1/28(日)より全国ワンマンツアー 『Winter Delicious Long Tour 2018』を開催! 新作『DELICIOUS』について語る THE BOHEMIANSインタビュー&動画コメント
8枚目のフルアルバムであり、the pillowsの山中さわおが主宰するDELICIOUS LABELからの4枚目となるニューアルバム『DELICIOUS』を12月6日にリリースしたTHE BOHEMIANS。メインソングライターのビートりょうと平田ぱんだだけでなく、本間ドミノと千葉オライリー(と無法の世界)によるナンバーも加え、胸掻き立てられるスピードチューンから涙腺にくるバラード、“ボヘミアン”という本来の意味にも通じる異色な要素も交えてさらに旨味が増した内容となっている。'05年の結成から現メンバーとなって10年を超えたTHE BOHEMIANSの今とこれからを、毒舌やビッグマウスも挟みつつ、平田ぱんだとビートりょうが仲良くマイペースに語ってくれた。
――今作はどんな風に制作されたんですか?
ビートりょう(g) 「自然にできた感じだとは思いますね。春ぐらいに全員が作詞作曲して、(山中)さわおさんの書き下ろしが1曲入ってる会場限定のEP(1st Mini Album『FIVE SOUL ROLL EP +1』)を出したんですけど、その流れでみんなで曲を出していって」
平田ぱんだ(vo) 「ミニアルバムを作る時に、一人2、3曲は作っていて、俺だけ真面目に、その時作った一番良いやつを入れたんですよ。俺以外は出し惜しみをしていて、こっちに(その時作った)良い曲を持ってきてるんで、今回のアルバムは良いです! そのミニアルバムと合わせて今作を聴いていただけるとより良いですね」
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――紙ジャケがいいですね!
平田 「“帯”命ですからね。今回は色も今までで一番濃くて、字もデカい。その時の調子が帯に表れるという説があります」
りょう 「俺ら、帯の色は統一してるんですよ。でも紙質によって微妙に同じ赤色が出ないらしくて。その時のボヘミアンズの調子が出るんですよ」
平田 「今回、“帯”最高傑作です。史上最高!」
りょう 「帯集が出せるね。帯展示会。帯飲み会。帯合コン。何だってアリだ!(笑)」
――帯もそうだし、細部までこだわって作られていますよね。そういうアナログ盤に通じる風合いを今の時代の聴き手に伝えたいという思いもあって?
平田 「“帯”を付けるのって、日本にしかないのが良いよね。ザ・ホラーズは帯がついてる日本盤のデザインを取り入れてたよね。そもそものジャケのデザインにもカタカナで“ザ・ホラーズ”って入ってる」
――ボヘミアンズの今回のジャケットにもカタカナでバンド名が入ってますね。
平田 「カタカナの魅力に目覚めてしまった。今まではカタカナって野暮ったいかなって思ってて。元々ボヘミアンズっていう響きも野暮ったいのに…。でも、帯もカタカナにしてるから、表紙もやっちゃおうかなって」
――それは平田さんから提案するんですか?
平田 「そうですね。今、英字表記かカタカナにするか迷ってるんですよ。ちょうど今回8枚目で、4枚区切りで言えば2周目終わった感があるんで。次は3周目だなと思って。じゃあ、ロゴもカタカナに変えちゃおうかなと」
りょう 「カタカナのボヘミアンズは俺も好きっすね。さっきも言ったように本来カッコつけたバンド名ではないし、バンド名の間抜けな感じが意外とカタカナだと出るんじゃないかと。カタカナのザ・○○ズっていうの好きなんですよね、俺も。ザ・フー、ザ・ローリングストーンズ、ザ・ビートルズとか。カタカナで書かれてる感じがいいっすね!」
平田 「アルバム8枚って、ブルーハーツとハイロウズと枚数が並んだんすよ。ブルーハーツ、ハイロウズはどっちも8枚アルバムを出して解散しているので。じゃあ俺らも一区切りだ、って考えてるんですよ。だから次からバンド名変えます。カタカナになります。カタカナにするっていうことはバンド名を変えるってことだから、ニュー・ボヘミアンズだな」
りょう 「でも、ニュー・ボヘミアンズっていうバンドは検索するといるんだよね」
平田 「そう、だから残念ながらニュー・ボヘミアンズと名付けることはできないから、せめてカタカナにします。今決まりました。でも嘘かもしれないです。そしたら“嘘つき”って書いといてください」
――毎回色々な発言が出ますからね〜(笑)。
平田 「はい。そして覚えてないんすよね」
――ところで、今年は現体制になって10周年ですね。
平田 「そうですね。でも千葉オライリー(ds)が3年くらい(このバンドを)やめてるんで、あんまりノリ切れてないっていう…」
――千葉オライリーさんは、3年ほどボヘミアンズを離れてたんですよね?
平田 「そうですね。だから、10周年というのは諦めました。ボヘミアンズは、2005年に俺とビートりょうで作ったんで、そこから数えて(周年を)祝うことにしました。5人で横並びは諦めましたね。俺たちはボヘミアンズ12年生だから、あいつらは俺たちの下だって書いといてください。俺たちが12年生、本間ドミノが11年生、千葉オライリーがまだ7年生かな、中1だよね。俺たちは12年生だからもう高3。大学受験を控えてるくらいの。大学行かないかもしんないし…」
りょう 「いいね、その感じ」
――でも、現体制になってからの10年は前回のインタビュー でもすごく大事にされていると話してましたが。やっぱりそこは今の5人体制が最強だからですよね。
平田 「そうですね。この5人でボヘミアンズでしかないということで、他の人を入れるのは諦めました」
――“10年続いてしょぼいバンドはない”って、以前、平田さんが言ってましたよ。
平田 「ある意味10年経ってないですよね。千葉オライリー以外は10年だけど。あとは千葉オライリー次第ですね」
――でも、そういう未完成な部分があるからこそ、ずっと続いていけるのでは?
平田 「そうですよ。足りないところだらけなので。だからやってるところはありますね。ボヘミアンズが完成してしまって、なおかつみんなの支持も得てしまったらやることなくなっちゃうんで、やめます。そして再結成します。解散と再結成をやりたいです、いつか。再結成が喜ばれないと意味ないから、圧倒的な支持を得ないといけないから、まだまだ道は遠い…」
りょう 「でもストーンズとか、アルバム出すペースを考えると、解散して再結成してるようなもんだよ。それくらいまでいけば…」
平田 「そうだよな、再結成みたいなもんだよなストーンズは。毎度毎度」
りょう 「俺は結構ローリングストーンズに憧れてるんですけど、どう考えてもああいうロックバンドがいるっていうのは、心強い。すごいですよね」
――半世紀以上続いてますもんね。
平田 「ストーンズが道筋をどんどん作っていったせいでやめ時を見失った可哀想なバンドマンたちがね、世の中には溢れてしまっています。ストーンズは罪なバンドです」
りょう 「本来ロックバンドなんていうのは若い時の勢いで始めて、大体卒業するもんかと思っていたら。こんなに夢見てていいんだ、みたいな。それでめっちゃ金稼ぐわけだから。すごいねストーンズは」
――ボヘミアンズとしては、日本のロックンロールバンドとしての1スタイルを確立させていこうという意志はあるんですか?
りょう 「今の日本のバンドで言えば、コレクターズとかフラカンとか見てると、続けていくカッコよさみたいなのがあって、そういう時代になってる感じはありますよね」
平田 「続けてりゃ何とかなる、っていう前例をおじさんたちが見せまくってるから俺らもできんじゃねえかって。よこしまな気持ちが表れてる。そうやってやめ時を見失っていきます。ロックの先輩たちのせいで。恨んでいます」
りょう 「何となく全体的に高齢化してると思いますね。良くも悪くもだけど。それが結構当たり前になるような気もしますよね」
――カッコ悪い続け方じゃなくて、今までなかった次元だなと思うんですよね。あんなにカッコいい40代、50代のロックバンドって昔はいなかったから。
平田 「だから逆に最先端というか、誰も見たことのない次元で、20代のバンドマンじゃ30代のバンドマンの域には到達できないですよね。30代の気持ちは分からないですから。そういう意味では勝ってますね。俺たちのほうが最先端。コレ、今年20周年のブルーハーブが言ってたんですけど」
――長く続けようって、先のことばかりを考えてるんじゃなくて、1日1日、1年1年を全力で突っ走ってるからこそカッコいいのかもしれないですけどね。
平田 「ロックは1年単位ですね。1年間のことしか考えてないです。だから今回も“10年経ってどうですか?”っていう質問をよくされてるんですけど、10年単位では何も考えてないんで。1年なら答えられる。今年はどういう1年でした、とか。だから先の10年は分からないです。来年の春の話ならできなくもないけど」
――『Looking for friends tour 2017』のKING COBRAのライブ(取材の前週)では、このライブが人生最後かっていうぐらいの気迫を感じました。
平田 「そうしないとやってる意味がないですから。その時のために普段は省エネで生きてる、声も小さめで…。ライブで死んでも良いくらいじゃないと、やる意味がないですからね。ロックやってなかったら、もっと大きい声ではきはき喋ってますよ。こんなにボソボソ喋ってるのは、ライブのためです。そこまで溜めてるんです、僕は。ライブを観ないと、ただの暗い失礼なヤツなんですよね。だからライブ観てほしいなぁ…」
――本当に、こういうインタビューでは、「どうしたの?」って思うぐらい(笑)ギャップがあって。それがまた面白くて。
平田 「全てロックンロールが悪いですね。ロックのせいで、人生台無し。そんなやつが5人もいるバンド。お前のせいだ!って毎日言い合ってます。お前さえいなければこんなことにならなかったんだって…」
りょう 「仲いいな、それ(笑)」
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――(笑)。だいぶ脱線しましたが、アルバムの話に戻りましょう。今までは共作曲という形が多かったと思いますが、今作は各楽曲で単独制作という方向にシフトしたんですか?
りょう 「今まで共作の名義ではありましたけど、ほぼほぼ共作というわけでもなくて…」
平田 「単独で作ってても共作名義にしてたんですよ。ビートルズとかクラッシュとかの真似して。で、今回は個々の名義に分けてみたけど、また共作に戻します。字面的に面白くなくなったので。基本的にやってることはロックンロールバンドごっこだから。そのごっこの要素が1つでも消えると寂しいな、面白くねえなと。ビートりょうが何と言おうと、俺は共作名義に戻します」
りょう 「いいんじゃないですかね(笑)。でも今回の作ってみて、同じアルバムの中で曲毎に監督が変わってくっていう面倒くささはあった。それが分かったっていうのはありますね」
――受け取る側からすると、それぞれのメンバーの個性がよりはっきり分かって良いんですけど。
りょう 「それはそれで良いんですけどね」
平田 「それもそれで一人一人のキャラが立ってて、これが誰々の曲とか、そういうL'Arc〜en〜Cielを聴くような楽しみ方も生まれるんですけどね。でもまあもうちょっとボヘミアンズは違う方がいいかな。一人一人が単独で指揮するのは面白くはない。共同作業にした方が楽しいなと」
りょう 「だから作り方も俺らはまだ確立してないというか、色んなパターンを試してる。ある意味そういう10年でもあって…」
平田 「アルバムごとに結構違うよね。特にデリシャスに入ってからの4枚で試し切りました」
りょう 「試す環境があるのはすごい恵まれてるよね」
平田 「次からラップのほうにも目くばせしていきます。もうやっちゃいます、僕は」
りょう 「いいんじゃない、それはそれで」
平田 「最近あんまり若い子はロックを聴いてないみたいで、完全にヒップホップの時代だからな。俺もヒップホップは好きなんですけど」
――東名阪での2マンツアー『Looking for friends tour 2017』でもけっこういろんなタイプと対バンしてましたね。大阪の空きっ腹に酒もそうだし。
平田 「(空きっ腹に酒と)フィーチャリングの約束もしてきました。彼(=空きっ腹に酒の田中幸輝)が、東京に客演ラッパーみたいな感じで来てて。さわおさんと飲んでるところに俺が呼ばれたんです。なので、来年ヒップホップも1曲やります。いや、あえて8ビートでラップするのもやってみたいな。こってこてのロックンロールで」
――へー、面白そうですね! あと、今回のアルバム『DELICIOUS』はレーベル名を冠にしてるようですが。
平田 「“俺たちはDELICIOUS LABELだ!”とようやく宣言したんです。4枚目にして。今まで同じレーベルに4枚もアルバム出すほど長期にわたって滞在したことないので。俺たち、この先もデリシャスだろうなと。看板バンドになろうと思って。the pillowsを超えます。俺たちがデリシャスだ!」
――そのビックマウスは絶対に書いておきたいと思います。
平田 「デリシャス看板バンドになる一歩手前。次が看板バンドとしての1枚目だ。ここで宣言してボヘミアンズの2周目を終えました。デリシャスでの1周目を終えたともいえます」
――そして、THE BOHEMIANSはカタカナ表記になると?
りょう 「カタカナのボヘミアンズのほうが俺が思うボヘミアンズっていう気もするんで、その方が良いんじゃないですかね」
平田 「ここで宣言しとかないとしないから。宣言しとこう。ボヘミアンズはカタカナになります! 生まれ変わります。より訳分かんなくなって帰ってきます。髪型も変えます」
――断言しましたね(笑)。そして、年明け早々からツアーが始まります。
平田 「ライブはやればやるほど演奏もパフォーマンスも良くなっていくんで。過去最高のツアーになることは間違いないです。いやぁ、ライブはやってて楽しいですよ! 普段絶対言わないようなこと言うし」
りょう 「俺の場合、夢中になった瞬間に終わりが来るんですよ。“あ、もう終わりか”っていう…、それが続いてる感じなんで。常にやってたいですよね。ライブ、今が一番良い感じだと思いますね」
text by エイミー野中
(2018年1月11日更新)
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