愛はズ・金城 × ナード・須田 × DENIMS・おかゆ
“人生を変えた1枚”についてルーツ対談!
愛はズボーン主催『アメ村天国2018』開催記念インタビュー
大阪・アメリカ村一体を会場とした、愛はズボーン主催のカルチャーフェス『アメ村天国2018』が11月10日(土)に開催。今年で3年目を迎える同イベントは、ライブハウス6会場を主としたバンドのライブにとどまらず、カフェや古着店での弾き語りライブにアート展、お笑い芸人の出演など、多彩なカルチャーがごちゃまぜになったイベントとなっている。今回はイベントの開催を記念して、主催バンド・愛はズボーンの金城昌秀(vo&g)と、出演するナードマグネットの須田亮太(vo&g)、そして彼らとは同世代にあたるDENIMSのおかゆ(g)の3人で“人生を変えた1枚”についてトーク。アメリカ村・BIG STEPの地下1Fに移転した、老舗レコード店「KING KONG」でそれぞれ“人生を変えた1枚”を探し出してもらい、見つけた1枚から彼らのルーツを遡っていくだけでなく、話題は時代ごとに変化した音楽との出会いの在り方にまで発展。探している時間もそうだし、語っている時も、童心に帰ったように目を輝かせ、気づけば“1枚”ではなく何枚も影響を受けたアルバムやシングルについて語られた。この記事をきっかけに、気になったアーティストや音楽をぜひ掘り下げてみてほしい。
小学生でカバーしたザ・ビートルズとの出会いから
エレキギターとの出会い、今の作詞に影響を与えた1枚まで
――まずは、おかゆさんから“人生を変えた1枚”教えていただけますか?
おかゆ「最初はこれ、ザ・ビートルズの『ホワイト・アルバム』です。出会いは小学校6年の時で、友達が持ってきて学校でかけていたのを聴いて、かっこええなぁ思って。ちょうどその時、親戚のおじさんにアコギを譲ってもらってギターを始めていたので、学校で催されていた名人会っていうイベントに、友達とバンドを組んで出たんですよ」
金城「それ、小学校ですよね? めっちゃ早いですね!」
おかゆ「そう。俺がアコギで歌って、友達Aがタンバリンとコーラス。友達Bが小豆をザーッてしながら波の音を表現して、『イエロー・サブマリン』を演奏したんですよ」
須田「サブマリン感を小豆で(笑)」
金城「前衛的ですね!」
おかゆ「前衛的な編成やろ? それで審査員が5人いて、持ち点が5点の25点満点になると名人賞なんですけど、俺らが『5点!5点!5点!5点!』と続いて、校長先生だけが3点やったんです。司会の人が、『どうして3点なんですか?』って聞いたら、『チューニングが合っていなかった』って言われて」
金城「厳しい!(笑)」
おかゆ「俺らの後に出た、『ポケモン言えるかな?』をアカペラでやってた子が、名人賞とってましたね」
金城「チューニング合ってたんですね(笑)」
おかゆ「『努力が見えた!』とか言われてた(笑)。それからザ・ビートルズを順に聴いても、これが一番やばいなと思うアルバムです」
――それまではどんな音楽を?
おかゆ「ザ・ビートルズも聴いていましたけど、どちらかというとJ-POPとかが多かったですね。周りに、小学生にしてはハイセンスな友達が多くて、ピチカート・ファイヴとか聴いてましたね。あと、おかんがめっちゃレゲエが好きやからレゲエも聴いてました。それで学校にあるCDデッキみたいなのを使って、休み時間に音楽のセンスの見せ合いっこみたいなのをしてて。KinKi Kidsを聴きたい女子にごっつブーイングを受けながら、みんなが好きな曲をかけまくってました(笑)。俺はジャマイカのインナー・サークルとかレゲエを持って言って聴いてましたね」
――その後の成長がすごい気になる小学生たち(笑)。
おかゆ「中学に入ってから出会った1枚は、Green Dayの『Dookie』ってアルバムです」
須田「懐かしい!」
おかゆ「ちょうどベストの『INTERNATIONAL SUPERHITS! 』が出たぐらいの時で、ラジオで『Basket Case』がガンガンかかってたんですよ。それで、その『Basket Case』が入ってるアルバムの『Dookie』を選びました。ラジオで流れてきた瞬間に、『なんじゃこれ! めっちゃかっこええ…』ってすごい衝撃を受けて、すぐにお年玉でエレキギターをすぐ買いに行きました。Green Dayと同じギターが欲しかったんですけど、何を使ってるか今みたいにすぐにネットで検索とかできないし、PVとかも気軽に見れないから、なんのギターを使ってるんかアルバムのジャケットを遡って調べたら、SGってギターを持っていたからこれやと思って買ったらちゃうかったんですよね」
金城「その時だけですよね? あんまり見たことないですもん(笑)」
おかゆ「そやねん。結果、ちゃうかってん」
金城「俺はそのもうちょっと後ですわ。『American Idiot』が死ぬほどかかってた時代で、なんやこれって思ったの覚えてます」
おかゆ「俺らでも中1とかやから、なんやったら兄ちゃん世代やから、俺がちょっとませてるというか、早かったのかもしらんけど」
須田「俺は中3の時やわ。『WARNING: 』が出た時かな? 兄ちゃんいるやつが洋楽に詳しくて、『Green Dayの新しいのを買いに行く』って友達から聞いた時に、Green Dayってバンドがいることを知って。だけどお金ないし新譜は買えないから、レンタルでその前に出てた『Nimrod』を借りたのが最初かな」
おかゆ「いいですねえ! それからもう一枚。Green Dayでパンクが好きになって、日本のパンクを聴きだした頃に借りてきたのが、このeastern youthのアルバム『感受性応答セヨ』。近代文学みたいな歌詞で、カミナリみたいなギターが鳴っていて…。歌詞って単純に伝えるためのものじゃなくって、情景を浮かばせるためのものなんかなとか。当時は中学生やから何にもわかってないですけど、なんしか衝撃を受けすぎて、次の日の朝に大阪から和歌山マリーナシティまで自転車飛ばして行ったもん、これ聴きながら。僕は自分で曲を作るんですけど、作詞でめちゃくちゃ影響受けています」
須田「eastern youthが出てる東京の『BAYCAMP』で俺らも出てた時、二人でめっちゃ緊張しながら吉野寿さんに挨拶させてもらったよな。一人やったら緊張するから一緒に行こうっていって、音源を渡させてもらったんですよ」
おかゆ「めちゃくちゃ緊張しましたね…」
ロックの衝撃がBLANKEY JET CITYで
パンクの衝撃はGOING STEADYでした
――須田さんはどんな1枚を?
須田「僕の人生を変えた1枚となると、『どうせWEEZER持ってくるんやろ!』と思われてると思うんですけど(笑)」
おかゆ「舐めんなよと」
須田「もうWEEZERに影響受けてるという話はいろいろなところで話してるから、今日はそれ以前に影響を受けた作品を持ってきました。まずは、BLANKEY JET CITY『HARLEM JETS』ってアルバムです。だけどこれは僕が聴いていたCDとは、レコードやからかちょっと収録曲が違っていて。だから、今、これちょっと欲しくなっていますね(笑)。音楽は小学生の頃からすごく好きで、ラジオから聞こえてくるJ-POPとかテレビから流れてくるヒットチャートの上位のやつが好きとかやったんですけど、チャート上位のは全部追いかけるぐらい聴いていました。それが中学1年生の時に、親戚のおじさんにエレキギターをもらってからギターに興味を持つようになったんですね。で、ある日、ラジオを聴いていたら『BLANKEY JET CITYが、最後のアルバムを作って解散します』ってすごく話題になっていて。その時に流れていたのが、これの1曲目に入ってる『SEA SIDE JET CITY』って曲なんです。ど頭のギターの音が異常にかっこよくて、今まで聴いていた音楽と全然違っていたから衝撃で! めちゃくちゃ生々しいギターの音に、『これがロックというものなのか』と、ロックの原点でした。なので、今の僕のイメージと違うかもしれないですけど、昔はめちゃくちゃベンジーに憧れていたんですよね」
金城「確かに、全然イメージちゃいますね!」
須田「憧れてはいたけど、革ジャンも似合わへんし俺はベンジーにはなれないなと思ってから、紆余曲折を経て今のスタイルに落ち着いたわけなんですけどね。それから少しして、GOING STEADYが出てくるんですよ」
おかゆ「うわー、泣きそうになってきた…」
須田「なんかなるよね! 店内にあったのがこの『BOYS&GIRLS』のファーストアルバムなので、これを。僕が最初に聴いたのは、『東京少年』がシングルで出た時で、ラジオで聴いて『なんじゃこれ!』って…。なんかもう、なんかもう…、歌がめちゃくちゃやのに泣けてくるし……って。だから、ロックの衝撃がブランキーで、パンクの衝撃がゴイステなんですよね。中3か高1ぐらいで、地元滋賀の近所にあったハックルベリーってライブハウスに、解散間際ぐらいのゴイステが来てて観にいったら意味わからんぐらいめちゃくちゃの壮絶なライブで。それが衝撃的で、『これがライブハウスで、これがパンクロックか!』って思いましたね。今、それぞれアウトプットしてる方法は違えど、バンドしてる同世代はみんな、どこか峯田(和伸)さんに影響を受けてるんじゃないかなって思うんですよね」
金城「完全に俺もそうですね。『RUSH BALL』か何かの野外イベントで、『色即ぜねれいしょん』か何かの撮影の時で、長髪でヒゲゴジラの時に観にいったんですけど、逆光の照明がバーってなったステージに、峯田さんが遅れて出てきただけで、僕、泣いてましたもん。『ずっとブログ読んでた人が目の前に!』って」
須田「そうそう!みんなブログ読んでたな」
金城「今みたいにツイッターとかもないし、みんなが見てるSNSとかなかったですからね」
須田「毎日、ブログで『おやすみBGM』っていう、“今日の一曲”みたいなのをあげてて、それをディグるんですよね」
金城「ちょうど、その頃はガラケーやしすぐに聴けるわけじゃないからメモして、レンタルしたり聴きに行くっていうね」
須田「アーティストのルーツに触れたい、知りたいって欲求を掻き立ててくれるカリスマ性がすごいんよね。だから、峯田さんきっかけで出会える音楽がいろいろあったからこそ、影響受けてる人がめちゃくちゃいっぱいいるとはいえ、みんなそれぞれやってることがバラバラやと思うんです。そういう意味でも、僕は結構、人生狂わせられましたね」
金城「ちなみに、WEEZERやと何枚目ですか? 俺は『Make Believe』です!」
おかゆ「俺は『Maladroit』かなぁ。リアルタイムは『ザ・グリーン・アルバム』やったかな。中1で、その2年後ぐらいに聴き始めたぐらいかな」
須田「その時、僕が2歳上で中3ぐらいから、洋楽を聴き始めたぐらいでまさに一緒ぐらいのタイミングで出会ってるね!」
おかゆ「俺が手に取ったCDを須田さんも手にとってたかもしれないんですか! なんか嬉しいなぁ」
須田「かもしれへんね(笑)。僕が一番、衝撃受けたのは『Pinkerton』ですね。あのぐちゃぐちゃな音と歌詞が好きなんですよね」
愛はズボーンに影響を与えた
The Chemical Brothersの1枚
――金城さんの1枚は?
金城「僕も峯田さんの銀杏BOYZ大好きで、WEEZERもGreen Dayも好きで。聴いてきたんはそういう、ギター、ドラム、ベース、ボーカルの編成で、あとはボーカルがギター持ってるか持ってないか、って音楽ばっかりやったんです。だから、キーボードが入ってるってなると、『え?それに頼るの?』みたいな感覚があって」
おかゆ「なんかわかる。軟弱に思ってた」
金城「今思うとなんのこっちゃなんですけど(笑)。でも、弦楽器と太鼓だけでやってる感じが好きで、そういうバンドって歌がありきで、どれだけバンドのアレンジするかが大事になってくると思ってたんですよ。それが前のバンドを解散して、愛はズボーンを結成する間の2011年ぐらいに、その時に、ふとThe Chemical Brothersのこのアルバム『Come With Us』を、それこそこのKING KONGで見つけたんですよ4曲目に『Star Guitar』やから、俺、絶対にギターの曲やと思ってたんですよ。まだ、The Chemical Brothersの名前しか知らんし、音も知らんしで、ジャケットのインパクトと『Star Guitar』が聴きたいと思って買って、家帰ってかけたら1曲目から鳴ってないんですよ。俺が好きな楽器が全然鳴ってない!(笑)。ずっと軟弱やと斜に構えて思ってた打ち込みの音ばっかりなんですよ(笑)」
おかゆ「とはいえ、『Star Guitar』は…!?」
金城「そう、それで4曲目の『Star Guitar』になって、さすがに『来るぞ!』と思ったら…、ぜんぜんけえへん(笑)。それでも、『ええなぁ』って思えたんですよね。ちょうどiPhoneの3Gに変わる時期やったんで、すぐにMVが観れたんで『Star Guitar』を観たら、それがまたよくて。好きなミシェル・ゴンドリー(映画『エターナル・サンシャイン』などの監督)が撮ってて、今、自分でMVを撮ったりしてるんですけど、彼との最初の出会いがこの曲でもあって。で、電子音楽とかクラブミュージックってかっこいいねやと初めて思えたんですよね。自分の世界が広がったというか。だから、前のバンドに比べて、愛はズボーンではもうちょっといろいろなこと、違うこともやってみたいなと思えたんですよ。2曲目の『It Began In Afrika』から『Galaxy Bounce』の曲の繋ぎとかも、何回も繰り返して聴いていたら、打ち込み機材を使ってるのにテンポを操作するねやとかトリッキーな感じに気付くことができたり、そういう聴けば聴くほど発見できる楽しさがあったり。いろいろなことを勉強させられて、教えてもらった1枚ですね。だから、愛はズボーンが同じことを繰り返して歌うところとか、このアルバムで受けた衝撃の影響がありますね」
――この1枚に出会えてなかったら、愛はズボーンはまた違った形で生まれてたかもしれないわけですね。
金城「そうですね! そういう意味でも、すごい世界が広がった。あとは、これ。高校生ぐらいの時に出会った、BECKの『MELLOW GOLD』とか。これは1枚目なんですけど、同じ時期に『ODELAY』を中古CDショップで買ったんですけど、それは『BECK』って漫画が流行ってるからって単純な理由で」
おかゆ「普通の子やな!」
金城「そうなんですよ(笑)。その頃、壁掛けのナイロンのCD入れみたいなやつのポケットを埋めたいがために買ってるとかがあって(笑)」
須田「あった! 壁掛けのCD入れるやつ!」
おかゆ「わかるわー(笑)。だいたい9つのポケットがあると思うねんけど、俺、真ん中に兵士がつけるドッグタグ入れてたわ(笑)」
金城「ダッサ! 兵士になんのルーツもないのに(笑)」
おかゆ「岸和田カンカン(ショッピングモール)で作れるところがあって、それごっつ大事にしててん!(笑)」
手軽に音楽が聴ける今の時代に
“人生を変えた1枚”に出会うための存在が必要
金城「でもわかります。ちょっと友達が来た時のこと考えて、そこに何並べてるかでカッコつけたいんですよね。『俺、こんなん聴いてるねん』って(笑)。でも、その当時はこのジャケットダサいと思ってて。でも、1年以上、飾って置いてただけやったのが、ある日突然、ダサいと思ってたジャケがパッと見たら『カッコいいやん!』ってなって。聴いてみたら、『Devils Haircut』がカッコよくて」
おかゆ「俺は美容室でかかってそうな音楽をカッコつけて聴いてた時期があったわ。あとは、海外ドラマでかかってそうかどうかとかで選んでた(笑)。The All-American Rejectsとかも、めっちゃ好きでしたね。アメリカンドラマでありそうな、アメフトやってる映像がすごい浮かんでくるんですよ」
須田「懐かしい! やっぱりパワーポップは、そういう青春感あるよね。そこに俺は今だにとらわれてるとこあるからなぁ。アメリカの青春ドラマとかでかかってそうな曲を作ろうって。ベンジーみたいなロックンロールに憧れた時もあったし、美容室でかかってるようなおしゃれな音楽とかもやりたいとか思ったけど、いろいろ経て、パワーポップに。いろいろな音楽聴いてるのは、やっぱり峯田さんの影響やねんけどね」
金城「須田さん、いろいろ紹介とかしてはりますもんね」
おかゆ「すげーなって思いますもん。ほんま、須田さんの新作とかの追い求め方って変態ですもんね」
金城「努力とかしてるわけでもなくでしょ?」
須田「もちろん好きで楽しいからやねんけど、努力はしてる。これはつい先日に、DENIMSのカマチューとか空きっ腹に酒のユキテロとかも同じ話になったんやけど、すごい自分のやってる音楽が保守的なジャンルやと思ってるから、今の時代はどうなのかを知った上でやりたいなっていうのがあって」
金城「なるほどなぁ…。あ、俺最近やとコーネリアスが去年出したアルバムの『Mellow Waves』がやばかったですね。正直、不感症じゃないですけど、もう高校生の時みたいに音楽で衝撃を受けることないわって諦めてたところあるんですけど、『うわーー!』ってなりましたね。これだけ、音楽の文化を伸ばしていくためにすごい曲作ってる人がいて、それも日本人でって。それで、こういう感覚を忘れて音楽やっててもあかんなとハッとさせられて、最近はコーネリアスめっちゃ聴いてますね。ビートの小刻みも、本来はハイハットでやるべきところをギターでやるとかカッコよかったですね…。愛はズボーンとして一番キタのは、『FANTASMA』ですね。だから最近、ずーっと聴きまくってますね」
――新譜追い求めて、今日みたいにレコード屋に足を運ぶことってよくありますか?
金城「減りましたね…」
おかゆ「俺も」
須田「僕はめっちゃ行きます。でも、ついついいっぱい買っちゃうから、あんまり行かないように気をつけてます(笑)」
――昔はレンタルが多かったんですね。
須田「お金がなかったからね」
おかゆ「あの頃は自分も変態やったと思いますよ。『SUMMER SONIC』とかフェスの出演者で、自分の知らないアーティストのは全部借りて聴いたりしてました」
金城「俺は家がケーブルテレビやったんで、そのパワープッシュとかでめっちゃ流れてたんで、それを見て買ったり借りに行くことが多かったですね」
須田「2歳ずつぐらいで歳が違うから、ちょっとずつ音楽にアクセスするインフラが整備されてるね!」
金城「ほんまに携帯がスマホに変わる時代に聴いてきて、今ではパソコンをスピーカーにラインでつなげて聴くことが多いんで圧縮された音源ばっかりやから、たまにこういうお店でレコードとかで直で音が聴けると、『ええなぁ』って思いますね。ちゃんとこうやって探したりして、直で聴かないとなって思います。今ちょっと、便意もよおしてましたましたもん。本屋さんみたいな、好きなことで刺激されておしっこしたくなるみたいな感じで、楽しいからつい。でも、今の子は、ラジオとかテレビで知って、それを調べてお店に行くとか、試聴して初めて聴いて買うとか、ジャケ買いで3000円出して、どんな曲かわからんのに冒険して買うことってないかもしれないですよね」
須田「する必要ないもんね、すぐ聴けるから! すごい羨ましい」
金城「なんならSpotifyやApple musicみたいなサブスクリプションでもなんでも全部聴けるから、買わんでいいですもんね」
須田「俺らの時って、音楽の話になった時に『俺それ通ってないわ』って、聴いてこうへんかったら言うことあったけど、今はその話になった時にその場で聴けるから、帰りの電車でしっかり“通る”ことができるねんな。だから、“通ってない”とか言うてられへん時代なんかもしらん」
金城「死語になるんちゃいます!?」
おかゆ「なんやったら、スマホがおすすめまでしてくれるしね。俺らの時やったら、友達の姉ちゃんの彼氏にいそうな怪しいドレッドヘアーのお兄ちゃんが、『こんなん好きちゃう?』ってすすめてくれたのを聴いてたみたいに(笑)」
須田「でも、今もそのドレッドの兄ちゃんが必要やと思うけどね! なんでも聴ける時代やからこそ、教えてくれる人がいた方が絶対にいい」
金城「だから、須田さんがやってるんですかね。須田さんが紹介してるなら聴いてみようってなりますもん」
須田「そういう存在になれてたら嬉しいねんけどな。なりたいと思うし。俺が峯田さんのブログを見て育ってきただけにね。ほんまに何から聴いていいかわからへんと思うんですよね、情報が氾濫してるから。そうなると流行ってるものだけ聴いてみようってなってしまうから、それは危険かなって。だから、そういう怪しいドレッドの兄ちゃん的な、カッコいい音楽を教えてくれる存在が必要なはず」
――この対談を読んで、気になったアルバムからでもいいんで実際に聴いてみてほしいですね。なんならこのKING KONGにあるアルバムばかりだから買えますし。愛はズボーン主催のカルチャーフェス『アメ村天国2018』開催の11月10日(土)なら、割引してもらえるんですよね?
金城「そう、イベント当日は10%オフで買えるので、ふらっとぜひ立ち寄ってみて欲しいですね! 須田さんもソロで出てくれます!」
おかゆ「僕は中国にいるので出れないんですけど…、近々関西でライブも決まってるのでよかったらぜひ」
須田「僕、『アメ天』で毎年芸人さんが出てる『NANIWAdelic』の時間が楽しみやねんなぁ。必ずイベントのどっかでバンドでミーティングする時間があるんですけど、『NANIWAdelic』だけは全部観たいからこの時間のミーティングは避けてもらってるねん(笑)」
金城「カルチャーフェスっていってるぐらいなんで、音楽以外に芸人さんが出たりとかいろいろ楽しめるので、ぜひ遊びに来てください!」
text by 大西健斗
(2018年11月 5日更新)
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