「前よりずっと今がいい感じ」 ニューEP『クレイジービートラリアット』を引っ提げた ワンマンツアーが2月開幕! 爆弾ジョニーインタビュー&動画コメント
爆弾ジョニーが、’17年11月22日にニューEP『クレイジービートラリアット』をリリースした。前作のEP『BAKUDANIUS』とは真逆ともいえる、今作収録の全7曲について、りょーめー(vo&g)とタイチサンダー(ds)に話を聞いた。楽曲にまつわるエピソードを通してメンバー同士の想いやりやルーツが垣間見えただけでなく、’14年の活動休止を経て、爆弾ジョニーが“前よりずっと今がいい感じ”と歌えるに至った心境の変化が分かるロングインタビューに。’18年の2月からは、ワンマンツアー「太陽はまた昇るか。」
の開催が決定している彼らが感じている、ありのままの“今”とは? 最後には、ワンマンツアーのユニークな構想についても語ってくれた。
歌を聴かせたいバンドだから
ボーカルが歌いたい曲を、僕らも優先的にやりたい
――今作は、前作の『BAKUDANIUS』とはうって変わって、ジャケットのインパクトも強烈ですし内容もまたガラッと変わっていますね。
タイチ(ds) 「内容も本当に真逆ですよね。だけど、すごく自然にできたEPではあるんです。“『BAKUDANIUS』からすごく変わったね”と言われるんですけど、前作もそうだし、今作の勢いがあって元気な感じも自然に僕らの中から出たものからできています」
――『BAKUDANIUS』を受けての勢いあるEPになったという訳ではなく、自然に?
りょーめー(vo&g) 「タイチはそう言ってますけど、僕はというと実は違っていて。“全く真逆なのをやろう”と考えていました。『BAKUDANIUS』が小綺麗な感じでPVも爽やかだったので、今作はPVも暑苦しい感じにしようとか、ヴィジュアルも曲の中身も考えて真逆にしようと考えながら作って、みんなに持っていきました」
――’17年7月にリリースされた『BAKUDANIUS』から、4か月足らずのリリースになりましたが、あらかじめ決まっていたのでしょうか?
りょーめー 「元々は『BAKUDANIUS』と合わせた1枚にしてフルアルバムで出す予定だったんです。だけどスケジュール的にも忙しくなるなと思い、2枚に分けた方が効率がいいと思ったので2枚に分けました。収録曲に関しては、自然とその時の流れで1枚目の『BAKUDANIUS』が決まって、ヴィジュアルやデザインを意識して整ったものにしようというコンセプトだったので、僕の中ではその時点で2枚で真逆のことをやろうと思っていたんです。収録曲は今、入れたい曲を入れたらこういう2枚になったという感じ。だから、曲はたしかにタイチの言うように自然な流れで分かれてはいます」
――では、『BAKUDANIUS』のリリースのタイミングでは、今作の収録曲もある程度が出揃っていた?
りょーめー 「そうなんですよね。今作のために作ったわけでは無いんです。割と、俺らって常に新曲のストックがあるので、リリースに合わせて曲を作らなきゃいけないということがそもそも無いんです」
タイチ 「いろいろなストックがある中で、バンドで合わせて先が見えた曲、これはいけるなと思った曲をレコーディングしていってます」
りょーめー 「毎回、その時その時の俺のやりたいか、やりたくないかという気持ちにみんな左右させてしまっているんですけど、おかげで常にやりたいことが出せているなとは思います」
タイチ 「演者としては大事ですよね。ボーカルが歌いたい曲を、僕らも優先的にやりたい気持ちがありますから。なんといっても、歌を聴かせたいバンドですから」
りょーめー 「でもさ、今回の1曲目はお前が歌ってるじゃん(笑)」
タイチ 「それはまた別の話だから(笑)」
――前作もお友達に渡す用に2枚組になっているという、これまでにない展開をされていましたが、今回は1曲目がまさかのボーナストラック『ワンちゃん』から始まるという構成に(笑)。
りょーめー 「変ですよね(笑)。1曲目がボーナストラックなんて、普通はナシだってなるのかもしれないですけど、俺らの周りの大人ってメンバー以上にイカれた人が多いので(笑)、普通にありえない案もOKを出してくれるんです。おかげで楽しく作れてるんですけどね」
――ボーナストラックはどういった流れで最初に?
りょーめー 「まず、活動休止中にタイチが打ち込みで曲を作ることを覚えて、何曲も自分で作って持ってはいたんですけど、バンドでやるということはないなというのがあって。それでアルバムタイトルの『クレイジービートラリアット』を付けたのが、タイチだから、『それならタイチくんの曲をボーナストラックに入れてみる?』という流れになりました。最初は、よくありがちな最後に入れるはずだったんですけど、せっかくタイトルを考えたのもタイチなんだし、タイチの曲から始まった方がEPのタイトルの感じも出るんじゃないかと会議で言ってみたらそのまま決まりました(笑)」
タイチ 「まさか『ワンちゃん』に関して、こんなにインタビューで話すことになるとは…(笑)」
りょーめー 「そりゃそうでしょ! 絶対イジられるでしょ、こんなの!」
――イジってる訳じゃないですが、やっぱり気になりますよね(笑)。せっかくなので、もう少し『ワンちゃん』について教えてください!
タイチ 「この曲は作詞作曲も全部僕がしていて、そもそもは遊びで作ったんですよね。それでメンバーに聴かせたら“いいじゃん!”と言ってくれて、その瞬間に初めて、作ってよかったなと報われたのを覚えています。それから、りょーめーがこの曲を1曲目にしようと言ってくれた時に、ようやく自分でつけたタイトルが腑に落ちたところはあります。最初は、僕も何も考えずトイレで大をしている時に、勢いで降りてきた言葉をタイトルにしただけだったので、自分の曲を頭に持ってくることでようやく納得できたというか」
りょーめー 「最初は『ワンちゃん』がボーナストラックだから表記されないとなっていて、そうするとアルバムの中身に『クレイジービートラリアット』感がねえなとは思っていたんですよね」
タイチ 「1曲目が『へへいへい』っていう、爽やかな曲から始まるからね。
りょーめー 「言ってもその他の曲はEPタイトル負けしないかなと。それをタイチの『ワンちゃん』が、上手く辻褄を合わせてくれました」
全然違う人が集まってバンドをやってる意味って
お互いの作品や気持ちのキャッチボールにある
――個人的には、特に『アクセル』がグッと来ました。活動休止を経て、復活した爆弾ジョニーが“今がいい感じ”と歌っているのが、すごく嬉しくって。
タイチ 「この曲はギターのキョウスケが作詞作曲した曲ですね!」
りょーめー 「爆弾ジョニーは、みんなでdropboxに上げた曲を、それぞれメンバーが聴ける時に聴くというやり方で共有しているんですけど、これを聴いた時、俺は純粋に“すごく楽しそうだな”と思って。それで、キョウスケが仮歌をいれて持ってきた時に、“バンドでやろう”と言って完成させることに。ドラムが難しい曲なのに、タイチもすごく気に入っていてね」
タイチ 「初めに聴いた時、他のメンバー用にボカロで聴いていたんですけど、スピード感というか、そのボカロっぽさが合う曲が僕は結構好きで、デモを聴いた時点で刺さりました」
りょーめー 「『BAKUDANIUS』を作った時に思った、2枚目は派手で元気なEPにしようというイメージに対して、絶対にこの曲は入れた方がいいなと思って取り掛かった感じですね」
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――同じキョウスケさんの曲で、『pa-diya』も聴き入ってしまいました。
りょーめー 「『pa-diya』は素のキョウスケが出ていて好きです。『アクセル』と『pa-diya』と『駄駄駄』がキョウスケの曲なんですけど、俺の中でキョウスケが作る曲はこの3パターンが代表曲だなと思っていて。キョウスケが何も考えなくて曲を作ると全部『pa-diya』みたいな感じで、いい歌があって、のんびりゆったりしているような曲になるんです。逆に、自分の中でファンキーなことがやりたいんだろうなという時は『駄駄駄』みたいな曲ができるし、『アクセル』みたいな勢いのあるロックができたりする。その3パターンが多い気がするんですよね。『BAKUDANIUS』の収録曲は、メンバーのバランスが良くできていたので、それも壊したいなとは思って、今回はキョウスケに重心を置いたEPにしようと思いました。3曲入れても、それぞれ色が違うしね。因みに、どの曲もキョウスケが思いついた時に自分の仮歌を入れて持ってくるんですけど、『アクセル』と『駄駄駄』に関しては俺が歌った方が曲の雰囲気に合うと思うんですけど、『pa-diya』は意外とキョウスケが歌った方がいいなと思うところがあります。あの人、歌が上手いのに、なんでか嫌がるよね」
タイチ 「恥ずかしがってるんだと思うよ。僕がキョウスケと二人で話した時に、“自分より、りょーめーが歌った方がいいと思ってる”って言ってたしね」
りょーめー 「でも、『pa-diya』はキョウスケのボーカルがめっちゃ好きで、完成した今でも好きだもん。“やっぱり、キョウスケの方がカッコよくね?”って(笑)。『5号線』とかもそうで、キョウスケが作るフォーキーな曲は、キョウスケが歌った方がいいんじゃないかなと思うんだよね」
タイチ 「俺も好き!」
――ライブとかではもしかしたらキョウスケさんのボーカルバージョンで披露されたりして。
りょーめー 「俺は歌ってほしいけどね…」
タイチ 「それは俺も観たい!」
りょーめー 「そういえば、『pa-diya』のデモは、キョウスケがひとりでオケを全部やってたのが良すぎて、バンドでやった時に全然超えられなくて、みんな大変そうでしたよ」
タイチ 「本当にデモが良すぎて、ドラムのノリとか演奏の空気とかを俺達でどう再現するか結構苦労したね。結局、何も考えずに無の境地で叩くということにたどり着きました」
りょーめー 「デモが打ち込みのドラムだったから、何も考えないドラムがハマるんだろうね」
タイチ 「そう。だから、いかに無心の状態で叩けるか、という風にアプローチしたら少し近づけたかなと思います」
――また歌詞がいいですもんね。
タイチ 「キョウスケが夢で見た、自分がEarth, Wind & Fireのライブを観に行った時のことを歌詞にしてるらしいです」
りょーめー 「キョウスケにとっては音楽って、現実逃避的なところがあるので、そういうところが出ていますよね。“ずっと逃げてきた君のことも/今だけ忘れてしまうよ”とか、まさにそうだろなと思います」
――『駄駄駄』は、キョウスケさんが活動休止中に、サポートで参加していたa flood of circleの佐々木亮介さんが“SMAP”ぽいと仰ってたとか。
りょーめー 「彼はSMAPが大好きなんですよね。SMAPの音楽的なところにすごく興味を持っているらしくて、そういうお洒落なコードをずっとやりたかったんじゃないかな」
タイチ 「この曲を演奏隊で練習していて、なかなかどういうテンションでやるべきかイメージが沸かなかったのを覚えてます。それでキョウスケに、“この曲、どんな感じの曲なんですか?”とズバッと聞いてみたら、“SMAPとモーニング娘。”って言ってましたね。それをみんなで聞いて、なるほどと。どうしてか聞いたら、“好きだから”って」
りょーめー 「因みに、『駄駄駄』のイントロのベースとギターのフレーズは、キョウスケが持ってきたデモではブラスだったんですよ。でも、メンバーにブラスはいないから、いるメンバーでできることをやればいいと思って“弦で弾けよ”と僕がふと言ったことから、ギターとベースでやってもらうことになったんですけど、そのせいですごく苦労させてしまって時間がかかりましたね…」
タイチ 「僕が見てた限りでは、ベースの小堀くんが一番苦労していましたね(笑)。ベースでああいったメロディアスなフレーズは弾かないですから。ずっと目がうつろな状態で、ライブ前の楽屋とかで練習してました(笑)」
りょーめー 「しかも一人じゃだめで、ギターと合ってないといけないからね」
――『MELODY』は、ロマンチック☆安田さん(key)の楽曲だとか。
タイチ 「安田くんのこだわりが詰まった曲ですね」
りょーめー 「そんなことないよ。最初、“別にやってもやらなくてもいいかも”とか言って、この曲をお蔵入りにしようとしてたし……」
タイチ 「でも、いざ掘ってみると、彼なりの想いが強い楽曲だったんですよ」
りょーめー 「その熱がちゃんとあるのに、お蔵入りにしようとするから“やった方がいいでしょ!”って俺が止めました」
タイチ 「それも、りょーめーがボーカルとして、歌いたかったかというのもあるんじゃないの?」
りょーめー 「最終的にはそうですね。安田くんがOasisの映画を観て、興奮した勢いでそのまま作った曲らしいんです。彼、中学が一緒でその時からOasisとか洋楽がすごく好きなんですけど、昔っからそういう部分を正直に出さない人で、なのにそういうルーツを前面に出した曲を今このタイミングで作ったんなら、これはやった方がいいだろうと思って。そう思ってるうちに、俺も歌いたくなりましたね。意外とうぶなんですよね、安田くん」
タイチ 「安田くん、初めて観たライブがOasisって言ってました」
――それをお蔵入りにしようとしてたんですね。
りょーめー 「そうなんですよ。意味わかんないんですよね! そんな安田くんが前作で作った、『Shall be a youth』という曲を受けて、僕がアンサーソングとして作った曲が『へへいへい』です。だから安田くんが好きそうなアレンジにしていて、結果的に安田くんも気に入ってくれたのが何よりよかったです!」
タイチ 「確かに今想うと、『へへいへい』を作ってるときの安田くんの顔が一番イキイキしていましたね」
りょーめー 「あの人の中で、作ろうと思えばこういう曲を作れるんだと思うんですけど、恥ずかしくて作れないんですよね。タイチが言ってたみたいに、自分の好きな音楽をそのまま自分でやるというのは出来ない人なんです。だから、“こういうの好きだろ? 俺がバンドに持っていったらやらない?”みたいな感じで話したら、案の定乗っかってくれて、結果的に良い曲になったので嬉しいです」
――気まぐれなようで、きちんとメンバー同士に想いやりがあって。それが相乗効果で楽曲に作用しているところがいいですね。
りょーめー 「全然違う人が集まってバンドをやってる意味って、その人に対してだったり、その人が何かやったことに自分も何かするキャッチボールみたいなところにあるんです、僕は。だから、その他のところではあまり気負わずできていて、“タイトルも『へへいへい』でいいじゃん!”みたいな」
喧嘩とか言い合ったりするけど、楽しい瞬間もあるから
目の前のことを大事にしたい
――『REAL WiND』はそんな安田さんがギターで参加している楽曲に。
りょーめー 「安田くんは休止中に他のバンドのサポートでギターを弾いていたし、そもそも彼はギターボーカルで中学生の頃はバンドもやっていて、実はキーボードよりギターの方が弾けるんですよね。なのに何で、うちのバンドでギターを弾かないのかなと思うようになって。じゃあ、爆弾ジョニーでギターを弾こうよってなった時に、安田くんがギターを弾くためだけに作ったともいえるのがツインギターの『REAL WiND』です」
タイチ 「安田くんがギターを弾いたら、キョウスケと違うタイプのプレイなので面白いなって思いますね」
――歌詞がまたいいですよね。『アクセル』の“今がいい感じ”と重なるような、今の爆弾ジョニーの感情や状況がありのままに綴られているようで。
りょーめー 「あ、ありがとうございます。でもこれ、何も考えないで書いたんですよ(笑)」
――そうなんですか(笑) ?
りょーめー 「最初に曲だけ作って、それをバンドのみんなで合わせながら適当に歌っているのを書いたらこうなったっていう」
タイチ 「そう言うけど、俺も好きな歌詞があって、“いま目の前のコト/笑えてたら嬉しすぎて”ってところなんだけど、バンドでスタジオとか入っていてギクシャクしたり、言い合ったりすることもある中で、ふざけあって笑っちゃう時もあるから、この歌詞をみるとその瞬間を思い出してちょっと泣けてくるんですよね。喧嘩とか言い合ったりするけど、楽しい瞬間もあるから、目の前のことを大事にしたいなという気持ちになる。でも、何も考えないで作ったんだね(笑)」
りょーめー 「無意識だからこそ、そういう瞬間が頭の中にあったのはあるかもしれないですね。タイチが『クレイジービートラリアット』ってタイトルを、トイレでうんこしながら思いついたのと同じだよ。ふと書けた歌詞なんですよ」
――りょーめーさんにとって日常的な光景や心情だからこそ、ぽろっと出てきたんですね。すごい良い曲だったので意外でした。
りょーめー 「この曲、適当に作りすぎて本当にこれでよかったのかなって、未だに思ってるからね(笑)。この曲にかけた時間って3分ぐらいだよ!? キョースケからリフをもらって、コード進行を30秒ぐらいでつけて、スタジオでせーので合わせたところから、ほとんど変わってないもん(笑)」
タイチ 「確かに勢いだった(笑)。でもね、それが俺たちの良さでもあるよ!」
りょーめー 「自分で言うなよ!」
――毎回、そういう完成の仕方って1曲ぐらいはあったりするんですか?
りょーめー 「そうでもないんですよね。他は『な~んにも』ぐらいじゃないですか? 俺の中で、全然時間をかけないでできた曲はそれぐらい。だけど、そういう曲の方が好きって言ってくれる人がたくさんいるので、世の中が分からないです……。それなら、ぜんぶ適当にやってやろうかと思っちゃいますよね(笑)」
――『な~んにも』もすごく好きです。曲調こそ違えど、すごく純度の高い感情がありのままに出ている点では共通しているような。
タイチ 「うん。『REAL WiND』に関しては、懐かしいなと思っちゃうんですよね。安田くん以外は同じ軽音部で知り合ったメンバーなんですけど、その頃を思い出してしまう曲ではあります」
りょーめー 「確かにあまり難しいことはやってないし、早い8ビートのドラムの上でギターがジャーンとなっているのは、俺らが昔にやっていた分かりやすい気持ちよさだなと思います。だから、懐かしいというのは分かる」
タイチ 「今言ってた通りに、何も考えずに生まれた曲なら、りょーめーのルーツにある部分が呼吸のように出て来たのかなと、思いますね」
りょーめー 「タイチって真面目なんだね(笑)。ありがとね、なんか」
――普段は、あんまりこういった話はしない?
りょーめー 「ないですよ! だからCDについて、真面目な話をしているタイチは見れないから面白すぎる。だから、今、そんな風にタイチが思ってくれてたんだって、初めて知りました。なんか、ほんとありがとね。だけど……、マジで適当だから(笑)。本当に、“風”のように吹いてきて、“風”のように去って行った曲ですよ」
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活動休止を経て、吹っ切れた感はある。
“今がいい感じ”と言えなきゃ、やってる意味がない
――そうやって生まれたからこそ、“リアル”な感情が歌詞になり曲調に表れているのかもしれないですね。そんな一枚を引っ提げてのツアーを控えていますが、どんなライブになるのかイメージはすでにありますか?
りょーめー 「このCDを作ってるときに、俺とタイチでネットに上がってる、爆弾ジョニーのコピーバンドとか、“弾いてみた”動画の人を観るのが好きだったんですよ。たまに、俺達より上手い人もいたりして! 『唯一人』がタイアップ曲で、よく知られた曲だからやってる人も多いんですけど、うちらのバンドでも“キョウスケが弾いてみた”の動画を作って出してみたりしていて。それで、もし弾ける人がいたら、ステージに上げて一緒にやろうかなとか思ってます」
――すごく面白い試みですね!
りょーめー 「本当に、上手い人いるんですよ! 俺達より爆弾ジョニーしてるなって人が!」
タイチ 「ハッとしますからね。“こういうの良いな! 忘れちゃいけないな”って。
りょーめー 「俺らがやってきたことを観た人たちが、その時にやりたいと思ってやってるから純度も熱もすごく高いんですよね。今の俺らは、自分たちがやってきたことを今改めてやっても、絶対にその時の自分たちには勝てないんです。俺らにとっては過去だけど、コピーしている人たちにとっては今だから、素晴らしい表現をする人がいるんですよ。昔の俺らだったら、その人たちよりカッコいいことをやってたけど、今の俺らよりはカッコいいなと素直に思うので、そういう人たちと一緒にやってみたいんですね」
タイチ 「だから、大阪でも募集してます!」
りょーめー 「ま、やらねーかもしれないけど(笑)。今の気分ですから。だって、誰も弾きたい人がいない可能性もありますからね(笑)」
タイチ 「ぜんぜんあるね(笑)」
りょーめー 「上手い下手とか関係ないので、やるとなったら参加してほしいですね。同じ日に同じ空間に集まるんだから、上手い下手とかそういうのじゃなくってね。そもそも、俺らがライブやってるのも、人に見せるようなことやってないから。結構、構成とか考え込んだ“ショー”として持ってきてる人が多いなと観ていて思うんですけど、俺らはそれができないので、せっかく同じ場所に集まったお客さんと俺らがいるなら、俺ら側が何かを観せるんじゃなくて、そこに何かがあるという方が自分たちに向いているなと思うようになってきました」
タイチ 「お客さんと作っていく感がいいですよね」
りょーめー 「だから、“ショー”をしにいくわけではないから、むしろ俺らがその時々のライブの環境に期待していますね」
――それは、バンドを始めた頃から変わらず?
りょーめー 「いや、休止前はもうちょっときちんと“ミュージシャン”をしようとしていましたね。自分らがお金を払ってもらってる人に、交換で何かを観せるということをできるとまだ望みを持っていたので。だけど、活動再開してしばらくしてみると、俺らそれ向いてないなと気づいたんですよ。それならお客さんと一緒にやっていく方がいいなと。誰にでも多少のアーティスト性ってあると思っていて、たまたま俺らは運がよくバンドを組めた環境にいただけであってさ。だから、そういうお金を払ってもらって“ショー”を観せるというのは、有名な人がやればいいので、自分たちはそうじゃないことをしようと。前は頑張ってたんですけどねぇ(笑)。こういう曲でこういう構成にして、お客さんを感動させよう!みたいな(笑)。それでちょっと、売れようと思ってたんですけど、やっぱり向いてなかった。結果、俺らに関しては、頑張ってやればやるほど良くなくなるんですよね。好き勝手やっていて、それを面白がってくれた人たちが集まって膨らんできただけなので、ずっとそれでいいのかなって」
タイチ 「自由にね。自由にやりたいです」
りょーめー 「そういう言い方すると、切実だな(笑)。休止前はどうしても見せつけてやる感があったんだけど、今は無いですね。むしろ、爆弾ジョニーを好きで観に来てる人たちってどんな人だろうと気になって、お客さんを観ている感じはします。前は、お客さんに対して“見て!見て!”って一方的な感じだったけど、最近は“爆弾ジョニーが好きだなんて、変な人たちがいるもんだな”と思いながら、みんなのこと観ています(笑)」
タイチ 「だから余計に、弾いてみたがすごく楽しみなんですよね。そんな面白いお客さんがもし、ステージでギターを弾いたらどんな感じなんだろうって」
――気持ちに余裕ができて、視野が広がったのですかね。
りょーめー 「吹っ切れた感はありますね。休止してたし、そんなにやりたいんだったら休止しなければよかったじゃんって話だから。自分たちに合ったやり方を探った結果、休止もしたし、休止からスタンスも変わるところも変わったしね」
――まさに、“今が良い感じ”だと。
りょーめー 「そうやって、本人たちが言えないとやってる意味がないなと思うんですよね」
タイチ 「ライブに対しては、休止前に比べて緊張より楽しさの方が大きくなりましたね。前は失敗しないようにしなきゃとか、そんなことばかり考えていたんですけど、今はそういう緊張感もありつつ楽しさが大きい」
りょーめー 「いいこと言うね。こんな小心者のタイチが、ミスしちゃいけないと思いながら無理してライブをするよりも、ハードルを下げるとかじゃなく、ありのままの自分たちでやって、それが評価されなければそれはそれでいいと思うんです。無理して評価されても嬉しくないなと、そう思うようになりました。だって、頑張ってカッコいいものをやろうと思ってやってさ、“カッコいいね”って言われても、“それはそうじゃん”としか言えないよ。だけど、素の自分たちが好きなようにやってさ、“カッコいいね”って言われたら、“ありがとう”って俺は心から思えるもん。だから今は、そういうありのままの爆弾ジョニーを見てもらえると思います!」
取材・文:大西健斗
(2018年1月12日更新)
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