「読んだときに詩となって、聴いたときに歌となればいいなって」 快進撃を続けるカネコアヤノの ドキュメンタリーたるオルタナティブな名盤『祝祭』と その周辺を語るインタビュー&動画コメント
スピッツの草野マサムネや向井秀徳もその才を認めるシンガーソングライター、カネコアヤノ。ライブのチケットは各所売り切れ、カセットテープやアナログレコード等のライブ会場&通販、一部ショップ限定音源も軒並み完売するなど、じわじわと自らの名と音楽を知らしめる彼女の2年半ぶりのフルアルバム『祝祭』は、その称賛の声に頷かざるを得ない出色の出来。’16年から制作体制を一新し、現在の快進撃へとつながったカネコアヤノの2年間を総括する内容となっている。あどけなさと共に脳裏にこびりつく歌声が引きずり込むフォーキーな世界観、林宏敏(g・ex.踊ってばかりの国)、本村拓磨(b・Gateballers/ゆうらん船)、Bob(ds・HAPPY)といった理解者たちと作り上げたサウンドは、シンガーソングライターとしての得も言われぬ魅力のみならず、バンドセットでも大いなる可能性を提示してくれている。そんなロングセールスを続けるカネコアヤノの13篇のドキュメンタリーたるオルタナティブな名盤から、音楽家としてのスタンスまでを聞いたインタビュー。歌詞にするまでもないぐらいの日常も、彼女の手にかかれば詩となり、歌となり、そして、クセになる。カネコアヤノというまだ未完の才能、末恐るべし!
本当に愛を持ってこれからも一緒にやっていきたいなっていう人たちに
出会えた2年だったのかなって
――『祝祭』はこの2年間を総括したような作品だったと思うんですけど、振り返って手応えは反響はどうでした?
「アルバムに対しては、流通してきたものの中では今までで一番満足してると言い切れるのと、今やれることが全部できたなって。反応は…どうでしょう? いいんじゃないかな(笑)」
――エゴサーチとかはするタイプ?
「うーん、暇なときはしちゃいますね…でも、あんまりしないようにしてる。ちょっと怖いし、私は多分そういうので落ちちゃうんで。プラスのこともいっぱいあるけど、マイナスのことがあると100倍きちゃうんで(笑)」
――検索したときにヤバい内容が出てきたらやめよう、みたいな(笑)。
「そうそう(笑)。そのときは(スクロールする)手がめっちゃ早まるみたいな(笑)」
――この2年で状況も目に見えて変わってきたと思いますけど。
「周りの反応もそうですけど、まず『hug』(’16)っていう自主盤を出したときは、今でも弾いてくれているのはベースの本村(拓磨)くんしかいない状況で、それからギターの林(宏敏)くんと出会って、ドラムのBobと出会って…何か桃太郎みたいな感じで(笑)、無事にバンドが固まって。アートワークだったり、マネージャーも含めて、このチームだから『祝祭』を作ることができた。本当に愛を持ってこれからも一緒にやっていきたいなっていう人たちに出会えた2年だったのかなって。ここをひと区切りとして、また“この人とは仲間になれるな”っていう人が現れたら…きび団子を渡して(笑)、一緒にものを作る人を探していけたらなぁって。自分もこの2年で本当に変わったと思っていて、以前は制作でも“怒られる”とか、“間違ってる”って否定されるだろうなっていう気持ちが先にきちゃって、全然口出しできなかったんですけど…それもそろそろ終わりにしないとヤバいなと思ったのが『hug』の時期だったんで。それをきっぱりやめて、バンドのアレンジだったりアートワークに関してバキッと言うようになったのは本当に革命的で…。今まではあり得なかったことなので、それは結構大きいのかなって。ずっと一緒にやってきた本村くんも、ある日私がアレンジについて“もっとこうした方がいいと思う”って言ったときは衝撃的だったらしくて、“カネコが口を出した…”って思ったらしいです(笑)。最近知ったけど」
――徐々にというよりは、思い立って急に言い出した感じだった?(笑)
「この性格だから、無理矢理やらないと状況も変わっていかないなと思って…。今までやってこなかったこと、やらないとなぁって思ってたことができたら、本当に誘われるライブだったり観に来てくれるお客さん、周りの反応が変わってきたなぁって、最近になって体感してる感じがありますね。それまでは、ただひたすらに“絶対に次につながるから”って信じてずっとやってました。それがここ1年ぐらいでやっと…“やっぱり私たち、間違ってなかったよね?”って開けてきた。『祝祭』をリリースしてなおさらっていうのはあります」
――種を撒いてきたことにちゃんと芽が出るんだと実感できた。会う人に会うと変わるんだと。
「それは思いましたね。今回のジャケットも、レコーディングもまだしていないし発売日はだいたい春、みたいな初期段階から、絶対に“目”をモチーフにしたいと思って、“キラキラで花が付いているやつ”みたいな話をしてたんで。それをヘアメイクの山本りさ子ちゃんとカメラマンの木村和平くんに伝えたら、2人が本当に理解してくれて、ありがたいなっていう嬉しみがヤバい(笑)」
――よくイメージをちゃんと具現化してくれる人に出会えていけましたね。
「みんなもよく私に寄ってきてくれたなって(笑)。お互いさまになればいいなって思ってて、ジャケットだったりMVだったりグッズとかそういうものも全部、“私の作品っていうことじゃなくて、自分の作品を作ってる気持ちでやってほしい”って伝えて、それを分かってくれる人、やりたいって思ってくれる人たちだったというか…。それはかなり嬉しかったですね。今、冷静に考えて、本当にすごく嬉しい」
――みんな“お仕事”っていう感じじゃなく。
「逆に“私のイメージはこうだから”ってめっちゃ言ってほしいし、打ち合わせはもちろんするけど、いざやるとなったらみんなが納得のいくもので、みんなが“自分の作品です”って発表できるものにしようよって。それが伝わったすごくいい関係性だし、『祝祭』に関しては全部いい装丁でできたし、その集大成な感じなのかなって」
――お互いをクリエイターとしてちゃんとリスペクトしてるから、いい作品になっているのが伝わりますね。
「安藤晶子さんにはずっと絵も描いてもらってるんですけど、ホントにみんな素晴らしくて。私は楽器もそんなに弾けないし、音楽理論とかも分らないしどうしようとか思ってたんだけど、最近は“私は詞を書いて歌えばいいだけだ”ってハッキリ思えたというか、本当に気が楽になった。できないことに対して思い悩んだりコンプレックスがあることは謎だな、みたいになっちゃって(笑)。“私は曲を作ればいいんだ、歌えばいいんだ”、そう思ったらふわっと楽になれたかな。それは『祝祭』を作って自分の中に芽生えた新たな感情だったかも」
――何か、ボン・ジョヴィとかヴァン・ヘイレンみたいに、カネコアヤノっていう名前のバンドみたいですね(笑)。
「そうそう、本当にそういう気持ちでやってます。『祝祭』に関してよく“バンド感があって”って言われますけど、“バンド感じゃなくてバンドなんですよ!”ってすごい思う(笑)。私以外の3人のメンバーものめり込んでやってくれてる感じがあったから、私もそうだと思ってるし」
――リリース形式も、カセットだったりレコードだったり、ストリーミングが広がっている時代に“手に取るものを”と抗うというよりは、1つ1つの作品を面白がった結果みたいな感じがします。
「小っちゃいときにおもちゃを買ってもらって嬉しいみたいなものになればいいなって。宝箱みたいな…そういう感じさえあればいいなっていう、シンプルな気持ちですね。実際、そうなったんじゃないかなぁ。レコーディングもライブもジャケットも、みんなが本気でやってるからできたんだと思う」
せめて忘れないように、思い出せるように日記を書くみたいに曲を書く
――曲自体はコンセプトがどうこうというよりは、ホントにこの2年間の日常を切り取っていったものが集まって。何だかカネコアヤノの家を覗いてるかのような。
「そうですね、本当に。暮らしとか日常は一生テーマなんだろうなって思うし、そういう瞬間がすごい好きだし。だからこんなにいっぱい詰められてよかった」
――1曲目の『Home Alone』からして“THE日常”っていう感じもあるし、『Home Alone』というタイトルでこんなに寂しくない曲は珍しい気がします。全然楽しそう(笑)。
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「確かに(笑)。そう、楽しくていいんですよ。よぼよぼのおばあちゃんになったとき、“あのときはキラキラしてたな”って思い出せる日々を送りたいですね。さっき道を歩いてるときに、“未来のこと、気になりませんか?”みたいに聞かれて、“気になんねえよ、私は今を生きてるんだよ!”って思ったけど(笑)。でも、そういうおばあちゃんになったときのこととかは考えたりして。かわいいおばあちゃんになって、今日のこととかも全部思い返したときに、“ハハハ”って笑いながら喋れたらいいなと思う。新しいことを発見し続けていたいのは…そのための経過というか」
――その発想って、おばあちゃん子だったからとかではなく?
「上京してみるとめっちゃ元気なおばあちゃんとかがいて、だから私もパワフルになりたいなって思ってるんですよ。“どの年齢でもキラキラしてたいな”っていうのは最近思う。前まではキラキラとか恥ずかしくて“ケッ”みたいな感じだったけど、最近はもう純粋に、“いやいや、キラキラしてる方がいいっしょ!”みたいな(笑)。おばあちゃんになってもかわいいワンピースを着ていたいし、髪もずっと長い方がいいなみたいなこととかもずっと考えて」
――大人になるにつれいろんな知恵がついて小賢しくなりそうなものなのに、どんどん素直になれてる感じが。
「やっぱり大人になると小さいときには見えていた景色が見えなくなっていくじゃないですか。それが怖いから、せめて忘れないように、思い出せるように日記を書くみたいに曲を書くし…できるだけ自分に素直でいようって、わがままでいようってすごい思ってます」
――『Home Alone』のMVって自分の家ですか?
「あ、そうです。あれ…あの家の契約の最後の日に撮ったんです」
――だから割と部屋がスッキリしてるのか(笑)。
「そうそう!(笑) もう全部片付けて。逆に何にもない六畳一間って借りるに借りられないというか…だから、“そうだ、うちがあるじゃん! ちょうどもうすぐ家も出るし”みたいな。結構ギリギリで、あの撮影の後に“ありがとうございました”って鍵を返して(笑)」
――退去期限いっぱいフル活用(笑)。普通、自分が元いた部屋ってもう二度と見ることができないけど、MVにしたら何回も見られるしね。
「そう! しかも初めて1人暮らしをした部屋だったんですよ。残せてよかったです」
――ちなみに、歌詞に出てくる“手遊び”って?
「これは自分のことなんですけど、小さいときから何かずっとじっとしてられなくて。防災訓練のときに砂遊びをして怒られたり、授業中に折り紙とかして“カネコさん、今は折り紙の時間じゃないよ”って言われたりするのが、今でも全然直らない(笑)。だからホントに単純に手で遊んでる感じなんですよね」
このアルバムが小っちゃい詩集みたいになってたらいいですよね
――2曲目の『恋しい日々』とかも、『Home Alone』からストーリーがつながってる感じがしますね。
「そう! これは他のインタビューで言われて気付いたんですけど、『Home Alone』で“花瓶を買いにゆく”って言って、『恋しい日々』では“花瓶に花を刺さなくちゃ”って言ってて。あと、この曲で“今日は雨が降るから”って言ってて、3曲目の『エメラルド』では“雨が降る日には/傘もささないで遊ぼうよ”って言って。全部リリースした後に気付いて、自分で“すげえ”ってなった(笑)」
――意図的にそういう曲順にしたわけでもなかったんですね(笑)。
「ないです。しかも、最初の候補は『恋しい日々』が1曲目で2曲目に『Home Alone』だったんだけど、決める直前に私が“絶対に『Home Alone』が1曲目がいい”ってダダをこね出して。そういうのも面白いなって(笑)」
――カネコアヤノの曲は、歌がなくても、メロディがなくても、歌詞だけでも読めるというか詩として成立してるし、さらにこの曲順によって、全体で1つの物語にもなるような。
「そうなんです。何かこのアルバムが小っちゃい詩集みたいになってたらいいですよねぇ」
――あと、『恋しい日々』のサビが、“買った”だけなのもすごいなと。歌詞だけ読んでたら、まさかここがサビじゃないだろうっていう部分がサビで。
「これは“買った”だけがサビだったら、超バカっぽくてウケるなぁと思って作ったんで(笑)。“アー、ア、アー♪”ってみんなで歌えるのも楽しいし。文章で見たときとメロディに乗せて聴いたときにニュアンスが変わってくるのって重要なことだと思っていて。本当に読んだときに詩となってればいいし、聴いたときに歌になってればいいなって。それは作るときには結構意識してるかも…改行とか、スペースとか、サビだからここで1行開けるとかじゃなくて、読んだときにこことここは話がつながってるから改行しない、みたいなことはすごい考える…かな」
――ただ、『エメラルド』でちょっと心配したのは、“一番気に入ってる/ワンピース着ていくね/帰りには焼肉でも食べたい”って、その格好で行ったら匂いが付いちゃうよっていう(笑)。
「でも、いいんですよそれが。私は焼肉が好きでよく食べに行くんですけど、結構一大行事なんですよ(笑)」
――ハレの日なんだね、焼肉が(笑)。
「海に行ったり山に行ったり、ハッピーな行事っていっぱいあるじゃないですか、焼肉も含めて(笑)。そういう服が汚れてしまうだろうなっていう行事が本当に一番楽しいんですよ。だからこそ、気に入ってる服を着ていきたい。匂いが付いても別に洗えばいいし、一番楽しい日は一番好きな服を着たい。“でも、楽しいからいいじゃん”みたいな感じが好きなんですよね」
――『ロマンス宣言』(M-7)とかはGSっぽい肌触りで面白くて。曲中にテンポチェンジする曲が多い気がするんですが、それには何か理由があるんですか?
「前からそういう曲が生まれがちだったというか、ギターの林くんに初めて参加してもらった『さよーならあなた』(’16)っていう曲も、最後に3拍子になるんですよ。スタジオに入る前日に、“明日スタジオに入るしもう曲を送んなきゃ”っていう感じで、“まだどうやったらいいか分かんないけど、とりあえず作りました”って林くんに投げたときに、“大丈夫、いけるっしょ”って、結果うまくまとめてくれて。『さよーならあなた』がああいう感じで形になったのが私的にはデカくて、“自分の頭の中で整理ができてないけど、こういう曲を作ってもいいんだ”って思って。みんなに投げたらどうにかしてくれる着地点ができたから、そういう曲が作れるようになっちゃって。自分で訳が分からなくても、みんなにちょっと聞いてみようみたいな(笑)」
――今までなら、“理論的におかしいかもしれないから言わないでおこう”となっていたことが、目の前で形になる。だったら勇気を持ってみんなに言おうってなりますよね。
「そうそう。ふかふかのソファにうわぁって寄りかかってるぐらいの安心感があるから、最近は作れるようになったのかも。誰かに影響されてとか、誰かのこういうところが好きとか、私はそんなになくって…」
――それ、思ったんですよ。誰に影響されているんだろうなって。
「好きな音楽とかはあるし、漫画とかもすごい好きだし、でも、自分でもそこがよく分からなくて今」
――自分が音楽とか漫画から摂取したものが、どういう形で出てくるかは自分でも謎だと。でも、それがカネコアヤノの個性になっているし、今はそれを出し惜しみしなくていい環境ですもんね。
“期待以上”っていうのが今後の目標です!
――そして、アルバムの終盤には『グレープフルーツ』(M-11)、『祝日』(M-13)という自分の2大コンプレックスみたいな曲が入っていると。
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「そうですね。『グレープフルーツ』は弾き語りだと最近はあんまりやってないというか…できない。他の曲って歌ってるうちに自分の心情が変わっていって、前は悲しい曲だったけど今は楽しく歌えたり、楽しく作った曲でもワンフレーズにグッとくるようになったり、お客さんのノリが変わっていくことでこっちも変わったり…本当にいい意味で顔が変わっていくことが多いんだけど、中には自分が歌うときの気持ち的に、これからもそんなに変わっていかないだろうなっていう曲があって。このアルバムだと『グレープフルーツ』と『祝日』がそうなのかなって。『グレープフルーツ』は弾き語りだと、ギターとも、歌ってる自分とも、お客さんとも1対1過ぎちゃって…。中途半端に歌うのはイヤだし、1人で歌ってると自分が何をやってるか分かんなくなってきちゃうんですよ」
――そうか、それだけ当時の想いが強く刻まれてるから、自分の心情が変化した今…。
「何か…上手に歌えないっていうか、気持ちよく歌えないときは、とりあえずやめておこうと思って。『祝日』も結構そういう感じで、本当に何でもない曲なんですけど、何でもない私の歌過ぎちゃって。これはなかなか変わっていかないだろうなぁっていう。他のことはベラベラ喋るんですけど、この2曲は言っちゃっていいのかなっていうところもあるし、何て言っていいのか分からない部分もあるし…結構自分とは向き合って対面してる曲だな、うん」
――その『祝日』のMVは、目のアップだけを延々と…ホント前代未聞だなと。
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「アハハハ(笑)。あれは気に入ってますね~。何でしょうか、“見てくれ!”っていう感じで(笑)。その『祝日』のMVに関してもですけど、私から語っちゃうとそういう先入観を見る人に与えるし、その人の勝手な印象と気付きとかに任せたくて。私が“こういうことが起きているんですよ”みたいなことをあんまり声を大きくして言いたくないっていうことからも…こういうMVができたと思ってる」
――なるほど。ちなみに、『祝日』の制作中には新しいギターと運命の出会いがあったんですよね?
「この『祝日』のレコーディングは年明けにやったんですけど、楽器屋に行ったらギターと目が合っちゃって。私、ちゃんとしたアコギを買ったことがなくて、友達が作ってくれたギターをずっと大事にしてたんだけど、やっぱり欲しいなって何となく思い始めて。結構大きな楽器屋のギブソンのコーナーに3列ぐらい並んでて、その3列目の1番左奥にいて(笑)。ホント店に入ってすぐ、“あれ、いいなぁ”みたいに思って、でも優柔不断なんでちょっと安いやつから試奏してみようって、まずはガラスケースにも入ってないやつと1列目にいるやつを(笑)」
――3列目が一番高いの?
「そう。3列目はもう…高くて逆に売れなくて、ちょっと値段さえ落ちてる(笑)。私のも運悪く残っちゃったみたいで、ちょっと安くなってたんだけど。1列目にいるハミングバードとかちょっと小柄なやつを弾いて、“これもいいけど~3列目のアレだけ弾いていいですか?”って(笑)。店員さんも“どうします?”みたいな感じで出してきてくれて、“やった~”って渡されるよりも先に手に取るみたいな(笑)。バンッって弾いたときにもう“絶対これだわ”って。そこから、“どうしよう、またローン組むのイヤだな”とか思いながらずっと弾いて(笑)」
――何だか服を買うときにも似てますね(笑)。
「そうそう! 店員さんに“これ、音の鳴りいいですよね~”って同意を求めようとしたりして(笑)。最終的に買うのは決まってるのにめっちゃ悩んで、買っちゃった。それがカントリーウェスタンって型なんですけど、レコーディングのときに“ギター買っちゃったよ~”って林くんと本村くんの元に行ったら、林くんが“カントリーウェスタン、アヤノちゃんに合うなって考えてたんだよね。だから買ってきてめっちゃビックリした”って言ってた(笑)。運命的なタイミングでギターと出会って音が録れたのは、本当によかったなって。“レコーディングでは何を意識して録られましたか?”って聞かれるけど、その空間とか、そこで流れてる時間を記録したいなと思って。今思えばそれがテーマだったのかなって。ギュッとパッケージングできたし、よかったです」
――いろんな想いを閉じ込められた大事なアルバムになりましたね。今後の目標みたいなものはありますか?
「“期待以上”っていうのが今後の目標です! 期待以上、予想外、奇想天外?(笑) デカい家にも住みたいし、かわいいワンピースがほしいとかっていうのが、一番近い未来の目標ですけど(笑)」
Text by 奥“ボウイ”昌史
(2018年8月 3日更新)
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