ツアーとフェスを経て感じた想い “目の前のあなた”に贈る『Message』 DATSインタビュー&動画コメント
2013年に結成された4人組バンドDATS。現時点でDATSの活動は、大きく2期に分けられる。初期の頃から2016年にかけては、ギターロックを主体とした音楽性で、2枚のEPをリリースした。その後、Rallye Labelに移籍し、2017年3月にリリースした限定シングル『Mobile』から、バンドの方向性を大きく転換。同年7月の1stアルバム『Application』リリース後は、数々のイベントやフェス、海外でのライブなどに出演。『FUJI ROCK FESTIVAL’17』のレッド・マーキーではトップバッターを務め、『SWEET LOVE SHOWER』や『RUSH BALL』など、大型フェスにも登場、その存在を音楽ファンに知らしめた。秋には『Application』を引っ提げたツアーを敢行。そして2018年2月10日、新作EP『Message』をリリース。同日に渋谷WWW Xで行われた『Message』発売記念ワンマンライブで、6月にソニー・ミュージックレーベルズよりメジャーデビューすることと、メジャーデビューアルバムを発売することが発表された。たった1年足らずで日本を代表するエレクトロバンドに成長したDATS。4月からはバンド史上初のワンマンツアーが控えている。メジャーデビューを目前にして、彼らが目指す場所はどこなのか。今回ぴあ関西版WEBでは、ベースの伊原卓哉とドラムの大井一彌に話を聞いた。
波に乗れてるかは分からないけど、2017年はやるべきことをやった年だった
――ぴあ関西版WEB初登場ということなので、まずDATSがどんなバンドかというのをお聞きしたいなと思います。
伊原 「音楽性はエレクトロなんですけど、ライブでは結構ロックバンドですね。作曲は基本ボーカルの杉本(亘)がやるので、原曲の時点ではエレクトロだったりしても、メロディーに杉本のロックな部分が乗っかってます」
――みなさんは同級生なんですか。
伊原 「ボーカルと俺が24歳の年で、ドラムの一彌が1個上で、ギターの早川(知輝)が2個上です」
――はじめはギターロックで活動されていたのが、2017年にレーベルを移籍されてから音楽性がガラリと変わりましたよね。バンドとして大きく動きが変わったのは、前作『Application』を出されてからですか、それとも『Mobile』からでしょうか?
伊原 「大きな括りでいうと、『Mobile』からなのかな」
大井 「うん」
伊原 「というのも、『Mobile』が『Application』へのプロモーションというか、『Application』へ向けての1つのリリースだったので」
大井 「僕ら、バンドの方向性を2016年から2017年で転換したんです。2016年以前と2017年以降で、全く考え方が変わって。『Mobile』を出す前までは、従来のロックバンドスタイルというか、ボーカルがギター持って歌って、リードギター・ベース・ドラムスの編成で、生バンドでやってたんですけど、『Mobile』以降は、音源はエレクトロの方向に振り切る、ライブはロックショーとして生っぽく完成させるというふうになりました」
――エレクトロに振り切ってから、展開がすごくスピーディですよね。DATSが確立されたというか、波に乗っているように見えます。
大井 「波に乗れてるふうに見えてるのは何故かと考えた時、多分僕らが、自分たちのジャンルをうまく設定することができてるというか、自分たちが何者であるかを、はっきり人に言えるようになったんだなという感じはしてます」
伊原 「前の体制がギターロックではあったんですけど、今と変わらずシーケンスも鳴らしてたし、ファクターは同じです。DATSのストロングポイントは、杉本が作るシーケンス同期の作曲能力や、エレクトロへの理解の高さなんです。多分、今まで持ってたファクターをより全面的に押し出したのが、『Application』のエレクトロに振り切った部分。あと今一彌が言ったように、メンタル的にも振り切れたというか」
大井 「うん。やっぱり波に乗るというか、上にいきつづけるのは、自分の強みを最大化しないとできないことなので。まあ、乗れてるとすれば、だけど」
伊原 「いわゆる普通のバンドマンがやることを俺らはあんまりやれてなかったんですよね。それがRallye Labelに変わってから、社長が“こうしていくことでステップアップできるよ”っていうのを見せてくれた。波に乗れてるかは分かんないけど、2017年はやるべきことはやった年だったかな。その結果が今出てるのかなと思います」
――なるほど。今とても楽しいとおっしゃっているのをメディアで拝見しました。
伊原 「そうですね。悔しいことも同時にいっぱいあるんですけど。でも、結果的に楽しいって言える。“しんどかった時を次の笑いに変えましょう”っていうのがDATSかなと思う。転んだとしても、ただじゃすまねえぞっていう(笑)」
――バンドとして2017年で1番印象深かったことはなんですか?
大井 「フジロックじゃない?」
伊原 「うん、やっぱりフジロック。これは多分個人的な見解ですけど、フジロックに出たことで、いろんな媒体やイベントにアプローチできる材料になった。こんな言い方すると、手段として使ったみたいになるんですけど、そういう部分はやっぱりあったかなと。それぐらいフジロックに出ることの偉大さを僕は感じていて。DATSは洋楽と邦楽のクロスオーバー、架け橋になりたいということをすごく大事にしてるんですけど、フジロックはまさしくいろんな音楽が介在する場所で、そこに俺らが出れた。日本人がフジロックに出演することはすごく難易度が高いんですよね。且つ、SWEET LOVE SHOWERやRUSH BALLにも出れたという意味で言うと、俺らのコンセプトで昔から大事にしてることを体現できたということだから、すげえ大事な出来事だったかもしれないです」
大井 「良いこと言うね」
伊原 「ありがとうございます(笑)」
大井 「だって確かに邦楽ロックフェスに出てるだけでは、僕らの目標は達成できてない」
伊原 「でしょ? だから今年はサマソニに出なければいけないんだ」
――そうですね!
伊原 「洋楽フェスも邦楽フェスも、どっちもちゃんと対応できるバンドでいたいし、それでこそオーディエンスの音楽の幅を広げることができる。邦楽のファンが、“こんな音楽あるんだ、じゃあDATSはどんな音楽聴いてるんだろう?”、みたいに興味持ってもらえたら、それが1番幸せなんじゃないかなと思います」
DATSには変化を許容できる振り幅がある
――先日メジャーデビューが発表されましたが、メジャーデビューを決めたお気持ちをお聞きしたいです。
伊原 「これはやっぱり、邦楽と洋楽の架け橋にもつながると思ってて。邦楽しか聴かない人にもDATSの音楽を聴いて欲しいし、それをキッカケにもっといろんな音楽を聴いて欲しい。そこで必要なのは、いろんな人に聴いてもらう“機会”だってことなんですよね。インディーズでも、YouTubeもSpotifyもApple Musicもあるし、音を聴ける現場はメジャーとそんなに変わらないと思うんです。ただ、メジャーにいくことで得られる機会も間違いなくあるし、もっと説得力が出る。たとえばメジャーに迎合して、“日本詞だけで曲を作ります”みたいなのも、俺は別に良いと思ってて。“逆にそういう曲があっていいなら、振り切ったドープな曲があってもいいじゃん”って。イントロで日本語を使って“これはどんな人たちなんだ?”っていう流れで、めちゃめちゃカッコ良いドープな曲もあって、“何やねんこいつら”みたいな。何だろうな。……まあ、良い感じで(笑)」
――日本人に広く届けたいという部分が大きかったんですね。
伊原 「うん。あとは俺ら、結構どメジャーなのも好きだしね」
大井 「今の時代、メジャーとインディーを区別して、どっちの方が波及力があるかみたいなことを語る時代ではなくて。それでも何故、敢えてメジャーデビューをするのかというのは、もちろん僕らが様式美的なメジャーデビューのカッコ良さみたいなものを感じてるのもあるし」
伊原 「あるよなー」
大井 「だって俺らのバンドの目標、武道館ですし」
伊原 「武道館!」
大井 「エレクトロバンドでそんなこと言うヤツ、最近なかなかいないと思うんですけど」
伊原 「Mステ出たいしね」
大井 「“エレクトロバンドがそういうこと言うぞ”ってね。あと、僕は個人的に何故メジャーに行くのを単純に良いなと思えたかというのは、DATSには振り幅があると思ってるんです。さっき卓哉(伊原)が“良い感じで”って言ったじゃないですか、そういう感覚を持ってるというか」
伊原 「うん」
大井 「“まあ、良い感じで”って言えちゃう感覚。自分たちが変化させられていくことや、何かオーダーを受けて変化していくことを許容できるメンバーだなと思ってて。“メジャーにいっても変わらずカッコ良いことやってくんでよろしくっす!”って言うアーティストってすごいたくさんいると思うんですけど、大抵多くのアーティストが“メジャーの要求VSバンドのやりたいカッコ良い音楽”みたいな構造になりがちなんですよね。僕らはそうじゃない、と思ったんです。メジャーレーベルの大人っていう味方がついた」
伊原 「結構バーサスの関係多いからね。“何言ってんねん”って思うけどね」
大井 「そうなっちゃ意味ないんですよね」
伊原 「何でその人がバーサスになるって気付かなかったのって俺は思っちゃう」
――一緒に組む前に。
伊原 「そう。俺らはそういうおもしろい人を探してたし、出会えた。それに、チームっていう意味ではフェアじゃないですか。向こうの要求にこっちも応えるし、こっちの欲求にも応えてほしいし。だからメジャーからこう(上から)言われるっていうのは、マジナンセンスすぎるなって思う。一緒にひとつのステージ作るのに、どうして上があったり下があったりするんだ、って」
――一緒にチームを組みたい人と巡り会えたというのは、すごく良いことですね。
伊原 「ありがたいことに」
大井 「そうですね、良い出会いをしましたね」
伊原 「それと共に、自分たちがそういう人間であれば、周りも自ずと同じ志の人たちが集まってくるって俺らは信じてます。“人は鏡”と言うので。だからそういう人間でいることの努力は欠かせないですね」
ファンに対してもっと密接になれた作品
――前作『Application』がSNS世代のリアルや日常を歌ったものに対して、今作『Message』はハートフルで人間的なタイトルになっていますね。
伊原 「はい、その通りです」
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――どういう経緯でできていったのですか?
伊原 「制作は『Message』(M-2)より『Heart』(M-1)の方が早くて」
大井 「去年の秋冬にかけてだったよね」
伊原 「そうそう。去年の夏DATSで水泳が流行ってたんで、夏フェスシーズンが終わった頃に、杉本とプールに行ったんです。その時杉本が“今後どういう曲作っていこうかな”“DATSの音楽って何なんだろう”ってすごい悩んでて。“うーん、何なんだろうね”って、夜2人でプール入りながら喋ってたんですよ。で、秋にツアーが始まって、それを経てあいつが急に曲を作り始めて。彼曰く、“DATSっていうバンドが経験を通してちょっとわかったような気がする”と。ツアーや夏フェスで得た経験で、もっと人に対して踏み込んで、“あなただけのいいねが欲しい”と思った、ということを彼は言ってますね。彼、今いないんですけど(笑)」
――作詞作曲も杉本さんですもんね。今回は1人で作られたんですか?
伊原 「基本はそうですね」
――杉本さんいらっしゃらないんですが、やはり気になったのは一部日本語の歌詞が入っていること。ここもDATSの変化なのかなと思うんですが。
大井 「SNSを題材にした『Application』の後、ライブ会場でお客さんに対してアンケートをとってみたりしてて。“ライブを会場で撮影するのをどう思いますか”とか、大多数に問いを投げかけて、そこから何かリファレンスをもらう、みたいな実験をしてたんです。でも、今回はSNSの中にいる誰か分からない多数の人から反応がきてどうこうというよりは、目の前にいるあなたから反応が欲しい、直接的なつながりを持ちたいっていう意思が表れてきてるんだと思います」
――それはお客さんからのリファレンスをもとにして感じたということですか?
大井 「そうです」
伊原 「バンドとしてのツアーも去年が初めてで、夏フェスもあんなに出たのは初めてだったし、そこで経験したことが多分、何だろうな、感謝って言うと薄っぺらく聞こえるんですけど……ファンに対してもっと密接な関係になれたというか。『Application』の時は、やっぱり俯瞰してた部分があった。歌詞の内容もそうだし、社会性ももちろんあったし。これは個人の意見ですけど、そんなことより目の前にいるお客さんやファンのために、どれだけ俺らはエモーショナルになれるか、お金を払ってもらってるその時間を完璧に楽しませないといけないよね、っていう踏み込んだ経験を去年したんですよね。で、杉本がその経験にすごく感激を受けて、もっと人間らしくなったというか」
大井 「確かにそうだね。『Application』のツアーの時は、僕らが発信することにSNSで“いいね”ボタンを押しているような感覚の人たちがわらわらと集まって来てて、それをステージ上からぼんやり眺めてるみたいな感じだった。共通の『Application』という作品を見て、思ったことを持ってライブにきてくれる人とそこにいない人が、割かし同じくらいの価値を持ってたんです。でも、ツアーとかフジロックを経て、だんだん僕ら、お客さんのこと好きになっていっちゃって(照笑)」
――ああ!
大井 「お客さんの熱量がすごく嬉しかったし、お客さん1人1人を認識するようになったんですよね。より直接的な対話でありたいと思うようになっていって。だからライブ会場に来てる人を“目の前のあなた”というふうにして。そんな感じだよね」
伊原 「うん、『Application』のカウンターだと思う」
――なるほど! その中で一部、日本語歌詞を入れた点に関しては?
伊原 「日本詞については、メジャーとか関係なく、前々から使ってみたかったんですよ。実はまだリリースしてない作品で一部日本語の曲もあって。だから特に“ぜってえ日本語使うぞ!”とかじゃなくて。何が楽器であっても良いし、誰が何を担当しても良いんです。僕らサンプリングとかよくするんですけど、味噌汁入った茶碗をカンカンカンって叩いて、それを音源にぶち込んだりするんです。それと一緒で別に何でも良くて。日本語でも英語でもいいし、という意味で、単純に使ってみたかった」
大井 「そうそう」
伊原 「何なら『Heart』は一時期、全部日本語バージョンも作ってたんです。でも“これは何かダセえ”って(笑)。だから必要なら使えばいいし、必要じゃなかったら別に使わなくてもいい」
――演奏する時に心がけたことはありますか?
伊原 「楽曲は杉本が打ち込みで作ってるものなので、フレージングとかはミックスの時点で“ちょっとゆったりめで”“サブベースちょっと多めで”とか調整はあるんですけど、どちらかというと基本的には彼が作るものにライブでアプローチするというのが僕らのスタイルで。今までもそうだし、多分これからもそうですよね。楽曲がすごくミニマムなものなので、ライブでどう表現するか。特に一彌とか、打ち込みのドラムと全く違うことするし、アレンジも結構エグくしちゃったりするんで。だからライブを見に来ないと、本当のDATSは見れねえよっていう。ぴあでチケット買ってもらって(笑)」
――生の体験は価値がありますもんね。
伊原 「今の時代、家にいたら何でもAmazonで買えるし、ライブ映像もYouTubeで何でも観れるじゃん。だからそこのカウンターで俺はいたいと思ってる」
大井 「そうだね」
伊原 「わざわざ雨降ってんのにライブ会場行くのめんどくせえじゃん。ロッカーだってほとんど空いてねえし」
――そうですね(笑)。
伊原 「けど、それでも来たい理由って何だろう、じゃあ俺らがその理由を作んなきゃいけないよね、っていう感じですかね。俺らはライブバンドだし、ライブにどうやったら来てもらえるかを常に考え続けるバンドですね」
――一彌さんは『Heart』で意識していることはありますか?
大井 「『Message』と『Heart』は、ライブのセットリストでも連なって順番に演奏されるんですけど、その“Message EPゾーン”では“目の前のあなたに”っていうEPのテーマが頭に浮かぶというか、演奏していてそういう気持ちになるのはありますね」
伊原 「うんうん。そうだね」
――続けて演奏するというのは決めてらっしゃるんですか?
伊原 「時によって絶対変わるとは思いますけど、今は何か流れが良いかなと思ってやってます」
――『Message』の歌詞はDATSのことを歌っているような気がしますね。
伊原 「これは、実は僕が元カノと別れた時について、杉本がそれを見てて書いた曲なんです」
大井 「(笑)」
――そうなんですね(笑)。
伊原 「でもそれは1つのキッカケであって、言ってることはもっと普遍的なね」
大井 「多分誰にでも適用できるようなことなんですよね」
伊原 「そうそう。おもしろいですよね、“just follow the fate”って俺すげえ好きなセンテンスで。普通は“運命に抗え”で“resist”じゃないですか。なのに、“follow the fate=運命に従え”って不思議ですよね。だってそれって、“じゃあ俺はもう何もできないじゃないか”って。でも実はそれは違って、要は、followは“従え”じゃなくて、“運命さえも受け入れてしまえ”ということで、そこで何を考えるかなんですよね。失恋した時、杉本に相談してたら同じようなこと言われて、それが“follow the fate”っていう歌詞になったんだなっていう(笑)」
――なるほど。
伊原 「“自分の弱さを受け入れた時に自分の本当の真価がわかるし、強くなれるよ”って杉本は言ってて、それが最強バージョンになったのが『Message』」
――なるほど!
伊原 「あいつ良いこと言うな~って思った」
――横で見られていたわけなんですね。
伊原 「そうっすね」
大井 「確かに、近しい人を見てそれを参考にして音楽を作っていくことがMONJOE(杉本の愛称)は多くなったよ。『Application』の時は広い社会を見て、何となく感じたことを書いてたのが、もっとローカルになってる。それが多分“目の前のあなた”につながったんでしょうし」
伊原 「ほんと、使用料いただきたいわマジで(笑)」
ショーとしての完成度をすごく求めているので
ワンマンじゃないとできないことが沢山ある
――改めて『Message』EP、どういう作品になったと思われますか。
伊原 「2017年を集約したものだなと思います。ずっと言ってるんですけど、歌詞も内容もコンセプトも、ツアーとフェスを経て感じたことが全て、その盤に詰まってる。これは個人的な意見なんですけど、あんまり頭で考えてない。身体で感じたことを表現したのかなと思いますね、僕は。一彌くんはどうですか?」
大井 「僕は、バンドのこれからの動き方というか、バンドの運営の仕方にすごく関わってくると思ってる。mabanuaさんが『Heart』をリミックスしてくださったものを収録してるんですけど、DATSの音源は打ち込みのエレクトロサウンドだから、DJ使いに役立ちそうな音像もかなりあると思ってて。リミックスワークスやフーチャリングワークスみたいなものは精力的にやっていきたいなと思ってるので、今作でそれを始められたかなって」
――しかもmabanuaさんはドラマーでもありますよね。
大井 「そうなんですよ。mabanuaさんがすごいのはドラムを叩けるだけじゃない。まずコンポーザーとして、その次にドラマーっていう感じで。もちろんドラムも最高に上手いんですけど。この時代、やっぱりああいう人が活きてくるんだなって思いますね」
伊原 「良いよね。スクエアプッシャー系だよね」
大井 「そうそうそう」
伊原 「最近多いよねそういうマルチな人って。何にもできねえわ俺」
――いや、そんなことないですよ!!
伊原 「はははは!(笑)」
大井 「『Message』の歌詞になれるじゃん。大丈夫だよ」
伊原 「じゃあこれからも失恋していきます(笑)」
――いやいや、幸せになってください(笑)。最後にワンマンツアーのお話をお聞きしたいのですが。
伊原 「はい、きた! きたよ」
――6月のメジャーデビュー前に、東名阪で3本開催されます。初のワンマンツアーですよね。
伊原 「そうですね、ツアーは初めてです」
――どんなツアーになりそうですか?
伊原 「めっちゃ楽しみですね。できるかどうかまだ分からないんですけど、東京でやったことを、もしかしたら地方でもできるかもしれないっていう」
――あ! サラウンドシステム(前方と後方にスピーカーを配置した、音が立体的に聴こえるシステム)ですか!
伊原 「そう、サラウンドシステム。あと照明とか。ちょっと、まだ完璧にできますとは言えないんですけど……まあ、できますでいっか」
大井 「できますでいいんじゃん」
伊原 「うん、できますでいいや」
――(笑)。
伊原 「東京でいつもやってることを地方でやります。ちょっと全力でいきます。全力じゃないわけじゃないんですけど、どうしても地方だと、集客的に対バンを呼んだり……ってなると、サラウンドシステムにかかる費用が出せなくなったりするので、そういう意味ではワンマンはやりたい放題なので。自分たちができる限りの全てを注力します。……チケット買ってね!」
大井 「僕らは一応東京をベースに活動してはいますけど、卓哉は名古屋出身だし、去年のツアーを経た分、ホームを廻るという感覚をより強くしていきたいと思ってます。ホームで手を抜くことは許されないので」
伊原 「まあどこでもダメだけどな(笑)」
――楽しみですね。サラウンドシステムすごく気になっていたんです。
大井 「いやすごいですよほんと」
――やはり違いますか?
大井 「違いますね」
伊原 「いやでも俺ら聴こえないんで(笑)」
――そうか、演奏してる本人は聴こえない。
伊原 「リハーサルでシーケンスの音は聴けるけど、真の意味では聴こえない(笑)」
大井 「そうそう。DATSのライブ見てみたいんですよね」
伊原 「みんな言ってるよね。“照明もカッケーらしいしな”、みたいな(笑)」
大井 「“らしい”しね」
伊原 「ライブ終わった後に写真見て、“ああ、カッコ良い!”っていう」
――DATSをやっている限り、その願いは叶わないと(笑)。
伊原 「バンド辞めるしかないですね(笑)」
――これはかなり楽しみですね。大阪は4月22日(日)、会場はShangri-laです。
伊原 「Shangri-laは結構やりやすそう」
大井 「うん、やりやすそうだね」
――ライブハウスにとっても初の試みになるかもしれないですね。
大井 「確かにそうですね。DATSって音楽を取り巻く全てに手を加えたいという、ショーとしての完成度をすごく求めているので、ワンマンじゃないとできないことが、めちゃくちゃあるんですよ。だからワンマンライブはイチオシです」
伊原 「来ていただかないともうね、二度と大阪に行かないかもしれないからね」
大井 「あ、そういうこと言って(笑)」
伊原 「それぐらいの気合いでやってるんで」
――ツアー楽しみにしております! ありがとうございました!
text by ERI KUBOTA
(2018年4月 5日更新)
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