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“若い世代に良い音楽を継いでいきたい”
オールディーズへの愛に溢れた『ABSOLUTE LEARNERS TOUR』
大阪公演ライブレポート

LEARNERSの初となる映像作品『LEARNERS / IN THE CUTUP STUDIO AND MORE』が7月26日にTOWER RECORDS限定で発売された。これを記念したレコ発ツアー『FEELIN' FELLOWS Presents ABSOLUTE LEARNERS TOUR』が東名阪で開催。今回は9月10日に大阪・梅田Shangri-Laで開催されたライブをレポート! LEARNERSの他、TUCKER、KONCOS、Seussが出演。特別ゲストにバーレスクダンサーのMIWA ROCKも登場! 会場にはDJを務めるUME-SANと京都発のインディーズ・レーベルSECOND ROYAL RECORDSを主宰する小山内伸介が、この日にぴったりのルーツミュージックを鳴らし、フロアでは手を取り合って踊る観客も。外国の酒場のように、笑顔が弾け全身全霊で音楽を楽しむハッピーな空気が満ち溢れていた。

KONCOS

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トップバッターを務めたのは、LEARNERSではドラムを務める古川太一(key&b&vo)率いるKONCOS。この日は、サックスやトロンボーンのホーン隊を迎えた特別編成でステージに登場。『Palette』でライブをスタートさせると、のっけからフロアに飛び込み、アグレッシブなステージングをみせる古川。『月待つ島まで』、『Citrus』と立て続けに披露され、ホーン隊が加わったことで眩い祝祭感を増したサウンドが会場に響き渡る。紺野清志(ds)の打ち鳴らすリズムが力強さを増していき、ポップなメロディーが爆裂パッショナブルな演奏でぶつけられる。佐藤寛(vo&g)の温かくも透き通った歌声が徐々に熱を帯びていくと、今度はフロアに飛び込み、バーカウンターの上で独白のように歌詞を何度も唱えた。そのままThe Zombiesの名曲『This Will Be Our Year』の日本語詞カヴァーを披露。衝動的で爆発的なエネルギーに溢れたステージは、瞬く間に駆け抜けていった。



TUCKER

tucker1.jpgtucker2.jpg続いて、エレクトーンを武器に超絶パフォーマンスで観客を釘付けにしたのはTUCKER。たった一人でドラム、ギター、ベースに加え、一斗缶に坊主頭を擦りつけた音までもその場でサンプリングして生多重録音するライブで圧倒。鍵盤上にオイルを撒き、燃え上がる炎の前で演奏したかと思えば、今度は鍵盤上で三転倒立。型にはまらぬ派手なパフォーマンスと初期衝動のままに即興で鮮やかに織りなし重ねられる音の世界に、グイグイと観客を引き込んでいく。「いいぞ!」と声援が飛び、フロアには続々と拳が突きあがる痛快さ。ひと言も発することないものの物語や情景が頭に浮かんでくるような生き生きとしたサウンドとリズム。誰もが知ってるクラシックもTUCKERが鳴らすことで違った一面をみせ、エキサイティングに心躍らせてくれる。難しいことは考えず、ただ目の前で鳴らされる音を純粋に楽しむ。そんなシンプルかつ重厚なステージングで拍手喝采を巻き起こした。



Seuss

seuss1.jpgseuss2.jpgseuss3.jpg続いて、SECOND ROYAL RECORDSからニューEP『FUN, FUN, FUN』を今夏にリリースしたばかりのSeuss。先輩アーティストに囲まれながらも負けぬオールディーズへの愛と堂々たるステージングで観客の心を鷲掴みに。「LEARNERSとずっとやりたかった」と素直に想いを語り、『Sunny Girl』や『C'mon Baby』とご機嫌なロックンロールを続々と投下。観客も心地よく肩を揺らしたり、クラップしたりと自由に楽しむダンスホールに。さらに、チャック・ベリーの『Johnny B. Goode』のカバーを披露。そこから、グッとさらに一体感を生み出し、勢いを加速させていった。多幸感いっぱいに笑顔で踊る瞬間の連続だけでなく、じわじわと熱を上げていきながら、金子勇貴(g)、奥畑詠大(b)、前田凌(ds)が向き合い練り上げていくグルーヴは刺激的。熱量が伝わってくる谷本悠馬(vo&g)のかすれた声が心地よく、じっくりと聴き耽る観客の姿もまた印象的だった。



MIWA ROCK

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ここでスペシャルゲストのMIWA ROCKがバーレスクダンスを披露。シャングリラのステージが似合う、妖艶なムードを纏って登場してセクシーなダンスを舞う。焦らし、焦らし、焦らしては徐々に衣装を脱ぎ捨てていき、美しいボディを露わに。観客から口移しでチップを預かり、いてもたってもいられずLEARNERSの松田“CHABE”岳二(g&vo)と紗羅マリー(vo)もステージに出てきて、MIWA ROCKにチップを口で渡し頬を緩ませる場面も。なかなか体験できない非日常な大人の空間が繰り広げられ、会場の興奮度をさらに上昇させた。



LEARNERS

learners3.jpglearners1.jpglearners2.jpglearners4.jpgボルテージが高まりきったところに、LEARNERSがTUCKERを鍵盤に迎えて登場。チャーベが「ハロー、ハッピー? 大阪!? パーティーの準備はできてますか!?」と口火を切ってライブをスタート。『Fools Fall In Love』、『Learners Yeah!!!』、紗羅がキュートかつセクシーに歌う『I Want You To Be My Baby』とのっけから、フルスロットルで仕掛けられ、フロアはお酒を片手に持った大人たちでパーティ騒ぎに! 「ロンドンだろうがどこだろうと、年齢もレーベルも関係ない! ここにいる、10代の気持ちを忘れないすべての俺たちに捧げます!」とチャーベが煽り、浜田将充(b)が『Teenage Kicks』を歌い、初期衝動に火をつける。さらに、「オンナの人には優しくしましょう!男たち!」と『WATER THE FLOWERS』でダンス&クラップがフロアのあちらこちらで巻き起こるハッピーな展開から、「シャングリラで超やりたかったんですよ!」と思い入れたっぷりに鳴らされた『LETS ME IN』へ。ここでチャーベがMC。「60年代はThe Whoが、70年代はTHE JAMが…。80年代から今までずっと、ザ・コレクターズが歌ってる。加藤ひさしさんによる最高の訳詩、不滅のダンスナンバー!」とキメて、『恋はヒートウェーヴ』になだれ込むと、観客がワッと歓声をあげて大盛り上がり。TUCKERの鍵盤がキレまくり、『LOVE YOUR MONEY』ではトップバッターで弾けまくっていた古川が激しくドラムを打ち鳴らし、浜田将充(b)がズンズン響くリズムを弾ませる。キレッキレのギターでバンドのクルーヴを引っ張ってきた堀口チエ(g)が今度はマイクをとり、『Gotta Lot Of Rhythm In My Soul』では力強い歌声を届ける。終盤に差し掛かるとチャーベが、「どんどん若い子たちに、こういう良い曲を継いでいきたいなと思います。皆さんもどんどん加担して伝えていきましょう!」と呼びかけ、50年代から90年代まで幅広い楽曲のカバーをたっぷりと披露してきたバンドの想いがまっすぐに届けられた。本編ラスト『JIMMY BOY』ではMIWA ROCKがステージに駆け上がりダンス! アンコールでは、「日曜日、最後までじっくり楽しんで明日からも頑張ろうぜ!」とチャーベが呼びかけ、紗羅がしっとりと歌う『SLEEP WALK』に続き、“今出る限りの声で歌おう/それだけが最高/全てに感謝して歌うよ/それだけが未来”と投げかけ歌われる『Shampoo Planet』が胸に突き刺さり、気持ちをまだまだ盛り上げてくれた。ラストには紗羅がフロアに降りて観客と大合唱して、最高潮のままにイベントを締めくくった。


 
この日の出演者に共通していたのは、“より多くの人に、若い世代に、自分たちの好きな音楽を。時代を問わず良い音楽を伝えたい”という想いだろう。その想いがしっかりと届き伝わっていたことは、性別も国籍も問わず幅広い層の観客が笑顔で楽しむ光景が証明していたと思う。この日参加できなかった人には、この先もどこかの町で鳴らされる彼らの音楽に、開かれるこのイベントに今度こそ飛び込んでみてほしい。そして、感じたことを誰かに伝えて、LEARNERSの想いに加担して広げていってほしい。さて、ステージは終幕したものの鳴りやまぬDJとドリンクのオーダー。「終電まで遊んでいきましょう!」とチャーベに誘われるがままに、その後もご機嫌な余韻が冷めることなく、シャングリラの夜は深い時間まで続くのだった。

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text by 大西健斗
Photo by tetsuya yamakawa/YUKIKO ONO



(2017年10月20日更新)


Check

Release

『More Learners』
発売中 2000円(税別)
kilikilivilla
KKV-037

《収録曲》
01. GOOD MORNING LEARNERS!(INTRO)
02. WHY DO FOOL FALL IN LOVE
03. WATER THE FLOWERS
04. GO AWAY DON’T BOTHER ME
05. LET ME IN
06. SAINT TROPEZ BLUES
07. I WANT CANDY
08. LOVE YOUR MONEY
09. DENISE
10. MOONLIGHT REVIEW 50’S
11. WALKING AFTER MIDNIGHT
12. SLEEP WALK

Live

LEARNERS

『KOYABU SONIC 2017』
チケット発売中 Pコード:332-994
▼11月3日(金・祝)11:00
インテックス大阪 5号館・2号館
1日券[大人]8500円
1日券[子供]2000円
前半2日通し券[大人]15000円
前半2日通し券[子供]3500円
3日通し券[大人]21000円
3日通し券[子供]5000円
[出演]EGO-WRAPPIN’/カジヒデキ/Charisma.com/きのこ帝国/スチャダラパー/Chara/BRADIO/吉本新喜劇ィズ/LEARNERS/リンダ&マーヤ/今別府直之/かまいたち/酒井藍/ジャルジャル/シャンプーハット/ダイアン/千鳥/中川家/爆乳三姉妹/ハリウッドザコシショウ/守谷日和/他
※雨天決行・荒天中止。未就学児童は入場無料。子供料金は小学生が対象となります。出演者変更に伴う払戻しは致しません。当日は入場制限実施の可能性がございます。
[問]キョードーインフォメーション■0570-200-888

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KONCOS

『ボロフェスタ2017 vol.夜露死苦券』
チケット発売中 Pコード339-860
▼10月21日(土)21:30
京都メトロ
前売2800円
[出演]Limited Express(has gone?)/ロベルト吉野/Tempalay/chelmico/HALFBY/KONCOS/CLUB 80s CREW/DJ Master KOHTA/ギリシャラブ/TOYOMU/他
※18歳未満は入場不可。要身分証明書。公演当日、ボロフェスタ2017 1日券・2日券のリストバンドもしくはチケット提示で500円返金。
[問]Live House nano■075-254-1930

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Seuss

『ボロフェスタ2017』
Thank you, Sold Out!!
▼10月21日(土)11:55
KBSホール
前売4800円
[出演]クリープハイプ/ペトロールズ/H ZETTRIO/キュウソネコカミ/BRADIO/サイプレス上野とロベルト吉野/YOUR SONG IS GOOD/WONK/CARD/どついたるねん/Alfred Beach Sandal/おとぼけビ~バ~/シンガロンパレード/メシアと人人/Seuss/プププランド/チッツ/ときめき☆ジャンボジャンボ/ボギー家族/my letter/JABBA DA HUTT FOOTBALL CLUB/ハンブレッダーズ/Helsinki Lambda Club/カネコアヤノ/KOTORI/黄倉未来/接近!UFOズ/他
[問]Live House nano■075-254-1930


『SUNDAY POP MAGIC』
10月21日(土)一般発売 Pコード:348-647
▼11月12日(日) 19:00
LIVE SQUARE 2nd LINE
前売-2500円(整理番号付、ドリンク代別途要)
[出演]Gateballers/THE FULL TEENZ/Seuss/他
[問]LIVE SQUARE 2nd LINE
■06-6453-1985

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