてこの曲は夜景が似合いすぎる。たっぷりゆっくり聴かせた後は、船全体から最大の拍手が送られた。

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アンコールは2曲を披露。長山のトランペットが壮大に楽曲を彩った「そばにいてほしい」ではこれ以上ない多幸感に包まれた。そして「正真正銘最後の曲です!」と釜中が叫ぶ。聴こえてきたのは「わかってるでしょ」。最後はやっぱりダンシング! この軽快さが本当にDENIMSらしい。充実感を顔に滲ませて演奏するメンバーと、思い残すことのないように踊りまくるオーディエンスの姿がキラキラ輝いていた。「名残惜しいなぁ」と思っていると、最後にばんちゃんがステージに合流。そして釜中にビンタ!(優しいソフトビンタだった)。そう、ばんちゃんが出演していた「わかってるでしょ」のMVが再現されたのだ! 最高潮の大盛り上がりを見せて、大成功&大団円で幕を閉じた2度目の船上クルーズライブ。この時間と空間をともに共有した人が全員愛おしくなってしまうほどに、極上の2時間だった。
 
9月10日(土)には、東京コットンクラブでバンド史上初のプレミアムワンマンライブが行われる。こちらも船上クルーズとはまた違う、素晴らしい空間が待っているに違いない。ぜひとも後悔しないよう、「今のDENIMS」の姿をその目に焼き付けに行ってほしい。

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Text by ERI KUBOTA



(2022年9月 9日更新)


Check

Live

『DENIMS premium show「Bubbly Lovely Safari」』

▼9月10日(土)
[1st.show] open 3:00pm / start 4:00pm
[2nd.show] open 6:00pm / start 7:00pm
東京 COTTON CLUB


A Soulflex joint “MILESTONE”

チケット発売中 Pコード:222-943
▼10月16日(日) 17:00
なんばHatch
オールスタンディング-6000円(ドリンク代別途要)
2F指定席-6000円(ドリンク代別途要)
[ゲスト]梅田サイファー/どんぐりず/Shin Sakiura/ego apartment/SATOCI ENOMOTION(DJ)
※未就学児童は入場不可。
※販売期間中はインターネット販売のみ。1人1公演4枚まで。
[問]キョードーインフォメーション■0570-200-888

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