カバーアルバム『ユキマチヅキ』を引っ提げ
12/17(日)サンケイホールブリーゼ公演まもなく開催!
城南海インタビュー&動画コメント
圧倒的な歌唱力を誇る奄美出身の歌姫・城南海が、約2年半ぶりとなるカバーアルバム『ユキマチヅキ』を11月にリリース! 人気カラオケ番組で最多10冠を達成した彼女だが、今作では番組とはひと味違った魅惑のボーカルで、日本の冬の名曲たちを奏でている。そんな注目作を携えて現在ツアー中というご本人を直撃。間近に迫った大阪公演がますます楽しみになる、ニューアルバムの制作秘話やライブの見どころを聞いた!
――最新カバーアルバム『ユキマチヅキ』には冬の名曲がずらり。今回、選曲はどのようにされましたか?
「『THEカラオケ☆バトル』(カラオケ採点番組)で私のことを知って“○○をカバーしてほしい”という声も多かったので、Twitterでファンの方からリクエストを募集しました。1000件以上も応募があって、私が学生の時に聴いていた曲から親世代が昔聴いていた曲までがそろいました。なので、幅広い世代の人に楽しんでもらえると思います。あと、男性の曲も女性の曲もありますし、バラードもちょっとかわいらしい曲もあります。(カバー曲も)ライブで楽しみたいという皆さんの要望があったので、ライブを意識してアレンジもちょっと明るくしたりしているんですよ。実は、これまで出した2作のカバーアルバムは原曲に忠実にしていたんですけど、今回はいろいろなアレンジャーさんにアレンジしていただいていて……。そういったライブを見すえた選曲もしたんです」
――ちなみにリクエスト多かった曲は?
「私が番組で歌ったという理由もあるんですけど『ORION』(中島美嘉)、それに『なごり雪』(かぐや姫、イルカ)や『サイレント・イヴ』(辛島美登里)や『Everything』(MISIA)……って全部ですね(笑)。ただ、『Snow Crystal』(藤井フミヤ)だけ、リクエストではないところで決めました」
――それにはどんないきさつが?
「今回3人のディレクターさんに携わっていただいたんですけど、そのなかのお一人が藤井フミヤさんのディレクターさんでもあって……。“この曲、歌ってみない?”と言っていただいたんです。フミヤさんも聴いてくださったみたいです」
――ご縁があったんですね。
「はい。レコーディングはこの曲から始まりました。4弦とピアノとボーカルで一緒にスタジオに入って“いっせーのーでっ!”で、お互いの息を聞きつつ、クリックは聞かずに、ライブみたいな感じで録ったんです。緊張感もあるけど、楽しくて気持ちのいいレコーディングでした」
――先程話に出ましたが、男女どちらの曲もカバーされています。違いってありますか?
「男性の曲で、僕って言ったりするのは結構好きです(笑)。男性の視点を想像しながら歌うのは難しさもあり、楽しさもありですね。女性の曲は、同じ女性でもやはり声は違うので、ご本人の歌い方を聴いてどんな風に曲の良さをいかそうかなって考えますね。曲の雰囲気を意識しつつ自分の声の出し方で!という……。声の違いだけでなく、ちょっとした表現の違いで聴こえ方も変わると思うと楽しいですね」
――カバーをする時、原曲をすごく聴く方もいれば、わざとあまり聴かない方もいると思います。城さんはどちらですか?
「聴き過ぎないようにはしますね。どうしても好きな曲は、染み付いているところがあるので、自分を出す部分を埋めすぎないようにバランスを取ることを意識しています」
――カバーするにあたり、曲をより深く理解されたと思うんですが、新しい発見などはありましたか? 思ったより難しい!とかもありそうです。
「『冬がはじまるよ』(槇原敬之)はアップテンポで、ライブをイメージしながら歌ったんですけど、今回のシャッフルのリズムはこれまで歌ったことがなかったので、リズムの取り方に苦労しましたね。この曲と『Everything』と『サボテンの花』(チューリップ)はTHE HIGH-LOWSのドラマーの大島(賢治)さんが叩いてくださったんです。なので、ちょっとロックテイストも入っているんですよ。だからその原曲と違うリズムは、実際レコーディングしながら体で表現していった感じです。あと『いい日旅立ち』(山口百恵)には二胡を取り入れてみたんです。美しい景色が見えてせつない感じもある曲に、二胡の音色も合うなって……。そういった和楽器との相性の良さの発見もありましたね」
――確かに二胡の音は印象的でした。
「『なごり雪』も原曲と変えて、宇宙を漂うようなアレンジにしています。今、この曲はライブでも歌っているんですけど、(収録したアレンジと)違ってすごく心地いい。雪がしんしんと積もっていくような、暖かさもあるような……。今回、いろいろアレンジを原曲と変えたことで初めて気付く雰囲気や良さもありましたね」
――そんなアレンジはどの曲も城さんの声を引き立てているような感じがしました。
「一曲ずつ、曲の世界観で声色を変えていて、そこをちゃんと聴いてもらえるようにアレンジしてくださったんだと思います」

――ボーカルから、かわいらしさや温かさが感じられますよね。
「寄り沿うような歌い方をしたり、素の自分で真っ直ぐ歌うようにしたり……『Snow Crystal』とかは、淡々と歌っているんですよね。いろいろな歌い方をしているので“あ、私こうやって歌っていた時期もあったな”とか思い出すこともありました。もちろん、チャレンジで新しい歌い方をした曲もあるし、一曲一曲に向き合って歌えたことが、いきているのかなと思います」
――エモーショナル過ぎないのが、聴き心地良かったです。
「ハッピーな曲って、2曲ぐらいなんですよね……冬(の曲)だから(笑)。だけど、何でもその先に希望や光があるわけじゃないですか。だから私、悲しい歌をあまり悲しく歌いたくないんです」
――なるほど。例えば『いい日旅立ち』なら、もっと高音で“歌い上げ系”になるのかと思ったら、そうじゃないですよね。
「たぶんあれは原曲のキーですね。テレビで歌った時は(キーを)上げていても、今回は下げています。上げ過ぎないようにしたんです。ま、それ(キーを上げること)が良い時もあるんですけどね。だから、迷った時は仮歌を録って聴き比べたりもしました」
――以前のカバーアルバム、『サクラナガシ』と『ミナミカゼ』の時はどうでしたか? それぞれ春の曲、夏の曲を集めたものですが…。
「あ、春・夏の時は、今回よりは上げ目なキーで歌ってましたね」
――やっぱり“冬の曲だから”のアレンジや歌い方だったんですね。
「そうですね。春と夏を経ての……ってところですね。あまり頑張ってキーを上げなくてもいいよね!というか(笑)」
――ちなみに3作品目ともなると、カバーに対する考え方は変わりますか?
「2015年に間を空けずに『サクラナガシ』と『ミナミカゼ』を出して、その後オリジナルアルバムを何作か作って、自分なりにいろいろな挑戦をしてオリジナル曲に向き合って…。そこから再び今回、カバー作品を!ってなったので、前のカバー作品よりも自分らしさを出せているのかなと思いますね。アレンジが多くなったというのも、そういうものの表れかな。そして今作には1曲オリジナルが入っているんですけど、その曲は自分のなかでは次へのステップという位置に置いていますね」
――最後に入っている新曲『サヨナラよりも伝えたかったこと』のことですね。自分色のカバー曲を経て、次の段階への新曲と…。
「今回、オリジナルも聴けてうれしいと言ってくださる方が多いのがうれしいですね。昨日も大阪でリリースイベントがあったんですけど、カバーとオリジナル、それぞれの自分にとっての大切さをファンの方が伝えてくださったので、オリジナル曲を入れて良かったなって思いました。城南海の次へのステッップも感じてもらえれば、よりうれしいですね」
――『サヨナラよりも伝えたかったこと』も、悲しい詞だけれど温かいタッチです。
「実際はこの曲をカバーより先に作っていたんです。でもカバーアルバムに入れたいという考えはあって…。いろいろな景色が見える曲だったので最後に入れたんですけど、世界観がアルバムと合いましたね」
――全体のまとまりもいいですね。
「実はこの曲の前だけ、曲間を開けていて…(笑)。ファンの方からも“その間がいいね!”っていうコメントが1個だけありました。“そこも気付くんだ!”って思いましたね(笑)。でも、そうやってちゃんと1枚を通して聴いてくれているんだなって思うとうれしいです」

――さて、現在ツアー「ウタアシビ2017冬」を開催中!
「今回は初めてのホールツアーで5か所6公演になります。これまでよりもじっくり歌を聴いてもらえる広いホールという環境なので、しっかり音楽中心にしようと……。私、いつもMCでたくさんしゃべっちゃうんですよ(笑)。だから今回は、MCはここって決めて、音楽で世界観を作っていきます。お客さんと一緒にカバーで冬の景色を見て、そして民謡で奄美の景色を見て、そこからオリジナル曲に入って……そういう世界を全員で楽しめます。あと、初めて衣装の早替わりもしています。シーンが変わるごとに、見た目でも楽しんでもらえたらなって思います」
――初めての人でもたっぷり楽しめそうですね。
「そうですね。途中で歌ったり踊ったりする時間も設けているので、ぜひ! それが、ツアータイトルの『ウタアシビ』です」
――では最後に読者にメッセージを。
「関西の皆さんには、デビューの時から応援していただいて……ありがとうございます! ぜひ『ユキマチヅキ』を聴いていただいて、さらにそれを一緒にライブで楽しみましょう。そして! 来年、もしかすると私の故郷・奄美が世界自然遺産になるかもしれないので……あ、関西からはたくさん飛行機が飛んでますからね(笑)! ぜひ奄美に遊びに来てください。実は島の人は関西に出て来ることが多いんですよ。私の友達もたくさん関西に出て来ています。奄美の人が集まる『関西奄美会』というのもあって、今年100周年。人の感じが奄美と関西は近いんだと思います。だから心も通じ合えるはず。ライブと奄美、どちらにも来ていただけるとうれしいです!」
text by 服田昌子
(2017年12月15日更新)
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