全編16ビート!
卓偉、渾身のライブで大阪が弾けた
6月8日、中島卓偉の東名阪ツアー「TAKUI NAKAJIMA LIVE TOUR 2018(16 BEATS ONLY!!)Dance!Feel The Noize.」の初日、大阪・Music Club JANUS公演が開催された。今ツアーはそのタイトルにあるように、16ビートの楽曲のみで構成されたセットリストで繰り広げるチャレンジングなライブ。ダンサブルなナンバーで、卓偉がファンを強くリードし続けることとなった白熱の一夜をご紹介しよう。
会場は開演時刻前から“卓偉コール”が起こり、アナウンスにさえ歓声が上がるほどハイテンションだ。そこに定刻過ぎ、バンドメンバーを引き連れて卓偉が登場し、『BADLY NOOOO!!!!』からいよいよライブがスタートした! 「大阪~!」のシャウト、そしてフロアを指さし響かせるボーカル、さらにうねるギターで1曲目から煽りまくり。さらにこの勢いを緩めることなく5曲を連投する。『OCTOPUS SOLDIER』では攻め立てるラップの感触がより観客を興奮させ、“I CAN SAY! I CAN FLY!”の合唱が発生。『PASSION HIP LADY』では全員がジャンプを繰り返してフロアを揺らす。卓偉の「一緒にロックンロールする気はあるかい? 歌おうぜ!」の呼び掛けに、“Oi! Oi!”のコールと“Wow Wow”のコール&レスポンスも起きて、序盤からものすごい熱気だ。
するとここで、クールダウンのMCタイム。“卓偉節”は全開で、「今日は豪雨のなか、よく会いに来てくれたね」と持ち上げたと思ったら、「踊れないのによく来たな(笑)」とツンデレが凄まじい。もちろんファンは“待ってました!”とばかりに笑顔で耳を傾ける。そして今ツアーの“16 BEATS ONLY!!”というコンセプトを伝えると、「今日はそれ(16ビート)だけ学んでもらえれば、オジサン(自身のこと)それだけでいいから(笑)。2、4(拍目)でのってくれればいいから」と、童謡『チューリップ』を例にして“裏拍の取り方講座”的なものまでやってくれる。また「1、3でのってるヤツは叩き切るから! ウソ、ウソ(笑)」と、やさしさと厳しさが入り混じる“指導”も忘れない。
そして「ひたすら踊れる曲やるから、ついてきて!」と『(おまえだけが)手に入れられない』へ。ポップさも漂わせながら、さらに『カフェオレ』、『CRY CRY CRY』と続けて、ハッピーな空気でフロアを満たす。特に『CRY CRY CRY』では全員での“CRY CRY CRY”のコールもキマり、爽快感も十分。卓偉のファルセットも突き抜ける。すると「いいじゃん。できるじゃん」と“お褒めの言葉”も飛び出した。さらに「こういうツアーだからやる曲もあってね……。1回しかやったことのない曲、スイートソウルな曲やります」と『ムーンライト シャイニン ラブ』をセレクト。しかも、わかりやすいスイートソウルとは?の説明付きで、至れり尽くせりだ。パフォーマンスでも華麗なターン&ダンスで観客を魅了すると、ミラーボールがきらめくフロアからは手が伸び、回って、曲の世界に没頭。甘いムードが生み出される。さらに今度は「ベースとドラムを勉強しろ! リズム隊を見るとおもしろいから!!」と、再びミニ音楽講座を挟んで、新曲『今宵MOVE ON』を含む“激ダンスチューン”のゾーンへ。しかも『今宵MOVE ON』では、曲の前に振り付けまでレクチャーしてくれる親切さ。……とくれば、当然、観客も即実行で一緒にダンス。ステージとフロアが一つになって盛り上がる。さらに切れ味のいい『たられば』、スピード感ある『次の角を曲がれ』と続け、次の『TOO MUCH BUSINESS』では、この日唯一のギタープレイでアグレッシブな一面を見せ付ける。当然MCもより鋭さを増し、日本経済の話から時事問題まで、ロックを絡めつつ一刀両断! 卓偉の猛スピードでうごめく脳内を垣間見るが、「新曲やります。歌詞がスケベな感じで……好きでしょ、大阪、そういうの(笑)」と本気と冗談の境をうやむやにして中盤戦に突入!
聴こえてきたのは、先の予告どおり、どこか怪しげなムードの新曲『Baby Crazy Love』、さらにそこからメロウな『Dearest friends』でファンを骨抜きにすると、三度、ミニ音楽講座を挟んで、今度はハイレゾとアナログの音質の類似性も教えてくれる。観客は“卓偉先生”に尊敬のまなざしを向け、次の曲の振り付け指導も、もう一度熱心に受ける。そしてその指導を生かして、つばきファクトリーに楽曲提供した『就活センセーション』へ。ブラックミュージックアレンジの弾むリズムでスイングし、ますます会場の温度が上昇すると、「次の大阪ライブが決まりました。次は“8 BEATS ONLY!!”です!」という、うれしいニュースも発表され、さらに会場が沸き立つ。そんななかついに「ついてきてください。一緒に楽しもうぜ!」と、アッパーなナンバーで畳み掛けるラストスパート開始! もちろんここでも曲の前には「1、3でのるなよ!」のひと言が付け加わる。
まずは『DO IT BOYS AND GIRLS』の疾走感とラフなボーカルで大きなクラップを巻き起こすと、『FCUK YOU』では攻撃的なラップで挑発。トリッキーな展開と歪むギターのゆらめきとキレ、加えて「そんなもんかー?」の煽りで“FCUK YOU コール”もボリュームマックスに。しかしまだまだ攻撃の姿勢は続き、『TO THE MAX』『トライアングル』『SPARKLE MAN』という前のめりな3曲を続けて走り抜ける。観客はシンガロング、ジャンプ、コール&レスポンスと、目いっぱいライブを満喫。美メロも重厚なビートも伸びやかなボーカルも耳に焼き付け、めくるめく“卓偉ワールド”が拡大すれば、『SPARKLE MAN』では、観客が伸ばす手の先にライトを後光のようにして卓偉が立つという、壮観な光景が完成する。そして最後は「一緒に歌えるかーっ?」の雄叫びから『ピアス』。どこかアンセミックな色合いも持つこのナンバーに、会場は最大限で卓偉に集中! ステージでは彼が天を仰ぎ、残った力をすべて絞り出すようにしてラスト1曲を鳴り響かせ、沸騰したままドラマチックにこの夜のラストシーンを飾った。
度重なる“厳しい指導”もあった、“16 BEATS ONLY!!”がテーマの今回のライブ。だが、「お前ら本当にいいヤツだわ。俺は幸せ者です! Thank you!!」という去り際の卓偉の言葉には、ファンとの確かな信頼関係と今日のライブの満足感があふれていた。こんな、ほかでは見られない景色が再び広がるであろう、次の“8 BEATS ONLY!!”な夜に、今から期待は高まるばかりだ!
text by 服田昌子
(2018年7月31日更新)
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