アメリカ青春文学を映し出したような、みずみずしくピュアな楽曲を織りなすバンド、Homecomings。この秋にリリースした3rdアルバム『WHALE LIVING』は、これまで英語詞で音楽を紡いでいた彼女たちが初めて日本語詞に挑戦。他にもストリングスアレンジなどいくつもの試みがなされ、その1つ1つが発明級と言えるぐらいの相性の良さを見せている。それを強く実感したのは今回のインタビュー後、11月8日に京都の同志社大学寒梅館で開催された、くるりの岸田繁をゲストに迎えたコンサート。いつものライブハウスではなく椅子席の大きなホールで聴くHomecomingsは、音楽に刻まれた物語をさらに彩り豊かに、ゆったりと楽しませてくれた。後半ではストリングスと共演、さらにアンコールでは畳野彩加と岸田繁の2人でくるりのカバー『男の子女の子』も披露。今回のインタビューの最後で畳野が言った「今作ができたことでもっと大きくなれそうな気がする」を何度も噛みしめるステージだった。現在行われているツアー『LETTER FROM WHALE LIVING』の大阪公演は12月22日(日)Shangri-la。人と自分の距離や、1人で過ごす時間の豊かさ。誰かを想うひとときの静かで穏やかな時間の流れ方など、彼らだからこそこんなにも愛おしく紡ぎ上げることのできた10編の音楽『WHALE LIVING』と、その誕生について福富優樹(g)、畳野彩加(vo&g)の2人が語るこのインタビューにライブに行く前にぜひ触れてほしい。
「バンドがすり減っていくのを感じた」日々を超えて
――前作『SALE OF BROKEN DREAMS』(2016年)のインタビューで、福富さんが“聴く人みんなが物語の主人公になれるようなライブをしたい”と話されていて、その後のツアーでそれを実感しました。部屋で聴いていると曲と1対1のようだったのが、ライブでは同じ曲がその場にいるみんなの歌として共有できていること、1人1人が曲に入り込んでいる広がりと密度の濃さを感じました。その後にも作品のリリースはありましたが、今作はまず日本語詞が聴こえてきたことが驚きで。
Album『WHALE LIVING』 発売中 2400円(税別) PECF-1162 SECOND ROYAL RECORDS
《収録曲》 01. Lighthouse Melodies 02. Smoke 03. Hull Down 04. Parks 05. So Far 06. Corridor(to blue hour) 07. Blue Hour 08. Drop 09. Whale Living 10. Songbirds
Profile
ホームカミングス…福富優樹(g)、石田成美(ds)、畳野彩加(vo&g)、福田穂那美(b)。メンバー全員が大学在学中の’12年に結成。’13年に1stアルバム『Homecoming with me?』を地元京都のレーベル、SECOND ROYAL RECORDSよりリリース。’14年9月には、“平賀さち枝とホームカミングス”名義でコラボシングル『白い光の朝に』をリリースし、同年12月に発売した初のフルアルバム『Somehow,Somewhere』が好評を博す。’15年に発売したシングル『HURTS』に続き、’16年5月に2ndアルバム『SALE OF BROKEN DREAMS』を発売。同作を携えた全国ツアーの大阪公演は6月26日(日)Shangri-laで開催。東京、大阪での自主イベントの開催や、ノーマン・ブレイク(ティーンエイジ・ファンクラブ)やコンピュータ・マジックなど海外のアーティストとも広く共演。‘13年に『FUJI ROCK FESTIVAL』のROOKIE A GO-GOステージに初出演したのに続き、これまでに3度の出演を果たす。’16年よりHomecomingsのアートワークを手掛けるイラストレーターのサヌキナオヤ氏との共同企画で、彼女たちがセレクトした映画の上映とアコースティックライブを行うイベント『New Neighbors』を映画館で行っており、今年6月には初めて東京で開催。10月に3rdアルバム『WHALE LIVING』をリリース。現在行われている『LETTER FROM WHALE LIVING』ツアーの大阪公演は12月22日(日)Shangri-la。NHK Eテレの番組『シャキーン!』にて、Homecomingsが書き下ろした新曲 『Wonder Wander』が11月より期間限定でオンエア。