リーガルリリー presents 『333』
MONO NO AWAREと贈る幸福な新年初ライブ!
1/4『HappyNewRegalLily!! in OSAKA』をレポート
昨年7月の『遠距離恋愛ツアー』ファイナル、東京・渋谷CLUB QUATTRO公演にて海(b)が正式加入以降、初となるリーガルリリーの企画ライブ、その名も『333』(バー・バー・バー)。たかはしほのか(vo&g)が愛してやまないベトナムのビールから命名した同企画は、43年の歴史を誇る彼女の地元のライブハウス、東京・福生UZUにてスペシャルセットで挑んだ『たかはしほのか生誕祭』、大阪・梅田Shangri-LaにMONO NO AWAREを招いた’19年初ライブ『HappyNewRegalLily!! in OSAKA』、東京・キネマ倶楽部にてたかはしほのかソロと共に行われた『HappyNewRegalLily!! in TOKYO』の東阪3公演で構成。そこでぴあ関西版WEBでは、今年の関西初ライブでもあった1月4日、梅田Shangri-La公演にフォーカスし、真冬の大阪をアツくした一夜をレポートします~!
この日のゲストとなるMONO NO AWAREは、蒼き光に照らされながら、深海の如くどっしりとしたビートでShangri-Laを包囲する『me to me』でスタート。「あけましておめでとうございます! 今日は最後まで楽しんでいってください」(vo&g・玉置、以下同)とのご挨拶の後も、即座に『マンマミーヤ!』で祝祭空間を作り上げ、MCでは「僕らも大阪には幾度となく来てたんですけど、今回は初めてと言っても過言ではないレベルで時間ができたので、太陽の塔に初詣に行って、神とあがめる岡本太郎に新年のご挨拶をしてきました(笑)」と場を和ませる。
そんなMC明けのイントロを何回もトチったものの(笑)、それが場の空気を一気にほぐすことになり、『イワンコッチャナイ』『轟々雷音』『窓』というグッドミュージックの嵐にオーディエンスの肩も自ずと揺れる。かと思えば、加藤(g)のギターの弦が切れるハプニングには、謎の“平山相太(元サッカー日本代表)”推しフリースタイルで玉置が場をしのぎ(笑)、一転、『夢の中で』でのトリッピーな音の洪水には、フロアが心地よく飲み込まれていく。
「リーガルリリーのリハを観てたら、今日は失恋した夜にベッドの上で泣きながら聴くような歌ばっかりだったから(笑)、明るく、声も張って、テンションも高めでいこうと思って!」と語った、『DUGHNUTS』『東京』までの全8曲。リーガルリリーのメンバーも、Shangri-Laのバーカウンターからキラキラした目で眺めるのも納得の、どこかノスタルジックで人肌の音楽が、『333』の最高のオープニングを演出してくれた。
アメリカン・フットボールの『サマーエンド』のSEをかき消すような鋭い轟音とは裏腹に、あどけない歌声と共に届けられた『スターノイズ』の壮大な世界観に、瞬時に引き込まれていく。“ガールズ”なんて枕詞が嘘のような、キレキレのスリーピースロックバンドの真骨頂を徹底的に見せ付けるリーガルリリーのセオリーは、続く『はしるこども』でも遵守。しょっぱなからダイナミズムとフィードバックノイズを道連れに疾走するかのようなライブは、このバンドが超えてきたいくつもの現場が、満員のShangri-Laという絶景を作り出していることを如実に証明している。『トランジスタラジオ』、そして『リッケンバッカー』といい、言葉以上に語るような歌声の何とも言えない切なさ成分に、胸が締め付けられるようなこの感覚。音楽という形のないものが確かに存在することを感じさせられるソリッドなナンバーの数々には、会場から大きな喝采が贈られる。
「皆さんこんばんは、リーガルリリーです。今日は自主企画です。『333』はバーバーバーって言って、ベトナムのビールから取ったんですけど、ビールとか飲みました皆さん? おなかにふわっときますよね。最近ビールがおいしく感じるようになって、ヤバいですね。最後まで頑張って…ください(笑)」(たかはし)
夜空が目の前に広がるかのようにメランコリーな『ぶらんこ』では、頭上に瞬く星のように照明が輝き、静と動の起伏を劇的に魅せる『高速道路』、海のコーラスが楽曲のドラマを増幅させる『教室のしかく』というミドルチューン3連発には、派手な演出がなくとも楽曲で全てが伝わるサウンドプロダクションの妙を感じさせる。
「MONO NO AWAREとは野外でしか対バンしたことがなくて、ライブハウスでは初めてだったんですけど、出てくれてありがとうございました! 3日間で対バン形式は今日だけなんで、孤独じゃなくてよかったです(笑)。みんなは何かありますか? 2019年に向けて」とここでたかはしがメンバーに抱負を尋ねると、「今年はいのしし年ということで、英語で言うと“ワイルドボア”だから、ワイルドな1年にします!」と海が答えれば、「私もそれ、マネしたくなっちゃった(笑)」とゆきやま(ds)。まるで楽屋の様子が見てとれるような3人のトークも何とも微笑ましい。
後半戦は、躍動感のあるリズムが先導する『overture』『僕のリリー』とたたみかけ、「そういや3人で初めての自主企画でした。また大阪に来ます、寒いうちに」(たかはし)と『ジョニー』を披露。時に白昼夢のようなドリーミーでディストピアな空気が漂う楽曲の中毒性にはじわじわと心奪われ、スポークンワーズを交えるラストの『蛍狩り』まで、ミニマムな編成にマキシマムな才能を装填したリーガルリリー、いやはや末恐るべし!
そしてアンコールでは、「新曲を作ったのでよかったら聴いてください」(たかはし)と、『猫の涙ギター』をいち早くお披露目。最後の最後に放った『the tokyo tower』まで、ライブハウスの遥か彼方までを見つめるように歌い切ったたかはし、メロディに寄り添うベースラインとコーラスが抜群に機能した海、緩急のあるビートでバンドのボトムをしっかりと支えたゆきやまが、2019年のリーガルリリーの幕開けを見事に飾った一夜となった。
Text by 奥“ボウイ”昌史
Photo by 森好弘
(2019年1月10日更新)
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