未経験からの遅咲き愛されインディーバンド
初プロデューサーとして片寄明人を迎えたEP『FABBY CLUB』を
リリース! TENDOUJIインタビュー
中学の同級生4人が集まり、20代後半で“働きたくないけど売れたい”という思いで未経験のままバンドを始めて丸4年。今年はSXSWやBAY CAMP 、RUSH BALLなどの大型フェスにも出演。メロディアスな楽曲や、メンバーの人柄も相まって、インディーシーンの愛されバンドとして、その名を目にするようになったTENDOUJI。そんな彼らが11月14日、新作EP『FABBY CLUB』をリリースした。2016年に自主レーベル浅野企画を立ち上げ、これまでセルフプロデュースで作品をドロップしてきた彼らが、今作ではソニーミュージック内のマネージメント&レーベル、次世代ロック研究開発室(以下、次ロッ研)と一緒に組み、初のプロデューサーとしてGREAT3の片寄明人を迎えて制作を行った。これまでよりもワンランク上の作品に仕上がり、TENDOUJIのキャリアを引き上げる1枚となったことは間違いない。現在そのEPを提げて『爆発Tour』を廻っている彼らだが、来年2月には、Teenage Fanclubの日本公演のサポートアクトを務めることが決定! 今回のインタビューでは、EPのレコーディングや、今のバンドの状態をメンバー全員に聞いてみた。ぴあ関西版WEB初登場です!
煽るだけでお客さんが楽しくなるんだったら、それはやった方がいい
――“働きたくないけど売れたい”と、皆さんが未経験からバンドを始められたというのはよく知られた話だと思いますが、バンドで売れようと思われた?
アサノケンジ(vo&g)「簡単に言えばそうっすね(笑)」
――楽器は全く初心者だったんですか?
アサノ「ちょっと弾けるぐらいですね。ずっとバンドやってきた人たちよりは全然下手です」
モリタナオヒコ(vo&g)「だから日々勉強だとは思ってます。他のバンドとか海外のミュージシャン見たりして。バンドを始めてから今まで、ずっと成長してるみたいな状況ですね」
――ここ数年、いろんなところでTENDOUJIの名前を聞くようになった印象があります。今年はSXSWやBAY CAMPに出演されたりと、順調に活動の幅を広げてらっしゃいますが、実際今のバンドの状態はどういう感じですか?
アサノ「今までで1番良いですね。東京以外でも友達ができましたし、皆“良い”と言ってくれるんで、それがお客さんにも呼応して良い感じに広がってる感じはします」
――これまでに作品を4枚出されていますが、“ここでじわっと広がったな”という感覚や、“きた!”みたいな感触を感じた時はありましたか?
アサノ「CD出す度に、その瞬間はお店が展開してくれたりとか、SNSで出たのがバッと広がったりするんで、“あ、これいくんじゃないか”と毎回思うんですけど、そんなことはなく(笑)」
モリタ「でもいろんなフェスに呼んでいただいたりするようになったのはSXSWがキッカケだったり、前作のアルバム『MAD CITY』を出した時は、耳の早い人たちにはすごい伝わってるんだなっていうのは実感しましたね。とは言ってもほんとに少数ですけど」
――でも、それって嬉しいですね。
モリタ「もちろん最初に比べたらめっちゃ嬉しいっすね(笑)。もう最初はヤバかったです(笑)。4人ともバンドやったことなくて、ほんとに初心者だったんで」
――ライブハウスの出方もわからなかったとか。
モリタ「あ、そうです。まあその話なんですけど(笑)。だから、誰も見てくれないところから急に大きいステージに出て、いきなり人が増えるという不思議な感覚でしたね。ナオユキとか、ドラム始めて1年ぐらいの時に急に1000人キャパのところでやったりすることもあったりして。その状況がずっと続いてる感じですね。広がってるんだな~って」
――オオイさんは実際1000人キャパのステージで叩いてみてどうでしたか?
オオイナオユキ(ds)「“やってやろう”感で臨んだんですけど、後で映像見たらめちゃくちゃ走ってたりとか、モロ初心者でしたね」
アサノ「でもあの日はしょうがなかったよね。1番緊張した」
モリタ「デカいとこでやったことないし、今思えばすごいメンツで。ヨギー(Yogee New Waves)とかD.A.N.に挟まれて、誰も知らない俺らが出てるみたいな」
――TSUTAYA O-EASTで行われた『SHIBUYA TSUTAYA presents Scramble Fes 2016』ですね。
モリタ「そうです。しかも4人ともイキリまくってて。“今日で売れるぞ!”みたいな」
アサノ「もう緊張で何食っても味しないんすよ」
全員「(笑)」
モリタ「めちゃくちゃ緊張したから、4人それぞれに行動取り始めて。ドラムのナオユキとか(リズムを取るジェスチャー)で、そのうち頭抱えて“ううっ”とか言い始めて(笑)」
――いつもライブ前は皆さんでワイワイされてる感じなんですか?
アサノ「最近落ち着いてきたなと思います(笑)。そんな騒ぐタイプでもないですね。ぬるっと始まって序盤あんまり良くないみたいな(笑)。でもライブはほんとに楽しいですね」
――最初から楽しかったですか?
モリタ「最初は地獄でした(笑)」
アサノ「(笑)」
モリタ「辛すぎて泣いてましたからね」
――お客さんが少なくて?
ヨシダタカマサ(b)「何だろうね、あれはね。自分たちが何でライブやってるのかもわからない」
モリタ「そうそう(笑)。バンドやってるとか思わないよね」
アサノ「思わない思わない」
オオイ「確かに(笑)」
――それはどういう感覚ですか?
ヨシダ「お客さんもいないし、俺らも楽しくないし、終わった後飲んで、ライブハウスの人に終電逃して怒られるっていう(笑)」
モリタ「フェス出るとか、今やってることのビジョン1個も見えてなかった。それこそ今度Teenage Fanclubと対バンすることが決まったんですけど、そんなのありえないっすよ!」
アサノ「いやマジ奇跡ですよ!」
モリタ「多分当時の俺らに今のこと話しても笑うだけですよ。“ありえない、ありえない”みたいな(笑)」
――でもほんの4~5年前のことですよね。
アサノ「うまくいきましたよね」
モリタ「うまくいってんのかな(笑)」
アサノ「いってるでしょう、そこから考えればね」
――楽しくなり始めたのは、どのくらいの時期からですか?
モリタ「やっぱいろんな人が見つけてくれてからだよね。俺ら下北沢とかでライブしたこと全然なくて。でも下北沢のバンドカルチャーってやっぱすごくて、圧倒的に人が集まってて。そういう人たちが見つけてくれてからイベントとか呼んでくれるようになって。それも最初ビックリしたよね。撃鉄とかGOING UNDER GROUNDの松本素生さんとかが出てるようなイベントに急に呼ばれて、“マジか、俺らいいの?”みたいな」
アサノ「あと東京にDJパーティーってめちゃくちゃいっぱいあって、下北とかでやり始めて2年くらい経った時に、DJさんがガンガン俺らのことフックアップしてくれて、全部出してもらったんですよ。パーティー自体には元々お客さんがいるし、僕らも酒飲んでワーッてやるの大好きだったので、その頃から一気に楽しくなりました」
ヨシダ「なんか自然体でやれるような感じでもあったしね」
モリタ「そのパーティーが、自分らがやりたかったイメージに近いものがあったんです。だから今もその人たちにはめちゃめちゃ感謝してますね」
――ライブのやり方は変わったりしましたか?
アサノ「やっぱり多少変わりましたね。基本的には今も4人で何か決めてやってることはないので、4人の間にテンションの違いがあっても見逃してたりしてたんですけど、ここ1年ぐらいで夏フェスとか出るようになって、最低ラインのところは決めようというのは少し変わってきましたね」
モリタ「基本“お客さんを興奮させる”というスタンスは全く変わってなくて。ただその中で規模が大きくなったりお客さんが増えることで、やっぱり4人で考えなきゃいけないことはあって。“ここはこうしよう”とか、“この方がいいな”とか若干考えてます。最初はそんなの全くなかったんで」
――お客さんに対してこういうふうに見せたい、といった部分ですか?
モリタ「うん。だし、最大限楽しんでほしい」
アサノ「ほんとそこっすね。ひと振り煽るだけでお客さんが楽しくなるんだったら、それはやった方がいいとか」
モリタ「俺らはお客さんに対して偉そうにする立場ではないんですけど、何をしたら1番楽しんでくれるのかなというのを常に考えるようになった。俺らはバンド始めるのも遅かったし、“あんまり偉そうにするとかちょっと引くよな~”とか言ってたんですよ。でも俺たちが前にバッと出ていったらお客さんがワッ!て喜んでくれて。喜んでくれることはやろうというのは、結構考えますね」
――自分がお客さん側としてステージを見ていた時の気持ちを思い浮かべたりしましたか?
モリタ「そもそもそんなライブ見に行ってないよね」
アサノ「バンドを始めてから見に行くようになったんです。ライブハウスに遊びに行くっていう生活が全くない状態でバンド始めてるので、客も演者も見ちゃったところから始まってる」
――なるほど。演者としての意識が強くなってきた?
アサノ「そこもあんま意識してなかったですけど、最近そっちに寄っていった感じですかね。どんなバンドがクラップしてもお客さんはクラップするんで、そこは取り入れられる部分だと思うし」
モリタ「“こういうライブが良い”っていう理想形はありますね。SXSWの時にスペインのHindsのライブを見たんですけど、それがかなり理想に近かった」
――どういう部分が理想的でしたか?
モリタ「お客さんとの垣根がないんですよ。超フレンドリーでハッピーで楽しくて。自分らがHindsに似てるとは思わないですけど、理想の1つにはあるかもしれない。だからそれに近づけていってる感じです」
頭の中にあるけどうまく表現できないっていう壁に思いっ切りぶち当たった
――今作『FABBY CLUB』ですが、個人的にとても好きです!
アサノ「ありがとうございます(笑)。今回そう言ってくれる人多いな」
――今までDIYだったのが、今回はプロデューサーに片寄さんを迎えておられますが、何かキッカケはあったんですか?
アサノ「単純に僕らだけでやるのはもう限界だなっていうのがありました。プロモーションの部分もだし、音源として限界というか、この先のイメージはあるんだけど、どうしていいかわかんないっていうのが『FABBY CLUB』を録る前の状態で。今作も1回今までのやり方で録ってるんですよ。それも結局、自分らの好みの範囲ではあるんですけど、前のアルバムに入ってても違和感ないというか、これでもう1回CD出して、“あ、TENDOUJIちょっと良いね”ぐらいで終わっていくのは、ちょっと意味ないなと思って」
モリタ「頭の中にあるけどうまく表現できないっていう壁に思いっ切りぶち当たって、誰かの力を借りたいなと。その時たまたまタイミングと気が合ったのが次ロッ研だったんです。“こうしよう”ってアイデアをくれて、それも見事にハマって。俺らがちょうど悩んでる時にそういう人たちが現れて、最高のプロデューサーを紹介してくれて、こういう出会いってあるんだなと思いましたね」
アサノ「僕ら的にはいろんな要素がハマり倒した感じあるんですよね。片寄さんが来たこともだし、次ロッ研に自分たちで録ったものを提出して聴いてもらったら、“突き抜けない”っていう、自分たちと全く同じ感想が返ってきたというのもあるし」
――なるほど。
アサノ「あとは単純にスケジュールですね。10月の頭に録ってるんで、めちゃくちゃギリギリだったんですよ」
――え、11月発売で!?
アサノ「10月1、2日レコーディング、3、4日ミックス、5日マスタリングだったんですよ。片寄さんもエンジニアの上條さんもスケジュールは取れて、そこでできたのもすごい奇跡的だし」
モリタ「ほんとそこしか空いてなかったらしいですよ。ラッキーでした」
――できたてほやほやですね。
モリタ「そうなんです。だから新鮮ですよ。未だに自分たちでもめちゃくちゃ聴きますし。それが久しぶりですね。初期の音源以来」
――作った音源はあまり聴かないですか?
モリタ「自分の音源は想像をかなり超えてこないと聴かなくなる。最初はレコーディングも初めてだから、“すげー! 俺ら天才じゃん!”みたいな感じで聴くんですけど、だんだん慣れてくと、“俺らダメだな”みたいな」
アサノ「そういえば今回のEPに関しては“ここ、こうしときゃ良かった”っての、まだねーわ俺」
モリタ「これはこれでやりきった感がある。今までやり直したいところめっちゃあったもんな」
アサノ「それはそれで多分良かったんでしょうけど、“こうやっときゃ良かった”っていうのがすぐ出てきてたんで」
――それが今回はない。
アサノ「ないっすねー」
モリタ「マジこればっかりは片寄さんのおかげですねー」
――やっぱり相談できる人がいるというのは違いますか?
モリタ「マジで違いますね。自分だけで考えてるとかほんとに辛いから。誰かの“最高だよ”って一言だけでほんとに変わってくるし、“これはこうしよう”って一言でもすごい変わる。しかもそれがGREAT3の片寄さんってことで説得力もあるし、嬉しいっすよね」
アサノ「今まで同じエンジニアさんでずっとやってたんですけど、その方も“こういうふうにしたらいいんじゃない?”とかアドバイスいっぱいくれて。でも最終決定権は大体僕らにあって、“どうしたい?”“やっぱこうしたいです”みたいな感じで作っていってたんですけど、今回は片寄さんが“これいいんじゃない、やってみなよ”っていう方が多かったので、導かれた部分がかなりありましたね」
モリタ「片寄さんはベースとドラムの録り方もめっちゃ上手でしたね。2人をうまく褒めて盛り上げるとか」
――モチベーションを上げていく。
モリタ「多分俺らの性格もわかってたと思います。ナオユキだったら2テイクぐらいで終わらせた方がいいなとか。そういうところをすぐわかってくれるのは、すげえなあって」
ヨシダ「ずっと空気がポジティブな感じで溢れてたんで、1回もストレスを感じなかったですね」
――セルフプロデュースの時は行き詰まりを感じたりもしていましたか?
ヨシダ「そうですね。どうしてもいろいろやりたくなっちゃうし、そこでまた詰まっちゃって、みたいな」
――それまで相談できる人は周りにいなかった?
アサノ「基本的にはそのエンジニアさんですね。今回も一緒にアメリカ来ていただいて、3曲録っていただいて。なのでその方は二人三脚感が強かったんですけど、片寄さんは引っ張ってくれる側でした」
――聴いていて、今までよりも音がハッキリしたかなと感じました。
アサノ「そうですね、音は変わりましたね。多分今までの音源って、僕らの性格がモロに反映されてるというか」
ヨシダ「うんうん」
アサノ「ハッキリするのが恥ずかしい。なので結果、曇ってる部分を捉えて“ローファイっぽい”って言われたりとか。全然そういうつもりでやってなかったんですけど。“次の音源はハッキリさせたい”という気持ちはあったので、やってみて良かったですね」
――これからの作品に活かせそうなことはありましたか?
アサノ「片寄さんがいてくれたらいいなと思ってます(笑)」
モリタ「収穫は片寄さん」
全員「(笑)」
スタッフ「片寄さんも言ってます、“やりたい”って」
――へー! それは素敵ですね。
アサノ「片寄さんもすげえ楽しんでくれてる感じがあったから、それが嬉しかったですね」
モリタ「性格がめっちゃ合ったんすよ。めちゃくちゃおもしろい人で。片寄さんは生粋のシティボーイだから力の抜け感も絶妙にありましたね。マジで良い人っすね。一生遊んでたいな。多分ミュージシャンで片寄さんとつるんでたいって人、多いと思う」
自信を持って出せる、ここから先にもつながる1枚
――1曲目『Killing Heads』と2曲目『Something』が片寄さんプロデュースですね。レコーディングでのエピソードはありますか?
アサノ「『Something』は僕の曲なんですけど、結構こういうミドルな曲を書きがちで、最終的に“1番だけなら聴けるけど、2番聴くのしんどい”みたいな感じにできちゃうんですよ。のっぺりしがちというか、ダラダラしちゃう。今回も最初そういう感じだったんですよ。そしたら片寄さんが“ギターでここの一小節だけアルペジオ入れてみ”、とか、ほんとちっちゃいことを幾つか変えただけなのに曲自体ゴロッと変わったので、“すげえ”って感じです」
モリタ「『Something』はイメージを超えてきた感じがあるっすね。しかも片寄さんは俺らのやりたいこともわかってて、天才だなと思いました」
――感動しました?
アサノ「しましたねー!」
モリタ「あれは感動した。やっぱ今までに俺らにない引き出しだから、単純に“わあ、すげえなあ”っていう感じでしたね」
――歌詞については、恋のお話ですね。
アサノ「そうっすね(小声)」
モリタ「基本僕らの曲、恋愛の歌なんで」
――過去のインタビューを拝見していると、モリタさんは歌詞に意味を持たせるタイプ、アサノさんは意味はあったりなかったり、という感じだそうですね。
アサノ「僕はないっすね。曲ができて歌詞が全部上がったら繋がるようにはなってますけど、書き始める時は何も考えてない状態で、鼻歌でポッと出てきた言葉に“for you”があったら1回“for you”をはめて、そこから物語を作っていくイメージなので」
――今回もそうなんですか?
アサノ「そうです」
――……恋のお話ですけど。
モリタ「言っちゃえよっ」
――(笑)。
アサノ「僕は、こういう恋が多いですかねー……(笑)」
モリタ「どんな恋だよ(笑)」
全員「(笑)」
モリタ「僕ら全員同級生なんで、こういうの結構照れるんですよ」
――なるほど(笑)。
モリタ「そもそも英詞にしたのも、日本語だと恥ずいっていうのがあって。質問してもらうのは大丈夫なんですけど、前置きでそれだけわかっていただけると(笑)」
アサノ「この2人(モリタとアサノ)でインタビューすることが多いんですけど、2人の時はお互い聞いてない振りをすれば済みますけど、今日は4人なんで、これ以上は何も喋れないです(笑)」
――かしこまりました(笑)。MVは大人っぽくて他の曲とは違う雰囲気でしたが、コンセプトなどありましたか?
アサノ「演奏シーンがあるゴリゴリのMVも1本あった方がいいかなっていうのがあって。あと僕らいつも服がカジュアルなので、たまにはスタイリストさんつけてみようと。イメージ的には海外のヤンキーひと回り終わったぐらいの衣装が良いなと思ってて。僕らは自分で写ってるから何とも言えないですけど、遠目で見れば豪華かなっていう。ただ撮ってる途中で“これ大丈夫か”とはなりましたけど(笑)」
――そうなんですか(笑)。
アサノ「自分たち、そもそもの性格があんまり表に立つ人間ではないので。だから映されたり、音源で自分の声入るとかは、拒絶反応出ちゃって(笑)」
モリタ「結構毎回そうですよ」
アサノ「大元は自分たちで考えるけど、細かい最終判断は他の人にやってもらわないと、ちょっと良さがわかんないというか、わかりきってないというか。アー写とかも“これ大丈夫?”って思うけど、見た人は“良い”って言ってくれるし」
――すごく素敵な写真ですよ。
アサノ「自分たちではわかんないっすね(笑)」
モリタ「最初は当たり前に良いと思ってやってるんですけど、やってくうちに、“俺ら違くね?”みたいな(笑)」
――だんだん不安になってくる(笑)。
モリタ「『Peace Bomb』(M-3)のPVも爆発シーンとかあるんですけど、“防護服着るとか大丈夫かな?”って」
――特撮は初めてだったんですか?
アサノ「はい。PERIMETRONっていう映像チームのヤツが友達で、“そのうちTENDOUJIで撮ろうぜ”みたいな話はずっとしてて。で、『Peace Bomb』できて送って、“じゃあこれでやろう”って決まって、しばらくしたら興奮して電話かかってきて、“ケンジ! 爆発できる場所見つけたぞ!”って」
――爆発することが前提だったんですね(笑)。
モリタ「最初は演奏シーンカッコ良いやつ撮ろうよ、みたいなこと言ってたんですけど、“爆発しよう!”みたいになってて。今までは自分たちでディレクションしてたんですけど、今回PERIMETRONとやるってことで、完全に任せようと思って。あいつらに任せときゃ絶対カッコ良くなるから安心はしてたんですよ。ただやってる時はマジで大丈夫かなっていうのはありましたね」
――映像的にもかなり不思議ですよね。最後に赤ちゃんの爆弾が爆発しますが、赤ちゃんは残っていたりして。
モリタ「まあ、そういう感じになりますよね(笑)」
アサノ「そうなんですよね(笑)。ストーリーよくわかんないけど何か良いね、みたいな」
――(笑)。改めてどんな作品になったと思われますか。
アサノ「TENDOUJIを知らない人にも聴いてもらえる1枚になりましたね。多分僕らが作る曲のニュアンスはだいたいこの5曲で収まってるので、“これが今のTENDOUJIです”ってちゃんと言えるかなと思います」
――オオイさんはいかがですか?
オオイ「作るたびに上手くなってるのはもちろんで、最高傑作だと思います。“いろんなジャンルの曲をやるね”とよく言われるんですけど、1枚に落としてもあんまり浮いてこないというか。今回1曲1曲がキラキラしてるものが作れたので、この先がまた見えたというか。いろんな方面にぶっ飛んだこともやってみたいなとか、いろいろ思えるような作品になりました」
ヨシダ「自信を持って出せるし、ここから先にもつながる1枚だと思いますね」
モリタ「ほんとその通りですね。どこに出しても恥ずかしくないっていうか。これまでの作品は土台作りだったんだろうなと。経験がない分、ほんとに手探りでやってたんで。でも今やっと、意識的にもスキル的にもちょっとだけミュージシャンになれた気がしてて。これまではミュージシャンの自覚ゼロ。今もあんまりないんですけど、すごい意識が高まる作品です。で、皆が言う通り、自分の中でも次の作品が楽しみすぎて。だから早くやりたい。早く片寄さんと会いたい(笑)。今後が楽しみな1枚というか、とにかく皆に聴いてほしいです」
――うんうん。そして、来年2月にはTeenage Fanclubの日本公演サポート決定ということで、おめでとうございます!!
アサノ「これはすげえっすよね」
モリタ「俺らが1番ビックリしましたよ」
――どういう経緯で決まったお話なんですか?
モリタ「イベンターさんが呼んでくれたんですけど、でも僕ら、好きって言い続けてたからかもしれないですね」
アサノ「ずっと最初から言ってましたね」
モリタ「人生の中でTeenage Fanclubは、レジェンドすぎて。もうほんとに血となり肉となってるんですよ。ゲームの主人公の名前も“ノーマン”にしてたくらいですから」
――意気込みはありますか?
アサノ「風邪だけひかないようにしたいですね」
モリタ「ほんとそう。死なないこと。生きる。とにかくちゃんと会いたいですね」
――会えたら伝えたいことはありますか?
アサノ「いやー、まずはどんな人間か探りますね(笑)」
モリタ「ちゃんと菓子折り持っていきますよ」
アサノ「とにかくすげえ楽しみです!」
text by ERI KUBOTA
(2018年12月17日更新)
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