インタビュー&レポート

ホーム > インタビュー&レポート > ただ音楽をやっているだけじゃなかった すべては人生をどう生きたいかということにつながってくる メジャーデビュー20周年を飾る ニューアルバム『THE VOICE』を手にツアーへ Full Of Harmony、HIROにインタビュー


ただ音楽をやっているだけじゃなかった
すべては人生をどう生きたいかということにつながってくる
メジャーデビュー20周年を飾る
ニューアルバム『THE VOICE』を手にツアーへ
Full Of Harmony、HIROにインタビュー

メジャーデビュー20周年を迎えたFull Of Harmony。6年振りとなる通算9作目のアルバム『THE VOICE』が11月6日にリリース。ジャンルを超えて交流してきたMighty Crown、横山剣(CRAZY KEN BAND)、AYA a.k.a. PANDAという超強力なフィーチャリング・アーティストも加わり、熱く胸に迫る新曲群が並ぶ本作を携えて、『20th Anniversary Natural Born Sangstar 2019~The Voice 』が11月16日の札幌からスタート。ここに至るまでの長い道のりを、どのような思いで音楽と向き合ってきたのか?日本R&B界のパイオニアであり、'09年からソロ・プロジェクト「MIHIRO~マイロ~」としても活動しているHIROが真摯に深く語ってくれた。

新しい曲を聴いた方が新鮮に思ってもらえるようなサウンドを作る
 
 
――今年デビュー20周年を迎えるまで、どのような意識で活動されてきましたか?
 
「いつも新しくいたい!という意識で、とにかく前へ前へという感覚でやってきましたね。年を重ねるごとに体力をもっとつけたいとか、自分を内からも外からも磨かないといけないなと考えるようになって。ジムで体を鍛えるような感覚で、日々いろんなジャンルの音楽を聴いています。やっぱり時代も変わりましたし。いろんな新しいアーティストの方も出てくるので。自分自分になり過ぎるのもつまらないかなと思いますし。僕らが影響を受けたR&Bというもの自体、いろんなものが加わって進化していってるわけですから。新しい曲を聴いた方が新鮮に思ってもらえるようなサウンドを作るというやり方で。それが自分が影響を受けたR&Bに対する礼儀だったりするのかなと。日本人だからこそみたいなところをもっと追求していきたいですね」
 
――そういう気持ちが強くなってきたのは、いつ頃から?
 
「『I Believe』('03)を出した頃ですかね。あの曲はどちらかといえばポップス寄りだったので、R&Bを歌うアーティストでいたいと強く思っていたFull Of Harmonyとしては、それをやるべきなのかなって揺れた時期でもあって。でも聴いてくれた人の反応は絶対返ってくるから。それでジャッジしようと。実際、『I Believe』を聴いてファンになってくださった方もたくさんいて。自分の今後の道しるべになった大きなターニングポイントでしたね。それまでは、英語で歌うことが多かったところから、日本語の歌詞の割合も増えていったし。自分が聴くジャンルもそこで変わっていった気がします。(それまでは)R&Bしか聴かなかったですからね」
 
――特にベースになっている時代のR&Bは?
 
「特に聴いていたのは91、2年あたりから、2002年までの10年間ぐらいですかね。僕のそもそものルーツはスティーヴィー(・ワンダー)なんです。テンプテーションズとか、カーティス・メイフィールド、マーヴィン・ゲイなんかはハードルが高く感じたので。もうちょっとポップスやクラブミュージック寄りで、80年代のマイケル・ジャクソンとかのそういうのを経て、90年代のR&Bのストリート感が一番自分に合っていましたね」
 
 
 
ステージで一緒に音楽を楽しめる人、間違いなく刺激をくれる人を
フィーチャリング
 
 
――ニューアルバムの『THE VOICE』というタイトルはFull Of Harmonyの声の力を象徴しているようです。
 
「そうですね。声はたくさん入れていて。そのへんはFOHの3ボーカルの面白さだと思います」
 
――HIROさんはメインボーカルという位置に?
 
「メンバー的にそういう意識でいるようですけど(笑)。僕自らがリードボーカルって言ったことは一度もなくて。僕のキーが一番高くて、シャウターで熱いところは僕が担当してしまうんで、目立つのかもしれないけど。作曲に関しては僕がほとんどしているので、メンバーの(声の)割り振りをイメージして、基本的には三等分しています」
 
――フィーチャリング・アーティストはどのように決めているのですか?
 
「ステージで一緒に音楽を楽しめる人、間違いなく刺激をくれる人を考えて選びますね。Mighty Crownや横山剣さんは以前からお付き合いがあって、とても刺激を受けてきました。AYA(a.k.a. PANDA)ちゃんは出会って1年ぐらいなんですけど、この曲にはこの声しかない!と。そもそも、AYAちゃんのいちファンなんで(笑)。声のトーンが気持ちいいし、すごくセンスが良いと感じますね。歌詞は個性的で飾らずに自分のライフスタイルをストレートに書いてて、ライブもキラキラしてる」
 
――ニューアルバム『THE VOICE』の幕開けを飾る『祝杯 feat.Mighty Crown』(M-1)は、やはり今回の20周年を祝う気持ちで作られたのですか?
 
「そうですね。とにかく、(FOHが)二十歳を迎えて、手にグラスをみたいな曲がほしくて。今となっては、分かち合いたい仲間が増えたし。Mighty Crownはレゲエの世界チャンピオンなんで、20周年という大切な時にお声をかけたいなと思っていました」
 
――一曲目からインパクト大で熱く盛り上がります。
 
「もうFull Of Harmonyって感じですよね(笑)。ジャストなレゲエでもない、もちろんポップスでもロックでもない。Full Of Harmonyっていうジャンルですね」
 
――『とりまレイドバック feat.AYA a.k.a. PANDA』(M-3)のトラックはトロピカルハウスのようですが。
 
「そうですね。『祝杯 feat.Mighty Crown』にもつながるんですけど、乾杯の先に意気投合して音楽が生まれるっていうことで。みんなでひとつの波に身を委ねようみたいな曲を作りたくて。ゴリゴリのパーティーチューンよりも肩の力を抜いて、ちゃんと景色も見ながら脱力できる、音に身を委ねてふわふわできる曲です」
 
――だから、タイトルにも“レイドバック”というワードが入っている?
 
「そうです。R&Bから学んだことでもあるんですけど、レイドバックはFull Of Harmonyにとってはキーワードだったりもするので」
 
――前半はすごく攻めている印象で、アルバムの中盤には『僕に歌える歌があるなら』というようなじっくり聴かせるバラードがあり、後半はよりソウルフルでエモーショナルになってディープに引き込まれていきます。ライブもこの曲順で聴いてみたいなと思いました。
 
「いつもライブを一番に考えて作っているから、(アルバムも)ライブのセットリストみたいになるのかもしれないですね。やっぱりライブを楽しみたいですよね。自分が生きてる感をすごく感じるし、リスナーの方々と直に向き合えるタイミングもライブなので」
 
 
 
次の30年を目指せるように、今作がこれからの活動の源になれば
 
 
――リリックには20年分の思いが刻まれているんだなと。
 
「リリックに関してはメンバーとコミュニケーションとりつつコンセプトを決めていくんですけど。やっぱり20周年を迎えて、ざっくりと今の心境を書きましたね。僕も歌詞は書くんですけど基本的に作曲がメインなんで、(他のメンバーが)何を書いてくるんだろうと…。それぞれのプライベートには入っていかないようにしてるんですよ。20年も一緒にやっていると(笑)。だからメンバーが書いてきた歌詞を見て、お前は相変わらずだな~と思ったり、やっぱ言いたいことってそこなんだって思ったり、へーそんなこと考えてたんだ…って思うこともあります。これを機に次の30年を目指せるように、これからの活動の源になればいいな、というところは3人とも強いと思いますけどね」
 
――『素晴らしき未来 feat.横山剣(CRAZY KEN BAND)』という曲もすごく前を向いている一曲ですね。
 
「うん。やっぱR&Bに執着した時期があったからこそ学んだ景色ですかね…。時代は変わりますから、自分も変化していくっていうのは必須で。そして、自分を信じ続けるっていうのは結構難しいテーマですけど、続けたいなと思いますし。続けられる自分でいたいなとも思います。意外とスポ根みたいなところもあったりして、根性も信念も大事だし。自分自身を鍛えていくための音楽の出会いだったかもなとも思います。自分の歌しか見つめてない時期もあって、そこから音楽が見えてきて…、人生を考えさせられた20年…。もちろんその前もあるんで、ただ音楽をやっているだけじゃなかったんだなと。すべては人生をどう生きたいかということにつながってくるんだなって」
 
――とても深いお言葉です。
 
「今はYouTubeやSNSがあったりして、アーティストやミュージシャンを目指す人も窓口が広がってますけど。僕らの時代はデビューしたくても簡単にはできない時代でしたからね。そこでチャンスをいただいたということは、そこから人生を学べ!っていうことなんだろうなと。大人になってしまったところもありつつ、少年でいたいなっていうところもありつつ。そのバランスをちゃんと持って、人間らしいアーティスト、シンガーになりたいなと思いますね」
 
――ずっと応援しているファンのみなさんもきっと感じるものがあるでしょうね。
 
「そうですね、感じてもらえていると思います。デビュー当時、高校生だった子がもう30代後半ですからね。世代は変わっていくので。そこに甘えたくないというのもあるし…」
 
――長年共に歩んできたファンの方々を大切にしつつ、新しい世代のファンも引き込んでいって。
 
「そうですね。そのためには、自分たちもさらに進化していきたいですね。(時代の)流行りとかありますけど、正直に音楽と向き合って、今これを作りたい!というものを吹き込んで、ジャンルとかじゃなくて、FOHだからこういう音楽になるみたいなのを発信していって、そこに新しいファンの方々がついてこられたら嬉しいです」
 
 
 
ライブはバンドで一夜限りのアレンジでやります!

 
――最後に、『20th Anniversary Natural Born Sangstar 2019~THE VOICE』について、そして2020年に向けてお願いします!
 
「ライブはバンドで一夜限りのアレンジでやりますし、“二十歳の誕生日会”という雰囲気を作りたいと思います! だからみなさんも声やノリで表現していただけたらと。そういう空気感を思いっきり作ります! ステージはあるんですけど、気持ち的には同じ目線で、コミュニケーションを取りながらやります。ニューアルバムの曲はもちろん全部やりますし、今まで出したシングルはなるべく多くやりたいなと。9枚出させてもらったアルバムの中の曲ももちろんやりたいですし、2時間では入り切らないので(笑)、そこは厳選します」
 
――今作を聴くだけでもとても胸に迫るものがあるので、これを生の空間で体感するとさらにすごいことになりそうですね。
 
「はい、がんばります! 同日にトリビュート・アルバムも出るんですけど、それはまた来年ライブでやりたいなと思います。来年はオリンピックもありますから。ライブや楽曲制作を競技だと思って、2020年は金メダルを狙っていきます!」

text by エイミー野中



(2019年11月22日更新)


Check

Movie

Release

Album『THE VOICE』
発売中 3182円(税別)
VIZL-1655

《収録曲》
01. 祝杯 feat.Mighty Crown
02. Body line
03. とりまレイドバック feat.AYA a.k.a. PANDA
04. 音Maniacs
05. 僕に歌える歌があるなら
06. OVER DRIVE
07. Everlasting Love
08. DREAMER
09. 素晴らしき未来 feat. 横山剣(CRAZY KEN BAND)
10. Outro~THE VOICE ~

Profile

1997年、HIRO、ARATA、YUTAKAの3人でFull Of Harmonyとしてグループ結成。1999年にF.O.Hとして「BABY」でデビュー。同年10月 「BE ALRIGHT」でREWIND RECORDINGSよりメジャー・デビュー。2000年に1stアルバム「Full Of Harmony」誕生。ZEEBRA全国ツアー、 KC&JOJOのオープニングアクトを務め、DOUBLEの復活作「handle」へのゲストや自身のXマス・アルバム「Wishing A Special Christmas To You」にDreams Come Trueより吉田美和をゲストに迎える等、多方面で話題に。2001年にはVincent Herbertのプロ デュースでNY録音。9月には2nd ALBUM 「F.O.H II」をリリース。初のワンマン「Natural Born Sangstar」を東京/大阪で行う。 Rhymester「ウワサの真相」への参加はこの頃。2002年にはRhymester全国ツアーに同行、秋にはRhymester プロデュースのシング ル「S.E.X feat. Rhymester」を含む3rd ALBUM 「PROJECT VIKING」を発売。2003年に韓国映画「猟奇的な彼女」の日本語テーマ曲 「I Believe 」は映画共にヒット作に。その後ビクターに移籍、結成当時の「Full Of Harmony」として2004年に4thアルバム「Life size Speaker」を発表。2005年には角川映画「戦国自衛隊1549」の主題歌「涙の数だけ」を発売。その後シングル集「SINGLES9905」、 初クリップ集「CLIPS9905」もまとめられる。2006年5thアルバム「DRAMA」をリリース。その後Ne-Yoプロデュース「BRAND NEW DAY」を筆頭に海外アーティストとのコラボで話題に。2007年にはTeddy Rileyプロデュース/客演の「G.O.O.D TIMES feat.Teddy Riley」を経て海外レコーディング集大成6th ALBUM「W」を発売。春には全国ツアーを終え、秋にはTeddy Riley Japan Tourに同行。 冬には「White Album ~Winter Best」を、2008年の7th ALBUM 「ENERGY」がこれに続く。男性R&Bシンガーのイベント「SUGAR SHACK」を開始。レギュラーにはLL BROTHERS,HI-D,三浦大知, HI-D,JAY’ED TSUYOSHI ,LEOが名を連ねる。2009年にはフィーチャー リング・ベスト「BEST FEAT 9909」を発表。SUGAR SHACKではテーマ・ソング”SUGAR SHACK”誕生。またこの年HIROのソロ・プロジェクト「MIHIRO~マイロ~」が始動、Rhythmzone(AVEX)より1stアルバム「My Way」が発売。YUTAKAもDJ adiosとして活躍、ARATAは映像監督として数々のアーティストのMVを手掛け始める。2010年、アルバム「SUGAR SHACK Official soundz mixed by DJ HAL」をビクターで発売。2011年、LEOとSplit Single「BACK 2 The Floor」、アルバム「SUGAR SHACK FACTORY」をSAVAGEに残し、SUGAR SHACK内でLL BROTHERS、HI-DとNew Jack Swingユニット「RUNNING MAN」も結成。2012年にはレンタル限定アルバム「Love Ballad Collection」を、そして8枚目のアルバム「VISIBLE」が2013年に生まれる。ここに至る迄の足跡を2015年のCD+DVD集『Last Best To The Future』にまとめ、新曲「DREAMER」も収録。そしてメジャー・デビュー20周年を迎える2019年に向けて始動した彼等は、2017年12月に新曲「OVER DRIVE」を、第2弾シングル「音 Maniacs」を2018年8月、第3弾シングル「とりまレイド バック feat. AYA a.k.a. PANDA」を2019年5月、そしてMighty Crownとの初コラボ曲「祝杯 feat. Mighty Crown」を8月にリリース、このタイミングで11月6日に通算9枚目のスタジオ・アルバム『THE VOICE』のリリース決定がワンマン・ツアーの発表と共に伝えられた。

Full Of Harmony オフィシャルサイト
https://foh.jp/


Live

20th Anniversary「Natural Born Sangstar 2019 ~The Voice」

【北海道公演】
▼11月16日(土)札幌cube garden
【愛知公演】
▼11月29日(金)スペードボックス

Pick Up!!

【大阪公演】

チケット発売中 Pコード:162-870
▼11月30日(土) 17:00
心斎橋JANUS
自由-5500円(整理番号付、ドリンク代別途要)
※未就学児童は入場不可。
[問]キョードーインフォメーション■0570-200-888

【福岡公演】
▼12月14日(土)Fukuoka BEAT STATION
【東京公演】
▼12月20日(金)マイナビBLITZ赤坂

チケット情報はこちら