ハンバート ハンバート、OAU、ホフディラン、
NONA REEVESがラストイヤーに登場!
『ROKKO SUN MUSIC 2021』ライブレポート
【DAY1】
ハンバート ハンバート、中村一義、OAUらがラストイヤーの初日に登場!
神戸・六甲山を舞台に2007年からスタートし、今年で15年目となった音楽フェスティバル『ROKKO SUN MUSIC』。雄大で時に厳しい環境ならではの開催は天候不順での中止などもありつつ、ここでしか成し得ないきらめくステージを重ねてきた。残念ながら、今回でラストという一つの区切りを迎えることになったが、今年も多彩なグッドミュージックで絶景が湧出! まずは時折、日差しが差し込むほどに恵まれた天候下で行われた初日・7月3日の模様をお届けしよう。
お馴染みのオープニングアクト・酒井ヒロキが会場の熱気を高めてくれた中、1組目は今年初ライブとなったodolが清涼感に満ちた音のシャワーで、頼もしい姿を見せてくれた。2番手のD.W.ニコルズは、客席全てを笑顔にさせる極上のアクトを展開。タオルやクラップを使って一体感を生み出すハピネスいっぱいのパフォーマンスに拍手喝采だ。続いてはオーガニックかつエネルギッシュなアンサンブルを放つOAUが登場。「ありがとうROKKO SUN!」とイベントへの賛辞も忘れない、心掴まれる時間は彼らならではだ。そして中止となった昨年に出演予定だった中村一義がお目見え。独特の言葉遊びなど音楽の魔法をギュッと詰め込んだひとときは、多くの観客の胸に刻まれたはず。そして宴のエンドロールは、イベントのヒストリーを長きにわたり飾ってきたハンバート ハンバートが担う。アコギのフォーキーな手触りと二人の健やかなハーモニーは永遠に耳にしていたいほど。クロージングDJの竹内琢也まで、霧もほとんどなく涼やかな気候の下、多幸感たっぷりの初日が幕を閉じた。
酒井ヒロキ/シャボン玉がふわふわ浮かぶピースな空間の下、今年もオープニングを担う。自然とオーディエンスを横揺れにさせる心地良い『ドリーマーズソング』など、彼がいなくては『ROKKO SUN MUSIC』は始まらない!
odol/扉を開け放つような開放感と凛としたピアノの旋律が美しい『小さなことをひとつ』など、彼らにしか鳴らせない清廉なサウンドに観客も釘付けになったひととき。バンドの未来が明るく感じられるパフォーマンスとなった
D.W.ニコルズ/アクト前、周囲の子どもたちからは「“フランスパン”が早く聞きたい!」なんて声もちらほら。サウンドチェックの段階からフルスロットルで場を盛り上げる手腕もさすがのライブ巧者ぶりだ
OAU/順調な進行のため「じゃあ本気のリハやりますか」(TOSHI-LOW)なんてサプライズも飛び出した彼らのステージで折り返し地点へ。有機的かつ異国感漂うアンサンブルは、六甲山の絶景によく映える
中村一義/強力バンドの海賊とともに、ド頭にぶっ放したライブ・アンセム『1,2,3』では猫の手ポーズが乱舞! 浮遊感たっぷりに聴かせる『イース誕』など、コンセプト立てたセットリストでも魅了してくれた
ハンバート ハンバート/サザンオールスターズ『真夏の果実』のカバーではみずみずしいドラマを演出。遊穂のまったりトークに良成がツッコミを挟む文字通りの夫婦漫才的MC(笑)にも、会場は思わずほっこり
【DAY2】
“山探します!”宣言で15年の歴史に笑顔でピリオド
2007年に産声を上げた「ROKKO SUN MUSIC」も今年の「ROKKO SUN MUSIC 2021」でついに最終回! その2日目の公演が7月4日、神戸市の六甲山アスレチックパークGREENIA内にて行われた。この日は晴れた初日とは逆に、霧が立ち込め寒さも感じるまさに六甲山!といった天候。舞台もぼやけて見えるような状況だ。そんななか5組のアーティストが登場し、「ROKKO SUN MUSIC」最終日を最高の一日にしてくれた。
まず一番手は初参加のMONO NO AWARE。彼らが堂に入ったパフォーマンスでその個性を見せつけ爪あとを残すと、続くKeishi Tanaka、FRONTIER BACKYARDの“ROKKO SUN常連組”は、心地いいメロディやグルーヴでオーディエンスを揺らし踊らせ、凍えた体に温かみを取り戻す。また終盤はホフディランとNONA REEVESというベテラン勢が、息つく暇もないほどに見どころ聴きどころを立て続け圧倒。観客はそれぞれの色濃い音世界を堪能した。そして当然最終日も『ROKKO SUN MUSIC』恒例、酒井ヒロキによる“お出迎え”&土井コマキによる“お見送り”の音楽が入場から退場まで全瞬間を楽しませ、生憎の天気さえもスパイスとなるパーフェクトな『ROKKO SUN MUSIC』ファイナルとなった。
来場者、出演者、スタッフからはその終わりを惜しむ声が多数。そんな人たちをワクッさせるコメントも最後に聞こえてきた最終回2日目、各組のレポート&フォトをご覧あれ。
酒井ヒロキ(Welcome Music Act)/ほぼ皆勤賞を誇る大阪出身のシンガーソングライターは紛うことなき『ROKKO SUN MUSIC』の“朝の顔”。この日もハートウォーミングなギター&ボーカルで来場者を朗らかに出迎え、会場にリラックスした空気を生み出した。
MONO NO AWARE/昨年の開催中止を受け、今年ついに初出演&リベンジ! 楽曲は多面的でオリジナリティにあふれながらも、どこか人懐っこさもあり『ROKKO SUN MUSIC』ののびのびとした雰囲気によくなじむ。そして自由自在に温度感を変え、緩急もきかせたアクトには、年齢も性別も関係なく多くの人が強く引きつけられていた。
Keishi Tanaka/中止となった昨年を除くと今回で4度目の参戦となる“常連”は、開放的な会場に似合う気持ちのいいグルーヴで何度も観客を酔わせ、まったく晴れ間がないこの日、一瞬だけ淡い日の光を呼び込んだ。しかし最後は弾き語りの新曲で優しいメロディと歌声を耳から心へと浸透させ、誰もがじっと動きを止め聴き入る静謐なラストシーンに。
FRONTIER BACKYARD/関西在住のミュージシャン2人をゲストに招き豪華なステージを展開。スタートはTGMX(Vo&Syn)が“思ってたのと違う(笑)”という寒さだったが、沸き起こるクラップ、ゲストとの音楽的化学反応、加速するスピード感、キャッチーなメロディなど、さまざまな要素でヒートアップ。聞こえないはずのコールが聞こえてくるようだった。
ホフディラン/前日の7月3日にデビュー25周年を迎えたばかりの2人は、デビュー曲の『スマイル』を含む全7曲でオーディエンスをハッピーに。心も体も躍らせるポップナンバーは肌寒さを忘れさせたうえ、バンドメンバーだけでなく盟友・NONA REEVESも“標的”にする爆笑MCの連続でも体を温めてくれた。音楽もトークもさすが百戦錬磨!
NONA REEVES/この日の大トリ=『ROKKO SUN MUSIC』のラストステージ。予定外の1曲もプラスしたチャーミングでダンサブルな曲たちは、パワー全開で楽しさもマックスに。全員を存分に踊らせ笑顔を弾けさせた。また最後の瞬間は主催・GREENSの力竹氏と一緒に大跳躍。彼の“(新会場の)山探します!”の言葉は、“ROKKO SUNラバー”の心に火をともしたはずだ。
土井コマキ(Closing DJ)/FM802のDJ・土井コマキがCaravanの『Camp』やnever young beachの『お別れの歌』などをつないで上気した人々を帰路へと導く。最終回のため立ち去るのをためらう人の姿もあり、彼女が“帰っていいねんで(笑)”と呼びかけるほどだった。
なお、『ROKKO SUN MUSIC 2021』の詳細なライブレポートは
公式ホームページで現在公開中なので、併せてチェックを!
Text by 後藤愛(DAY1)/服田昌子(DAY2)
Photo by 渡邉一生
(2021年8月 3日更新)
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