胸を熱く焦がして、絶望も希望に変えてゆく!
デビュー20周年記念ニューアルバムリリース&
『TOUR Funk-a-lismo! Vol.3』開催!
SCOOBIE DOインタビュー&動画コメント
3年振りとなる通算15枚目のニューアルバム『Tough Layer』(タフレイヤー)を8月24日にリリースし、10月から『TOUR Funk-a-lismo!vol.13』がスタートするSCOOBIE DO。“LIVE CHAMP”を誇る生粋のライブバンドであり、60’s~70’sの黒人音楽をルーツとした骨太のグルーヴにタフで軽快なビートを刻む。結成から27年を経て、メジャーデビュー20周年を迎えたSCOOBIE DOはなぜこれほどまでに揺るぎないのか。今回、ぴあ関西版WEBではボーカルのコヤマシュウにインタビュー。物腰やさしくも、ライブ同様に全力で語ってくれた軸となる人生観や独自のロック哲学にシビレてほしい!
ライブをやりたくてバンドをやっている
それはバンドを組んだ時から変わらない
――今年でメジャーデビュー20周年おめでとうございます!
「ありがとうございます。正直なところ、自分たちの中ではあんまり(周年イベント的なことは)考えないんですよ。でも、“20周年だから、ちょっとお祭りやりましょう!”って、ビクターの人たちがいろんな提案とかしてくれるのはすごい嬉しいんですよね。2002年に『GET UP』って曲でビクターのSPEEDSTARでメジャーデビューして、そのあと僕らは独立するんですけど。今回はビクターさんが協力してくれて、僕たちのCHAMP RECORDSとタッグを組んでやってたりするんで」
――バンドをずっと続けてきて良かったなと思うことは?
「何年もやってきて良かったなって思うのは曲がいっぱいあることかな。アルバムいっぱい出してるし、曲がとにかくいっぱいあって。例えば、2002年の『GET UP』って曲を 今演奏すると、僕の中ではより気持ち良く全力でできる感じがするんですよ。幸せな気持ちになるんです。そういうことって、長くやってないとやっぱ味わえないことだと思うんで。 それをバンドの4人でやれるっていうのが長くやっててすごく良かったことだなと思います。長く続けてる人のあの特権っていうか、ご褒美っていうかね」
――メンバー同士のつながりは学生の頃から続いているんですよね。
「そうですね。ギターのマツキくんとは、幼稚園の頃からの付き合いなので、たぶん42年ぐらいで。マツキくんが僕を誘ってくれて、バンドが始まったので。やっぱり同じものが好きなんだと思うんですね。それは全部が一緒ってことじゃなくて、俺ここ好きなんだよなっていうところをマツキくんも好きだったりして、 その他のメンバーも“ここは好き”っていう重なる部分があるんですよ。それは変わらないから、バンドも続いていくんだと思うんですよね」
――その好きな部分というのは音楽的なことですか。
「まあ、ジャンルとかサウンドというよりも、ライブをやることが好きだからなのかな。そういうことを別に毎日のように言い合ったり、みんなで確認したりもしないけど。僕はライブやりたくて、バンドやってて、で、他の3人も絶対それはあるんですよ。そこはね、バンド組んだ時から未だに変わんないんですよね。ライブさえやってればバンドでいられるみたいな」
――音楽性についてはどうですか。
「僕、マツキくんからいっぱい音楽教えてもらったんで。古いロックとか、ブルースとか教えてもらったから、趣味が似てくるところもあるじゃないですか。彼が好きなものを僕が聴いて、好きになっていったんで。音楽的な趣味とか、やっぱ同じものを好きな部分もあります。それは黒人音楽ですよね。60年代とか70年代のソウル、ファンク、リズム&ブルースが好きで、それを演奏する楽しさみたいなものはみんな知ってるんですけど。それだけを演奏していこうっていうのであれば、別にそんなに続けなくてもいいかなって。何枚もアルバム出して、何度もライブやるっていうのは、マツキくんが作ってきた曲を4人でやるのがすごい楽しいからで。マツキくんの作ってくる曲が僕は好きだし、それをみんなで演奏するのも楽しいからっていうのが絶対あって。それでバンドが長く続いているんだなと思いますね」
――なるほどね。SCOOBIE DOというバンドの強さ、揺るぎなさはそこにあるんですね。
「うん、うん、そうですね、でもまあ、長く続いてきたからなんでだろう?って考えると、まあそういうことかなと思うんです」
困難なことは生きていく上で絶対ずっとある
でも、楽しいことや嬉しいことだっていっぱいある
――今回のニューアルバム『Tough Layer』は楽曲が良いのはもちろんですが、やっぱり歌詞もすごく胸に響いてきます! シュウさんはこの歌詞をどういう風に感じて歌ってらっしゃるのかなと。
「ああ、歌詞も大事なんです。でも歌詞が良ければすべてよしってことは絶対なくて。この言葉はこのメロディーに乗って、こうやって演奏するから、カッコイイっていうことなんですよ。僕がバンドをやってる理由って。2020年と2021年に会場と通販限定でシングル盤を出した時に、マツキくんが“自分たちの歌の中にはブルースがある”っていうことを言ってて…。そのブルースっていうのはなんなんだろうって考えた時に、SCOOBIE DOが歌ってるブルースっていうのは、言葉の上でですけど、“それでも生きていく”っていう気持ちっていうか、俺たちの中にあるブルースっていうのは、そういうことだなって解釈したんですよね。マツキくんもやっぱそんなこと言ってて、あ、やっぱそうなんだって。ブルースっていうと、ちょっと憂鬱な気持ちとか、落ち込んだ気持ちみたいなものを聞いてくれとか、受け取ってくれとか、その姿の美しさも、もしかしたらあるかもしれませんが。僕らSCOOBIE DOの中にあるブルースはそういうことじゃなくて、何があっても、それでも生きていくんだ!っていう気持ちですかね」
――わかります!
「つまんないことや苦しいこと、困難なことって生きていく上で絶対ずっとあって、生まれた時から死ぬまできっとあるんですよ。僕らも27年やってても、そんなものなくならないっていうか。そこは全員どんな年になっても一緒だなって。まあ、僕もそんなに長生きしてるわけじゃないですけど、やっぱ悩んだり、落ち込んだりするなって。でも、それでも死なないんだったら、やっぱ生きてくよねっていう。苦しいこととか、悲しいこともあるのかもしんないけど、楽しいことや嬉しいことだっていっぱいあるじゃんって思うし、そういう気持ちかな。うん。49パーセントがダメでも、51パーセントは前向きであるというか…」
――そこは前向きな気持ちが上回ってると。
「うん、そうそうそう。49パーセントは後ろ向きネガティブでも、51パーセントが絶対ポジティブって、なんかそこは負けないっていうかね、そういう気持ちですかね、SCOOBIE DOの歌の中にあるのは。そういう部分は絶対あって、マツキくんの作る歌詞の、その感じっていうのは僕もすごくよくわかるし、うん、好きだなって思う」
――確かに、今作を聴いて、この軸にあるものはなんだろうって考えた時に、やっぱり“生きて行く!”っていう思いなんだなってすごく感じました。
「ああ、よかったです」
――そういうところにすごくパワーもらえるし、SCOOBIE DOの曲は“ファイティング・ソング”だなって感じます。
「ああ、それは思ってなかったですけど。でも、なんかそういう風に聞いてくれるのは、僕は今すごい嬉しいなって思いましたね。だって、負けないっていう気持ちはやっぱありますから。うん、やっぱ49回負けても 51回勝つぞっていうか、うん、なんかそういう気持ちなんで、ファイティング・ソングっていうのは、なんかいいと思います。というか、嬉しいなと思います」
SCOOBIE DOはただの4人組のロックバンド
でも、4人で鳴らせばなんでもできる!
――ちなみに今作は原点回帰を意識して制作したんですか。
「みんなで“原点回帰だぜ!”って言って作んないんですけど、でも結果的にそういうことなのかな。今までもそうだったですけど、やっぱSCOOBIE DOって、4人が出す音でしかないって。4人組のロックバンドなんですよ。ただの。でも、 その無敵さというか、無限というか、4人で鳴らせばなんでもできんじゃんっていうそういうことなんだなっていうのは、このアルバムができて、自分で思ったかな。だから、原点回帰といっても、昔のあの感じでやろうよとかじゃないないんですよね。バンドはバンドでしかない、SCOOBIE DOは、SCOOBIE DOでしかないみたいなことかもしれないですね。そこで言われる原点回帰って、うん」
――音的にも基本的にバンドサウンドのみで、ストリングスやホーンは入れてないように思いますが。
「入れてないですね。ちょっと鍵盤の音みたいなのは入れたりしてますけど、『明日は手の中に』(M-1)とか。でもわかんないと思います。そんなに強調はしてないし。ギター、ドラム、ベースと歌で、ソロを取る楽器もギターだし…そういう感じですね」
――『正解Funk』(M-9)の中で、ちょっと語りというかラップのようなところもありますね。
「この曲は僕すごい好きですね。『みんなの歌』は今もあるけど、昔『ひらけ!ポンキッキ』っていう子供向けの番組をやってて。僕が子供の頃って、子門真人さんが歌ったりとかしてて、すごいファンキーでソウルフルなんですけど、いわゆる子供に向けた歌なんで使ってる日本語がすごく簡単で。そのギャップがカッコイイなと。この曲はそういう大人の『ひらけ!ポンキッキ』というか、大人の『みんなの歌』みたいな感じがあって。僕の中でカッコイイし面白い、グッとっくる曲だなと思って楽しかったですね」
――あの曲は王道ファンク路線ですか。
「そうですね、僕らの中では、今回のアルバムの中では割とわかりやすくファンクというか。 僕らが影響を受けてきた60's、70'sのファンクみたいなサウンド感と曲調で。そこに、やっぱ2022年に出るアルバムならではの歌が乗ってるみたいな、そんな感じかな。2020年にシングルを出した時に、その前まで作ってた曲がいっぱいあったけど、“やっぱちょっとリアリティがないから作り直したい”っていうようなことをマツキくんが言ってて。たぶんマツキくんが言いたかったのは、(それまで作ってきた曲は今の気持ちと)テンションが違いすぎるってことだと思うんですよね。それまでの曲がちょっとこう…弱く感じるっていうか、だから、作り直そうって思ったんじゃないかと。だから、今この4人で、この曲を鳴らそうっていう時に 高いテンションで鳴らせるものが、今回詰まってるんじゃないかなって思います」
ロックって自分で自分をやることだと思う
自分が自分であることは逃れられない
それを全力でやるっていうのは爽快で、愉快、痛快!
――さきほど原点回帰についてお訊きしたときに、シュウさんが「SCOOBIE DOは4人組のロックバンドなんだ」ということを話してましたよね。それが今作を作って一番実感していることなんですか。
「はい、今作が完成して、SCOOBIE DOは4人組のロックバンドだなって改めて思いましたね。もちろん今までも知ってたけど。でも、まあ、ロックか否かって人それぞれじゃないですか。そこは、どうとってもらっても僕は良くて。でも僕はロックのつもりでやってるかな。ロックって自分で自分をやることだと思うんですよ。それがロックかなって、最近ふと思って。自分で自分を全力でやってる人を見ると、なんかこう元気出たり、勇気づけられたりしませんか。元気出せよっていうメッセージじゃなくても、なんでもいいんですよ。お笑いでもいいし。その人がその人を全力でやってるのを見たり、感じたりすると、僕はグッとくるんで、なんか興奮するんです。それがロックってことかなって。で、僕はやっぱSCOOBIE DOに関しては、そうなんですよ。僕は歌を歌うことしかやってないけど、僕は僕を全力でやって、 初めてSCOOBIE DOの一員になってるから、うん、これはロックなんじゃないかなって。なんか逃れられないことじゃないですか、自分が自分であることって、でも、それを全力でやるっていうのは、僕は爽快でいいんだよな。愉快、痛快な気がするんだよな。僕が僕以外の人を見た時にそういうことを感じますね。その人がその人を全力でやってる、夢中になってるみたいなのを見ると、オオッ!カッコイイ!って」
――ちなみに、そういうカッコイイ人の中で、シュウさんが、真っ先に頭に浮かぶ人は?
「あ、それはね、鮎川誠さん。この間、テレビの番組を作ってる友達に送ってもらったんですけど。それがシーナ&ザ・ロケッツのドキュメンタリー番組で。シーナさんが亡くなってからも、バンドは続いてて、今は娘さんが歌ってるんですよね。鮎川さん全然変わらずに、現役バリバリで。(ギターを弾く時に)エフェクター使わずに、マーシャルのアンプ直なんですよ。理由は、(エフェクターが)盗まれるからって(笑)。音楽のスタイルはもちろんロックンロールだけど、その気持ちがもうロックじゃん。あの人を見てたら、なんかやっぱ元気もらうなと。鮎川誠さんロックだなって前から知ってましたけど、見るたびに今が一番カッコイイんだなって思います」
――確かにそうですよね! ちなみに音楽以外の人ではいかがですか?
「音楽以外だと、僕が好きなのはハリウッド・ザコシショウさん! あの人は、やっぱ自分で自分をやり切るやり通すってことに関しては揺るぎがないし、きっとそれはね、ずっとやってきたからこそ、そうなってるんだとは思うけど、だから、ロックだなって思うし、すんげえ勇気をもらいますよね」
――では最後に改めてライブについてお聞きしたいのですが。コロナ禍になってからは観客も声を出せなかったり制限されることが出てきて、状況が変わってしまいましたが。どんなふうに感じてやっていますか。
「前とは全く状況が変わったけど、昔は良かったなって全然思わないし、あんまり比べたりしないですね。僕らは割と普通にやってるから。ほんとにその時間、その瞬間に生でライブをやることの良さには、やっぱ敵わないんですよ。制限があろうと、もうその場で音楽を鳴らすみたいなことは、やっぱり僕の中では揺るがず、好きなことで絶対的なことだなって…思います」
――聴き手に向けては?
「もう自由に聴いてほしいなっていうだけですね。音楽なんで、ロックですから、ロックンロールですから、自由じゃないと。僕が好きだったものって全部そうだし。僕らの曲も全部そういうつもりではあるんですよね。ほんとに僕らがカッコイイ!って思うことをやらないと、誰にも刺さらないんだろうっていうのもあるし、常に相手の顔色を伺ってやるっていうのは、ナンセンスっていうか…、そんなものはもう聞くに値しないものができちゃうと思うから。僕らも好きだから勝手にやってるだけなんですよ。だから好き勝手に聞いてもらって、なんかいいな、カッコイイな、気に入っちゃったなってなったら、ライブに来てもらえれば、うん、楽しいっすよ(笑)」
Text by エイミー野中
(2022年8月22日更新)
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