君の知る場所は、僕の居場所 『Where You Know』から『One Love』へ続く愛の話 Keishi Tanakaがミニアルバム『AVENUE』に込めたもの
2020年6月、ぴあ関西版WEBでコロナ禍におけるKeishi Tanakaの活動を時系列で振り返った。4月からの2ヶ月で楽曲5曲をリリース、noteでFM802 DJ 中島ヒロトとのラジオをスタート、ツアー予定地の人をゲストにつないだインスタライブ、配信ライブ『The Smoke Is You Release Tour at Your Home』。不安な日々を過ごしていた春頃、Keishi Tanakaから届くニュースに希望や元気をもらいつつ、励まされた人も多かっただろう。夏以降は、屋外で感染対策を徹底しながら少しずつ有観客ライブを始めた。『ROOMS SUMMER 2DAYS』と『ROOMS GARDEN TOUR』は成功し、11月にはKan Sanoとの共作『The Smoke Is You』の7インチをリリース。そして12月23日、この1年で発表された楽曲をまとめたミニアルバム『AVENUE』をドロップする。最新曲『Where You Know』をはじめ、バンドで再レコーディングされた『One Love (AVENUE Version)』、『The Smoke Is You』、こちらも再レコーディングの『Fallin’ Down』、コロナ禍で書いた『揺れる葉 feat. oysm』の5曲。1年前に初披露された『One Love』でKeishi Tanakaは自身の居場所を歌った。Riddim Saunter解散後、ソロミュージシャンとして全国各地を自分の足で巡り、様々な場所でライブを行ってきた彼がたどり着いたのは、自分で作る自分の居場所と、誰かが作る自分の居場所の両方に意味があるということ、そして自分が誰かの居場所になること、そこにある優しさと温もりの愛しさ。2020年は誰しもが移動を制限された1年だった。会いたい人に会いに行けず、ライブやイベントは中止。大好きな場所が失われる悲しさ。彼自身も悔しさを抱えてこの1年を乗り越えてきた。2020年のまとめの1枚とも言える『AVENUE』に、Keishi Tanakaはどんな想いを込めたのか。
「面白いですよね。室内なんだけど、街灯とか外のものがある。映像で見るともうちょっとその面白さは伝わるだろうし、久々にそこで完結させたいと思える場所だったんです。『Where You know』のリリックビデオと『One love』のMVもそこで撮っていて、繋がりを表す作りになってるので、その辺も楽しんでもらいたいです」
ケイシ・タナカ…ミュージシャン。作詞家。作曲家。Riddim Saunterを解散後、2012年よりソロ活動をスタート。続けざまにリリースされた『Fill』と『Alley』という2つのアルバムで、シンガーソングライターとしてバンド時代とは違う一面を見せる。「Floatin' Groove」が、全国のラジオ局で多数パワープレイに選ばれるなど、細部にこだわりをみせる高い音楽性を持ちながら、幅広い層に受け入れられる音楽であることを証明した。さらに、3rdアルバム『What's A Trunk?』では、Tokyo Recordings、fox capture plan、LEARNERS、Ropesなど、さまざまなミュージシャンとレコーディングをして話題となる。最新アルバム『BREATH』では、ブラックミュージックと日本人ポップスを見事に融合させ、自身がそのときにやりたい音楽を自由に歌い続けている。アルバムのほかにも、詩と写真で構成された6曲入りソングブック『夜の終わり』や、絵本『秘密の森』など、自身の世界観を表現する多様な作品をリリース。2019年9月に「One Love」、2020年4にKan Sanoプロデュースによる「The Smoke Is You」をデジタルリリース。これらはライブ会場と通販限定のグッズ『A SONG FOR YOU』シリーズとしても販売されている。そのほかにもnoteを使った新曲のリリースも行なっており、リリース情報だけでも目が離せない。ライブハウスや野外フェスでのバンドセットから、ホールやBillboardでの11人編成ビッグバンド、さらには小さなカフェでの弾き語りなど、場所や聴く人を限定しないスタイルで年間100本前後のライブを続けている。自主企画として、バンド編成の[NEW KICKS]と、アコースティックの[ROOMS]を不定期に開催中。また、2017年4月に詩集『真夜中の魚』(シンコーミュージック・エンタテインメント)を発売し、文章にも注目が集まる。『ランドネ』(エイ出版)での連載は5年目に突入。