ホーム > インタビュー&レポート > 弾き語りスタイルを用いた2020年型のハッピーとファン! 中島ヒロト主催『第2回!Happy and Fun Music Festival』 ライブレポート


ステージではKENNY自身のギターテクニックも光ったが、個人的に感動したのは「#goodday」や「Mellow Yellow」、「SOLO」、人気曲「Coral」などSPiCYSOLの楽曲を通して痛いほど感じさせてくれたKENNYの“愛情溢れまくる優男感”。こんな愛ある優しいギターと歌あります?と思わせてくれるほど、柔らかな優しい光に手をかざすようなステージだった。どんな風に過ごしていたのか記憶も曖昧な2020年の終わりに、心を慰めてもらったようなイメージを私は彼のステージから受け取ったけれど、あの場にいた観客の皆さんはどうだっただろうか。ちなみにKENNYがさらりとカヴァーした2020年の超代表曲・瑛人の「香水」。この曲がこの日の意外なカギソングとなることを、この時はまだ知る由もなかった。
途中ではKENNYからのバトンをつなぐように瑛人の「香水」を歌ったり、ストレイテナー×秦基博の「灯り」のカヴァーを挟んだりとこちらも自由度の高い構成。昨年はゲストにthe band apartの荒井岳史を迎えホーン隊も含めたバンドセットでの豪華なステージとなったが、今年ひとりで演奏し歌うシンプルなステージ。
この1年を通して時々の状況で自分の歌を届けるベストな形を模索し続けていたのがKeishi Tanakaだったし、彼がギターを片手に歌う姿をよく見かけた2020年だった。この日語った「弾き語れてよかった」という言葉は、心の奥底を覗いた気すらした。この日の弾き語りで再認識したのは、彼の類稀なる歌唱力と歌声に見える表現力。こういうシンプルなステージでこそ、Keishi Tanakaの歌の凄さは怖いほど際立つ。別のライブレポートでも書いたことがあるのだが、この日のライブでも私が感じたのはKeishi Tanakaのしなやかさ。どこまでも伸びていく歌声も、そのマインドもとにかくしなやかであることは、この時代を生き抜いていく見本みたいだなぁとぼんやり考えた。愛の優男・KENNYからしなやかな男・Keishi Tanakaへのナイスリレー。最後の村松拓のステージでは、どんなコントラストを感じられるのかが楽しみになる。
この日彼が着ていたTシャツは、幻となった2018年に着用するはずだったもので「ヒロトさんから送られてきてずっとタンスで眠っていたTシャツで、大切に袋に入れて保管してたんですよ。ふたつ夏を超えてようやく着れました」というのも、いい話。ステージではソロのアコースティック盤としてリリースされた「アスピリ」やNothing's Carved In Stoneの「Isolation」、「きらめきの花」、「Shimmer Song」などを披露。軽やかギターの音に、よく響く心地いい低音と少し鼻にかかったような声、掠れた声など、声の表情ひとつひとつからワイルドな男らしさを感させてくれて、すでに出演を終えたふたりとはまた違った趣の弾き語り。途中演奏されたOasisのカヴァー「Don't Look Back In Anger」では、会場の最後列にいた中島が大きく手を右に左に振って楽しんでいる姿も心願成就のうれしさを感じさせたし、KENNY~Keishi Tanakaが歌ってきた瑛人の「香水」を村松もバッチリ聞かせてくれる一幕もあった(ちなみにこの「香水」は、この日の楽屋が初めましてとなった3人がギターを抱えてワイワイやっているうちに演奏できるのでは…? ということになったそう。KENNYがふたりにレクチャーしてみんなで弾いてみたところ、これいい歌だなぁと再確認。うっかり1番手のKENNYが披露したことで、まさか全員が歌うことになったのだった)。
ライブももちろん素晴らしかったのだが、印象的だったのは彼の言葉。「思ってみればこれまでも思い通りになることなんてほとんどなくて、その中でどう生きていくかじゃないですか。だから少し背中を押せるような存在であれたらと思っています」。音楽はエンターテインメントでもあるけれど、人を奮い立たせたり、人に寄り添ったり、人を慰めたり、そして人の背中を押したりしてくれるものであることを、この状況が、そして村松が教えてくれた。彼が歌った「Adventures」の歌詞のように、そして優しく強い彼の声のように、大切な人をちゃんと大切にしながら人生をサバイブしていく時代がリアルに来ているんだ。そう強く思った。
そこにKENNYが呼び込まれて「3人でやっちゃおう」と始まったのはサザンオールスターズ「真夏の果実」だった。昨年このイベントを目撃されていたらご存じだろうが、この曲は“中島ヒロトを歌わせるための曲”。あれ? 入ってこないなと思っていたら、マイクを握りしめた中島が最後の一節だけ歌詞を噛み倒しながら乱入、会場内から笑いが起こる。やっぱり『HFMF』はこうでなくちゃ。
Keishi Tanakaの「ヒロトさん、瑛人さんと仕事してたでしょ? 歌っとく?」とついには中島まで「香水」を歌い上げてしまった(Keishi Tanakaが「お客さんが帰り道でこの日香水しか記憶に残らんかったな~って言ってたらどうしようと思っている」と言っていたが、案の定お客さんが「今日は香水の日やったな」と言っていました…)。そして最後4人で披露されたのは松田聖子のカヴァー「SWEET MEMORIES」。たどたどしい中島聖子に始まり、村松、Keishi、KENNYと歌いつないでいく。なにこの豪華な歌リレー。この日は弾き語りとあって3人のステージはしっとりとした雰囲気だった。ラストの「SWEET MEMORIES」でも曲こそ切なげだったけど、この日この場所でしか奏でられない歌と、お客さんの笑顔と、中島ヒロト流の松田聖子と、その歌声に笑うしかない3人のミュージシャン。この状況下で、イベントが開催できたことこそがハッピーでファンなことなんだなとステージの4人が教えてくれた気がする。

(2021年1月20日更新)
1. I Gotta Feeling(The Black Eyed Peas)~#goodday
2. 大阪LOVER(DREAMS COME TRUE)~Blue Moon~カタオモイ(Aimer)~香水(瑛人)~今夜はブギーバック(小沢健二 featuringスチャダラパー)~悲しい色やね(上田正樹)
3. After Tonight
4. 今でもまだREMIX(JAZEE MINOR ft. KENNY from SPiCYSOL & Micro from DefTech)
5. No Woman,No Cry(Bob Marley&The Wailers)~Mellow Yellow~丸の内サディスティック(椎名林檎)
6. SOLO
7. See You Again feat. Charlie Puth(Wiz Khalifa)~Way Back Home(SHAUN)
8. Coral
1. 冬の青
2. After Rain
3. Floatin’ Groove
4. Just A Side Of Love
5. あこがれ
6. 灯り(ストレイテナー×秦 基博)
7. One Love
8. Breath
9. Peaceful Christmas
1. アスピリ
2. Isolation
3. きらめきの花
4. Don't Look Back In Anger(Oasis)
5. 夜の終わり(Keishi Tanaka)
6. Shimmer Song
7. Stand By Me(Ben E. King)
8. Adventures
9. Dream in the Dark
1. Red Light(Nothing's Carved In Stone) 村松拓/Keishi Tanaka
2. 真夏の果実(サザンオールスターズ) 村松拓/Keishi Tanaka/KENNY/中島ヒロト
3. SWEET MEMORIES(松田聖子) 村松拓/Keishi Tanaka/KENNY/中島ヒロト
【大阪公演】
チケット発売中 Pコード:192-311
▼2月25日(木) 19:00
梅田クラブクアトロ
自由席-4500円(整理番号付、ドリンク代別途要)
※3歳以上有料。2歳以下入場不可(ただし2歳以下の場合でも膝上鑑賞可能な場合は無料で入場可)。
※販売期間中はインターネット(PC/スマートフォン)のみでの販売。1人2枚まで。発券開始は2/23(火)10:00以降となります。
[問]GREENS■06-6882-1224
【愛知公演】
チケット発売中 Pコード:191-986」
▼2月26日(金) 19:00
名古屋クラブクアトロ
整理番号付き自由席-4500円(整理番号付・別途ドリンク代必要)
※3歳以上有料。2歳以下は入場不可(ただし、2歳以下の場合でも膝上鑑賞可能な場合は無料で入場可)。
※チケットは、インターネットでのみ販売。店頭、電話での受付はなし。1人2枚まで。チケットの発券は2/24(水)10:00以降となります。
[問]サンデーフォークプロモーション
■052-320-9100
【東京公演】
チケット発売中 Pコード:191-639
▼3月5日(金) 19:00
渋谷CLUB QUATTRO
整理番号付き自由席-4500円(ドリンク代別途必要)
※3歳以上はチケット必要。2歳以下は入場不可。2歳以下でも保護者膝上に限り無料で入場可。
※チケットは、インターネットでのみ販売。店頭、電話での受付はなし。1人2枚まで。発券開始は3/3(水)10:00以降となります。
[問]ライブマスターズ■03-6379-4744
『TONE FLAKES Vol.140』
チケット発売中 Pコード:191-633
▼1月31日(日) 16:00
FANDANGO
前売-3800円(整理番号付、ドリンク代別途要)
[出演]Predawn/Keishi Tanaka/Pictured Resort/cesco
[問]FLAKE RECORDS■06-6534-7411
1月20日(水)一般発売 Pコード:192-159
▼2月14日(日) 15:00/18:00
ビルボードライブ東京
カジュアルエリア-5800円(1ドリンク付)
※未就学児童入店不可。18歳未満・高校生は成人の同伴にて入店可。
※チケットは1人6枚まで。
[問]ビルボードライブ東京■03-3405-1133
▼1月26日(火) 開場:15:00 / 開演:15:30
吉祥寺スターパインズカフェ
佐藤タイジ Birthday Party
▼1月29日(金) 開場:17:00 / 開演:17:30
東京キネマ倶楽部
NAKED SONGS TOKYO
▼2月2日(火) 開場:19:30 / 開演:20:00
渋谷プレジャープレジャー
UTAITSUGI
SPiCYSOL
https://spicysol.com/
Keishi Tanaka
https://keishitanaka.com/
村松 拓
http://muramatsutaku.com/