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ONE OK ROCKがくれたチャンスとエド・シーランとの再会のドラマ
自作のループステーション制作秘話etcを全国ツアー中のReNが語る
『LIFE SAVER』インタビュー&動画コメント
「どんなに苦しいときも、心の中の炎は灯しておかなきゃいけない」 ONE OK ROCKがくれたチャンスとエド・シーランとの再会のドラマ 自作のループステーション制作秘話etcを全国ツアー中のReNが語る 『LIFE SAVER』インタビュー&動画コメント
“どれだけバカになれるか”。インタビュー中に彼の口から何度も出てきたこのフレーズに、“若さゆえ”には留まらない決死の覚悟と熱量を感じるのは、きっと私だけではないだろう。ReNが音楽を始めたのは’15年。幼少から憧れたレーサーとしての夢も希望もクラッシュした彼がすがった、唯一の光。そんな音楽に導かれ、20歳の春からリアルタイムで演奏を録音→再生する“ループステーション”を駆使し、1人多重演奏のスタイルを確立。自らに課した100本ライブ『百戦蓮磨2015』を達成後は『FUJI ROCK FESTIVAL’15』に出演を果たすなど、地道に音と現場を重ねてきた。今年はONE OK ROCKの『“Ambitions” JAPAN TOUR』福岡公演への大抜擢に、シンガーソングライターを志す運命の一夜を作り出した、あのエド・シーランとスペースシャワーTVの特番内で再会するなど、まさにミラクルの連続! 一気に注目度が高まりつつある中、現在は最新アルバム『LIFE SAVER』を手に初の全国ワンマンツアー中のReNに、自らの足で、意思で、ここまで歩いてきたライフストーリーを紐解いてもらったインタビュー。こんなドラマが待っているから、人生は面白い。
胸を張って外を歩けてたのは自分に掲げるものがあったからで
それが失くなったとき、人ってこんな弱くなっちゃうんだって
――’17年も残り僅かですけど、今年は相当すごい年でしたね(笑)。
「自分が音楽活動をスタートしたのが’15年で、そこからほとんど毎日のようにどこかで歌ってきて。自分がもし大きいステージに立つことが何かのタイミングで起きたとき…人生にそういう大きいチャンスってそんなにないと思ってるから、そこで自分が培ってきたものを100%出せるようにって、この2年間ずっと意識して音楽をやってきて。もちろん最初の頃なんてお客さんなんて誰もいないし、その後100本ノックライブ(=『百戦蓮磨2015』をやったときも、まだお客さんは全然いなかった。でも、それが1人1人とだんだん増えていって…今年ONE OK ROCKのライブにゲストで出させてもらったときはプレッシャーもすごく大きかったんですけど、自分はやっぱりそういう機会を心待ちにしてて。とにかく自分の存在と曲を知ってもらいたかったから。今年は本当に大きい出来事の多い年で、ターニングポイントだったなぁって。それはONE OK ROCKのライブもそうだし、僕がすごく憧れていたエド・シーランに会えて話ができたこと…1つ1つ一生懸命に、邪念も雑念も捨てて、まっすぐに、純粋に、音楽を追求して、自分なりのやり方でも続けていればこういうことが起きるんだなって、肌で感じられた1年だったから。出来事が自分を強くしてくれた感じはありますね。そこで何を感じたかというよりも、出来事が起きたことで“自分は間違いじゃなかったんだな”って感じられたのが、すごく大きかった」
「例えば『Life Saver』(M-2)は、最初にギターのリフがあったんですけど、その使い道が見当たらなくて忘れてたんです。そのリフを久しぶりに弾いてみたら、パン!と見えるものがあって。あとはそのリフだけを使って、倍速のスネアの音を鳴らしてみたり、目を閉じて観えた景色をたどって、コンピューターで音を積み上げていったんです。やっぱりギターで作る曲は、どうしてもリズムを後から付けなきゃいけなかったりするので、曲調が変わることもあるんで。けど、今回は自分の欲しいイメージが明確にあったから、それを先に音として僕が作ってみて、それを弾いて曲にしていく、歌にしていく、歌詞にしていく。だから、ちょっと新しい印象になったし、それを気付かせてもらえたのも、エド・シーランとの出会いやONE OK ROCKとの共演もあったりで、音楽には10通りのやり方があれば10通りの曲ができるんだって分かったから。僕はまだキャリアがないところが強みでもあるから、今までとは全く違うものができるのも楽しかったですね」
「もう圧倒的に変わりました。ONE OK ROCKのツアーに2日間出させてもらって意識も変わったし、自分がどういうライブをやりたいのかも、ハッキリ見えましたね。実際に立ってみて思うことはいっぱいあって、一番はみんなから強烈なエネルギーが放出されてるっていうことで。自分の歌を聴いてもらいたいだけじゃダメで、みんなも放出したいものがあってライブに来てて、僕はそこに応えなきゃいけない。そのキャッチボールにはやっぱりエネルギーもすごく使うし、でもそれがうまくシンクロしたときは猛烈に気持ちいいんだなって。そういう意味で足りない部分もいっぱい分かったし、あとは、会場の大きさが違うと音ってこんなに変わるんだっていう物理的な問題とか。本当にいろんな意味で肝っ玉を座らせてもらえたライブだったし、もちろんすごく緊張したんだけど、そこに自分が立てた自信と、それがみんなに届いた実感が返ってきたライブだったから。それはすごい財産になりましたね」
「いや本当にそれがビックリで。だって中学生の頃から学校で流れてたバンドですからね。その人が僕の音楽を聴いてくれてたって、“これ夢かな?”って思った(笑)。本当に今でもTakaさんと会って話すんですけど、僕とTakaさんの間で起きたことって“ピュア”なんですよ。ONE OK ROCKがライブにゲストを呼ぶことは、何の政治でもない。自分たちがいいと思った音楽を、いいと思ってくれたお客さんの前で観せたい。音楽が好きなヤツらが集まって新しい音楽を作るっていうことは、海外では普通なんだよっていう話をされたときにすごくいいなと思って。実際、そこに集まった2日間で3万人のお客さんに僕の音楽が届いてすごく嬉しかったですし、さらに音楽ってすごいなって思わせてくれたんで。自分の1枚のCDから夢みたいなことが本当に起きたんだって、僕はみんなに音楽を通して伝えていきたいし。どれだけバカになって頑張れるかで結構いろいろ変わるんだよって、僕はちゃんと音楽で見せていきたい。そうなったときに自分があたふたしてるかしてないかで、全部決まるっていうことを」
Album 『LIFE SAVER』 発売中 2500円 booost music REN-1004
<収録曲> 01. What I'm Feeling 02. Life Saver 03. Umbrella 04. DREAM 05. Tell Me Why 06. Little Green Bird 07. Moonlight 08. Be My Girl 09. PASSION 10. Life Saver(acoustic ver.)
Profile
レン…’94年2月28日生まれ、東京出身。10代でイギリスに単身で渡り、UKミュージックに衝撃を受け、20歳の春から本格的な音楽活動を始める。ギター1本でステージに立ち、演奏しながらループステーションを使ってビートやコーラスなどを次々に加え、重ねていくスタイルを確立。’15年には関東圏を中心に1年間で102本のライブを行う『百戦蓮磨2015』を達成。また、『FUJI ROCK FESTIVAL’15』などにも出演を果たす。’16年6月には満を持して自身初のアルバム『Lights』をリリース。iTunesオルタナティブ部門で1位を獲得。12月に東京・渋谷eggmanにて行われたツアーファイナルのチケットは早々とソールドアウト、超満員の中、大成功を収めた。今年はSpace Shower TVの“New Force 2017”に選出され、今後の活動が期待される中、ONE OK ROCK『Ambitions Japan Tour』福岡公演へも参加。このライブでもギター1本とループステーションのみの1人でパフォーマンスを行い、大きな話題となる。6月28日には、2ndアルバム『LIFE SAVER』をリリースした。
「“つて”があるわけでもない、政治力でもない。ReNの波乱万丈の人生を形成しているのは、紛れもなく自分でピンポンする能力=行動力と意思。その上で、ギターをちゃんと突き詰めるまではバンドで簡単に気持ちよくなっちゃいけないとか、シンセパッドでリズムを多用するのもダメだとか、自分にちゃんと釘を刺していくストイックさというか、若いのにその辺の視野があるのはしっかりしてるなぁと。とは言え、『LIFE SAVER』には焦がれる歌が多いというか、気持ちを募らせるというか、本当に幸せな気持ちって『Be My Girl』(M-8)ぐらいで、何かを失ったり、何かが手に入らなかったり、みたいなことがやっぱり音楽になってる。あんまり幸せじゃない方が曲が書ける、“シンガーソングライターあるある”が発動してるところもニクめないなぁ(笑)。いや~熱いインタビューになりました。また1人、再会が楽しみなシンガーソングライターが増えましたよ」