“僕は選んだんだ 受け入れてやると/僕しかいないんだ”(『Awaken』)。その覚悟、その才能、そして、偉大なる父より受け継いだその歌声を背負い、デビューから約4年にして尾崎裕哉がついに作り上げた1stアルバム『Golden Hour』は、彼が生まれて初めて完成させたオリジナル曲『Road』から、敬愛するKREVAより楽曲提供を受けた『想像の向こう』、いしわたり淳治、蔦谷好位置らとポップスという大海へと挑んだ『Glory Days』に加え、大比良瑞希のスモーキーな歌声をフィーチャーした『つかめるまで』『音楽が終わる頃』、布袋寅泰が泣きのギターで唸らせる『Rock'n Roll Star』まで、さまざまな音楽的造詣を感じさせる充実の楽曲群をコンパイル。旧知の仲であるトオミヨウや、グローバルに活躍するSUNNY BOYや小袋成彬という第一線のクリエイターとの共同作業のもと、R&B、ヒップホップ、ソウル、ロックetc、“デジタルネイティブ世代のバイリンガル、コンテンポラリー・シンガーソングライター”と称される持ち味とバランス感覚でキャリアを総括し、ネクストフェイズへの起点となる才気溢れる1枚に仕上がった。12月には横浜、東京、大阪のビルボードライブでバンド編成の『INTO THE NIGHT』、クリスマスイブには大阪市中央公会堂で弾き語りの『ONE MAN STAND 2020 CHRISTMAS SPECIAL』を控える尾崎裕哉に、時に迷いながらも自らの人生を選択してきた、彼の生きざまそのものと言える『Golden Hour』を振り返ってもらった。
「2枚のEP『LET FREEDOM RING』('17)『SEIZE THE DAY』('17)を作っていった中で、蔦谷好位置さんたちと話したり作業していくうちに、J-POPというものを明確に意識させられたんですよ。それって絶対に必要な感覚だと思ったし、亀田誠治さんも“ポピュラーミュージックは聴かれて何ぼ”と仰っていて、本当にその通りだと思うので」
――『143』(M-10)はリハーサルのときに何となく弾いていたコード進行をブラッシュアップした曲で、143=スラングで“I love you”(※各単語の文字数を143で表している)というのもしかり、『Rock'n Roll Star feat.布袋寅泰』(M-11)の、“窓ガラスを割ったこともない”、“転げ落ちたベッドの下”、“放課後のチャイムがなる”などの歌詞もしかり、今作にはところどころに遊び心とオマージュが入っているのも粋ですね。
「そう思います。“You are what you eat.”という言葉があって、“自分とは=自分が食べてきたものである”ということなんです。だから音楽においても、自分が聴いてきた音楽は自分であると。選ぶ服だってそうじゃないですか。全部が知らない間に自分の表現になっている。例えばそれが、“牛丼を毎日食べる”でもいいんですけど(笑)、意外とみんなも知らず知らずに自分を表現しているんだと思いますよ」
――先ほど話題に上がった『Rock'n Roll Star feat.布袋寅泰』は、かつてCapesonとして発表した『Back In The Day』('16)のセルフカバーですけど、この曲をここでまた改めて入れたのはキャリアを総括するという意味でも。
――12月には横浜、東京、大阪のビルボードライブで恒例の『INTO THE NIGHT』があり、クリスマスイブには大阪市中央公会堂で『ONE MAN STAND 2020 CHRISTMAS SPECIAL』という弾き語りのスペシャルライブもあり。
「まずビルボードライブではピアノとドラムのトリオ編成でやります。ああやってご飯を食べながら音楽を聴けるのはアメリカっぽいというか、エンタテインメント感があるし、自ずと席の間の距離も取れるし(笑)。なかなかない編成でのライブだし、今回は『INTO THE NIGHT』がリリースツアーの代わりみたいなものになるんじゃないかな? ビルボードライブはレストランで音楽をやっている、みたいな環境に近いので、気軽に見に来てほしいですね」
Album 『Golden Hour』 発売中 3100円(税込) SME Records SECL2629
<収録曲> 01. Golden Hour 02. Awaken 03. Road 04. つかめるまで feat.大比良瑞希 05. LONELY 06. 想像の向こう 07. Glory Days 08. 蜃気楼 09. 音楽が終わる頃 feat.大比良瑞希 10. 143 11. Rock'n Roll Star feat.布袋寅泰
-Bonus Track- 12. ハリアッ!! (Smooth Drive Ver.) 『ONE MAN STAND SPRING 2019/Live at EX THEATER ROPPONGI 19/04/19』
Profile
おざき・ひろや…’89年、東京生まれ。デジタルネイティブ世代のバイリンガル、コンテンポラリー・シンガーソングライター。2歳のとき、父・尾崎豊が死去。母と共にアメリカに渡り、15歳までの10年間を米国ボストンで過ごす。慶應義塾大学大学院卒。’16年8月に自伝『二世』(新潮社)を出版し、9月にはアーティスト“尾崎裕哉”としては初音源となる1stデジタルシングル『始まりの街』をリリース。’17年3月には、初のフィジカルCD作品『LET FREEDOM RING』を、10月にはアニメ映画『交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション1』主題歌『Glory Days』を含む2nd EP『SEIZE THE DAY』をリリース。以降はフルオーケストラとの競演『billboard classics』、弾き語りツアー『ONE MAN STAND』、バンドライブ『INTO THE NIGHT』などさまざまなスタイルでライブを開催。’20年10月21日には、初のフルアルバム『Golden Hour』をリリースした。