「仲間に寄り添う応援歌でもっと新しい景色を見せたい」
May’nインタビュー
1月に活動10周年を迎えたMay’nが、この節目を越え7月31日(水)に初のコンセプトアルバムで約10年ぶりとなるミニアルバムの『YELL!!』をリリースする! そこで今回、LiSA、ファンキー加藤、Sonar Pocket、鷺巣詩郎、大塚愛、田中秀和(MONACA)が手がけたナンバーを収めた同作についてインタビュー。さらに、現在開催中のツアーのことも語ってもらった。
――May'nとしての活動が10周年を迎えました。振り返ってみていかがですか?
「May'nという名前には“メインテーマとなるような歌を歌いたい”“メインストリートを仲間と歩いていきたい”っていう思いを込めているのです。10年経ってみて今、その気持ちをより強く感じています。そしてもっともっとその思いをみなさんに深く届けたいっていう風に変わったというか……。この10年でたくさんワンマンライブをさせていただいて、ツアーだけでも18本をやりました。そんななかで自分がありのままでいられる場所はライブだなって思っていますし、そこでかけがえのない仲間に出会えたことがとても幸せだなって思います。だから、新しいミニアルバムは大切な仲間に寄り添える音楽……それは私にとってのメインテーマとして掲げてきたものですけど、それを届けようと『YELL!!』(=応援歌)というものになりました」
――今の話のとおり、今作『YELL!!』にはポジティブな楽曲が並んでいます。
「はい。なかなか普段はそこまでシンプルに等身大の歌詞で“一緒に頑張ろう”とか“大丈夫だよ”って言ってあげられる曲が少なくて……。それは(アニメなどの)作品とタイアップしていて、過酷な状況を戦って生き抜くというようなテーマの曲が多いからですけど、今回は自分の年齢よりも下の方とかが、みんなでカラオケで歌ってくれたり、“わかる!”って思ってもらえる曲がもっともっと増えたらうれしいなっていうのがあったのです。そこで、等身大の歌詞や楽曲を手がけてくれるのは誰だろう?って考えた時に、ファンキー加藤さんや大塚愛さんが浮かんで、制作をお願いしました。みなさん“私の青春時代”なので! あとソナーポケットさんに参加していただいた曲もあります」
――豪華ですね。では、それぞれの方に今話に出た“等身大の応援歌”というテーマを伝えられたんですか?
「そうですね。ただ応援歌と言ってもいろんな角度やシチュエーションがあって、例えば毎日の生活とか恋愛とか人生とか……。そういうさまざまな視点からの曲を入れたいと思って、みなさんに相談しました。なかでもファンキー加藤さんとは綿密な打ち合わせをさせていただいたのです。まずは“May'nさんは最近どういうことを考えているの?”っていうところから始まり、私は“年齢を重ねて、いろんな自分がいてこその自分なんだなって思い始めた”っていうようなことをお話しして…。例えば、この人の前ではおちゃらけるのに、あの人の前では超おとなしい自分がいるとか、すごく真面目な自分がいたり、ちょっと不真面目な自分もいたりとか。いろんな自分がいるはずなのにそれが出せないのがもどかしくて、本当の私ってどれだろう?って悩んだ時期があったのですね。でも最近はいろんな自分がいてこその自分なんだって思えて、そう思えたことですごく楽になったのです。そういうのは時間が解決してくれたりもするけど、誰かに“全部、自分なんだよ。君のことを全部わかってるよ”って言ってもらえることでも解決すると思うから、そういう風に認めてあげられる歌がほしいですって話して『全部大丈夫』という曲作っていただきました」
――『全部大丈夫』は強い言葉やコーラスの感じが印象的ですね。ライブでも盛り上がりそう。
「この曲はファンキー加藤さんのカラーもあって、今までの私の曲にはない新しいエッセンスをいただけたなと思います。それに、私が10年間築き上げてきたライブのハッピーさとか前向きさとか、パワーの集まる場所(ライブ)みたいな空気感もまとっていて、セットリストのどこに入れてもフィットするかなと思います。早くライブで歌いたいですね」
――そしてリード曲『マイヒロイン』は、May'nさんと交流があるLiSAさんが作詞を担当。作曲はご自身ですね。
「LiSAちゃんはプライベートでも一緒に遊んでいて、何でも相談できる友達なのです。それで今回、10年間支えてくれたファンへの感謝の気持ちを素直に伝えたいって考えた時、私のこの10年を知り尽くしているからこそ、私以上に私の気持ちを素直に書いてくれるんじゃないか?って思って(笑)。LiSAちゃんは『マイヒロイン』が初めての作詞提供だったみたいで、そんな貴重な機会に選んでいただけて、すごく光栄だったなと思います」
――LiSAさんとはどんなお話を?
「私が作った曲を先にお渡しして“盛り上がるナンバーにしたい”と…。でもライブで盛り上がるナンバーにもいろいろあるので“この曲はエモーショナルかつ幸せな気持ちになりながら、みんなで先へ進んで、まだまだこれからもよろしくね!って言えるようなライブナンバーにしたい”ってお願いしました。あと、アンコールとか本編の最後とかに似合う曲にしたいっていうのも最初からありました。歌詞としては……私はファンの方のことを部員と呼んでいるんですけど、そういういつも隣にいてくれる近い存在の部員のみんなを応援できるような曲にしたいっていうことをお話させてもらいました」
――May'nさんとLiSAさんの関係性を想像して聴いてもグッとくる曲ですよね。
「そうですね(笑)。LiSAちゃんからMay'nへのメッセージとしても書いてくれましたし、それは私が部員のみんなに伝えたいことともリンクしたし…。LiSAちゃんは“ファンのみんなは、May'nに対して絶対こう思っているよ”とも言ってくれました。そうやっていろんな方向の矢印でとらえられるステキな歌詞にしてくれましたね」
――『マイヒロイン』や『全部大丈夫』のほかにも、スピード感ある『サマー・スライダー』など、今作はライブ映えしそうな曲が多いですね。
「ツアー中に制作をしていたっていう理由もあるのですけど、どれもライブを意識していますね。“みんなここでこうやって歌ってくれるな”とか“こういう景色が見たいな”とか思って…。もっともっと部員のみんなにいろんな景色を見せたいので、今までにはないノリ……例えば『stair』という曲なら縦ノリなジャンプっていうので楽しんでもらえるんじゃないかなって思っています。10年間、変わらない気持ちを持ちながらも、これから一緒に変わっていきたいねっていうメッセージでもあるし、新たに部員になってくれる人には、明日からも頑張れるパワーを受け取ってもらえたらうれしいです」
――10年間の積み重ねやファンとの信頼関係があるから、新しいテイスト曲にも恐れず挑戦できたんですね。
「確かに……。新しいチャレンジをする時って100%の自信はないし、何かしらの不安があると思うのですけど、それをいいよ!って言ってくれる仲間の存在と、そして今まで仲間がいてくれたっていう自信があるから、きっとチャレンジし続けることができるんだなって思います」
――さてMay'nさんは現在ツアー中ですね。ここまで手ごたえは?
「もう初日の東京からすごい熱くて、どんなツアーになるのだろう?って期待値がすごかったんですけど、先月の京都も、部員のみんなは“どんだけ声出るの?”っていうくらい……。私もそのパワーをいただいて、穴という穴から声が出てる感じでした(笑)。体から熱量や思いがあふれて爆発してしまうほどでしたね。楽しかったです」
――では、7月14日(日)の大阪はどうなりそうでしょう?
「どうなっちゃうんだろう?って感じですね(笑)。関西の方はすごくリアクションが速くて、思ったことをすぐ言ってくれる印象があります。ドリンクを飲んでる時でも、めちゃ話しかけてくる(笑)。それに気を使った反応がないので、たまに“何言ってんの?”みたいな感じで返してくれる時もあります。でも私的にはそれもうれしいのです(笑)。“ここ笑うとこだよ”っていう感じのやり取りになるのもおもしろい。私もいつもより素になってつい名古屋弁で話してます(笑)」
――名古屋出身だから、思わず名古屋弁になるんですね(笑)。
「いつもライブでは思い切り自分をさらけ出してやりたいなって思ってますね。ぜひ、ライブハウスでしか感じられない熱さやおもしろさを体感しにツアーに来てもらえたらうれしいです」
text by 服田昌子
(2019年6月17日更新)
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