人生は選択の連続。扉を開いて新しい世界へ 2年3ヶ月ぶりのフルアルバム『DOOR』に込められた愛と平和 Czecho No Republicインタビュー
Czecho No Republic(以下、チェコ)が今年、結成10周年を迎えた。1月には下北沢DaisyBarで『伝説のCzecho No Republic初ライブ再現&初期曲限定ライブ』、2月には男女限定ライブ、3月から3ヶ月連続でシングル『摩訶不思議』『Hello New World』『Dong Dong』を配信リリースするなど、順調に10周年イヤーを走り出した。しかし、周知のとおり新型コロナウイルスが世界を襲う事態に見舞われ、全国3箇所を廻るはずだった『初期~NEVERLAND~MANTLE曲限定ライブ』など、予定されていたライブが軒並み中止に。そんな中でもチェコはYouTubeやSNSを使った発信を積極的に行い、リスナーとコミュニケーションを取り続けていた。6月10日には2年3ヶ月ぶりとなるフルアルバム『DOOR』をサブスクリプションと配信でリリース。通常盤CD、10周年を記念したスペシャルボックス版の発売は8月19日に延期となった。『DOOR』は愛と平和を歌ったアルバムである。2018年に八木類(g&syn&cho)が脱退し、2019年に4人体制で初めて配信リリースした『Baby Baby Baby Baby』をはじめとする配信シングル、2作のEPから1曲ずつ、新曲5曲の全12曲が収録されている。10年間で積み重ねたサウンドスキルはさることながら、変わらぬフレッシュさも感じられるのはチェコというバンドの魅力。今回はメンバー全員がリモートでの取材に応えてくれた。7月10日には渋谷eggmanでフルバンドセットでのライブ『CNR LIVE STREAM #3』がチケット制で配信される。今も時事刻々と変わる情勢の中で、Czecho No Republicが伝えたい願いが少しでも遠くへと届くことを信じてやまない。
繋がりと孤独を感じた自粛期間
――アルバムのお話の前にコロナ禍のことをお聞きしたいのですが、チェコは定期的にYouTubeで配信をしたり、武井さんとタカハシさんが毎晩Twitterで弾き語りをされたりと、前向きに発信をしている印象です。コロナ禍で皆さんどう過ごされていましたか?
武井優心(vo&b) 「気持ち的にはみんなと一緒だと思うんですけど、最初は“そんなにすごいのか?”って、ちょっと感情移入しきれてない自分から始まって、バタバタとライブが飛んでいって、まざまざとリアルワールドだということを叩きつけられました。そこからは逆に今できることをやろう、ってやる気にみなぎった時もあるんですけど、段々ゴールが見えないことへの恐怖やジレンマで、無気力になる期間もあったり。できる時とできない時、意外とその繰り返しなんですよね」
――情感に波があると。
武井 「全てのことにどうにも一生懸命になりにくい時があって。だから海外ドラマとかお笑いも、最近すげー見るの嫌んなってきちゃって。この世界(コロナ禍)になる前のお笑いに、感情移入できなくなっちゃってたりするんですよね。違う世界の話を聞いてるような感覚。例えば『ウォーキング・デッド』とか、物語の悲惨な状況を見てエンタメとして楽しんでたと思うんですけど、今はこっちも割と悲惨だから全然入ってこない。そんな感じで無気力になる瞬間がある。活動しながら“これやってるけどいつ果たして実を結ぶんだろう?”とかなると、たまにホゲーッとしてきますね」
タカハシマイ(g&syn&vo) 「私はどちらかと言うと結構前向きに現状を受け止めて、自分にできることを全力でやろうぐらいの感じだったので、もちろん多少落ち込む瞬間もありましたけど、心を強く持つことが大事だなと思って、毎日映画見たり、自分の時間を大切にしようと思って、前向きに捉えるようにした感じはあります」
――そうしないと落ちてしまうことがあったりしたから?
タカハシ 「やっぱりネットとかテレビ、いろんなものを見てると恐怖心とか腹立たしさ、いろんな負の感情が乗り込んできてしまう。それを食らうと結構落ちやすいので。でも落ちてる瞬間は自分にとって好きじゃなくて。極力上を向いていきたいと思っていたので、あまり抱え込みすぎないようにコントロールしようという気持ちを持ってました」
――Twitterで弾き語りを始めたのは?
タカハシ 「やっぱり私たちが1番やるべきなのは、音楽を使って元気づけることだと思って。音楽を届けられるのは自分たちの1つの使命みたいなもの。そこを出した方がより喜んでくれるんじゃないかと思ったんですね。それで武井さんと、“じゃあちょっとセッションを上げていこうか”と話して、1回目を上げたら想像以上にみんな喜んでくれて。それから毎日上げるようにはしてます。何が正解か分からないけど、今簡単にお客さんとSNSでも繋がれる時代だから、出来ることはやっていった方がいいんじゃないかなと思いました」
砂川一黄(g) 「僕はライブが何よりも好きな人間なんで、やっぱりライブができないのはすごいしんどいなあ、なんて思いましたけど、そうも言ってられない状況かなとも思ったんで、前向きにいこうと。元々家にいるのが好きな人間で引きこもり気質なので、逆に良い機会だと思って、家で過ごす時間を楽しもうかなと。勉強したり、やりたいことやったり、映画見たり、いろんなことを吸収する時間に使えばいいのかなと思ってました」
――そう思えたのは、徐々にですか?
砂川 「うーん、もうなるようになっちゃったんで、という感じでしたね。“受け入れられないどうしよう!”というよりかは、“もうしょうがないよね”、みたいな。こういう状況だし、自分が外出自粛することで感染防止できるなら、大きな意味があるとも思ってたんで」
山崎正太郎(ds) 「僕もまさかこんなにライブができなくなるとは思ってなかったですね。ドラムってなかなか家で触るの難しいんで、ほんとこの期間中どうしようかなと思ってたんですけど、僕自体ものすごくポジティブなタイプの人間なんで、それこそ家でやれること、リズムの基礎練だったり部屋の掃除とか、体力落ちないようにトランポリン買ってみたりしてました」
武井 「いいなー」
山崎 「めっちゃ楽しいです」
砂川 「毎日やってんの?」
山崎 「毎日やってます。だから下半身は結構鍛えられて大丈夫なんですけど、この前久々にリハ入ったら腕が筋肉痛になって。やっぱドラムって腕使うんだなと思いました」
――やれるはずのことができなくなってしまった、ということで活動についてはメンバーさん同士で話し合いされました?
武井 「そこまでがっつり話し合ったりはしてないですね。電話とかZoomだと喋りきれないところがあるような気がするんで。目と目を合わせてなくても、一緒にいる空間の会話って大事だったりするじゃないですか。一緒にいるけど2人で遠くを見ながら喋るような。そういう時に本音で話し合えたりすると思うけど、そういう時間は取れてないので。とはいえ、タカハシは幸か不幸か一緒にいるんで、“こういうことしたいよね”とかは、当たり前の日常会話であります。でもちょっと歯がゆさというか、もどかしい感じはあります」
――やはり直接会って話すのとは伝わるものが違いますよね。
武井 「違いますね。でも砂川さんとか、自粛生活楽しんでそうな空気伝わってきてたよ」
砂川 「何、楽しんでそうな空気って(笑)」
タカハシ 「確かにー!」
武井 「何か前より顔色良い」
山崎 「はははは!(笑)」
砂川 「めちゃくちゃ健康にはなりましたねー。ちゃんと料理する時間ができるじゃないですか。だから野菜とかいっぱい買ってきたり、睡眠時間も十分にあるし、飲み歩かないし。太りましたけど。家楽しいです」
――家にいるのが好きな人と、外に出ないとダメという人では、メンタルへの影響も差が出そうですが、皆さんは比較的ポジティブに捉えていらっしゃるようで。
武井 「俺は、意外と人と会う時間が大事なことに気づきました」
砂川 「そうだよね」
武井 「コロナ始まるちょっと前ぐらいまで、友達と会わなくても平気だなと思ってたんで。なんなら地方で隠居してもいいなあ。で、必要な時だけ出てくればいいやとか思ってたんですけど、天罰が当たりました(笑)」
――天罰とは?
武井 「“人に会えないと辛いでしょ?”って」
タカハシ 「制作にも響いてるよね」
武井 「家にずっといると発見がないんですよね。自分の心境の変化にも気付きにくいし、インスパイアも受けにくい。映画とか音楽聴いてても、インプットされてるようでされてないんですよね、蓄積してないというか」
タカハシ 「でもZoom飲み会とかすると、次の日大発見があって、ちょっとだけ制作に力が入りやすくなってたりしてますね。隣で見てると、やっぱり外に出たり人と触れ合うことはすごく大事なんだなと思いました」
――ミュージシャンのお友達とかと、お話したりしたりします?
武井 「Zoomで顔を合わせてまで話すって、めちゃくちゃ仲良いか照れとか飛び越えた人じゃないと無理だと思うんで、ほんと少ないですけど、たまーに飲んだりはしてます。フレデリックの三原康司と、LEGO BIG MORLのギターのヒロキとは3人でたまに喋ってますね」
――どういう話になりますか?
武井 「この状況の話ですね。“ライブしたいよなー”とか、“活動どうやってく?”とか。あとこんな状況だから、“持ちつ持たれつでいきましょう”とか」
――今、物理的には遠くなっても、心の繋がりを感じやすくなっているようにも思いますが、どう思いますか?
武井 「繋がりを感じながら、孤独も感じたりですね。やっぱり浅い関係も深い関係も浮き彫りになるし、自分の性格も浮き彫りになりますよね。恥ずかしがり屋な部分、消極的な部分、逆に結構ガツガツしてる部分もあるんだなとか。いろんなことの浮き彫り期間ですよね。対自分の時間が長すぎるんで」
タカハシ「何か見つめ直す時間って感じだったね」
武井 「うん」
ラブアンドピースを歌うべきだと思った
――今作は6枚目のフルアルバムですが。
武井 「6枚目!?って言うとビックリしちゃうな」
砂川 「インディーのも入れると、もっとだよね」
武井 「もう100曲ぐらい書いてんじゃん。すごいな」
――聴かせていただいて、10年経っても初期の頃と変わらない新鮮さがあるなと思いました。
武井 「いや、ほんとなんですよ。非常に完成されてない感。10年の重みもありながら、熟練感も所々出ながらの、消えない親近感。それは出そうとして出せるもんじゃないですよ。良くも悪くもチェコらしさですね」
――アルバム発売のアナウンスが2020年の元旦でしたが、その時点ではどのくらい完成してたんですか?
武井 「録る曲はほぼ決まってましたね」
砂川 「まだ録ってはなかったよね」
タカハシ 「レコーディングは1月から3月まで入ってたと思う」
――ちょうどコロナ前に録り終えた感じなんですね。4人になって再出発という形で制作が始まっていった?
武井 「はい。ただ、どういう曲を歌うのが合うとか、サウンドの中で何を歌うべきかというのがあって、何となく“ラブアンドピース”かなと思って。たとえば『Hello New World(DOOR Remastered ver.)』(M-3)とかは、もっと単純明快に人は美しくなれる、なれたらいいのになという願いです。普遍的なメッセージだと思うんですけどね」
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――制作スタイルは4人になって変わりましたか?
武井 「そこは5人の時から変わってないですね。作る時は集中力を発揮して作って、化学変化も大事にしながら、録る時は良いもの録ろうっていう。でも4人になってからサウンド面の層の作り方は結構変えました。前は単音ギター2本で和音を並べて、大らかなコード進行をシンセや鍵盤で作ることが多かったんですけど、今回は分厚いギターの壁で層を作って、歌とは違うメロディーをギターで奏でる。音数は少ないけどバンドサウンド。ライブで音をジャーンって出した時に気持ち良い。そういうのは、やってたようで意外とやってなかったので」
タカハシ 「そうだね。4人になって『Baby Baby Baby Baby』とか『Forever Summer』を出して、モードがそっちの方に行ったんだろうなという感じは多分、メンバーみんな思ってたのかな」
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砂川 「大きく今までと違うと思った記憶はないですけど、4人でナチュラルに表現しやすい曲作りなのかなとは思いました。前は音数が多かったから、手が足りない時もありましたし」
不思議と今の状況にマッチする曲が多い
――新曲の『Bye Bye Summer』(M-7)は、1分半という短い曲ですね。
武井 「『Bye Bye Summer』は作ったの、夏の夜だったのかな。まさしく曲通りの、夏が終わりかけの、すごい寂しい夜に作ったんだよ。暗い部屋で1日曲作ってるような期間だったんですよ。部屋に閉じこもって、でも何も書けないんで、“もういいや”と思ってたらこれができて、すごく哀愁を感じて。駆け抜けて終わっていく夏の感じが出たらいいなと思って」
――アルバムのちょうど真ん中の位置にきていますね。
武井 「曲順はいつも悩みますね。でもこれは絶対にアルバムのA面B面の橋渡しの曲になると思ったんで、狙い通りです」
――最初から短めの曲を作ろうと思っていたんですか?
武井 「いや、思ってないですけど、めっちゃ短い曲は作ってみたいなと思ってて。だから超嬉しかったです。でもちゃんと曲としての骨組みはしっかりしてるから、短く感じないんです」
――なるほど。『Dong Dong』(M-6)はリリックビデオもすごく印象的でした。
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武井 「レコーディングしたのはコロナが大変になりかけぐらいの時じゃないですかね。まだ自粛っていうムードでもなかったね。“どうなっていくんですかね?”ぐらいの時に録ったよね」
――元々アルバムに入れるつもりではなかった曲だそうですが、なぜ入れようと?
武井 「正太郎が入れた方がいいんじゃないかって」
山崎 「あと1曲分アルバムに空きがあったんです。そこに入るであろう曲は一応決まってたんですけど、武井の作ってきたデモをレコーディングの前に改めて聴き直したら、やっぱり良い曲だなと思って。個人的に忌野清志郎さんの『デイ・ドリーム・ビリーバー』的な優しいアンセムみたいに聴こえて。で、これ絶対入れた方がいいなと思って、『Dong Dongめっちゃ良いんだよ、入れたいんだよね』ってゴリ押ししたんです。その時は曲が未完成だったので、武井にお願いして完成させてもらいました」
――そうだったんですね。あと私、『土曜日』(M-12)が超名曲だと思うんです。
タカハシ 「私も思います!(笑)」
――“甘い 辛い 日々だから あまり周り気にしないように”というところで、タカハシさんの歌声が母性爆発してますよね。
タカハシ 「(笑)」
――この曲が生まれた背景を聞いてもよいですか。
武井 「生まれた背景というのは、何にも覚えてないですね。“できてた”っていう感じで。何となくそこにいて、トントントンとできてった感じ」
山崎 「この曲、結構前からあった?」
武井 「『La France』(2019年11月発売)の時からあった。で、アルバム用に取っておこうとなったんだ」
砂川 「そうだ」
――武井さんパートの“そう思った”は歌というよりはセリフですね。
武井 「あそこは歌じゃないべきだろうなと思って。喋る方がいいなという感じで、家で作った時からセリフでした」
――ギターやドラムの音作りに関しては方向性を決めたりされましたか?
砂川 「そんなに“こういう音で”みたいな話はなかった気がします。デモ聴いて、“こういう感じの音色かな”って自分で想像して録った感じですかね」
山崎 「ドラムのアタック音に広がりを出したり、壮大な曲に合うように録れたらいいなと思ってました」
武井 「壮大に持っていきたかった感じはみんなにも伝わってたんで」
――そして最後の歌詞が“まだまだ生きるわ”という、今の状況に通じるところがあるなと。
武井 「かなり通じちゃいましたね。そんなつもりじゃなかったんですけど、勝手に意味を持ちました。この曲の肝は“人と会えることがこんなに嬉しいんだ”という想いなんですよね。それがこんなに今の状況とハマるとは思ってなかったです」
――『摩訶不思議(DOOR Remastered ver.)』(M-1)や『Hello New World』も今の状況にマッチしていると感じましたが、チェコって、図らずも作品がその時のバンドや世の中にリンクすることが多い気がしますね。
武井 「そうなんです。予言的なのがめっちゃ多いんですよほんとに。誰もそこ注目してくれないんですけど(笑)」
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――『Happy End』(M-11)もそうですよね。“夜が燃えがって消えたら何か始めよう どこか出かけよう”の部分とか。
武井 「最後は“これもハッピーエンド”だしね。意外と通用するか。すごいね(笑)。今気付きました」
今の武井さんはポジティブだし、人を引っ張ろうとする力がすごくある
――『DOOR』というタイトルにした意図は?
武井 「人生は選択の連続という意味で、たくさんドアがある中で、でも結局同時に開けられるドアはなくて開けられるドアは1枚。1枚開けてまた1枚。連続するドア。その瞬間のたくさんのドアというよりかは、開けられるのは1枚という意味でつけました。だから単数形なんです」
――なるほど。ジャケットはお馴染みのSTOMACHACHE.さんが手がけていますが、オファーはどのようにされたんですか?
砂川 「武井さんがラフ画描いてなかったっけ?“こういうイメージです”、みたいなので描いてもらってた気がします」
武井 「みんなで話し合ってたどり着いたね」
――では皆さんの聴きどころを教えてください。
タカハシ 「私はやっぱり『Hello New World』。歌詞が今伝えたいことだし、自分の中では永遠のテーマ的だと捉えているなあと思っていて。この歌詞とこの曲は、これからもずっと歌い続けたいなと思っています」
――すごく響く楽曲ですよね。
タカハシ 「サビの“喜びも痛みも共に分け合えたら”、とか。武井さんって昔からテーマは一貫して愛を歌ってるような気もするんですけど、今回は具体的に分かりやすく伝わってくるというか。こんな大変な世の中になる前に書いたけど、どんな時代でもいろんな問題があって、歴史や過去があって、今につながって、まだまだ解決されないことはたくさんあると思うんですけど、人類の永遠のテーマでもあるような気もするし、それが分かりやすく響くなあと思って、私は好きなんです」
――それを受けてどうですか武井さん。
タカハシ 「ふふふ」
武井 「バンドで最近この曲をちゃんと演奏するようになって、すごく良い曲だなと思いましたね。存在感があるし、ライブ映えする曲じゃないかな。今届けたい曲ですね」
――武井さんの聞きどころはどこですか?
武井 「うーん。全部っちゃ全部だし、『Everything(DOOR Remastered ver.)』(M-2)とかもやっぱり『Hello New World』と同じ世界軸の曲で、これもやっぱり今届けたい曲だなって感じがします」
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――未来感がありますよね。EP『Odyssey』(2019年4月発売)からこの曲を選んだ理由はあるんですか?
武井 「これは満場一致でみんな好きというか、ライブでものすごく存在感を放つ曲なので。これなしには4人の旅路は語れないですね」
――なるほど。
山崎 「僕はやっぱり『土曜日』ですね。この曲は元々音源化する予定じゃなかったんです。リハで練習してる時、ライブ向けに考えてたアレンジがあまりにも楽しくて、もうカッコ良いから音源化してしまおうってことになったんです。レコーディングにも熱いパッションをどうしても詰め込みたいなってことで、テイクを1〜2回で厳選したんで、是非そこを聴いてライブのパッションを思い出して、また早くライブに来てもらえるようになったらいいなって」
――それはライブ感ありますね。
砂川 「僕は今回、全体的に武井さんの空気が変わったなと思ってるんです。前は内に入っていく感じで、自分と向き合う曲が多かったなと思ったんです。それはそれで良かったけど、今は外に開いてるというか、“ついてこいよ”ぐらいな感じの武井さんだなと思っていて。ポジティブだし、人を引っ張ろうとする力が今すごくあるし、そういうところが曲や歌詞に出てると思う。そこがやっぱり今までのチェコとは違うかなあ。だから10年経って、成長と言うと偉そうですけど、すごく変わったんだなと僕は思うんで、聴いてもらったら伝わる部分じゃないかなと思います」
――武井さんご自身は、曲の雰囲気が外に向いてきているような意識はありますか?
武井 「今まさしくアルバムタイトルと通じた瞬間で、内から外に出始めた感じがしますね。今家に閉じこもってる状況だけど、気持ちは家から扉を開けて外に出た瞬間。確かに前はもっと内へ向かってて、ホームパーティーの延長みたいなバンドにしたいと言ってたんで」
――いつぐらいのタイミングで変わっていきましたか?
武井 「年を重ねてリアルな部分も照らし合わせて、だと思いますね。いつまでもボクちゃんでやってらんないし。絶対に削れないワンパク感とかやんちゃな部分もバンドの良いところなんで、そこはきっと消えないんですけど、精神性が1段階上がったというか」
砂川 「前はもっといろんな事に迷ってる感じがして、それが駄目だったって話じゃないんですけど、今は見てて迷いがないなーという感じがしますね」
武井 「迷ってばかりです」
砂川 「もちろん迷ってるとは思うんですけど、筋が1本通ってる感じに見えますね」
――改めて10年という月日をどう感じますか?
砂川 「やっぱりめちゃくちゃ長かった気しますけどね。10年ってこんな感じなんだね」
武井 「もちろん短かったなーっていう部分もあるし。例えば、あの曲ができた日のことをものすごくはっきり覚えてるとか、その後どうだったとか、鮮明に覚えてることはいっぱいあるんですけど、歴史としてバンドの10年考えるとすげえ長かった気がしちゃいますよね。10年前の自分らと対談したら、全く話が噛み合わないと思いますね」
山崎 「でしょうね(笑)」
タカハシ 「噛み合わなそー!」
武井 「帰り道に“あいつらやばいねー!”ってお互い言ってそう(笑)」
砂川 「“クソガキだねえ”って(笑)」
武井 「めっちゃイキってんじゃんって(笑)」
タカハシ 「ねー(笑)」
――ご自身の内面でも変わったなという部分はありますか?
タカハシ 「武井さんは変わったんじゃないかなあ」
武井 「みんな変わっただろ」
タカハシ 「もちろんみんな変わったけど、やっぱり武井さんにリーダーシップの力が出てきてるよね。昔はなかった」
武井 「あったよ!」
タカハシ 「(笑)」
――まだ先が見えない部分もあると思いますが、この状況で伝えたいことをお一人ずついただけますか。
武井 「俺はもう、愛と平和。みんな人と仲良くしたまえと。自分もそうだし。人間は本当にまだ過渡期だなっていう。今、人間の未完成性さが浮き彫りになってますよね。“対コロナ”っていうわかりやすい構図じゃなくて“対何か”になって、人間ばっかで争ってる」
――そうですね、政府への思いとか。
武井 「そういうことはもっと言っていきたいですよね。俺らが生きてる時代で、俺らに関わる事なんですからね。けど根本辿れば絶対みんな良い人なんだなと思っちゃうんですよね」
山崎 「僕は早くアルバムツアーして、とにかくライブがしたいです」
砂川 「今みんなしんどい状況に立たされてるかもしれないけど、これをみんなで乗り越えて、笑顔でまた再会したい気持ちがすごく強いです。その時まで、自分も自分であれるように、自分の役目をちゃんと果たせるようにしておきたいなと思うんで。また笑顔で会いましょう」
タカハシ 「きっと不安だったりイライラしたり、みんな同じだと思うんですけど、こういう時期もきっと、将来的に考えたらすごく大事な時期だったと言えると思っていて。だから本当に頑張って乗り越えて、新しい場所で、新しい世界で笑って会えるように、一緒に頑張りたいなと思います」
――チェコとしてはこれからもできることをやっていく感じですかね ?
武井 「もちろん!」
砂川 「7月10日にライブを配信するんで、それは見てもらいたいです! 是非お願いします」
text by ERI KUBOTA
(2020年7月 9日更新)
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