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待ち望まれた2年ぶりのツアー。神戸を揺らした爆音ライブ
『ザ・クロマニヨンズツアー SIX KICKS ROCK&ROLL』
ライブレポート

3月12日(土)神戸国際会館こくさいホールで、『ザ・クロマニヨンズツアー SIX KICKS ROCK&ROLL』のワンマンライブが行われた。毎年アルバム発売後に全国ツアーを行っているザ・クロマニヨンズだが、新型コロナの影響で、2019~2020年に行われていた『ザ・クロマニヨンズ ツアー PUNCH 2019-2020』は、ツアー途中で開催を中止。2020年に発売された14枚目のアルバム『MUD SHAKES』は全国ツアーが行われなかったため、地方をまわるのは約2年ぶりとなる。
 
15枚目のアルバム『SIX KICKS ROCK&ROLL』は、昨年8月から今年1月までの6ヵ月連続で発売されたシングルで構成された作品。ザ・クロマニヨンズ初の試みで、史上初の一大プロジェクト。会場の入場口や物販列に並ぶオーディエンスからはすでに高揚感が感じられ、この日を心待ちにしていたことが伺えた。
 
会場に入りステージを見て驚いた。ステージに楽器と機材が乗っただけ、装飾は一切なしという、どシンプルなセット。舞台の裏側に置いてある大道具が丸見えになっている。
 
定刻の1分前になると客席から自然にクラップが発生し、やがて拍手へ。今か今かと待ちわびるオーディエンスの熱気が高まっていく。開演ブザーが鳴り、お馴染みの前説の男性が登場。白ヘルメットをかぶった工事現場のおじさんスタイルで、6つのお願いを読み上げていく。「拍手や手拍子で気持ちは表してください。クロマニヨンズには必ず届くはずです」「ステージはゴミ箱ではございませんので、ロックンロールの気持ち以外は投げないでください」と、注意事項に粋な言葉を織り交ぜる。これには客席も拍手で絶賛。そして、「秘めたる思いをロックに乗せて、今夜は爆音響かせる! 五臓六腑に染み渡る、爆裂ロックンロールショーをお楽しみください!」の言葉で、客席は総立ちに。盛大な拍手がわき起こった。

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ステージの上から『SIX KICKS ROCK&ROLL』のジャケットロゴがあしらわれたフラッグが降りてくる。メンバーが登場し「オーライロックンロール!!」という甲本ヒロト(vo)の一声を合図に、ロックンロール・ショーが開幕。アルバム1曲目の『ドライブ GO!』を皮切りにして、最新アルバム曲が曲順通りに演奏されてゆく。
 
1曲目から客席の温度は最高潮。爆音で放たれる骨太なロックサウンドで、みな思い思いに体を揺らし拳を突き上げる。小学生から大人まで、あらゆる世代が入り乱れて楽しめるなんて、最高のロックンロールだ。

小林勝(b)と桐田勝治(ds)の抜群の安定感を誇るリズム隊、キレキレの真島昌利(g)のギター、そして甲本の魂が込もった歌声に、エッジーなブルースハープ。会場の一体感が加速度的に増してゆく。「どんどんいくぞー!」と甲本。『光の魔人』では甲本が中指を立ててジャンプ! 『千円ボウズ』ではラモーンズを彷彿とさせる掛け声にロック魂を刺激され、客席のほうぼうから手が上がる。『大空がある』の<大丈夫だ すべてはうまくいく 心配いらない>という歌詞には、思わず今の時世を重ねてしまった。甲本は気持ちよさそうに胸を張り、両手を広げ、丸坊主を撫でながら、時折遠くまで見渡すような仕草で、客席全体を眺めていた。
 
ザ・クロマニヨンズのライブはどこか安心感がある。最新アルバム曲であっても、長年のファンは曲を知っているかのように踊りまくるし、初めてライブに来た人も受け入れてくれる懐の大きさと、あたたかさを感じる。ホールだったからかもしれないが、まるで大きな船に乗って、全員で前へ進んでいるような感覚になった。

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どんどん繰り広げられる『SIX KICKS ROCK&ROLL』の世界。『もぐらとボンゴ』では自身がもぐらになったかのように姿勢を低くして歌ったり、『ナイフの時代』では無限大を描くようにナイフを振るジェスチャーをしたりして、全身で楽曲を表現する甲本。『ここにある』では真島のギターが冴え渡る。そこに、シンプルながらも照明によるドラマティックな演出が、一層楽曲を引き立てる。『ごくつぶし』まで一気に駆け抜けると、大きな大きな拍手が贈られた。
 
MCでは甲本が「よく来たな!」と歓迎の言葉。「(アルバムは)12曲あって11曲やりました。あと1曲やるぞ!『縄文BABY』!」と、アルバムラストの曲をプレイ。
 
『SIX KICKS ROCK&ROLL』の楽曲が終わると、吊られていたフラッグが上に上がってゆく。その様子を見て甲本が「おお! 動いた! 不思議な仕掛けだ。もっかい見たい人はまた来てね」とお茶目に笑う。そして、「宣言します。この先もう後ろには何もいません! ここには僕たちと皆さんだけになりました。いろんな難関を乗り越えてやってきたんだろう?みんな! ありがとう! そんな人もそうでもない人も楽しんでってください! そして他のアルバムからやるぞ!」と、前作のアルバム『MUD SHAKES』から、『新人』『妖怪山エレキ』『カーセイダーZ』の3曲を披露。昨年ツアーができなかった想いをぶつけるように全力で演奏するメンバーの姿は本当に痺れた。もちろん、オーディエンスにとっても同じ想いだろう。客席はやっと聴けた! という喜びに満ち溢れていた。
 
甲本がブルースハープを手にし、曲前にソロを披露した後、「みんな仲良くしろよ!」と『暴動チャイル(BO CHILE)』をドロップ。体を揺らすしかない爆裂グルーヴがビリビリ伝わってくる。今この場所で、最高の音楽を生で浴びることができる環境に、改めて感謝した。

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桐田が立ち上がってクラップを煽る。真島のギターソロが昇天ものだった『雷雨決行』、甲本が拳を握って歌い上げた『生きる』、メンバーがステージを大きく動き回り、客席とコミュニケーションをとった『紙飛行機』と続け、「ありがとう楽しかったです! タ・リ・ホー!!」と、ライブアンセム『タリホー』へ。まだ熱量が上がるのか! と思うほど、一気に客席の温度が上がる。スペシャルな一体感と盛り上がりに、真島も笑顔を浮かべていた。
 
「ありがとうございます! 楽しかった! ありがとう!」と、感謝を口にしながら、楽器を置くメンバー。それぞれツアーグッズの色違いのタオルを両手で掲げながら、満足そうに客席を隅から隅まで見つめる。ライブができた喜びが、堂々としたその姿から溢れていた。鳴り止まない拍手はそのままアンコールへ。
 
「ありがとう! 盛大なアンコールをいただきまして再び登場してきました。我々が、ザ・クロマニヨンズです。最後の最後まで、最後の一息まで楽しんで帰ってってくださいよ!」と甲本。そして「よく来た! 本当に今日来てくれてありがとう! 皆さんに拍手したい! それから、2秒だけでいいから今日来れんかった人にも(拍手)!」と、この場に来ることができなかったファンにも拍手を贈る。メンバーとファン、お互いの愛が大きなエネルギーになる。

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再び楽器を手に取り、「始まったらもう止まらんぞ! いくぜ!『どん底』」と、アンコールを本編以上に爆音でプレイ。<どん底だからあがるだけ>という4人の力強いコーラスが、心底元気をくれる。オイ!コールではものすごい勢いで手が上がる。さらに小林の煽りで高速クラップが弾け、叫ぶように歌う『エルビス(仮)』を経て、「もう一発! もう一発! もう一発いくぜ!」とアンセム『ナンバーワン野郎!』で締めくくる。声を出せない状況のコール&レスポンスながら、メンバーのコーラスに合わせてオーディエンスは懸命に拳を突き上げる。Tシャツを脱ぎ捨てた甲本の勢いと大爆音に会場のテンションは最高潮に達し、あっという間の90分・全23曲の爆音ライブは終了した。
 
「ありがとうございました! またやりたい! また絶対会いましょう! ロックンロール!!」と甲本。4人揃って再度タオルを大きく掲げ、笑顔で誇らしげに胸を張る。耳が割れんばかりの拍手が会場を包む。終わってしまうのが名残惜しい。ステージを去る際、真島が「またね」と一言。オーディエンスはメンバーの姿が見えなくなるまで手を振っていた。
 
印象的だったのが、曲の合間にも一切途切れることのなかった拍手。これは前説の「お願い」を守った上でのオーディエンスの意思表示。ライブ中に「拍手届いてるよ!」と甲本が返した言葉で、双方のコミュニケーションがしっかりと成り立っていることを実感、喜びを感じた。ザ・クロマニヨンズの懐の大きさと安定感、そしてロックンロール・バンドの情熱とカッコ良さが惜しみなく発揮された、素晴らしいライブだった。目や耳はもちろん、まさに五臓六腑に染み渡る、最高にカッコ良いパフォーマンスを魅せてくれた、ザ・クロマニヨンズだった。

Text by ERI KUBOTA
Photo by 柴田恵理(3月6日 けんしん郡山文化センター中ホール(郡山市民文化センター))



(2022年3月22日更新)


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【大阪公演】

チケット発売中 Pコード:207-378
▼4月7日(木) 19:00
フェスティバルホール
指定席-6800円
※未就学(小学生未満)のお子様は入場不可。小学生以上はチケット必要。
※必ずオフィシャルホームページに記載の注意事項をご確認の上、ご購入及びご来場ください。
※会場内ではマスクの着用をお願い致します。
※入場時、検温をさせて頂きます。
※こまめな手指消毒をお願いします。
※大きな声での歓声・私語はお控えください。
※終演後は規制退場を行いますのでご協力ください。
※コロナ追跡システムへのご登録をお願いする場合がございます。
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