ロック畑からのヒップホップに対するアプローチ 『Pixels EP』に込めた新しい挑戦 avengers in sci-fiインタビュー
今年、結成16周年を迎えるavengers in sci-fi。ギター、ベース、ドラムという最小限の編成にシンセや数多のエフェクターを駆使し、コズミックで電撃的なロックを響かせる。そんな彼らが昨年11月、新作『Pixels EP』をリリースした。一昨年自ら立ち上げたレーベル“SCIENCE ACTION”からの正規流通第1弾となる。今作は従来のロックバンドの作曲プロセスから距離を置き、ヒップホップやリミックスのプロセスに倣い、サンプラーを多用して作曲を行ったという。また、新曲3曲全てに対しリミックスバージョンを収録。親交の深いDÉ DÉ MOUSE、DATS、木暮栄一(the band apart)、そしてTENG GANG STARRをフィーチャーした。インターネット社会により情報拡散のスピードが速まり、音楽を取り巻く環境も変化している昨今。ロックを愛するからこそアップデートが必要だ、と挑戦を重ねる彼らの思いをメンバー全員に聞いた。
ヒップホップの身軽さとスピード感で作品を作りたい
――『Pixels EP』を、新曲プラス各曲のリミックスという構成にされたのはなぜですか?
木幡太郎(g&vo&syn) 「1つ参考にしてるのはヒップホップの作り方なんです。本場のヒップホップって、最近はほぼ共同作業の世界というか、1人ソングライターがいてその人が全部作るというものじゃなくて、カッコ良いことをしてるアーティストがいたらそいつも引き込んで共同プロデューサーみたいになって、下手したら5~6人プロデューサーがいるっていう状態が普通だったりして。そういう風通しの良さっていうんですかね、音楽が良けりゃ何でもいいじゃんっていう。仲間内で集まって良いものを作るやり方をモデルにしてる部分があって。リミックスもそれに近いというか、カッコ良いことやってる人を引き込んで新しいものを作りたいっていう感じですね」
――海外ではリミックスやトラックをどんどんネット上にアップしているアーティストも多いですよね。
木幡 「インターネットやSNSはほんと世界を変えたなと思うんですけど、情報のスピードがめちゃくちゃ速くなってるじゃないですか。少し前は新聞にしろテレビにしろ、事件が起こったら少しのタイムラグがないと伝わらなかったものが、今は事件が起こったそばからその場に居合わせた何万人がSNSで一斉に発信してしまうっていうスピード感なんですよね。そういう中でアルバムをリリースの3ヶ月前に仕上げて、メジャーのレコード屋が宣伝してようやくリリースしましたっていう流れだと、作品を完成させた3ヶ月前って結構遠い昔のことになっちゃってるんですよ」
――確かにそうですよね。
木幡 「ヒップホップは昨日起こったことをすぐさまラップにしてそのままネットで配信しちゃう。それができちゃう世界なんです。トラックメーカーが小さい機材でビートを作って、ラッパーがフリースタイルに近い感じでラップを乗せるっていう身軽さとスピード感は、ロックバンドにはなかったものというか。バンドだと、リハーサルして、レコーディングして、ミックスして、リリースっていうプロセスになっちゃう。このスピード感はもう今の世界には全然マッチしてない。そこに挑戦したい気持ちはすごいあるんです。それこそロックを殺さないために。ロックバンドだってそれができるんじゃないかと。だから今回は99%宅録で、トラックもロックの良さは残しつつ、スピード感に対応していけるようにサンプラーやコンピュータ中心の曲作りをしたっていう感じですね」
――具体的にはどういう進め方をされていったんですか?
稲見喜彦(b&vo&syn )「合宿したり、家で太郎(木幡)と2人で曲作りしてましたね。今回は最初からバンドでセッションしてネタを集めるスタイルでやる感じではなかったので、各々が持ってきたサンプリングネタとか“こういうのやりたいな”って思ったものをサンプラーで曲に切り貼りしたり、バシバシはめていくみたいな感じでした。ここ1年で映像の音楽をいろいろ作らせてもらう機会があったんですけど、それもスピード感がすごくて。あと、要望がアンビエントだったりロックだったりと多様なことが多かったんです。それだと日頃から自分で素材を手にしておいて、パソコンなりサンプラーで鳴らして作っていく方が相手側の要望にも応えられる。たまたまリミックスをやらせてもらった経験もあったので、自然とバンドでもそういうふうに曲を作りたいなと思いました」
木幡 「今回、トラックに関してはほぼ全部1~2日で作ってるんです。歌詞だけはちょっと時間かかってるんですけど」
長谷川正法(ds&cho) 「今までの作品より宅録作業が多くて、皆でセッションして合わせたのは合宿の最初の方ぐらいだったので、作り方としてはすごく早かった印象ですね」
――満足のいく形になりましたか?
稲見 「満足ですけど、リリースまでのスピード感と言われたら、対応できてなかったかなと思います。マスタリング終わったらすぐあげちゃえばいいんじゃないって思ってたんですけど、“流通通すからあげない方がいい”って外の人に言われたり」
――いろいろ制約があったと。
稲見 「ほんとはないはずなんですけどね」
木幡 「流通を通すというのは、フィジカルがあるからってこともあるからね。本場のヒップホップなんてのはフィジカルでリリースをしないのが前提で、ほぼストリーミングが中心だから、次の日あげちゃってもそれはそれでいいって感じだよね。フィジカルが伴ってくるとタイムラグがね。CDを焼くまでの時間もあるし、流通を整えるとか、そういうことですよね」
長谷川 「ストリーミング専用みたいな曲のバージョンだったら、聴いてもらえるのも早いかもしんないですよね」
――やはり曲が完成したらすぐにリスナーに届けたいと思うものですか?
木幡 「刺激的ではありますよね。ヒップホップのスピード感は、音楽がゴシップ的になってるようなところもあると思うんですよ。時事ネタにいち早く突っ込むとか。それはラップの表現の特性とすごい合ってるところだと思う。でも逆に言うと、ゴシップとかお笑い芸人に近くなっていく。音楽とはまた違う意味でのエンタテインメント性かもしれないなとは思うんですけどね。まあ今回で1~2日でトラックを仕上げることが可能だってわかったんで、もうちょっとライトなシングルみたいな形だったら、できたそばから発表するのをやってみたい気持ちはあるし」
稲見 「リミックスとかだったらもっと早くできるしね。リミックスはどんどん上げていきたいですね」
――人によるんでしょうけれど、リミックスはどのくらいでできるものですか?
稲見 「僕らは1日くらい。リミックスはどこまでが完成と言うかが難しいですよね。まあ曲もそうですけど」
木幡 「時間かければいいってもんでもないし。時間かければかけるだけ、形は変わると思うんですけど」
“平成最後”っていうのはちょっと印象的なワードでしたね
――今作は新曲3曲全てに対してリミックスバージョンが収録されていますが、人選はどのようにされたんですか?
木幡 「DÉ DÉ MOUSEさん、DATS、the band apartは僕らの15周年企画イベントに出ていただいたのでお声かけさせてもらいました。でもあんまり身内のつながりだけにしたくなかったのもあって、TENG GANG STARRをフィーチャーして」
――TENG GANG STARRとの『2019(No Heroes)』(M-3)は新鮮でした。彼らとのつながりは?
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稲見 「僕ら昔から知り合いなんですよ。“最近TENG GANG STARRがカッコ良い”って話を合宿でしてて」
木幡 「kamuiとかほんと普段愛想ない奴なんですけど、“ラップやってる”って言ってて。だいぶ疑ってかかってたんですけど(笑)。でもYouTube見てみたらカッコ良いし、世界観的にも僕らのネオトーキョー感というか、サイバーパンク・テイストもあっておもしろいなと思って。特にロック畑はまだ誰も目をつけてなかったと思うし」
――『2019』には“No Heroes”バージョンと“Neo Tokyo”バージョンがありますが、曲はどうやって作られたんですか?
木幡 「実は“Neo Tokyo”のフックの歌詞が、大元のバージョンだったんです。最初、歌詞とトラックができてTENG GANG STARRに送ったんですけど、彼らのポリシー的に“ハッシュタグとか歌うのはSNSの礼賛に捉えられかねない”っていうクレームをいただいて(笑)。まさかの書き直しをさせられるという」
――それで“No Heroes”バージョンができて、そちらをTENG GANG STARRが歌うことになった?
木幡 「そうなんです。普段から僕らはSNS礼賛スタイルやテクノロジーを冷めた目で斜めから見ていて、僕らのことを知ってる人からしたら暗黙の了解なんですけど、僕らの予備知識なしでこの歌詞を見たら、確かにテクノロジーやSNS礼賛に見られかねないなっていう気はちょっとしてて。そこでkamuiから鋭い指摘を受けたので、“あ、やっぱりそうなのか”ってことで、“No Heroes”の歌詞に作り直したんですけど、結果的には良かったですね。すごく良い歌詞ができたなって」
――“No Heroes”というタイトルにはどういう意味を込められたんですか?
木幡 「kamuiに新しく書き直した歌詞を送った時、“めちゃめちゃカッコ良いっす! ノーヒーロー感が最高っす!”って帰ってきて、“良いワードだな”と思って使わせてもらいました(笑)」
――なるほど(笑)。
木幡 「“超最高の歌詞っすね!”ってめちゃくちゃ褒めてたけど、あいつちょっと書き直させちゃったことを気にしてたんじゃないですかね(笑)」
稲見 「褒めてごまかす(笑)」
――(笑)。あとライナーノーツに“No Heroesは、SMAPの『どんないいこと』の平成最後の夏的解釈”だとありましたが、どういうことなんでしょうか(笑)。
木幡 「作ってたのが夏だったんですよ(笑)」
稲見 「完成した歌詞見て、太郎に“平成最後の夏なんじゃないの?”って言ったら、“どうでも良くなった”って言ってた(笑)」
木幡 「ははは(笑)。まあ今年はいろいろ象徴的なことが起こるなあと思って。2020年ってAKIRAの中でオリンピックが開催される設定じゃないですか。そういう世界が本当にやってきたり、テクノロジーの加速もすごいし。SMAPもほんと平成の象徴みたいなとこあるじゃないですか。そういう意味で“平成最後”っていうのはちょっと印象的なワードでしたね」
稲見 「みんな結構言ってたよね」
木幡 「うん、でもミーハーっぽくって嫌(笑)」
稲見 「俺言われるまで全然気にしてなかった(笑)」
長谷川 「夏は来年も来ますからね(笑)」
――SMAPの曲の中でも『どんないいこと』をフックしたのは、なぜですか?
木幡 「単純にちょっとアカペラ的な曲調というか、メロディー感が似てるなと思って。メロディーはトラックを作る間にもちょこちょこ変えたりするんですけど、そこで参考にしたのが『どんないいこと』だったりするっていう。最初トロピカル・ハウスみたいな曲にしたいなと思ってたんですけどね。TENG GANG STARRは普段こういうトラックを歌わないんで、同じようなところに同じようなものをハメてもあまりおもしろくないから。ちょっと心配だったんですけどね、kamuiのラップ合うのかなって。でもやっぱりTENG GANG STARRをフィーチャーして正解でしたね」
――ちなみに、皆さんの平成最後の夏はどうでしたか?
木幡 「合宿してましたね」
稲見 「お酒飲んでました」
――花火とか、夏らしいことはされました?
木幡 「花火はサマソニで見ただけだな」
長谷川 「花火大会は好きなんでいつも見に行ってますし、全然何もしてないかもしれないですね(笑)」
――いつもと変わらぬ夏を過ごされたと(笑)。
稲見 「俺ら、無理矢理騒ぐみたいなテンションの人たちじゃないんで(笑)」
人間と機械のクロスオーバー
――個人的に今作では『2019』が1番好きかもしれないです。
稲見 「結構そう言う方多いんですよね。『True Color』(M-1)じゃねーんだと思って(笑)」
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――『True Color』も耳にすごく残りますよ。
稲見 「バンド的に新しいなと思うのは『True Color』だったりするんですよね。“こんなの聴いたことねえ”って感じなんですけど」
――具体的には?
稲見 「アプローチは結構おもしろいと思うんですよね」
木幡 「情報量が多いんですかね。サンプラーにギターの音を打ち込んで使うと、やっぱり決まった音しか出ないんですよ。それを崩してコード進行を作った時、不思議なことにレッド・ツェッペリンのコード進行にすごい近いっていうおもしろさがある。機械が演奏してるんだけど、なぜかすごくオールドで、マンパワーを感じさせるフレーズに聴こえてしまうおもしろさ。ロボットが演奏するSF感もある。ベースも、ヒップホップでよく使う808(TR-808。ローランドが1980年に発売したリズムマシン)のキックに音程をつけてベースにするっていう手法を使ったんですけど、ヒップホップ仕様のベースとサンプラーに打ち込まれたギターの2つのセッションはほんとロボットロック的で、アベンズらしさもありつつですね」
稲見 「普通に生のベースでアプローチしちゃうと、やっぱりハマりすぎておもしろくないというか。ちょっとアシッドっぽいデモだったんで、それをどう崩していくかみたいなとこから始まって。単純にロックの音源に808のキックのベースとか入ってたらおもしろいんじゃないかっていうところから始まって。いわゆる往年のロックとかであるじゃないですか、ギターとベースが同じフレーズを弾いて、それをサンプラーでセッションしてるみたいな感じですね」
木幡 「多分BECKとかの精神性ってそういう世界だと思いますけどね。ロック畑からのヒップホップに対するアプローチっていうか。ビースティ・ボーイズとかまさにそうじゃないですか、ツェッペリンをサンプリングして、それにラップを乗せる。そういう系譜のちょっと新しい2010年代式のアプローチ」
稲見 「ゴティエとかもそうなんじゃないかな」
木幡 「BECKにしろビースティにしろ、単純にネタ選びがジャズとかソウルじゃない。黒人のラッパーってやっぱりジャズとかソウルから持ってきがちで、それがクールみたいなイメージはあるんですけど彼らは違う。カントリーとかフォーク、ツェッペリンのサンプリングだったり、ネタ選びがハイブリッドだったんですよね。まあそれはあくまでサンプリングネタの選び方だったりするんで、僕らがやってんのは言っちゃえば人間と機械のクロスオーバー。そういう意味ではかなり挑戦はしてるかなと思うんですけど」
――なるほど。ドラムのレコーディングはどうでしたか?
長谷川 「今回は宅録で作っているんで、ドラムは打ち込みですね。レコーディングと曲作りがほぼ同時に進行する感じでしたね」
――DATSから『True Color』のリミックスが返ってきた時はどんな感想を持ちましたか?
木幡 「すごいシンプルだなと思いましたね。初めて聴いた人が、何が起こってるか一瞬で理解できる音作りがやっぱりトレンドだとは思うんですよね。そういう感覚に乗っ取ってるんだなって気はしましたね。だけどシンセベースの低音とかも凶暴だったりして、モダンな音作りだなというか。僕らはもうちょっとサイケデリックな感覚というか、一聴して“何が起こってるのかわからない”っていう感覚にエクスタシーを覚えるタイプの人間なんで、今のトレンドは、アベンズ的な音を表現しようとすると結構せめぎ合いになるというか」
――せめぎ合い。
木幡 「サイケデリックな音像と、一瞬で何が起こってるかわかってしまう音作りとは、意外と相反するものなんで。だから単純に結構勉強させてもらったなってとこもありますね」
――2曲目の『Hooray For The World』にはちょっと皮肉も含まれてるのかなと思いつつ、『True Color』とも『2019』とも違う優しさを感じます。
稲見 「今回の曲たち、優しいって結構言われるんですよね。歌が優しいって。オケはそんなことないような気がしてるんですけど」
木幡 「でもレコーディングも優しく録ったじゃん。ちょっと参考にしたのはCut copyとか。オーストラリアのバンドで、アシッドハウスとかマッドチェスターみたいなサイケデリックなダンスに影響を受けてる人たちなんですけど、結構ヘロッとした歌い方をするんですよ」
稲見 「力むところをなくすというか、リバーブとかディレイとかで溶けちゃうような」
木幡 「やわらかい歌い方は意識したかな。最初のデモはアシッドハウスみたいな曲だったんですけど、ちょっと懐古的すぎる気もしたんで、もうちょっと新しい今までなかったものにしたいなっていうのがあって」
稲見 「80年代っぽいのが良いよね。この曲はライブの本編で最後にやってるんですけど、ライブではさらなるアレンジが加わってます」
――DÉ DÉ MOUSEさんのリミックスは……バッチバチですね。
木幡 「(笑)。初めて聴いた時、絶対DÉ DÉさん怒ってるんだなと思いました(笑)。DÉ DÉさん、ワンマンがあったり中国に行ったりで忙しい時期だったんですよ。それ知らないでこっちはオファーしてるんですけど、マネージャーさんもテンパってる感じだったし」
稲見 「でもあげてくるのは1番早かったよね」
編集されて伝わっている事実
――タイトルの“Pixels”には、写真や映像のメディアには全て発信者のバイアスがかかっているから、ピュアなものを見ることは叶わないという思いが込められているそうですが、そう思われたキッカケは?
木幡 「インターネットやSNSからの影響ってのはあるんですけど、Instagramが流行ってて、Twitterもそうだけど、映像とか写真を見る機会が増えてる。キッカケっていう具体的な話をすると、最近ビックリしたのが、鎌倉時代の元寇ってあるじゃないですか。日本にモンゴルが攻めてきたやつ。モンゴルの兵士が強くて、武士が苦戦してどうしようもないっていうストーリーが定番で刷り込まれてたじゃないですか。絵巻で武士が矢でハリネズミみたいにされて苦戦してる構図が切り取られてて、僕らはそれを疑わずに育ってきたんですけど、どうやらそれは嘘らしく」
――そうなんですか?
木幡 「絵巻には続きがあるんですよ。モンゴル兵が血まみれになって逃げ惑ってる絵が続いてて。モンゴル兵は寄せ集めで長旅で疲れてて、使い物にならなかったらしいですね。それが結構ショックで。今まで歴史とかで教えられてたことが編集されて伝わってる事例って多いんだなって。暴動の写真とかも、街中で暴動が起こってるように錯覚させる切り取り方ができちゃうじゃないですか。インターネットはそういうバイアスに溢れてる。誰もが意識的にせよ無意識にせよバイアスをかけてねじ曲がった真実を発信しちゃうからいよいよ何が本当かわからない。Instagramの補正とかにしてもそうですし。結局人間って自分の見たいものしか見れないんです。世界が広がってるようで、人間は小さい世界の中にいる。世の中はグローバルになってるのに、世界の広さすらも自分で規定してしまってる。それが“Pixel”っていう意味にもつながってくるんです。ピクセルって画素数のことなんですけど、1つの小さいピクセルの中に人間1人1人が留まって、狭い世界を形成してしまってる」
――ジャケットの“いいねマーク”が逆になっているのは?
木幡 「これは皮肉ですね。SNSは悪意に満ちてるじゃないですか。ジャケットも僕が作ってるんで、手書きのアカウント名でハッキング感を出したくて」
――顔にスタンプも押されてますね。
木幡 「アイコンに上書きしてる感覚というか、皮肉を込めております」
――改めて今作はどんな作品になったと思われますか?
木幡 「リミキサーからの刺激もあったし、勉強できたこともいっぱいあったんで、次への布石にしたいなって気持ちはすごくあります」
稲見 「聴いてもらえるならいろんな人に聴いてもらいたい。自分でも今までで1番聴くかな」
――作った作品は聴き返すタイプですか?
稲見 「あんまりしないですね。ただ、今回は結構聴いてます。kamuiさんの言葉を借りるなら、“俺らのクールを信じるだけの作品になった”んじゃないですか(笑)」
――カッコ良いです。
稲見 「毎回そういう気持ちではやってますけどね、次もそんな作品になればいいなと思ってますけど」
長谷川「今作は今までとはだいぶ違うと思うんで、初めて知ってもらった方でもおもしろく聴いてもらえたらと思います。で、ライブもどうなってるんだろうって興味持ってもらえたら嬉しいなと。アレンジで3分の曲が6分になってたりもするし。曲とライブ両方、聴いてもらいたいし見てもらいたいです」
text by ERI KUBOTA
(2019年2月 1日更新)
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