新しい時代の幕開けを堂々と見せつけた
DENIMS主催フェス『ODD SAFARI』ライブレポート
4月7日に大阪・味園ユニバースにて開催された、大阪・堺の4人組バンドDENIMS主催の屋内型フェス『ODD SAFARI』。DENIMS初のフルアルバム『DENIMS』のリリースツアーファイナルとして開催されたこのイベント。全国各地からDENIMSを祝うべく、大人から子供まで多くの観客が集まりチケットはソールドアウト。この日出演していたバンドや出店舗は、それぞれがDENIMSと深い繋がりのある人ばかり。寄せ集めのフェスではなく、DENIMSの音楽や人柄に惹かれた人たちが作り上げた愛のある1日となった。
オープンと同時に音を鳴らしたのは福岡からやってきたDJ SHOTA-LOW。
2016年9月に東心斎橋CONPASSで行われたDENIMS初ワンマンの際もDJをしていた彼は、大阪でもおなじみの存在になってきている。DENIMSのカマチュー(vo)が楽しげにフロアで踊っていたのが印象的だった。
そしてスタート前に突然フロアに現れたのが、JABBA DA FOOTBALL CLUB。
前日にDENIMSにお願いして急遽やってきたという彼らは出演者の楽曲をサンプリングし、その上に軽快なラップを乗せてフロアの空気を一気に掴んでいった。
続々とフロアに人が集まり、カマチュー(vo)の開会宣言でパーティーは始まった。
トップバッターは、管弦楽器を含めた大所帯バンドSpecial Favorite Music。
きらきらした軽快なサウンドと味園ユニバースのきらびやかな照明があいまって、より一層輝いていた彼ら。パーティーの幕開けにぴったりな多幸感のあるステージを見せた。
続いてフロアステージでは、神戸の雑食系フォークロックバンド、プププランド。
ステージに出てくるなり「ウィーアーDENIMS!!!」と叫ぶ西村竜哉(vo&g)はいつにもましてパンクだった。序盤はシャウトしながらロックンロールを歌っていた彼らは、後半ではたたみかけるようにロマンチックな曲を聴かせた。プププランドの強みはこのギャップだな、とライブを観るたび感じる。
そこからバトンを受け取ったのは大阪アメリカ村代表、愛はズボーン。
大胆にライブアレンジした『ゆ~らめりか』からはじまった彼らのステージは、DENIMSへの愛に溢れていた。DENIMSのことを喋らずにはいられない、と言わんばかりのDENIMSまみれのMCの数々。金城昌秀(vo&g)が「同世代がこれだけ盛り上がってるのはテンション上がるわ!」と叫んでいた通りで、ずっと切磋琢磨して一緒にやってきたバンドが9組集まって味園ユニバースが満員になったのだ。こんな光景を見せつけられると泣けてくる。
この日はライブだけでなくDENIMSとゆかりのあるお店がいくつか出店していた。『BENNY』のPVの舞台であるソウカワガレージによる自転車の展示。
『Alternative』のPVにも出てくるcafe unjiは、見ていたら買ってしまう様な可愛らしいお菓子をたくさん販売していた。
アメリカ村にあるカフェdigmeout ART&DINERでは美味しいカレーに加え、綿菓子の販売も行われた。
南堀江のレコード屋FLAKE RECORDSのブースでは、CDやレコード、FLAKEグッズを多くの人が手に取っていた。
Czecho No Republicやフレンズのアートワークなどを担当しているadimのワッペン屋さんはオープン早々多くの人が並んでおりとても賑やかだった。
イベント中、フロアのすぐ横ではwhole9のライブペイントが行われていた。
これまでのDENIMSの自主企画で使われているバックドロップを手がけたのも彼らだ。この日ももちろんそのバックドロップが飾られていた。
そしてフロアの空気を一気に変えたのは、ノルウェーからやってきたAiming For Enrike。
何が起こっているのか全く分からないほどルーパーを駆使したギターと、それに忠実に合わせてくる正確でタイトなドラム。二人とは思えない分厚い音と演奏に、観ている人みんなが目を離せないでいた。
続いてメインステージではtricot。
DENIMSの楽曲『DAME NA OTONA』をSEに使い登場した彼女たち。DENIMSとの対バンも多い彼女たちだが、彼らの企画に呼ばれたのは初めてだという。淡々と進む迫力のあるステージに観客は引き込まれていた。
6番手、フロアステージでは中学校の同級生で結成された仲良しバンドTENDOUJI。
最初の曲からお客さんのテンションは最高潮で、フロアはとても熱かった。最後の曲『GROUPEEEEE』なんて、フロアはぐちゃぐちゃでカオスな状態になっていて、これぞTENDOUJIのライブだなあと。SXSWを経たこともあってか熱量がすごい。ステージもフロアも。演者はDENIMSをお祝いしたくて良いライブをするからお客さんも最高な気持ちになる、という良い連鎖が起きまくっていた。
続いてメインステージでは、サイケでローファイな音を鳴らす2ピースバンド、ドミコ。
こちらもSXSW、アメリカツアーを経てパワーアップしたライブを観せてくれた。ドミコは底から響いてくるような轟音を鳴らすが、どこか美しい。轟音の中にも儚さを感じるのだ。味園ユニバースの幻想的なステージは、そんなドミコの美しさをより一層引き立てる。会場はドミコの音楽に包まれていた。
そしてフロアステージのトリ、Tempalay。
お昼に東京でライブをしてから駆けつけてきた彼ら。もうそれだけでDENIMSへの愛を感じてしまう。彼らの『新世代』という曲を体現するような、自分たちが新世代なんだ、と言わんばかりのステージ。これからは彼らの時代がやってくるのだ。このイベントがソールドアウトしている、ということがそれを物語っている。
トリを飾るのはもちろんDENIMS。FM802のDJ中島ヒロトの紹介により、いつもと変わらぬ表情でステージに登場した彼ら。
東名阪福ワンマンツアーも『ODD SAFARI』も全てソールドアウトさせた彼らの勢いは止まらない!
ステージが大きくなったからといって彼らのライブは過剰になったりしない。いつだって最高なステージを魅せてくれる!
『fools』や『hooligan』では新しいライブアレンジを聴かせ、新モードなDENIMSを感じた。
ライブでの定番曲『goodbye boredom』では、おかゆ(g)が客席にダイブしながらギターソロを掻き鳴らし、最後は観客に飲み込まれ音を外しまくっていたがそんなところもご愛嬌。
アンコールでは「本当に次は俺たちの番だなって思ってます」と告げ『BENNY』を演奏。大勢の観客を前にそう言ったカマチューの言葉には説得力があった。
「最初につくったDENIMS始まりの曲」だという前身バンドAWAYOKUBA時代からの楽曲『たりらりら』を熱量たっぷりに演奏し、パーティーは幕を閉じた。
変わらないけれど、どんどんかっこよさが磨かれていくDENIMS。そうやって変わらず彼らがかっこいいと思う音楽を突き詰めてやってきた結果、今回のツアー全公演ソールドアウトした、という事実が本当に最高なのだ。
そんなDENIMSの周りに集まったバンドも音楽のジャンルこそ全然違うが、共通して、流行りにとらわれない自分たちの音楽を全力でやっている。こうしてそれぞれの音楽の力で地道に、そして着実に上へと登っているバンドが集まった『ODD SAFARI』。このラインナップで味園ユニバースが満員になる時代がやってきた。彼らが今の音楽シーンの主流になろうとしているのだ。こんなにわくわくすることってない。これからもっとすごい景色も観ることができるのではないだろうか。そんな未来に期待しながら、今後も彼らの活躍を見守っていきたい。
text by 中村果歩
photo by 河上良/日吉純平
(2018年4月27日更新)
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