2022年はPOLYPLUSの進め方と捉え方、あり方とやり方が変化した
バンドの「今とこれから」を見せる東名阪クアトロツアー
目標はRoad to 武道館
CalmeraのTSUUJII(Sax.)、JABBERLOOPとfox capture planのMELTEN(Key.)、同じくJABBERLOOPのYUKI(Ba.)、Neighbors ComplainのGotti(Gt.)で結成されたインストセッションバンド・POLYPLUS。2022年7月10日、心斎橋JANUSで行われた所属レーベルPlaywright10周年の記念ライブで突如「武道館に行く」という宣言をしたリーダーのTSUUJII。新たな転機を迎えたPOLYPLUSは、武道館へ向けて走り始めた(おそらく)。その一歩目となるのが、8月末から行われるキャリア初の東名阪クアトロツアー。対バン相手はメンバー所属のメインバンド。渋谷はfox capture plan、名古屋はNeighbors ComplainとJABBERLOOP、大阪はCalmeraという、スペシャルな企画となっている。TSUUJIIの情熱により、前後編でお届けした今回のインタビュー。前編では『クロステイル 〜探偵教室〜』のサントラについての話を語ってもらったが、後編では東名阪クアトロツアーについて、そしてTSUUJII本人のライフワークや人生の生き方まで話が及んだ。さらには武道館の具体的な予定についても話が飛び出した(かもしれない)。本当にTSUUJIIの行動力とエネルギーが感じられるインタビューだった。彼を中心にこれからも広がり続けるであろう輪が少しでも遠くに広がることが楽しみで仕方ない。東名阪クアトロツアーで今のPOLYPLUSを目撃してほしい。
関わる人たちにどれだけ良い影響を与えられるかということが、僕の生きるテーマ
――今、辻本さんのコミュニティーはすごく広がっていますよね。6月29日からはオンラインコミュニティーも始められて。
「ありがとうございます。おかげさまで。そっちは僕のソロ活動の一環ですけど、わざわざ活動を全部分断する必要はないと思っています。どんどんシームレスになって、もしかしたら僕のオンラインコミュニティーのメンバーたちがPOLYPLUSを手伝ってくれる時も出てくるかもしれないし、むしろそうなっていったらおもしろいなと思ってます。2014年の結成当初のタイミングでは、POLYPLUSは他の活動と切り離していたんです。なので、一応POLYPLUSではアルファベットで“TSUUJII”というステージネームにしてるんですけど、2018年のPlaywright合流時と今年2022年という2回の転機を経て、自分の活動もPOLYPLUSの活動もお互いにジョインしていけばいいなと思うようになりました。名前を統一してもいいかなと思っていたりもします」
――へえ、それは心境的に大きな変化があったと言えますよね。
「本当にそうですね。で、何度も言いますが、昨日、武道館に行くことを決めたので」
――何年以内に行きますか?
「最短で2024年。10周年なんですよ、POLYPLUS」
――ベストタイミングじゃないですか。
「2024年の9月だから、ちょうど今から2年後くらいですよね。武道館は最低でも7000人。チケット7000枚だと思ったら、2年間は1年350日として700日あって、7000枚なら1日10枚売ればいいかと。1日10枚をなんとしてでも売る方法を考えれば、不可能じゃないなと。1日1000枚売るとなったら現実味がなくなってくるけど、1日10枚なら、本気でやればできないことはない範囲内には入ってくる。東京ドームは無理やけど、武道館は行けるなという道筋が見えた気がしたので。今この瞬間、2024年と決めちゃう説もありますね」
――決まったんじゃないですか。
「そうしましょうか(笑)」
――辻本さんから2024年が出てきたということは、そういうことじゃないですか。
「今から武道館おさえないとダメですよね」
JANUS店長・吉田「え、多分」
「(笑)」
――大阪のチームが武道館を動かしてほしいです。辻本さんは行動力も情熱もすごいですね。
「ありがとうございます。それでやらせてもろてます(笑)」
――昔からそうですよね。
「もともと行動力至上主義で生きてきました。それで今の地点まで来させてもらえたことに、自覚も自負もあるんですけど、まだまだ自分は成長するべきで。なぜかというと、僕が成長する=大きくなれる=ファミリーを増やせる。ファミリーを増やすというのは、僕が関わることで良い影響を与えられる人を増やせるということ。関わる人たちにどれだけ良い影響を与えられるかということが、僕の生きるテーマだと思っているので。それがミニマムなら隣の人かもしれないけど、俺がもっと頑張って勉強して力をつければ、隣の隣の人まで良い影響を届けられるかもしれない、もっと頑張ればその更に向こうの人まで届けられるかもしれない。それをどこまで広げられるかと思うと、寝てる暇ないなって」
――睡眠時間、少ないんですか。
「物理的にもそうですけど、止まってる暇はないなと。そんな中で、JANUSコージさんが言ってくれたんですけど、“あなたは何事も自分で動きすぎている。それはトップが現場で1番走りまわっているという美談のように語られるし、それが大事なこともある。だけど同時に辻本美博の限界がそのプロジェクトの限界になってしまう。だからちゃんと人に任せて、頼れる人をちゃんと頼って。餅は餅屋でどんどん任せていって”と。だからそういう体制作りを毎回迅速にできるようになるのが、今の辻本美博としての1番の課題です」
――なるほど。
「なぜだか分からないけど、POLYPLUSはそんなことを考えていなかった頃からずっとメンバーが力を貸してくれていた。セルフマネージメントなので、結局自分でやっちゃうことが今でも全然多いんですけど、さっきも(前編でも)言ったけど負担に思うことは1回もない。POLYPLUSはこれでいい。あとは辻本の活動に関する課題をクリアできたら、さらに速度を上げられると思っているので。オンラインコミュニティーもそうですし、例えばPOLYPLUSの劇伴制作にデイブレイクワークスさんに入ってもらうことも、広げやすい体勢を作っていく段階だなと。自分自身が駆けずり回るだけではなく、体制がちゃんとできている中で駆けずり回れば、それはもう絶対に相乗効果にできると思っています」
――自分の使命って考えたことあります?
「ありますね。使命というか、何のために頑張るかという。その答えが近年ほんとに明確に見えました。できるだけ多くの人に良い影響を与えられる人間になる。それが明確に宿りました。全ての行動の源はそこだし、なにか行動している時も立ち戻るところはそこ。 “果たしてこれによって人様に良い影響を与えられるのか”というひとつの信念があると、判断の迷いが減りました。やるのかやらないのかを考えるときに、それは誰のどんな問題を解決できるのか、誰が喜んでくれるのか。そこでジャッジできるようになったので、間違うことがなくなった気がしています。明確に思い始めてまだ2年ぐらいなので、これからどんどん変わっていくものだと思いますけど、2022年7月現在の辻本美博はそう思っています」
――先日奈良の天理で行われた『CoFuFun Car FES.』を拝見した時も思いましたが、辻本さんの周りに人がたくさんいるのは、そういう信念のもとに行動されているからで、それをしっかり体現されているからなんですね。
「やっぱり、しっかり夢がないと良くないというか。今も音楽でご飯を食べさせてもらって、やりたいことを表現させてもらって。昨今の“頑張らなくていいよ”の風潮でいくと、今に十分満足すればいいじゃないと言われても仕方ないかもしれないけど、それなら別の生き方があると思うし、せっかくエンターテイメントという、人様に影響を与えさせてもらえる機会が多く、その力も強い仕事、役割を選んでいるのであれば、死ぬまでその力を最大化していくことに尽力するべきやなと思いますね」
このクアトロ3公演は、本当に自信を持って提示するもの。見逃すと後悔します。
――では、東名阪クアトロツアーのお話しをしましょう。
「今回は、POLYPLUSキャリア初の東名阪クアトロツアーです。そして対バンは全てPOLYPLUSメンバーの所属バンドとの初共演ライブという、ダブル企画なんですよ。8月30日(火)の渋谷はfox capture plan、9月12日(月)の名古屋はNeighbors ComplainとJABBERLOOP、そして9月13日(火)ファイナルの大阪はCalmeraと共演します」
――ファンからしたら、たまらないですね。
「そう思ってもらえたら嬉しいですね。今まで所属バンドとの対バンを考えたことが、なくはなかったんですが、どこか禁じ手というか。さっきも言ったようにメインバンドとPOLYPLUSを切り離そうという考えが強かったのと、メインバンドを侵すことにはならないけど、境界線が曖昧になるんじゃなかろうかという危惧もあって、やってこなかったんです。でも2022年は、POLYPLUSの捉え方と進め方、あり方とやり方が変わったタイミング。だから今は一緒にやっても何も侵さないし、むしろ相乗効果しか生まないなと思えたので、この企画でいこうとコージ(吉田/心斎橋JANUS店長)さんと相談しながら進めていきました。これでいこうというのは、自信を持って発信できるという意味です。コージさんからオファーを出してもらって、皆快くOKをくれたので。初の東名阪クアトロツアーと、初のメインバンドとの対バン。この2大トピックで、クアトロツアーはとんでもない盛り上がりを見せるでしょう。」
――最高ですね!
「Road to武道館の第一歩みたいな感じで、スタートはクアトロ」
――いいですね。気合い入ってますか?
「めちゃくちゃ入っています。POLYPLUSは自分たちのことを“群像型ジャムバンド”と言っています。群像劇のようにメンバーひとりひとりにスポットを当て、観衆ひとりひとりの興奮を感じ取り、集団で巻き起こす音の会話をジャムセッションに昇華させるスタイル、全員が主役の物語。まさにオールスターであるということ。ステージ上もそうですし、我々をサポートしてくれてる人たちも、お客さんもそう。全員で作るジャム。その場所が今回は東名阪クアトロ。そして、一緒に音の時間をつくるのがそれぞれのメインバンドというのは材料が揃いすぎているというか。うにいくら丼状態になるなという(笑)。めちゃくちゃ美味しい3日間になるので、これはぜひ食べていただきたい。これでダメなら単純にウニといくらがお口に合わないだけなので仕方ない。このクアトロ3公演は、それだけ自信を持って提示するものです。POLYPLUSの今とこれからを見せます。メインバンドという新しい刺激と群像型ジャムバンドPOLYPLUSが交わる瞬間を見ていただける機会なので、本当に後悔のないようにしてください。後からライブレポートを見てとか、POLYPLUSの武道館ライブを見て、“2022年のクアトロは、行っておくべきだった、、、”とはならせたくないので、ぜひ後悔のない選択をしてください」
Text by ERI KUBOTA
Photo by 門脇 究
(2022年8月10日更新)
Check