「もうあさってぐらいにやりたいですよ!」 銀杏BOYZ峯田和伸、初の日本武道館へ――! シングル3部作、NHK朝ドラ『ひよっこ』、そして武道館への想い 『エンジェルベイビー』『骨』『恋は永遠』インタビュー
今年は春からNHK朝の連続テレビ小説『ひよっこ』に出演し、10月13日(金)に初の日本武道館ワンマンライブも決定。それに先駆け、7月『エンジェルベイビー』、8月『骨』、9月『恋は永遠』とシングル3枚連続リリースも発表。いわゆるファンが、聴き手が求めている音を顕著に表した3枚のシングル。お客さんの期待に応えるということ、どのように銀杏BOYZ峯田和伸を自分自身で捉えているかなど、根源的な話にまで及んだ今回のインタビュー。10月の日本武道館を楽しみに、読んでいただけると幸いである。
さすがに給料は上がるんじゃないですかね?(笑)
――今年はNHKの朝ドラ『ひよっこ』に出演されたりと大きな動きがあったように思いますが、いかがでしたか?
「普通に生活している分には困らないですよ。歩けないくらい、キャーキャーはないし。そんなに朝ドラという実感はないかな。もちろん、影響力はあると思うけど」
――なるほど。でも、スケジュールってキツくないですか? レコーディングにライブに、で、朝ドラですから。
「ねぇ…もっと遊びたいんですけど。さすがに給料は上がるんじゃないですかね?(笑)」
――(笑)。でも、映画やドラマの仕事は刺激はありますよね。ドラマで言うと、去年NHKで『奇跡の人』に主演されて、その際はかなりセリフ覚えが大変だと言われていましたが。
「あのときに比べたら今は楽ですよ。でも、主演の有村架純さんは去年9月から今年の8月の終わりまで撮影していたから大変だよね。8月の現場で一瞬会えたんですけど、すっごい元気で、立派だなって」
今の気分を出さないと気が済まない
――そんな中で銀杏は、今年は7月、8月、9月に3ヵ月連続シングルリリースと、本当に精力的ですよね。
「よくできましたよ…特に『恋は永遠』は半年がかりだったな。これで、だいぶ楽になりました。一番いい出来だよ。なるべくシンプルなものにしたかったし。今は日常の中に当たり前の様に情報があるけど、20年前は何もなかったから、音楽や映画を求めたわけじゃない? でも、今はスマホがあって向こうから情報を浴びせてくる。その中での価値というか、隙間の小さい方へ小さい方へいく感じ。それが『恋は永遠』でいい感じで出たかなと。昔から俺を観てるいろんな人には“『BABY BABY』(‘00)みたいな曲を作ってほしい”と、ずっと言われていて」
――前のバンドであるゴイステ(=GOING STEADY)時代からあった曲で、もう17年も前の’00年の曲になりますよね。それなのに、まだ言われるんですね。何となく、その気持ちも分かりますが。
「そうそう。でもまぁ、ああいうのを作ってみようかなと思って。ただ、あの頃の気分ではないので、今の気分を出さないと気が済まない」
――今の気分を出されていますけど、今回のシングル3枚はちゃんとポップなものになっていますよね。
「ポップなものを作りたいと思っていたけど、今の気分を出したいというハードルを超えないといけないと思っていて。で、前のシングルの『生きたい』(‘16)で答え合せができたから。あれで外枠を作れたんで」
“銀杏BOYZ峯田和伸”は、漫画の中の人というか
――『生きたい』は確かに膿を出しきったというか…だからこそ次の段階に進められた作品ですよね。でも、多くの人の気持ちに応えるって大変ですよね。
「500人のお客さんが目の前にいたら、歌いたい人は歌えばいいし、黙って聴いていたい人は黙っていたらいい。その状況によって、演者は調子に乗ったり、へこんだり、いろいろあるだろうけど、どんなことでも受け止めて、おごらず腐らずやりたい。ゴイステで『若者たち』(‘02)を出したときに、“こんなのゴイステじゃない!”って言われた。でも、今はそれを求められている。だから、お客さんの意見を全部は信じない。信頼があるからこそ、疑っているわけで。“最高です!”と言われても疑うから。何があっても、賛成反対両方あるのは自然ですしね。その状態でのバズをずっと起こしたい。“これが銀杏だよね!”だけで盛り上がるのは気持ち悪い。そういう意味では、SNSの普及で面白くなった。1つの色に染め上げるのは不自然だから。俺も好きなバンドには一方的な想いをぶつけるし、それは仕方ないし。だけどまぁ、お客さんとの関係性だけに頼り過ぎず、いい曲だけを作りたい。最初はいちいち気にしてましたけどね。処世術を覚えましたよ。自分で“銀杏BOYZ峯田和伸”を作ったんでしょうね」
――それは、いつ頃ですか?
「ゴイステが終わって、映画『アイデン&ティティ』(‘03)に出た頃ですね。そこで俯瞰できたんですよ。ミュージシャン役を演じたことで、自分が漫画の中にいる感覚というか。“銀杏BOYZ峯田和伸”は、漫画の中の人というか。ステージ上でも本気だけど、本気の演出もある。冷静過ぎてもつまらないし、プロレスみたいな感じかな」
――だいたいの流れは決まってるけど、それを本気ではみ出してしまうときの爆発力みたいなことですよね。
「だって1曲目はこれ、最後の曲はこれ、っていう時点で演出ですから。その枠組みの中で、どうやるかですよね」
――それにしても漫画の中という考え方は面白いですよね。
「『アイデン&ティティ』の後から銀杏が始まったので、全部漫画として考えると楽になりましたね」
朝起きて目隠しされて、車に乗せられてライブに連れて行かれる
みたいな感じが理想ですね
――そして、10月13日(金)には日本武道館での初ワンマンも開催されます。改めて、武道館ってどういう場所です?
「憧れの場所ではありますけど、武道館からドーム、で、ドームツアーみたいな上昇志向はないですね。高い車に乗ってデカい家に住む、みたいなのもないですから。まぁ、ビートルズが立った場所なんで、そこは想いが違いますね。朝ドラでビートルズ好きの役だったから、ずっと6ヵ月くらい聴いていたしね。でも、武道館はマネージャーが勝手に決めやがったんですがね。でも、それくらいやってもらった方が楽です。自分がやりたい専門分野は徹底的にやりますけど、あとは任せます! だから、朝起きて目隠しされて、車に乗せられてライブに連れて行かれる、みたいな感じが理想ですね。昔は対バンとかいろいろ企画を考えていましたけど、今はその日に初めて対バン相手を知るくらいがいいですよ。まぁ、でも武道館はいいですよね。“じゃあ、その前にシングルリリースする?”、“3枚やる!”って言ったら通っちゃって。言わなきゃよかった! 武道館はさぁ、自分の中では“結婚”みたいな感じでさ。ぼんやりと“いつかしたいな~”と思う、みたいな。そうそう、村井くん(元ds)は武道館でやりたいと言ってたみたいですよ。じゃあ、抜けんなよ!(笑)」
――(笑)。マネージャーに任せるスタンスもいいですよね。じゃあ、ドームライブを提案されたとしても。
「やりますね」
――峯田さん的に自らライブをやってみたいと思う場所ってありますか?
「ぼんやりあるのはウェンブリー・スタジアムですかね。クイーン、オアシスもやった場所だからね。それにサッカー好きだし。あそこにお客さん集めてやりたいなー。まぁ、まず行ってみたいけど!」
来年くらいにはアルバムを出せたらいいよね
武道館が終わって、一旦休憩ではないし
――武道館以降のことも聞きたいのですが、アルバムは考えていますか?
「来年くらいにはアルバムを出せたらいいよね。武道館が終わって、一旦休憩ではないし。だいぶ作りやすい体質になってきているし。こういうアルバムにしたいというのはあるかな」
――以前は何年もスタジオにこもるイメージがありましたから、近々の予定として聞けるのは嬉しいですね。
「今はサポートメンバーだし、それぞれ予定があるからね。前のメンバーならスタジオに待たせておいて、いつ行ってもよかったけど。レコーディング代は取られるけどね(笑)。でも、今のやり方が向いてるかな。リミットの中でやらないとね。3日間スタジオで待たせて、僕がスタジオに入ってまた3日、みたいなことは、今はやろうと思わない」
――曲作りは早くなりましたか?
「いやいや、今回のシングルもレコーディングの朝9時にマネージャーから電話がかかってきて、“やべー! 迎えに来る!!”ってなって、11時にはスタジオに入らないといけない。そのときに曲が降ってくるんです。あのカタルシスというか…来るべきときを待つ感じですね」
――サポートメンバーにも変化ありましたよね。
「メンバーで、どうしても音は変わるので。前のサポートドラマーである(後藤)大樹くん(AL)のよさもあるし、すごい助けられたけど、岡山(健二)くん(ds from classicus)は、音が広がる感じがするね。加藤(綾太)くん(g from 2)みたいなギターは自分が弾けないので、いい状態になっている。彼は24歳なのでいい経験になれば嬉しいし、刺激をもらえるよね。僕もギター持ってやる曲と、歌にだけ専念したいときがあるから。当分は今のメンバーかな」
――武道館ライブも本当に楽しみにしています!
「もうあさってぐらいにやりたいですよ!」
――突然、目隠しされて車に乗せられてですか!?
「うん。そっちの方が邪念もないし、楽ですね!」
Text by 鈴木淳史
Photo by 渡邉一生(SLOT PHOTOGRAPHIC)
(2017年9月25日更新)
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Movie Comment
にくめなさ過ぎる!(笑) 峯田和伸からの動画コメントはコチラ
VIDEO
Release
川島小鳥撮影のジャケットも秀逸 3枚連続シングルリリース!
Single 『恋は永遠』 9月27日(水)発売 【初回生産盤】 1200円(税別) 初恋妄℃学園 SKOOL-042E ※7インチ紙スリーブ仕様 <収録曲> 01. 恋は永遠 02. 二十九、三十
【通常盤】 1200円(税別) 初恋妄℃学園 SKOOL-042 <収録曲> 同上
Single 『骨』 発売中 1200円(税別) 初恋妄℃学園 SKOOL-041 <収録曲> 01. 骨 02. 円光
Single 『エンジェルベイビー』 発売中 1200円(税別) 初恋妄℃学園 SKOOL-040 <収録曲> 01. エンジェルベイビー 02. 二回戦
Music Video
ドラマティックで見応え十分 3部作のMVもチェック!
恋は永遠 VIDEO 骨 VIDEO エンジェルベイビー VIDEO
Profile
ぎんなんボーイズ…'03年1月、GOING STEADYを解散後に峯田和伸(vo&g)が、ソロ名義で銀杏BOYZを始動。のちに同じく元GOING STEADYの安孫子真哉(b)、村井守(ds)、新メンバーのチン中村(g)を加え、'03年5月から本格的にバンド活動を開始。'05年1月にアルバム『君と僕の第三次世界大戦的恋愛革命』『DOOR』を2枚同時発売。'14年1月にも、約9年ぶりとなるアルバム『光のなかに立っていてね』とライブリミックスアルバム『BEACH』を2枚同時発売をした。チン、安孫子、村井はアルバムの完成前後にバンドを脱退。現在は峯田1人で活動を行なう。'16年6月に、サポートメンバーを従え8年半ぶりのツアー『世界平和祈願ツアー '16』を開催。’17年は、7月26日に『エンジェルベイビー』、8月30日に『骨』、9月27日に『恋は永遠』と、シングルを3枚連続発売。10月13日(金)には初の日本武道館公演を控える。また、峯田は俳優業として、NHK BSプレミアムで放送されたドラマ『奇跡の人』で主演を務めたほか、'17年4月より始まったNHK朝の連続テレビ小説『ひよっこ』にも出演している。
銀杏BOYZ オフィシャルサイト
http://www.hatsukoi.biz/
Live
初の日本武道館公演がいよいよ! &関西ではガガガとサンボと共演へ
【兵庫公演】 『長田大行進曲2017』 チケット発売中 Pコード318-471 ▼10月1日(日)11:00 神戸空港島内 多目的広場 野外特設ステージ 1日券6480円 [出演]eastern youth/THEイナズマ戦隊/かりゆし58/ガガガSP/KING BROTHERS/銀杏BOYZ/SABOTEN/サンボマスター/SIX LOUNGE/ジャパハリネット/四星球/セックスマシーン/ドラマチックアラスカ/PAN/My Hair is Bad/ギャーギャーズ/暗闇ひとりぼっち/THE SKIPPERS/DATSUN320/東狂アルゴリズム/ドブ色バレッタ/ユウテラス/ユタ州 [オープニングアクト]大阪紅牛曾 サウンドクリエーター■06(6357)4400 ※雨天決行・荒天中止。小学生以上は有料、未就学児童は無料(大人1名につき子供1名まで同時入場可)。出演者は都合により変更・キャンセルになる場合がございます。それに伴うチケット料金の払い戻しは対応出来ませんので予めご了承下さい。
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Pick Up!!
【東京公演】
『日本の銀杏好きの集まり』 チケット発売中 Pコード329-958 ▼10月13日(金)18:30 日本武道館 全席指定6000円 注釈付指定席5500円(ステージサイド) 2F立見(立ち位置指定)5500円(2階後方) ディスクガレージ■050(5533)0888 ※小学生以上はチケット必要。未就学児童は保護者1名につき1名まで膝上無料。席が必要な場合はチケット必要。注釈付指定席は一部公演が見えにくい席となります。
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Column
LOSTAGEの五味岳久(vo&b)と 峯田和伸が熱く語る! 人気連載『奈良からの手紙』で 夢の対談が実現!!
Comment!!
ライター鈴木淳史さんからの オススメコメントはこちら!
「3枚連続シングルは、いちファンとして本当に発表されるのかと勝手に心配をしていたのだが、結果どれも素晴らしい楽曲となった。とにかく今の銀杏BOYZ、今の峯田和伸は調子がいい。それは、つまり非常にポップな状態であるということ。NHKの朝ドラに出演したり、一気に大衆性を帯びてきている。楽曲もキラキラして、みんなが歌える。この状態で日本武道館の初ワンマンライブをどう迎えるかが、只々楽しみでしかない。同世代では数少ないカリスマ性を持ったバンドマンなので、とにかくいい楽曲を作りまくって、とにかくライブで痺れさせてほしい。インタビュー以外で、本当に言いたいことはこれしかないし、ここはあえてシンプルに抑え、インタビューを読んでいただくのが一番な気がする」