シングルにミニアルバムにツアー
デビュー5周年に向けて現在全力疾走中
早見沙織インタビュー
声優としても活躍するシンガー・早見沙織は、来年8月にアーティストデビュー5周年を迎える。これに向け10月にはスペシャルライブを東京・大阪で開催し、12月18日(水)にはシングル『Statice』を配信リリース。加えて来春にはミニアルバムの発表し、同作に続く全国ツアーも5月29日(金)からスタートさせる。このようにメモリアルイヤーに突入して今まさにギアアップ中の彼女を直撃!“5周年のあれこれ”を聞かせてもらった。
――来年はアーティストデビュー5周年! 10月にはそのキックオフとなる「早見沙織 Special Live 2019 “CHARACTERS”」がありましたね。いかがでしたか?
「応援してくださるみなさんに、いつもと違ったスペシャルなことをお届けしたいと思って、自分がこれまで歌ってきたオリジナル楽曲に加えてキャラクターソングというアニメで歌った曲をセットリストに織り込むという初の試みでした。とても熱い時間を過ごせましたね。東京と大阪の2か所だったんですが、東京の方は楽曲をクリエイトしてくださった方や作家陣も見に来ていただいて……。10年ぶりに再会するスタッフさんもいて個人的にも感慨深いライブになりながらも、全力で今を楽しめた公演だったかなと思います」
――いいキックオフになりましたね。
「そうですね。約5年間のアーティスト活動でファンのみなさんと築きいてきたライブの一体感をしっかり感じることができてありがたいなと思いました。それに、これまでのツアーを踏まえ、この先どんな風にライブを作っていくかや、どういった演出をしていくかを制作チームと密に話せました。長く一緒にやっているので、こういうのが合うんじゃないかなとか、お互いのことが見えてきたんだと思います」
――ちなみにデビューから今日まで、観客の変化はありますか?
「温かいですね、ずっと。それは変わらずです。ただ、手拍子をしたり一緒に歌ったり、そういうライブの楽しさというか空気感みたいなのはグッと浸透したかなと思いますね。しかもそれは自然にみなさんが作ってくださったと思います」
――さて。5周年へ向け、次はシングル『Statice』が12月18日(水)に配信リリースに! これはゲーム「無双OROCHI3 Ultimate」の主題歌でもあり、その内容にマッチするスケール感のある仕上がりですね。
「そうなんです。とても華やかなアレンジになっていて、言葉もすごく壮大になりました。今作はまず作品(ゲーム)があっての楽曲なので、作詞はゲームの企画書やシナリオをいただいて読んで、最初にそのコンセプトや世界観を理解してからでした。実は私もゲームに出演させていただいているんです。今回(『無双OROCHI』シリーズに)新しく出てくるキャラクターで、大地の女神というか地母神みたいな役柄なんですね。なので、そういう母なる視点も少し意識していて……。なぎ倒してバッサバサっていうところも(ゲームには)もちろんあるけれど、もっと俯瞰して大きな母の愛というか、世界が移り変わっていくなかにある普遍的なものを書きました。だからできた詞はゲームや曲の雰囲気にそぐう壮大なもので一見すると日常からかけ離れた感じの言葉を選んでいるんですが、書いているうちにどんどん、これ日々頑張る我々なんじゃないかなと思えてきたんです。こんな風に切磋琢磨して一日を生きている人たちが世界を構築しているんじゃないかなと……。働く人も学生さんも、楽しいこともあるけど乗り越えなきゃいけないこともすごくあって、日々戦って生きているなと思ったんですね。みんな一人ひとりの中に広い宇宙を持っていて、でも逆にその宇宙はすごく身近だったりして……。その不思議な普遍性というか近さみたいなものを込めたいなと思って、途中からは壮大な言葉を選ぶけれど、思い浮かべるシチュエーションや当てはめる状況は、なるべく聴いてくださる方の日常に寄り沿えるようになったらいいなと思っていました」
――この曲を聴きながら終電のサラリーマンを見たら落ち武者に見えてきそうです(笑)。
「みんな戦う者たち、生きぬく者たちだと思います」
――なんだか泣けますね(笑)。
「私も泣きそうになりました。この詞は明け方までかかって書いたんですよ。それで曲を聴いたら、これ自分!みたいな……一つ戦いを終えたあとみたいでした(笑)。そしてまた、曲がとてもいいんですよ。山場もあるし山場を越えたところも聴けるという」
――メリハリがありますよね。メロディもアレンジもボーカルも静かに始まり、サビでググッと高まります。
「曲がいい具合に(ボーカルを)導いてくれたんです。Aメロの序盤は静かに楽器もサラッと優しくて、Bメロはだんだん大地が鳴っているようになり壮大さが増して、サビは前半と後半で折り返す感じになっているんですけど、1番はサビの前半でBメロからもう一段階広がるというか……カメラで言うとパーンって視界が広がり、そのあと折り返しで4つ打ちのリズムが始まって駆け抜けるイメージになるんです。情景や雰囲気がアレンジやメロディで表現されているので、それに導かれるように……でした」
――でも歌唱力が高いからこそできる落差ですよね。難しそうです。
「どっち(Aメロとサビ)も違う難しさがありますね。例えばAメロのところのブレスは繊細なので0.005mmブレるとわかっちゃうみたいな……。2番のAメロの“想って目を閉じれば”と“時が奪っていく”の間で息を吸うんですけど、そこはいろいろなテイクを録ったんです。気持ちがのっている時はブレスがフワッと震えるんです。ただフーッて吸うんじゃなくてフフフーッて…(笑)。あまり意識せずにしてはいるんですけど、聴き直すと全然違いますね。なので敢えてそういうの(呼吸が震えるテイク)をチョイスして変化をつけたりしました。よく聴いていただけるとわずかにブレスが揺れるのがわかるかもしれないですね。逆にサビの方は楽曲がパワフルなので、やっぱり自分のエネルギーも必要でしたね。ふう~って思うとそれもすぐ出ちゃうので、自分の強い意志……折れない精神も必要とされるのだなと歌っていてわかりました(笑)。だから今回は自分のいろいろな部分を引き出されるように歌えた気がします。その時はいっぱいいっぱいだから、あとから思えばですけどね(笑)」
――いろいろな努力があったんですね。
「あと、詞を歌でもありその人から発せられる言葉でもあるようにするというか、日常にあふれる会話としても無理がないように、語尾を伸ばして歌うよりちょっと切ってしゃべっているみたいにしたんです。落ちサビの“この路はどこへと続くのでしょう”の部分は、それで聴こえが変わってくるということで何テイクも録りましたね」
――細やかですね。そんなシングル『Statice』に続くミニアルバムのリリースが来春に控えていますが、現在の状況は?
「絶賛制作中でございます(笑)。5周年らしい新たな試みもあり、私的にもワクワクなミニアルバムになると思います」
――ワクワクなんですね(笑)。
「果てしないドキドキもありますね(笑)。でも、それこそこの5年間で築いたチームの絆を頑張って反映させていきたいですね。お楽しみに!」
――笑顔ですが、今大変な時なんですね(笑)。何か癒しになるものをご用意すればよかった!
「あ、でも今日、空き時間に大阪城公園に連れていってもらったんですよ。最高でした。天気もよかったしアイデアも出たし……。偶然にも、こんなこともあるんですね!っていうことがあったんです(笑)」
――そのアイデアが形になったら教えてください!
「もし現実になったら、あの時のことがきっかけで!ってなりますよね。今日、大阪来てよかった~って(笑)。でも、フラッシュアイデアが出たばかりなので、これから企画会議などもあって“練り練り”する必要が……」
――なるほど。そんな期待のミニアルバム発表のあと、来年5月からは全国ツアーも始まりますね。
「春に出るミニアルバムをいかしたセットリストにしたいと思いますし、5周年の記念のツアーと銘打つところもあるので、この5年間に発表した楽曲も……。それらが最新作と合わせるとどういう風に変化して聴こえてくるかも楽しみですね」
――そこで大阪城公園でのアイデアが形になっていたら大阪のファンは喜びますね。
「実現したいですね(笑)。頑張ります!」
text by 服田昌子
(2019年11月18日更新)
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