“踊れるジャズ”をコンセプトに、並外れた演奏力とパワフルなパフォーマンスで日本各地を熱狂させてきたバンド・TRI4TH。2018年に発表したメジャー1stアルバム『ANTHOLOGY』では“踊れるジャズ”に叫べるという要素をプラスし、そして翌年の2ndアルバム『jack-in-the-box』では“踊れる、叫べるジャズ”にさらに歌えるという要素を加えて、着実に一歩ずつ自分たちの表現の幅を広げてきた。“踊れて、叫べて、歌えるジャズ”というトリプルカードを手に入れたことで、ジャズフェスのみならずロックフェスのステージにも立つようになり、新しいリスナーにも自分たちの音楽を広げてきた彼らが約1年3カ月ぶりとなるニューアルバム『Turn On The Light』を発表した。メジャー3枚目のアルバムにして、「TRI4THの名刺と言える作品になった」と胸を張る、バンドのリーダーでありドラムの伊藤隆郎に、前作『jack-in-the-box』を発表してからこれまでについてじっくりと話を聞いた。
この状況下だからこその気づきが、新しい視点につながった
——最新アルバムの『Turn On The Light』を10月に発表した前後あたりから、どういう日々を過ごされていますか?
もともと昨年の『jack-in-the-box』のツアーの時から少しずつ曲作りは始めていて、ツアー最後の赤坂ブリッツでは今回のアルバムに収録してある曲を1曲「Bring it on」をすでに演奏したりしていました。そのあとレコーディングに入って、今年の夏フェスのシーズンに照準を合わせて6月か7月ぐらいにはリリースしようと思っていたんです。
ツアーもそうですが、『jack-in-the-box』のリリース後はこれまでで一番ロックフェスに出させてもらった年でした。その中で「踊れるジャズ」を掲げつつもジャズ以外のリスナーに聞いてもらうにはどうしたらいいかとか、よりみんなに踊ってもらうにはどうしたらいいだろうみたいなことを考えてきていたので、よりキャッチーに! みたいなところはどんどん強くなってきて、『Turn On The Light』に反映されたかなと思いますね。
2枚目を出した時点で、まだまだもっとやれることがあるんじゃないかなって思うこともあったというか…。ともすればジャズの難しいと思われるような部分を一旦封印して、よりキャッチーにキャッチーにとこだわって2枚目まではきましたけど、『Turn On The Light』では逆にそういったところで得た自分たちのポピュラリティみたいなものを残しつつ、やっぱりジャズバンドなんだよっていうところを絶妙なバランスでミックスさせて作品にできたのかなあっていうところはありますね。
はい。「For The Loser」ではA・Bのサビを構築してしっかり歌うっていうトライは初めてさせてもらいましたけど、「ここは伊藤くんがこう歌ってるから、俺らはこうやって吹いた方がいいよね」っていうことを増井さんが提案してくださったり、セクションのフレーズの切り際、吹き方、みたいなもの…ひとつの歌と一緒にやれるホーンのサウンドをホーンセクション5人で作るっていう考え方はこれまでTRI4THにはなかったんじゃないかな。
——さて、12月には『Turn On The Light』のツアーが控えていますが、今ライブでやろうと思っていることや考えていることはありますか?
こういう状況下で東京・名古屋・大阪で有観客ライブをさせていただくにあたって、TRI4THらしさを残した何かができないかなと考えたんです。今回アルバムを作った中の楽曲でもKEMURI HORNSとの「For The Looser」は夏フェスをはじめ、今年一番ライブで演奏する予定でした。フェスに向けて気合いを入れて作っていたのはもちろんですが、みんなで盛り上がろう、みんなの声を聞きたいなと思って作った曲というか。その曲はお客さんの声なくして完成はしないなと思っていまして。実は先日HPやtwitterで発表したところですが、事前にみんなの声を録音してもらってそれを集めて合唱にして、ライブ当日はみんなの声と一緒に演奏しようと思っているんです。
——すごい! それこそTRI4THのライブだからできることだし、めちゃくちゃ新しいですね!
当日会場に来て下さる方もまだ声は出せないですし、もしかしたら会場に来られない人もたくさんいるかもしれない。会場に来られなくてもその人の声と一緒に演奏して、当日の東名阪のライブで「For The Looser」をみんなと完成させたいなと思うし、照明や映像的での演出もうまく盛り込めないかなっていうのも考えたりしているので、これまで以上に視覚でも楽しんでもらえるライブを追求したいなと思っています。
《収録曲》 01. Move on, 02. For The Loser feat.KEMURI HORNS 03. The Light feat.岩間 俊樹(SANABAGUN.) 04. Bring it on 05. Fiesta(カバー曲:The Pogues「Fiesta」) 06. Moanin‘(カバー曲:Art Blakey and the Jazz Messengers「Moanin’」) 07. Corridor in Blue 08. River Side 09. Fineday 10. Sailing day 11. EXIT
Profile
トライフォース…“踊れるジャズ”をコンセプトに掲げ、国内外を飛び回る日本を代表するライブジャズバンド。ジャズでありながら、ロックバンドに勝る激しいパフォーマンスでオーディエンスを魅了し続けている。パンクロック、スカを取り入れた音楽性が好評を博し、海外では、フランス“Jazz a Vienne”/デンマーク“Copenhagen Jazz Festival 2017”にも出演している。国内の代表的な音楽フェスティバルの一つ“SUMMER SONIC 2019”を含め全国20ヶ所を超えるフェスに出演を果たした。2020年5月23日に開催された、“TOKYO JAZZ +plus LIVE STREAM”では、フランスの女性シンガー'China Moses'との国境を越えたコラボレーションが実現し、10月7日リリースの3rd Full Album『Turn On the Light』では、SANABAGUN.から岩間俊樹氏、日本を代表するスカパンクバンドKEMURIからHORNSを招くなど、TRI4TH史上新たな試みにチャレンジしている。インストゥルメンタルの枠を超え飛躍を続けるTRI4THは、今シーン更に注目度を増しているバンドである。