Saucy Dog × Hump Backが出演!
『SOULFUL -GO LIVE,GO GREENS-』ライブレポート
2022年1月23日(日)、神戸ワールド記念ホールにてGREENS主催『SOULFUL -GO LIVE,GO GREENS-』が行われた。出演はSaucy DogとHump Back。ともに関西で結成、それぞれ困難を乗り越えて成長した、邦楽ロックシーンを代表する若手バンドだ。この日は「SOULFUL」というタイトル通り、そしてHump Back林萌々子(vo&g)の言葉を借りると「魂が歌いに来た」、熱くエモーショナルなライブとなった。
先攻はHump Back。「大阪Hump Backです。雨の中、大切な日曜日、ライブハウスを選んでくれてありがとうございます!」と林が一言。「愛だの恋だのっちゅーのは、Saucy Dogが後でたっぷり歌ってくれるんで、うちらはでっかい声で、青春歌って帰りまーす!!」と叫び、『拝啓、少年よ』を勢いよく投下。最初から全身全霊で音楽を爆発させる。
『生きて行く』『オレンジ』と続け、会場の温度を加速度的に上げたところで、当初セットリストには入っていなかった『宣誓』をドロップ! <生きているって最高だ!>と、林とぴか(Ba&Cho)が1本のマイクで叫ぶ。さらに『遊覧船』『ひまつぶし』で客席を踊らせ、会場全体を熱狂の渦に巻きこんでいった。
MCでSaucy Dogとの出会いを振り返った林。7年前に出会い、最高の状態で再会できたことを喜ぶ。またこの日は10代の若者が多く来場していたことから「休みの日に、自分のお金と時間を使って、好きなもの選んでる。それだけで君は最高」、「夢中になれるって最高さ。思えば思うだけ、情熱をかければかけるだけ、人を強く優しくしてくれるんだよ」と歌うように語りかけ、『番狂わせ』へ。続く『ティーンエイジサンセット』ではぴかと美咲(Dr)が歌う場面も。等身大の声と音に、どんどん感情が揺さぶられる。
そしてラストの『星丘公園』まで、全14曲をパワフルに、魂を込めて歌いきった。常に自らを最高の状態に更新し続ける彼女たちのまっすぐで眩しい姿に、生きていく勇気をもらった。
後攻はSaucy Dog。1曲目の『雀ノ欠伸』が始まると同時に客席からクラップが起こり、サビでも鮮やかな一体感を見せる。「愛だの恋だの歌いにきたよ〜」と石原慎也(Vo&Gt)。『ナイトクロージング』では、とにかく楽しそうに演奏するメンバーの姿が印象的だった。
MCを挟み、片思いの切なさを美しく歌う『あぁ、もう。』、情緒感たっぷりの『シンデレラボーイ』、共感度MAXの失恋ソング『コンタクトケース』と、Saucy Dog特有の物語性がある楽曲たちをしっとりと聴かせる。
後半は一転、せとゆいか(Dr)の高速リズムと秋澤和貴(Ba)のベースリフが印象的な『雷に打たれて』、3人のジャムセッションが痺れる『ゴーストバスター』、そして新曲『ノンフィクション』を披露。スリーピースのシンプルな編成だが、1曲の中で様々な表情を見せるサウンドとアレンジの豊かさに釘付けになる。
MCでは石原がHump Backとの思い出を語りつつ、林に対し「音楽辞めたいって思ったことも絶対あるだろうなって。今日のライブ見てたら、やっぱあいつ強えなって。俺は何回も思ったよ、音楽辞めてえなって」と話し「皆も自分がやりたいことをやり通してください」と客席にエールを贈る。そして「2度と折れません僕は。一生音楽をやり続けます」と決意を語り、過去を優しく肯定するような『猫の背』と『東京』を大切に全力で届け、ライブは終了した。
お互いに1人の時期を乗り越えてきたHump BackとSaucy Dog。夢を追い続けるには覚悟が必要だと、林と石原はそれぞれ語っていた。同じ目線で寄り添う音楽を生み出せるのは、痛みを知る彼らだからこそ。まさに魂を燃やしたライブ。そして彼らの次なるステージを一緒に見続けたい、そう思えた素晴らしい一夜だった。
Text by ERI KUBOTA
Photo by 日吉”JP”純平
(2022年2月18日更新)
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