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来年、結成20周年を迎えるthe band apartの
荒井岳史(vo&g)インタビュー&動画コメント
アルバム『Memories to Go』をリリースしレコ発ツアーを開催! 来年、結成20周年を迎えるthe band apartの 荒井岳史(vo&g)インタビュー&動画コメント
中学、高校の同級生が集まり’98年に誕生したthe band apartが、来年で結成20周年を迎える。彼らの熱心なファンでなくとも、一度でもthe band apartの曲を耳にすれば、その心地よさや簡単にカテゴライズできなくて、だからこそおもしろい彼らの音楽の世界へ引き込まれるんじゃないだろうか。約2年半ぶりのニューアルバム『Memories to Go』でもエモーショナルなロックやジャズ、AOR、ポップスなど多彩な音楽性を消化し、彼らの新しいスタンダードへと深化させた楽曲が次から次へとあふれ出してくる。『街の14景』(’13年)、『謎のオープンワールド』(’15年)と日本語詞作品が続いていたが、今回は11曲中6曲が英語詞曲。初期の頃から変わらないハイブリッド感覚と、日本語詞を取り入れることでさらに奥行きを増した歌の世界。『Eric.W』(‘02年)がいつまでも古くならないように、このアルバムの曲も聴き込まれ、ライブでプレイされ続けることで長く愛される曲になっていくに違いない。本作を携えたツアー『SMOOTH LIKE BUTTER TOUR』の関西公演も目前。来年に控えた結成20周年を前に産み落とした充実の新作について、荒井岳史(vo&g)に語ってもらった。
――アルバムを聴いていて、これまでのthe band apartと2017年時点のバンドの現状が絶妙に混ざり合ってできている作品のように感じました。自分が初めてthe band apartのライブを観たのが’01年頃で、ボーカルの荒井さんがセンターじゃなく左端に位置していたり、ステージでの4人の立ち位置も新鮮でしたが、何よりもヘヴィメタルのような速弾きもあればフュージョンなどの要素も感じられる音楽性の広さと自由さを強烈に見せつけられました。衝撃的で新しかったし、日本語詞曲が増えてからは楽曲のセンスの良さは変わらないまま、曲の浸透の仕方はより深くなってきたように思います。そのあたりの特徴が新作にはもれなく全部あるように思えました。
「そういうものに対する憧れみたいな気持ちはあって、そういうことをやりたいと思ってやってみても結果的にはそうならない典型というか(笑)。この曲を書いた時に、ポップスっぽく始まっているけど、間奏で変なリフを入れたくなっちゃう、その感じがthe band apartぽいのかなぁって。おっしゃる通り山下達郎さん的なものにはめちゃめちゃ憧れているし、そういうことをやろうとして、でもそうはならない。だったら、楽しんで憧れを隠さずに作っていけばいいんだろうなって。僕らはライブでの再現性を考えて作るので、基本的には4人で演奏できることが前提なんですね。ギターを何本か入れることもあるんですけど、打ち込みとか鍵盤を入れるわけではなく。そういうやり方で、あとはいろいろなタイプの曲があっても再生する装置が一緒だから、それがひいてはthe band apartらしさになっているのかなって。変な話、使っている機材もずーっと変わらなくて、この10年ぐらい同じものを使い続けていて。よくもまぁ同じものを使い続けているなぁと思うんですけど(笑)、それも統一感みたいなものを生んでいるのかもしれないですね」
「僕のボーカルに関してメンバーからは、“主張が強すぎないからいいよね”と言われていまして。もともとあまりハードに歌えるほうじゃないので、その感じが定着してきたんですかね。さっきも話に出ましたけど、歌っている本人は英語詞と日本語詞では音の抜け方に違いがあるように感じるんですけど、それ以上にthe band apartは4つの楽器の音が並列なバンドで、そういう曲を作っているし、そういう聴き方ができるようなミックスをエンジニアさんもしていると思うんですね。だから、歌ばっかり聴こえてくるってことがないと思うし、押しつけがましい感じにはなっていないと思うんですよね」
――その頃も今もそうですけど、the band apartの音楽に対しては、カッコイイに違いないという安定した信頼感と毎回どんな刺激が待っているのかという期待感を常に持っています。ライブのタイトルがずっと変わらず『SMOOTH LIKE BUTTER』なのも、バンドのまっすぐさみたいなものを感じますが。
Album 『Memories to Go』 発売中 2900円 asian gothic label asg-037
<収録曲> 01. intro (a broken navigator) 02. ZION TOWN 03. Find a Way 04. Castaway 05. KIDS 06. 雨上がりのミラージュ 07. She is my lazy friend 08. BOOSTER 09. Super High 10. お祭りの日 (LIC2.1) 11. 38月62日
Profile
ザ・バンド・アパート…荒井岳史(vo&g)、原昌和(b)、川崎亘一(g)、木暮栄一(ds)。’98年結成。’01年にシングル『FOOL PROOF』発売。翌年『Eric.W』、’03年に1stアルバム『K. AND HIS BIKE』リリース。オルタナティブロックやジャズ、フュージョンなどの幅広い音楽要素にヒップホップのサンプリング感覚も加味された多彩な音楽性と、高い技術、メロディアスな歌の融合は当時の音楽シーンに革新的な衝撃をもたらした。翌’04年、メンバーみずからが運営するasian gothic labelより『RECOGNIZE ep』をリリース。’06年に以前より親交のあったアメリカのバンド、MOCK ORANGEとスプリット盤『DANIELS E.P.』をリリース(‘16年に第2弾スプリットシングル『Daniels e.p.2』を発売)。’12年にリリースした『2012e.p.』ではそれまでの英語詞に代わり、全曲日本語詞曲になった。ボーカルの荒井岳史は’13年にソロミニアルバム『sparlers』を発売。以降、`14年に1stアルバム『beside』、’16年に2ndアルバム『プリテンダー』発売。ソロでのライブ活動も活発に行っている。’16年にthe band apart (naked)として『coral reef』などの既存曲をアコースティックで収録した初のアコースティックアルバム『1』をリリース。同時期に、□□□feat.the band apart名義で『前へ』リリース。これはthe band apartのメンバー4人それぞれのソロ曲+the band apartの名曲『Eric.W』にいとうせいこうのラップを乗せた曲と、□□□の新曲を収録した遊び心にあふれた1枚。’17年7月に約2年半ぶりのアルバム『Memories to Go』をリリース。同作を携え9月2日の東京を皮切りに始まった全国ツアー『SMOOTH LIKE BUTTER TOUR』の関西公演は、9月30日(土)神戸太陽と虎、10月25日(水)京都GATACA、11月18日(土)大阪BIGCATで開催。
「発売されたばかりのthe band apartの1stアルバム『K. AND HIS BIKE』を手に取った時、あまりにもセンスのいいジャケットにうなだれる思いだった。アメリカのインディーバンドのようなグシャッとしたジャンクなロックの要素もあれば、まったく逆の洗練された音を鳴らしテクニックも十分。ギターロックやラウド、パンクetc.と勝手にカテゴライズしたがるこちらの意識がカッコ悪く思えるほど、the band apartの登場は新しかった。それから15年以上経っても、彼らは変わらずにグッドミュージックを生み出し続けている。変わらないけれど、新作『Memories to Go』の最後の曲『38月62日』を聴き終わった時に見えた景色とみなぎった爽快感は、今までのthe band apartがもたらしたものとは全然違うものだった。インタビューで荒井岳史は「自分にはこれしかできない」と話していたけど、彼の言う“これ”の中にまだ知らない出会いをくれる音楽が潜んでいるんだろうなぁという期待がある。一足早く、結成20周年おめでとうございます」