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結成20周年&デビュー15周年を飾るDef Techの
『Powers of Ten』
コロナ禍でとっぷり疲弊した心と体に寄り添う
錆びることのない極上のミュージックを詰め込んだ
10thアルバムが完成! Microインタビュー

Def Techにとって2020年は、結成20周年とデビュー15周年の節目を刻む年。その年に、10枚目のアルバム『Powers of Ten』が完成した。先にデジタルリリースされていた『Like I Do』(M-3)を筆頭に、オールドスクールのマナーと今のスタイルが融合した『Make Some Noise(Feat.YAY)』(M-8)や、コロンとした軽やかなウクレレの音色と、ひざを突き合わせて語り合うかのようなメッセージが溶け合うラストの『All I Want Is Your Love』(M-10)まで、ShenとMicroならではの磨き上げられたハーモニーがぎっしり。先ごろ公開された『Surf Me To The Ocean』(M-1)のミュージックビデオではプロサーファーの小林直海や松岡慧斗、大橋海人、大野修聖をフィーチャー。スマートフォンの画面いっぱいに広がる海の深い色合いも、襲い掛かるような白い波頭をアクロバティックにライドするサーファーの姿も圧巻の迫力。インタビューで「何が起きても海とともに暮らしてきた」とMicroは語っていたけれど、静かに打ち寄せる波は穏やかで、猛々しくうねる波はこちらを駆り立てるようで、まるでDef Techの音楽同様に聴き手にさまざまな想いを抱かせる。20周年、15周年のアニバーサリーにこれ以上ないほどの気持ちを詰め込んだ新作についてのインタビュー、いつもながらどこを切ってもパンチラインだらけのMicroのトークをお楽しみください。12月21日(月)にはHYとの共演によるライブ『GREENS Presents HAPPY MUSIC LOVERS』も開催!


この曲で歌っていることは正しいのか、今みんなが聴けるメッセージなのか
 
 
――結成20周年&デビュー15周年おめでとうございます。文字にするとたった一行ですが、こうして続いていることはすごいと思います。
 
「昨日も事務所の社長と打ち合わせしながら振り返りつつ、自分たちで言うのもナンですけど今Tik Tokで小学生ぐらいの子たちが『My Way』に気付いてくれたりして。15年前のヒット曲だけど、新しいメディアでみんなに聴いてもらって『My Way』が再燃焼しているのも嬉しいですよね。ライブではいつも実感しているんですけど、お客さんが若返りを見せているのが奇跡的だなと思っているんですね。もちろん僕たちと同世代の人や年上の方もいらっしゃるけど、いまだに20代のリスナーが一番多いですし、それってなかなかない奇跡だなと改めて思います。僕らは結成、解散、再結成とあって、自分たちの問題はいろいろありましたけど(笑)。これからも自分たちが歌っているように女性を大切にしようと改めて思いました」
 
――私事ですが、長男が生まれた時に1st『Def Tech』(’15)をよく聴いていたんですが、その子がもう中学3年生で今は一緒に聴いています。『My Way』も新しく感じるようです。
 
「僕らは懐かしかったりするんですけど、15年経ってもいまだに古びないというか、懐かしくても新しいニューベーシック、ニュークラシック。新作では1曲1曲にそういうものがありながら、今までのDef Techも失わず、進化と変化を遂げれたのかなと感じています」
 
――その新作『Powers of Ten』の10曲の中で特に新鮮だったのが、『Make Some Noise(Feat.YAY)』(M-8)。どっぷりとヒップホップなこの曲の尖り方が、とてもクールに感じました。“4mcs”とラップされている通りこの曲は4人で歌われていますね。
 
「そう。Shenの新しいプロダクションでソロ活動をサポートしてくれているメンバーが一緒にやっています。この曲はShenの主導で進めて、僕はまな板の上の鯉状態でしたね。僕らが好きなジュラシック5とかオールドスクール、あと映画『ワイルド・スタイル』を観て育ってきたし、そういう自分たちの好きなもののひとつが、今までなかった形で出せた曲ですね。この曲があることで他の曲の良さも引き立っているなって思います」
 
――そうなんですよね。このエッジィな『Make Some Noise(Feat.YAY)』が、続く『Best Days』(M-9)に込められた歌心や、1曲目『Surf Me To The Ocean』の音の持つ柔らかさや温かさをより引き立たせている。10曲を通じて、鋭さと穏やかさのどちらの良さも感じることができます。
 
「タウン&カントリーと言われるように、僕らは都会と海のどちらかだけじゃなくて、コロナ以前もウィズコロナの時代も街と海を行ったり来たりしてる。その間、海だけは唯一自分にとって救いだったなと僕自身は思っていて。ハワイはロックダウン中でもサーフィンがOKだったんですね。日焼けを楽しむのはダメ、ビーチで遊ぶのもダメ。でもサーフィンはOK。日本でもサーフィンをするのがOKになり、もちろん海では私語は慎みながらディスタンスを保って、駐車場でおしゃべりはしないし必ずマスクをする。他のマリンスポーツはダメでもサーフィンは許されて、それでどうにか乗り切ってこられたなぁって。どんなストレス社会でも、なにが起きても海とともに暮らしてきたし、本然的なものもあるんですけど、改めて『私をスキーに連れてって』じゃないですけど、“私をサーフィンを連れてって”ですね(笑)」
 
――(笑)。
 
「僕も『Surf Me To The Ocean』が大好きで、このアルバムは1曲目のこの曲があることで全部のパーツがはまっていった気がします」
 
――アルバムはいつ頃制作されていましたか?
 
「9曲目の『Best Days』は5年前から制作に入っていたもので、Shenの歌詞も固まってきてはいたんですけど、僕自身のリリックが全然仕上がらなくて。5年前はアーニー・クルーズJr.さんがセッションの時スタジオにいてくれたんですけど、そのアーニーさんが4年前に亡くなられて。自分のメッセージも含め、そういう生と死の問題もここにきて自分の中で消化できて、5年かかって紡ぎ出せました。そういう曲もあれば『Surf Me To The Ocean』とか『Face 2 Face』(M-2)はダダッと2~3日で仕上げて去年のうちには完成していました。けど、コロナに入ってから本当にこの曲で歌っていることは正しいのか?これは今みんなが聴けるメッセージなのかということを考えて。3月頃だったら『Face 2 Face』は聴けなかったかもしれないし、人と会っちゃいけない時期にはこのアルバムは出せなかったかなって。だから、時を待ちました。今の11月という時にこのアルバム全体が聴けるものになったなって」
 
――5年かかった曲もあれば、世に出る時期を待っていた曲もあった。
 
「そうですね。途中からリモートに切り替わって、Shenとも会わずに仕上げていった曲もありますね」
 
――『Face 2 Face』のサビで“SNSからFace 2 Face”と歌われていますが、SNSで知り合ってそこで文字や写真を通じて築いていく人間関係もありますね。それとともに、会えなかった時期を経てやっと会えた時に、これまで日常的だった“人と会う”ことがとても大きな喜びに感じられたりもして。それは生身の人間同士の交わりの中でこそ得られるものかなと思います。
 
「その通りなんだと思います。今はまだライブもなかなかできない中ですけど来年、再来年以降はリアルというかナマへ揺れ戻しが起きるんじゃないかなとも思うんですよね。今ってどの世代も、40代になった僕もSNS中毒ですし、ShenもSNSがない生活は考えられないって。自分が楽しくてやっているけど、画面の中の充実している友人の姿を見ると、自分は何をやっているんだろうって他人と比べて充足感が足りなくなってしまったりして。そういうSNSの恐ろしさもあるけど、なくなってしまうとうつ病になるんじゃないかってぐらい依存しちゃってるところもありますよね。大人だろうが子供だろうが、バランス良い食事も難しいけど、バランス良いSNSとの付き合い方も難しいですよね(笑)」
 
――『Like I Do』(M-3)はミュージックビデオも公開されていますが、夜明けから始まる映像に引き込まれます。6th『24/7』(’13)のジャケットを連想しましたが、今回の『Powers of Ten』のジャケットも似ていないですか?
 
「『24/7』は夕景、サンセットですけど似ている雰囲気はありますね。今回は暁に向かっていく、日中から夜にかけて、暗い闇が深ければ深いほど朝日は近くまでやってきている――そういう希望をジャケットの写真に見出しましたね」
 
――MVで見た空の大きさ、まぶしさと、ライブの時のように両手を広げて踊りながら歌う2人の姿。曲の雰囲気とも相まって、包みこまれるような温かさを感じます。名渡山遼さんのウクレレもいいですね。
 
「いいですよねぇ。セシリア&カポノというハワイのアーティストの『Goodtimes Together』というハワイアンレゲエの名曲があるんですけど、ご存じですか?Shenは学校を卒業する時にその曲をみんなで合唱して、僕は僕で父と母に海の行き帰りに聴かせてもらっていて、Shenと出会ってまだDef Techを始める前に、“このハーモニーが素晴らしいね”“こういうハモりに言葉がいっぱい詰まったりしたらいいよね”って話していたんです。僕らはそういうスタートで、その曲が2人のキーワードだったんですね。セシリア&カポノがベースにあって、自分たちなりにあの曲をもっともっと詰めていくと『My Way』ぽくなって、音の数を減らしてみると『Like I Do』になる」
 
――Def Techの成り立ちがこの曲につながっていたとは。
 
「そうなんです。原点の曲ですし、20年経ってこの曲を体現できた気がします。20代前半だとこのぐらいのメロウな感じは出せなかったと思うし、やっと今自分たちが理想としていたものに一歩近づけた曲ですね」
 
――タンタラスの丘、ハワイで生まれた黄色い小屋のSunrise Shack。2人にとっての日常や生活感、そういう身近な情景が歌詞から浮かんできます。
 
「それはユーミンの『中央フリーウェイ』効果ですね(笑)。“中央フリーウェイ 右に見える競馬場 左はビール工場”のあの感じを僕らなりにやってみました(笑)」
 
――(笑)なるほど。『Instabation』(M-4)という言葉は初めて知ったんですが、こういう言葉があるんですね。
 
「それね、僕とShenの造語なんですよ。セルフィーで自撮りしながら、“自分!自分!”、“見て!聞いて!”っていまや誰もかれも承認欲求がすごいですよね。みんなそうやって発信する力はついているんだけど、受け取る力、聞く力はどうなのかなって。みんなが一斉にしゃべり出しちゃう世界だからどうしても偏っていくし、自分の好きなことにはすごく長けるんだけど、ランダムな出会いの中でこれまで知らなかったことを知れるチャンスが少なくなってきているような気もして。そういう思いを僕らなりに説教くさくならないように表現しつつ、風刺の効いた1曲になりました」
 
 
ネガティブな自分をさらけ出しました
 
 
――5曲目の『I Like Me(Day Time)』と7曲目の『I Like Me(Night Time)』はアレンジは違いますが歌詞はまったく同じで、この2曲の間に『The Wheel of Fortune』(M-6)が入ることでとてもドラマチックな流れを感じます。決してハッピーなストーリーではなく内省的な曲ですが、この3曲が生まれたいきさつは?
 
「『The Wheel of Fortune』は叩き台としてはできあがっていたんですが、歌詞があまり進まなくて完成を見ないままだった曲で。その間に『Surf Me To The Ocean』や『Face 2 Face』のデモに取り掛かり、その時にNight Timeのデモもできあがったので先にそっちを完成させて。それからプロデューサーのNagachoと作業していく中でDay Timeが上がって。そしたら昼と夜で世界観がまったく違うし、僕の大好きなビル・ウィザースの『ジャスト・ザ・トゥ・オブ・アス』、『ラブリー・デイ』とか、自分の中にずっとあったエッセンスをNagachoが引っ張り出してくれたんですね。それで、“2曲あるけどどっちにする?甲乙つけがたいね”なんて話しているうちに『The Wheel of Fortune』の歌詞も固まってきて、1曲目の『Surf Me To The Ocean』から順に並べてみると、間に1曲挟んだだけで歌詞も同じなのにまったく世界観も違って、刺さり方も違って」
 
――まさに、音が違うだけでこんなにも変わるのかと。ボーカルは録り直していないんですか?
 
「まったく一緒なんです。全然違うテイクに聴こえますよね。Night Timeは特に夏に聴きたいですね(笑)」
 
――何度も聴きましたが、違うテイクかなと思いました(笑)。『I Like Me』のストーリーはとても意味深で切なくもあって、その間にある『The Wheel of Fortune』は、『I Like Me』の歌詞に込められた物語をより深める作用があるように感じました。出会った君と僕の間には思うに任せない現実があって、その中で内に向かっていく心情が痛いほど赤裸々に綴られていて。この3曲の流れは、まるで小説を読むような感覚です。
 
「確かに歌詞の言葉数も多いですしね。僕は特に『I Like Me』のサビが好きで、“君といる時のこの僕が好き 僕といる時の君も君は好き、ねえ?”っていうところですね。若い時って、相手のことが好きな自分を好きなのかもわからず、相性が合うのかもわからないまま“好き”って気持ちだけが先行して、恋に恋しちゃっている。でもそれがずっと続くわけじゃなくて、いつかどこかで歯車がかみ合わなくなってきたり、ちぐはぐになってしまう。だんだん成熟してくるにつれて、“この人といると居心地が良い”とか、“この人といる時の自分がいい感じなんだよな”という見方ができるようになってくる。そう思える関係って、夫婦であれ親友であれいいなと思うんですね。この曲は自己投影みたいなものもあるし、俺やShenの恋愛ソングというよりも、男女でも同性同士でも人間同士の関係性とか、その中にある感情の動きを書いていますね」
 
――タロットカードにWheel of Fortune=運命の輪というカードがありますね。カードの絵柄には人生の浮き沈みを含めた運命が集約されていて、出会いやすれ違い、変化などのキーワードがあって。『I Like Me』のサビが、幸せなようで報われない切なさを感じる歌声に聴こえたり、一見すると逆の意味に思えるキーワードを含むカードを連想させるような余白が『The Wheel of Fortune』にはあって。そういった1つ1つがこの3曲の持つドラマ性をより色濃くしている気がします。
 
「『The Wheel of Fortune』は、このアルバムを通して一番ネガティブな自分をさらけ出していて。歌詞にもある、幼い頃から自分の中に刺さっているトゲ。それは何かと言えば、親が厳しく育ててくれて、その厳しさがありがたいのはわかっているんだけど、たとえば“お前は歌がうまくない”とか“背が小さい”とかの何気ない言葉なんですよね。親にしてみればそこまで本気で言ってないんでしょうけど、子供にとってはそれが刺さったままだったりして、そういうのって幼少期の人格形成にかかわっていたりするんですよね。自分にとってこの曲はセラピーのような、自己分析のようなものですね」
 
 
 
たとえ目標を失ったとしても、僕らが音楽をやる目的を失ってはいない
 
 
――『Best Days』(M-9)の“一番苦しんできたあの日々こそ かけがえのない意味へと変わるでしょう”のヴァースは、MicroさんとShenさん2人の声の重なりがすごくグッと響きました。
 
「これも説教くさくならず、僕らのやり方でこういうことが言えたらなって。この曲も4月だったらまだリリースできないんじゃないか、渦中は聴けないんじゃないかって話していましたね。この曲も、この先いろんなことがあればあるほど、曲の重みは増していくのかなと感じています」
 
――その曲に続いて最後の『All I Want Is Your Love』(M-10)では、軽やかなウクレレに乗せて“どんなに今辛くても 覚えてて欲しいよ その痛み悲しみは そう長くは続かないから”と歌われています。悲しいことや辛かったことは忘れてしまおうという考え方もありますが、そうではないと。
 
「喉元過ぎれば熱さを忘れるのが人間なので、辛くても忘れちゃうんですけどね。あとは、時間が解決するとか言ったりするけど、時間は解決してくれないし、マイナスのものを手放せば楽になれると思いがちですけど実はそうじゃなくて。自分と向き合うのは本当に大変なことなんですけど、辛かった記憶をちゃんととどめておくことで、また同じような局面に立った時に同じ苦しみを味わうことはなくなっていくだろうしね。アスリートで、金メダルは飾らないけど銀メダルは部屋に飾るという人がいるって聞いたことがあって。なぜかと言うと、銀メダルの時の悔しさを忘れないためなんですって。悔しさを積み上げることで今以上に成長する。モチベーションを上げて次の大会に臨む。そういう選手もいるんですよね。すごいメンタリティだなって思いますよね。だって、どうしても僕たちは忘れていっちゃうし、時間が過ぎると良い方に解釈していきがちじゃないですか」
 
――春先以降のコロナ禍に、Def Techだったら今どんな音楽を聴かせてくれるかなと思ったことがあります。これまで“オンショアでグジャグジャな時がある”(『Cacth The Wave』)や、“人の心を結ぶのが音楽 傷ついた心を癒すのも音楽 言葉の壁乗り越えてゆく音楽”(『おんがく ♬ Music』)など心に残るメッセージがいくつもありました。今回の新作には、今の2人の心境や今のような困難な時にこそ浸透するハーモニーや音、フレーズが敷き詰められていますね。『Best Days』の“許すよりも憎む方が実は楽だから”にもハッとしました。
 
「最近いろいろ読んだ中にあったんですけど、人間の脳の構造上、愛するよりも憎む方が得意なんですって。悪口を言ったり憎む方が簡単で楽なんですね。人を褒めるのは難しいってよく言いますけど、人をパッと見て、“君はこういうところ良くないよ”って指摘することは確かに簡単ですから。それと、自己嫌悪も脳にとっては快感の1つらしいです。自己肯定感も快感だけど、“俺はダメだ”って感傷にふけるのも快感で、たとえば極端な例だけど、俺はダメだ→ダメだからヘコんじゃえ→仕事も休んじゃえ…ってなったらすごく楽ですよね(笑)。その話にハッとさせられました」
 
――脳を甘やかしちゃいけないんですね(笑)。
 
「そう(笑)。感傷にふけっちゃいけないんですよ」
 
――さっきの銀メダルを部屋に飾る話は自分に対して厳しいようにも感じましたが、そうやって自分で自分をたきつけるというか、自分で自分の可能性を伸ばすわけですよね。
 
「うん。たとえば10代で、部活動とかスポーツをやっていて、ライバルがいて…、という図式はとてもわかりやすいですよね。その相手に勝とうと思い描くのはある意味簡単で目標も定めやすい。でもそういう敵もだんだんいなくなってきちゃうからね」
 
――確かにスポ根アニメを観るとちょっと元気が出ます(笑)。
 
「『鬼滅の刃』が今こんなに流行っちゃうのは、みんな心のどこかでスポ根を求めているんだなって思いません?(笑)」
 
――(笑)私もハマりました。
 
「僕もどっぷりハマッってますよ」
 
――もしも時期が違ったら聴けなかった曲もあったかもしれない『Powers of Ten』ですが、こうして完成してリリースとなり、改めて思うことはありますか?
 
「この1年間、Shenといろんな形でやり取りしたりコミュニケーションを取って1曲1曲作ってきて。今ならたとえば毎月1曲ずつデジタルリリースするとかいろんなやり方もあるけど、世の中の流れではなくDef Techというものを考えた時に、僕らはこれまでアルバム単位でやってきた歴史があるから、2020年のこの周年のアニバーサリーまではアルバムという音楽の塊でリリースをしていこうと。今年が一区切りですね。今年は結成20周年、デビュー15週の佳節で、その年に10枚目のアルバムができた。ここまで待たなかったら10曲収録できずミニアルバムになっていたかもしれないし、だから時を待ち、時を作り、ここに至ったんですね。来年以降に関しては、1曲1曲できあがったものを発信していくやり方も良いと思っています」
 
――12月21日(月)はオリックス劇場でHYとのライブ『GREENS Presents HAPPY MUSIC LOVERS』が開催されます。
 
「今までなぜ交わらなかったのかって思うぐらい同じ世代を駆け抜けてきたHYと、やっとここでこういう形で共演できるんだなって。これもアニバーサリーに叶った奇跡の1つなのかなって楽しみにしていますし、喜びをかみしめています」
 
――関西のファンにとっても昨年のツアー以来、待ちわびたライブです。
 
「HYは沖縄の風、僕らはハワイの南国の風を運んで大阪の空気がさらに温かくなるような、それぞれに違う情緒をお届けできたら。HYの世界、僕らの世界へお客さんを連れ去れるようなライブにしたいですね。12月末にはBillboard Live Tokyoでライブもあるので、そちらも楽しみにしていて欲しいです!」
 
――最後に、ぴあ関西版WEBをご覧の皆さんにメッセージをお願いします。
 
「コロナ禍でたぶん一番最後に復旧してくるのがエンターテインメントや夜の街、僕らの世界ですけど、今年オリンピックがなくなってツアーがなくなってままならない1年間だけど、たとえ目標を失っても僕らは目的を失ってはいない。改めて自分が音楽をやる意味、目的が自分の中ですごく明確になったし、それプラスこれから先はもっともっと自分の好きなことに専念していきたい。そのためには時にはやりたくないこともやらなきゃいけないんだけど、自分にとって“これだけは譲れない”というものが音楽なんだって、改めてこのコロナ禍で自覚も芽生えてきました。波がない時にジタバタしてもサーフィンできないですから、今は僕は波待ちだと思ってゆったりとした気持ちで。次のビッグウェイブが押し寄せてくるのを待ちながら、その時まで自分たちのコンディションを整えメンタリティをいい状態に持っていきたい。不信感とか恐怖心とか邪魔なものがすべて払拭されて、全国ツアーやアジアも含めたライブができることを思い描いています。まずは、2030年までのこの10年間、前に前に進んで行きます!10年後、50歳になったMicroもいい感じだと思いますよ(笑)」

Text by 梶原有紀子



(2020年12月 1日更新)


Check

Release

Albun『Powers of Ten』
発売中 2500円(税込)
2VOX-006

《収録曲》
01. Surf Me To The Ocean
02. Face 2 Face
03. Like I Do
04. Instabation
05. I Like Me (Day Time)
06. The Wheel of Fortune
07. I Like Me (Night Time)
08. Make Some Noise (Feat.YAY)
09. Best Days
10. All I Want Is Your Love

Profile

デフ・テック…中国生まれハワイ育ちのShenと、東京生まれMicroによる2人組。ユニット名の名付け親は旧友のJESSE(RIZE)で、“テクニックをひけらかさない”の意味から来ているという。ヨコハマタイヤのCM曲となった『My Way』をきっかけに、’05年リリースの1stアルバム『Def Tech』が250万枚を超える空前の大ヒットを記録。同年インディーズアーティストとして初の『第56回 NHK紅白歌合戦』に出場。価値観や音楽性の違いにより’07年に解散するものの、’10年に約4年ぶりのアルバム『Mind Shift』を携え活動再開。Micro、Shenそれぞれに他アーティストへの楽曲提供やミュージカル出演などソロでも活躍。’14年4月、Microが日本初のラップミュージカル『IN THE HEIGHTS』に主演。全国30公演を走破。これまでハワイや台湾、香港や中国でのライブを行っている。’20年9月デジタルシングル『Like I Do』リリース。この曲はハワイのサーフィンの歴史をたどるドキュメンタリー『WORLD SURF JOURNEY ~ROOTS OF HAWAII~』テーマソング。同番組ではMicroがハワイサーフィンの歴史とハワイアンにとってのサーフィンの意義を探り、伝説のサーファーたちにインタビュー。トロントビーチ映画祭Best Surf Film特別賞に輝いた。11月18日には2年ぶり10作目となるニューアルバム『The Powers of Ten』をリリース。12月22日には、『Def Tech』から『Cloud 9』までのオリジナルアルバム9作品と、過去のライブ映像を収めたスペシャルDVD2枚をセットした『Def Tech Special Box Set』をWEB限定でリリース。12月21日(月)オリックス劇場で開催される『GREENS Presents HAPPY MUSIC LOVER』にHYとともに出演。12月28日(月) Billboard Live Yokohama/ 12月30日(水)にはBillboard Live Tokyoにてライブも決定。

Def Tech オフィシャルサイト
http://deftech.jp/


Live

【動画配信】「LIVEWIRE」 Def Tech Streaming Live “Surf Me To The Ocean” ~20th Anniversary Special~
チケット発売中 Pコード:781-476
▼12月1日(火)~6日(日) 18:00
LIVEWIRE
視聴券(当日券)-3500円
[出演]Def Tech
※この公演はオンライン動画配信でのみご覧いただけます。配信時間は予定のため変更の可能性あり。公演内容に関する詳細は【LIVEWIRE公演・視聴に関するお問い合わせ】LIVEWIREサポートセンターメール:livewire@linkst.jpまで。(平日10:00-18:00)公演日当日の問合せ対応は該当公演(土日祝含む)の終演後1時間程度で終了とさせていただきます。
※チケットは、インターネットのみにて販売。1人1枚のみ購入可。

チケット情報はこちら


「GREENS Presents HAPPY MUSIC LOVERS」
▼12月21日(月) 19:00
オリックス劇場
[出演]Def Tech/HY
6500円

「Def Tech Billboard Live 20th Anniversary Special ~Surf Me To The Ocean~」
▼12月28日(月)
ビルボードライブ横浜
▼12月30日(水)
ビルボードライブ東京