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the band apartのたぎる情熱と
心凪ぐようなアティチュードの絶妙さ
主催ライブ『SMOOTH LIKE GREENSPIA 2019』直前に
新作とライブへの意気込みを語ったインタビュー
21年目に紡ぐ充実の『POOL e.p.』に見る the band apartのたぎる情熱と 心凪ぐようなアティチュードの絶妙さ 主催ライブ『SMOOTH LIKE GREENSPIA 2019』直前に 新作とライブへの意気込みを語ったインタビュー
2枚組ベストアルバムのリリースやトリビュート盤、ファンからのリクエストを募ったツアーの開催など、にぎやかな結成20周年のアニバーサリーイヤーを終えたthe band apart。彼らが、前作『Memories to Go』から約2年ぶりの新作EPとなる『POOL.e.p.』をリリースした。先にミュージックビデオが公開されていた『DEKU NO BOY』(このタイトルのセンス!)をはじめとする収録曲4曲は、インタビューで荒井岳史(vo&g)が語っている通り、メンバー4人がそれぞれに持ち寄ったアイディアを出発点、または軸にしながら作られていったもの。抒情とともに2019年の今現在脈打つ感情を音にも言葉にも込め、色や匂い、空気もパッケージした聴きごたえのある一作。インタビューでは、その作品についても丁寧に語ってくれている。併せて、目前に迫った10月5日(土)の『SMOOTH LIKE GREENPIS 2019』や、その後に続くリリースツアーへの並々ならぬ意気込みも。20年の時の流れがもたらしたバンドの揺るぎなさと、誰にも真似できないしなやかさを作品でもライブでも体感して欲しい。
20年やってきて、バンドとしては今すごくいい状態なんだと思います
――前作『Memories to go』(2017年)のツアーで、荒井さんがMCで「こんばんは。the band apartといいます」とあいさつされていて、その当たり前な雰囲気に律儀さを感じるとともに20年経ってもそうやってMCすることがthe band apartにとっては自然なことなのかなと。
「そうですね。僕の場合はある程度作ったものを提出して、そこに手を加えていったり、メンバーに振ったところもあります。『DEKU NO BOY』に関しては原さんが結構自分で作り込んでいたと思います。原さんはそういうふうに作る人で、木暮は僕のやり方に近くて、みんなに振る部分もありましたね」
――20周年から21年目に入ったタイミングでもあるからなのか、『ディア・ワンダラー』に“あの頃のまま”という歌詞があったり、『DEKU NO BOY』に“あの日の僕ら”、『夢の中だけで』も『SCHOOL』にもこれまでを振り返る瞬間がありますよね。『DEKU NO BOY』のミュージックビデオも、ノスタルジックな曲の世界と今現在の4人の姿がマッチしていました。期せずしてそういう作品になったんでしょうか?
「20、30代の頃に比べると昔の良い記憶というか、追憶に浸る時間は増えたなと思いますし、『ディア・ワンダラー』の歌詞を書いている時は、ちょっといろいろ考えることもあってああいう歌詞になったんだと思います。『DEKU NO BOY』の歌詞もすごくいいなと思いますし、僕らもバンドとしては21年なんですけど、付き合いとしてはもう25年以上あるので、こういう歌詞になってくるのは自然なのかなって」
「この前、玉置浩二さんが“歌は50歳から”と言われていて。それを見た後に、『中津川THE SOLAR BUDOKAN』で渡辺俊美さん(TOKYO NO.1 SOULSET)が“歌は50歳からなんだよ”と言っているのを聞いて、あと9年かぁって(笑)。凄い人が二人そろって同じことを言われていたのでまだまだ頑張らないと(笑)」
「そうですね。こういうノスタルジックな路線の中に激しいサビがガッと入ってくる感じって、最近の木暮さんの作風の完成形みたいな気がします。木暮さんは『Memories to Go』で『お祭りの日』を書いているんですが、あの曲はもうちょっとメランコリックな感じで全体がまとまっているのに対して、『SCHOOL』はそういう部分もありながらサビは攻撃的で。それは木暮ワールドのひとつの完成形かなと。曲順も木暮が決めているんですが、、2曲目と3曲目がつながるというアイディアは最初からあって、それを軸にこの並びになったのかなって」
――今週末10月5日(土)はいよいよ『SMOOTH LIKE GREENSPIA 2019』です。昨年は20周年のお祝いも込めたラインナップでしたが今年は?
「今回は、今年出会ってカッコよかったバンドを中心に。JYOCHOは今年の春ぐらいにイベントで一緒になったんですが、『SMOOTH LIKE GREENSPIA 2019』をやるなら是非呼びたいなと思ったし、ものんくるは原さんが超好きで激推しで。そういう決め方でしたね。パスピエはこれまで何度も一緒にやってるけど、the telephonesはちゃんと一緒にやるのは今回が初めてかな。僕も楽しみですね」
――映像でもコメントされていましたが、JYOCHOもものんくるも学生時代にthe band apartを観ていたりコピーしていたり相思相愛で。映像コメントといえば、the band apartの4人が出演バンドを紹介する映像も公開されていますが、4人があまりにもありのままというか、声は小さいし居酒屋で飲んでいる感じそのままの映像でしたね(笑)。
――『SMOOTH LIKE GREENSPIA 2019』はバンドの地元である東京でなく、大阪で開催するフェスとして定着しつつありますね。
「今回で3年目で、定着させたいというか定着していると思ってます。『SMOOTH LIKE GREENSPIA』はこれからもやっていきたいし、それに見合うバンドであり続けないとと思っていますね。毎回、選びに選んだ人達とやるステージでもありますし東京でやろうとしてるフェスがまだちょっと開催に踏み切れていないんですが」
――で、間髪を入れずに翌週の10月13日(日)からツアーも始まります。
「自分達としては、『SMOOTH LIKE GREENSPIA 2019』がツアーの一発目みたいにもとらえていて。リリースツアーは通常10本前後やっているんですが、今回は本数を増やしてGREENSPIAを含めて15本って感じですね。12月14日(土)の大阪BIG CATがファイナルなんですけど、前回も確か大阪がファイナルでこれも謎に定着しつつあって(笑)。ファイナルは地元でやれよって感じかもしれないけど、ご存じの通り僕ら“レペゼン東京!”みたいな感じとか“東京に帰ってきたぜ”みたいな感じも特にないから、東京でやるとファイナル感が出ないんですよ(笑)」
《収録曲》 01. ディア・ワンダラー 02. 夢の中だけで 03. DEKU NO BOY 04. SCHOOL
Profile
ザ・バンド・アパート…荒井岳史(vo&g)、原昌和(b)、川崎亘一(g)、木暮栄一(ds)。’98年結成。’01年にシングル『FOOL PROOF』発売。翌年『Eric.W』、’03年に1stアルバム『K. AND HIS BIKE』リリース。オルタナティブロックやジャズ、フュージョンなどの幅広い音楽要素にヒップホップのサンプリング感覚も加味された多彩な音楽性と、高い技術、メロディアスな歌の融合は当時の音楽シーンに革新的な衝撃をもたらした。翌’04年メンバー自身が運営するasian gothic labelより『RECOGNIZE ep』をリリース。’06年に以前より親交のあったアメリカのバンド、MOCK ORANGEとスプリット盤『DANIELS E.P.』をリリース(‘16年に第2弾スプリットシングル『Daniels e.p.2』を発売)。’12年にリリースした『2012e.p.』ではそれまでの英語詞に代わり、全曲日本語詞曲になった。ボーカルの荒井岳史は’13年にソロミニアルバム『sparlers』を発売。以降、`14年に1stアルバム『beside』、’16年に2ndアルバム『プリテンダー』発売。ソロ活動も活発に行っている。’16年にthe band apart (naked)として『coral reef』などの既存曲をアコースティックで収録した初のアコースティックアルバム『1』、翌’17年に『2』をリリース。結成20周年の節目となった’18年はシングル『Falling in Love』発売を筆頭にLOW IQ 01や坂本真綾、ストレイテナー、吉田一郎不可触世界らが参加したトリビュート盤や2枚組ベスト盤のリリース、リクエストツアーなど精力的に活動。’19年10月2日、メンバー4人がコンポーザーとして個性と手腕を発揮した新作EP『POOL e.p.』発売。10月5日(土)服部緑地公園にて主催ライブ『SMOOTH LIKE GREENSPIA 2019』開催。『POOL e.p.』を携えたツアー『POOL e.p. release live SMOOTH LIKE BUTTER』は10月13日(日)香川よりスタート。12月14日(土)大阪BIG CATまで続く。