リメイク曲&新曲を引っ提げて新体制で走り出す!
電波少女インタビュー&動画コメント
“ネット発ヒッチハイク経由”で昨年メジャーデビューを果たしたヒップホップグループ・電波少女(でんぱがーる)。この春に新メンバーが加入し3人体制となった彼らは、8月から5か月連続でリメイク楽曲を、さらに11月18日(日)には新曲『忌々 -yuyu-』を配信リリース! そして同時に「シークレットツアー」へと乗り出す!! そこで、プロフィールも新曲もツアーも、何かにつけて興味をそそってくれる3人に尽きない疑問をぶつけてみた。正直過ぎる回答には思わず笑いも…。
――ぴあ関西版WEBに来ていただくのは初めてということで、まずはプロフィールについてお聞きします。結成は2009年で、最初はネットラジオからのスタートと…。これはどんなことを?
ハシシ「今は生配信するツールがたくさんあるけど、結成当時はそんなになかったんです。それで、ニコニコ動画で自分たちの雑談とか(ニコニコ動画内の)ネットラップっていうコミュニティに投稿される曲とかを紹介していくというものですね」
――自分たちの曲も紹介するんですよね?
ハシシ「いや、曲は作ってなかったです。もともとそれぞれに活動するMCやトラックメーカーの人たちでラジオをやるっていうグループっていうことだったみたいです。あとで知ったんですけど(笑)」
――あとで知ったんですね(笑)。
ハシシ「俺は誘われて入ったんですけど、楽曲を作るグループだと思って入ったんです。そしたら違ったらしくて(笑)。それで“曲は作んないんですか?”って聞いたら、メンバーの人が“堅苦しいわ。辞めるわ~”って言いだして(笑)、どんどんみんな辞めて最終的に俺と元の相方と2人になったんですよ。誘われて入って残されて“え、ハズ!”って…(笑)。でもこれで辞めて尻すぼみになるのもヤダなって思って、そこから電波少女を音楽をやるグループにしていった感じです」
――ちなみにネットラップの定義とは?
ハシシ「10年ぐらい前はインターネットを使う人ってそこまでいなかったんですよ。動画はYouTubeにあげられてはいたんですけど、まだあまり身近じゃなくて…。そんな頃は、素人が機材をそろえて自宅でそれっぽい曲(ラップ)を作るってこと自体が珍しくて、それをインターネットにアップロードしている人たちがネットラッパーって呼ばれてたんです。それ以外はもちろん普通にクラブとかで活動している人たちがいて、そこと二極化してました。両方やってる人もいて、俺とかNIHA-Cくんは両方経験している組でしたね」
――ネットラッパーのラップがネットラップと…。普通のラッパーとネットラッパーは交流があるんですか? 仲悪かったとか(笑)??
ハシシ「仲悪くはないです(笑)。でも(ネットラッパーの)立場が弱かったですね。現場(ライブハウスなど)の人たちから軽く見られているというか…。“リアルじゃね~な”みたいな(笑)。当時の話ですけどね」
――で、先ほど出たようにメンバーチェンジを経て、ハシシさんとnicecreamの2人になりメジャーデビューするわけですが、その前に「“電波少女的ヒッチハイクの旅”47都道府県ストリートライブTOUR」(北海道からゴール地点の宮崎県まで、ヒッチハイクをしながらストリートライブをする企画)というミッションを達成。これはなぜやることに?
ハシシ「わかんないです! 会社に問い合わせてもらえると……(笑)」
――正直(笑)。
ハシシ「でもまあ、当時はメジャーデビューを目標に頑張っていたんで、その話題作りとか、ひっかかりになったらいいなと。最初は甘く見てたんで、ま、いっかなって思ったんです。あったやろ(笑)?」
nicecream「あ~。ちょっと楽しいかもって……(笑)」
ハシシ「きついとは思ったけど、なんだかんだで楽しいかな?って。けど、結局ひたすらきつかったです(笑)。でも都合のよいもので記憶は……」
nicecream「今となれば……」
ハシシ「なんか楽しかったこともあったな…みたいな風に変換されている(笑)」
――もし“もう一回やれ!”って言われたら?
ハシシ「(即答で)嫌ですね(笑)!」
全員「(笑)」
――でも旅を通して自分が変わったりしませんでしたか?
ハシシ「(即答で)ないです(笑)!」
全員「(笑)」
ハシシ「旅をしてる途中、(ヒッチハイクに協力してくれた人に)感謝することは感謝してたんですけど、それを噛みしめる余裕がないというか…。路上ライブの投げ銭だけで生活しないといけなかったんで、人の好意でだけ成立してた旅だったんです。だからお礼のしっぱなしで、すると、もう麻痺するというか…(笑)。でも旅が終わって自分たちで動画とか見直してすごく咀嚼して、感謝しまくりましたね」
――じゃあ、今は自分がヒッチハイカーを見つけたら車に乗せます?
ハシシ「絶対乗せよう!って決めてたんです。本当にこんだけ乗せてもらって、恩返ししなきゃって思ってたんです……でも俺はもう5回ぐらいスルーしてます(笑)」
全員「(笑)」
ハシシ「前にあったとよね? 東京から名古屋にライブに行くことがあって、5人乗りの車に荷物も積んで4人で乗ってたら、“名古屋まで”っていう(ボードを持った)少年が東京にいて…」
nicecream「行先、ぴったり(笑)」
ハシシ「でも“いや~狭いっすもんね~”って(笑)」
――確かに狭いですが……(笑)。
ハシシ「だからなおさら乗せてくれた人ってすごいなと…。だいたいなんか怖いじゃないですか。それに当時、俺は黒髪でこっち(nicecream)が金髪で、ガラも悪いし。よく乗せてくれたなって思います」
――……と思いつつ少年の前を通り過ぎる(笑)。
ハシシ「ま、こっちのコンディションもあるから(笑)。前も、夜に運転してたら女の子2人組がヒッチハイクしてて。で、気持ち的に“乗せられる!”って思ったんですけど、その時スペアタイヤで“○km以上走るな!”って言われててダメだなってなりました。でも、いつかは……(笑)」
――ライブに関してはどうですか? 旅の路上ライブを通して変化したことは??
nicecream「心は強くなった気がします。ライブハウスなら、僕たちを見に来てなくても、少なくともライブを見に来てる。でも路上はまったく興味ない人たちが歩いてるなかで、大きな音を出してって感じだったんですよね」
――そうやって度胸もつけて、昨年9月にアルバム『HEALTH』でついにメジャーデビュー。さらに今年3月にNIHA-Cさんが加入するわけですが、このいきさつは?
NIHA-C「昔からハシシさんと曲を一緒にやったり、住んでる所も近かったので、ご飯も一緒に行ったりしてたんです。その時は僕もソロでラップをやっていて、前から今後の話はお互いよくしてたんですけど、今年の1、2月ぐらいに“これからNIHA-Cくんはどうするの?”ってなって、その時、俺が“これから何をやろう?”って悩んでいたんで、そのことを話してたら、“じゃ電波少女入る?”って言ってくれて。ただその時は“ここで決めてできることじゃないですよね?”って(笑)。でも自分としては入りたいって思ったんで、そこでは“もし現実的にできるんだったら入りたいです”って返事をして、そこから急ピッチで進んだ感じですね」
――新メンバー加入については、以前から考えていたことだったんですか?
ハシシ「メンバーが欲しいなとは思ってて…。ラップを15歳からやってきて、自分一人(1MC)の期間って2~3年しかないんですよ。ずっとグループでやっていたから一人になかなか慣れないというのもあったし、自分の声やキャラを考えた時にもう一人MCがいた方が楽しいだろうなっていうのがあったんです。でも誰とかは決まってないし、かと言って“テキトー”な人も入れたくはないっていうのがあり、で、しゃべってるなかで “入る?”って言ったら、“入る”っていうことだったので、どうしよう?と……(笑)」
――“どうしよう?”(笑)。
ハシシ「いや、曲のストックもないし、ライブも変わるんで“どうしようかな?”っていう(笑)」
――“もう一人入れたい”というのは、ハシシさんとnicecreamさんの2人の統一見解だったんですか?
ハシシ「結構そういう話はしてました。MCじゃないにしても、バンド形式にするか?とか」
nicecream「キーボードを増やすか?とかいう案もあって……」
――バンド……自由ですね。あ、そう言えば! nicecreamさんのプロフィールは、“ボタンを押す係兼パフォーマー”ですよね(笑)。
ハシシ「兼、画伯です、今は(笑)」
――画伯? 順に説明をお願いします(笑)。
nicecream「ま、一般的にはDJなんですけど、ライブでインストをかけるっていう……ま、DJの機材を使いながらも、本当に再生ボタンを押すという係りです(笑)」
――で、パフォーマー。
nicecream「もともとブレイクダンスをやっていたんで、曲の合間にパフォーマンスをするという」
――で、画伯?
nicecream「最近ちょっとブロクで絵を描いてるんです」
――絵も描けるんですね。
nicecream「絵っていうほどのものでは……落書きです(笑)」
ハシシ「画伯です。LINEスタンプ化を狙ってます(笑)」
nicecream「小銭稼ぎ的な(笑)!?」
ハシシ「(nicecreamは)印税がないんで(笑)」
nicecream「いや、そういうわけでもないんですけど…(笑)」
――話を戻しまして(笑)、3人になり、その後8月から5か月連続でリメイク楽曲を毎月1日に配信リリース中。これは3人でできる曲を!ということですね?
ハシシ「そうですね。2人体制の時の曲やNIHA-Cくんのソロの曲のなかでも、当然人気のある曲があって、それを今後やらないっていうのはもったいないなと思うし、お客さんも寂しいかなって思って。だったら今までの自分たちの代表曲を3人バージョンにリメイクしたら強度も高まるんじゃないかなっていうところです」
――では選曲基準は人気曲ということですね。
ハシシ「はい。あとライブでやりたいなって曲ですね」
――NIHA-Cさんは、そんな人気曲に新たに加わることにプレッシャーを感じましたか?
NIHA-C「そうですね。ファンが曲を大事にしているというのは昔から知っていて、感じてもいるから、そこに自分がまた新しい形で参加してってなると、やっぱりプレッシャーはありましたね。どうしても自分が好きになった時の原曲がみんな一番かっこいいと思うはずなんで、そこを超えるとなると、もしかしたら難しいのかな?って思ったりもしたんですけど、それは置いておいて、新しいバージョンもいいよね!って言ってもらえるように頑張りました」
――そして11月18日(日)には新曲『忌々 -yuyu-』がデジタルリリースに! かなりポップな仕上がりですが、こうなった理由とは?
ハシシ「意図は全然ないですね。こういう曲がなかったなって思ったから作ってみたいなと思って…」
――リリックも刺々しさが以前より減少しているような。
ハシシ「いや、歌詞の内容はいつものようにすごく卑屈なんですけど…何と言うか、縁起の悪いワードを散りばめたいなと思って。でも聴いた時にはそういうのを感じさせない曲にしたいなと……朝っぽいというか。でも歌詞を見たら、縁起の悪いワードがいっぱい(笑)」
――“北枕”とか“藁人形”とかですね。でも、過去の楽曲も今回もネガティブな言葉は多いんですが、以前と少し方向が違うかな?と思いました。
ハシシ「前作の『HEALTH』あたりから言われるのが、前はネガティブで1曲が終わってたけど、最近はネガティブで入って最終的に前を向いてるようなノリになってきているという…。この曲もそうなんですけど、“いいじゃん”“こんな日々でもいいでしょ”っていう開き直りの感じですね。歌詞の書き方も曲の作り方も」
――そうなったのはなぜですか?
ハシシ「ワンパターン過ぎるのかな?って思ったりとか、あと、自分のなかでは深みを増してるつもりなんです。まだ全然精神年齢は低いんですけど、自分なりに生きてきたなかで大人になってじゃないとわかんないこととかを……例えば“言いっ放しにするのは簡単だよね”とか“言えばいいってもんじゃないな”とか“で、その後のどうするのか?”とか…(を入れたかった)。あと、自分がそういう(ネガティブな)歌を作るうちに原理がわかってきて、そういう歌を聴いた時に、すごく同族嫌悪というか“こうやって言えば、こう言ってもらえると思ってんだろ?”っていうのを感じて、それが徐々にねじれてきてちょっとずつ変化してっていうのかもしれないです」
――その嫌悪の対象は『忌々 -yuyu-』で言うと、“踏切のこっち側で 俺らが騒いでる”というフレーズの“踏切のこっち側”のこと?
ハシシ「そうですね。そこはNIHA-Cくんの歌詞なんですけど、もろ、そういうことです」
――詞はハシシさんとNIHA-Cさんの共作なんですね。
ハシシ「2人で振り分けて、それぞれ自分が歌うところを考えるというかですね」
――この気になった部分はNIHA-Cさんの詞でしたか(笑)。
ハシシ「でも、これは俺が言って、この詞に変更したんで…(笑)」
NIHA-C「そうですね(笑)」
ハシシ「最初は“向こう側で誰かが騒いでる”だったんですけど、それブーメランじゃない?って言って、“こっち側で俺ら”にした方がいいでしょ?って言ったんで、どっちかと言うと俺の手柄です(笑)」
全員「(笑)」
NIHA-C「ハシシさんが“みんなが敵だと思ってる人を攻撃してもかっこよくないよ”って、“それはブーメランになって返ってくることだから”って言って」
ハシシ「そうやって、あとから2人でお互いに手を入れる感じですね」
――ではそろそろツアーの話も。「シークレットツアー」というタイトルですが、シークレットにはされてないですね(笑)。
NIHA-C「ハシシさんが考えてくれました(笑)」
――あ、やっぱり天才が考えたんですね(笑)。
ハシシ「全国に5万人はいる天才が…(笑)。いや、本当、つまんないんですけど、自分が昔働いていたパチンコ店が当時イベントをやっていて、月曜に“シークレットマンデー堂々開催!”って言ってたんですよ。個人的に“何言ってんだろう?”ってずっと思ってて、おもしろかったんで、これにしただけです。はいっ、おもしろくないですよね(笑)。結構、これいろんなインタビューで突っ込まれるんですよ。で、説明するたびにどんどん後悔が……(笑)」
――シークレットゲストも登場しますが、ゲスト名も堂々発表してますもんね(笑)。では最後にそんなツアーの見どころを!
ハシシ「今回6か所を回るんで普段ライブに来られない人にも来てもらって、いつもどおりに一生懸命やって自分たちを届けたいですね。あと各地にゲストが来ます。仲良くしてる“ヤバイ友達”ばっかりなんで、ゲストを含めてみんなで盛り上がれたらいいなって思います」
NIHA-C「ツアーまでにリメイク曲も4曲出るので、新しいバージョンも原曲もぜひ聴いてもらって、ライブをより一層楽しんでもらえたらなと思います。普段は東京でのライブが多いので、地方でなかなか会えない人たちに会えるのが楽しみですね」
nicecream「関西でのライブは大阪と京都なんですけど、大阪はもうソールドアウト。でも今のところ京都はまだ残っているので京都にぜひ。京都のゲストはglitsmotel(HANG×唾奇)で、イケイケなグルーブがおもしろいと思います。そして、なんと言ってもNIHA-Cくんが加入しての初のツアー。ぜひ遊びに来てください!」
text by 服田昌子
(2018年11月19日更新)
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