Shun「“やべー、スイッチ入れてきた”って(笑)。『FAT』は俺たち自身に向き合った分、全体も重視して“この4人の、このフォーメーションなんだぜ”ってところを打ち出せていたと思う。今回はそこをまずKubotyがギターでオーバーラップするように飛び出して。で、Kubotyが書いてきた曲がまた『Fear of Change』(M-3)とか『Visible』(M-10)とか、ギターがめちゃめちゃ派手でかっこいい曲で。そのモードが他のメンバーにも影響して、じゃあ俺はどう叩くか、俺は何を歌うかもっと突き詰めようって。自然とそうなっていきましたね」
――さっきも石巻の話が出ましたが、『Seeds of Awakening』(M-4)は東日本大震災後に誕生した石巻市のスケートパーク『ONEPARK』と、そこでスケートを楽しむ子供達への想いが込められた曲で、ミュージックビデオではTOTALFATが現地へ赴いて演奏するところやスケートを楽しむ子供達の姿や、代表の方の声も聞けました。自分もスケボーが好きで単純にカッコよさへの憧れもありますが、滑っている姿を見ていると自分の中にあるモヤモヤしたものが解放されていくのを感じる。それってライブに行って感じるものと似ているんですね。『Seeds of Awakening』は石巻の子供達へ向けられた曲ですが、聴くことで自分はスケボーを見たときのような解放感を覚える。これまで知らなかったスケートパークについて考えるきっかけももらえた。特定の相手に向けたものが、実は幅広く伝わるものになっているのを感じます。
Shun「『Seeds of Awakening』は『ONEPARK』とのつながりから生まれて、主宰している秀さん(ONEPARK代表 勝又秀樹さん)のことを書こうと思って。書いたものを持って行った先で秀さんの先生である荻堂盛貴さんに出会って、子供たちに出会って、書き終わる頃には届けたい相手がちょっとずつ増えていった。書き終わってからリリースされる間に西日本豪雨があって、そこで大変な思いをした人にもこの曲が響く瞬間があるかもしれないと思った。パンクバンドの自分たちが今歌うべきことって何だろう?体現していくべきものって何だろう?という想いもあるし、時代や国の背景によって今やるべきことは変わってくると思うんですけど、誰かを救える曲、救えるライブ、救える存在になっていけたら、もしかしたらTOTALFATの意味がもう1つ新しく生まれるんじゃないかなって。『Seeds of Awakening』を作り終えて少しずつ自分たちの中でも消化出来てきて、曲を聴いた人の気持ちを変えられたり、書いたことで自分自身も変えることが出来る。そういうパワーをもった曲を作ることが出来たなって」
Shun「何か、そういうノリやアイディアがいいと思える作品というか、リアルであればパッと出てきたものでいいなと思えたんですね。Kubotyは俺がハードコアを聴いて育っていることを分かっているし、俺のハードコアに対する知識やフィーリングを信頼してくれているんだなって。同じように俺もKubotyのギターを信頼してるし、BuntaもJoseもそう。『Seeds of Awakening』は石巻に行って出来た。『Sneaker Gang Blues』は、その場で思ったこと、感じたこと、怒っていることを吐き出した。2つとも一緒なんですよね。この4人が肌で触れているものに対して音とビートで言葉を投げかけてゆく。それが全曲で出来て、結果すごいリアリティの塊みたいなアルバムになったなって」
《収録曲》 01. Title Holder 02. Broken Bones 03. Fear of Change 04. Seeds of Awakening 05. Your Goddamn Song 06. Hello Daphnia!! 07. Drop Like Water 08. Intermission 09. Sneaker Gang Blues 10. Visible 11. Better Yet, Better Off 12. Phoenix 13. Grown Kids feat. SUGA(dustbox), 笠原健太郎(Northern19)
Profile
トータルファット…Jose(vo&g)、Shun(vo&b)、Kuboty (g)、Bunta(ds)。'00年結成、ライブを開始。'03年に1stミニアルバム『End of Introduction』をインディーズレーベルよりリリース。'07年5月、グッド・シャーロットの来日公演のサポートアクトを務めたのをはじめ、マキシマム ザ ホルモンやELLEGARDEN、KEMURIのツアーに参加。'08年4月に『PUNKSPRING 2008』初出演。同年、バンドを組むきっかけとなったバンドであるオフスプリングのジャパンツアーに参加し、日本人最多の7公演をサポート。'09年には初のアメリカ西海岸ツアーを敢行。翌'10年6月にアルバム『OVER DRIVE』でメジャーデビュー。'13年には初のベストアルバム『THE BEST FAT COLLECTION』をリリース。インドネシアのジャカルタで開催されたフェスに出演し、初ライブにもかかわらず大トリを務め満場の観客を魅了。'15年7月、レーベルを移籍し7thアルバム『COME TOGETHER,SING WITH US』リリース。10月に発売したシングル『宴の合図』のカップリングで秦 基博の『ひまわりの約束』をカバーし話題を呼ぶ。'16年4月、『PUNKSPRING 2016』で日本人初のヘッドライナーを務め、それを記念して会場限定シングル『ONE FOR THE DREAMS』4000枚無料配布。'17年4月、約2年ぶりにフルアルバム『FAT』リリース。'18年1月、毎年1月に開催される自主企画『PUNISHER`S NIGHT』のゲストであるdustboxのSUGA、Northern19の笠原健太郎を迎えたシングル『Grown Kids feat. SUGA (dustbox),笠原健太郎(Northern19)』をリリース。同曲と4月に配信された『Phoenix』、7月に配信された『Seeds of Awakening』を含む待望のニューアルバム『Conscious+Practice』が10月3日発売。同作を携えたツアー『Conscious+Practice Tour 2018』が11月10日(土)高松を皮切りにスタート。関西公演は11月30日(金)BIGCAT、'19年2月28日(木)神戸KINGSX、3月2日(土)京都MUSE、3月3日(日)奈良NEVERLAND。