「何年経っても初心を思い出せるように」 現役看護師×シンガーソングライターという異色の新人が 1stアルバム『SegaWanderful』引っ提げいよいよツアーへ! 瀬川あやかインタビュー&動画コメント
午前中は都内の病院で看護師として勤務し、午後はアーティストとして活動する異色の “二刀流”シンガーソングライター、瀬川あやか。老若男女に愛される伸びやかで優しい歌声とともに、親しみやすく心の処方箋となるポップなナンバーで明日への元気と心の栄養をくれる。そんな彼女の魅力が詰まった1stアルバム『SegaWanderful』をこの春リリース。タイトルは彼女の名前にWonderfulとWander(=歩き回る)が合わさった造語で、“この1枚でまた新たな場所や人に出会い、たくさん瀬川あやかの音楽を届けにいきたい”という想いが込められている。このアルバムを手に、4月28日からは初の全国ワンマンツアー、『“SegaWanderful” LIVE TOUR 2017 ~ニコニコニッコリ2ッ5リツアー~』を開催。精力的に活動する中、デビュー1年目を振り返りつつ、楽曲の制作秘話や今後に向けての意気込みを明るく率直に話してくれた。
目標だけは叶えられていくけど、自分の実力が伴っていないんじゃないかって
――去年6月にメジャーデビューして、もうすぐ1年ですね。
「本当に全てが初めてのことでした。今までに行ったことがない地域に行くことも多くて、新幹線に乗ることも新鮮だったし、楽しかったですね。でも、メジャーデビューすると見てくださる方の目もより厳しくなる気がして、自分はちゃんとできているかな? もっとこうしたいのにできないな…とか、そういうことはすごく感じていましたね」
――瀬川さんは音楽活動と看護師のお仕事を両立させているという点でも注目されています。そんな中での難しさや悩みもあったんですか?
「“2つの仕事をやる!”というのは自分で決めたことなんですけど、看護師とアーティスト、それぞれに割く時間が半分ずつになるので、実際に始めてみると、看護師のスキルをもっと上げたいなと思ったり、アーティストとしてもっとこうしたいなと思うけど、両方ともまだ思うようにできないことに葛藤していました。楽曲1曲1曲はいろんな人の力を借りて形になったものなので自信を持って届けているんですけど、いざ自分と向き合ったときに、“本当にそれでいいの?”とは常に思いますね。メジャーデビューしたときも目標だけは叶えられていくけど、自分の実力が伴っていないんじゃないかって、ずっと不安で…。でも、その不安があったからこそ頑張ろうと思えたし…」
――それぞれに専門性が高くて、それを両立させられるなんてすごいと思います。そんな瀬川さんでも自信がなくて不安なときもあるんですね。
「自分に対して全然自信がないので。ホンットに! ネガティブなんですよ。でも、めちゃくちゃ立ち直りは早いんです(笑)。とことん落ち込んだらしばらくボーっとするけど、落ち込み切っちゃって、いろいろな人のアドバイスを聞いて、自分って最悪だなと思ってから、“でも、やるしかないから!”って切り替えるんです。“全てを失っても未来は残っている”という言葉がすごく好きで、落ち込んだときもこの先はあるんだからいいじゃんって。その境地に達すると、“やるしかない!”ってなりますね」
――ここまでの10分ぐらいの間に、“やるしかない!”ってめっちゃ言っていますね(笑)。
「(笑)。ホントそうかなって。でも、“やるしかない!”にいくまでは、周りに助けられています。スタッフさんや家族、友達とか、メジャーデビュー前から知っている人たちが後押ししてくれたので頑張れました。1人では到底やっていけないので、本当に人との出会いが大事だなと思います」
――ちなみに、看護師としてセラピー的なことを意識して音楽をやっていますか?
「音楽療法という意味では専門的な知識がまだ足りないですけど、瀬川あやかの歌を聴いていたら何だか元気になるよねとか、聴いていて気分が明るくなったり、クスっと笑えるようになればいいなって。聴いて暗くなる曲は書きたくなくて、あとは余韻が残る歌を書きたいですね。その余韻が長く続けば続くほどいいのかなと思います」
――そもそも音楽と看護師の仕事と、どちらが先にやりたかったことなんですか?
「小っちゃい頃から看護師と歌手と両方になりたいと思っていました。母が看護助手だったので、看護師さんと接する機会が多かったんです。それを見ていて素敵なお仕事だなって。音楽は、祖母がピアノをやっていたので私も習い始めて、ギターは大学入ってから始めました。でも、曲を作るときはほぼピアノですね。ライブではギターとピアノをだいたい半々ぐらいで弾いて。弾き語りをしたり、サポートがいたりと、いろいろなスタイルでやっています」
人間ってダメなところを認めながら向き合わないと
よくはなっていかないと思うので
――今回の1stアルバム『SegaWanderful』に入っている曲はいつ頃書かれたものですか?
「『夢日和』(M-2)だけはメジャーデビューのタイミングで書いた曲で、それ以外の曲はずっとライブで歌ってきた曲なんです。ファンの方に支えてもらいながら形になっていった曲ばかりですね」
――瀬川さんは歌詞から曲を作るそうですね。
「そうですね。まずは、思い浮かんだ言葉を並べていくんですよ。それで方向性がざっくり決まってきたら、ピアノに向かって作っていきます」
――1曲1曲で歌いかけてる相手が違うのかなと思ったんですが、それぞれどんなきっかけでできたんですか?
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「結構バラバラで、『妄想スニーカー』(M-1)は割と自分に向けていますね。曲を作るようになった最初の頃に、“本当に私は歌が書けるのだろうか?”という状態で書いた曲なので。当時の自分の不安な気持ちとか、明日は新しい自分で頑張っていこうよという想いを込めて作りました」
――“妄想スニーカー”という発想はどこから?
「ふとこの言葉が出てきたんですよね(笑)。私は悪い方にしか妄想できないので、それをスニーカーに付いた泥に例えているんですけど、くたびれたスニーカーは捨てて、前向きに走っていこうみたいな気持ちを込めたくて」
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――『夢日和』の最初の2行がいいですね。この歌詞にあるように、“水平線をまっすぐ指でなぞって/目には見えない何かに触れたような感じ”を味わってみたいなと思いました。
「そんなふうに思ってくださったら嬉しいです。私は情景が浮かびやすい歌詞を意識して書いているんです。その方が共感できたり、聴く人に届くのかなって。これはデビュー曲としてリリースさせてもらった曲なので、余計に“どうしよう?”っていう想いが詰まっていました。主人公はただの暗い人なんですけど、自分の暗い部分も全面に出しているつもりです。みんなにもきっと暗い面はあると思うし…人間ってダメなところを認めながら向き合わないと、よくはなっていかないと思うので。他の人は別に何とも思っていないのに、本人はすごく気にしていることもあるし、誰にでもそういう一面はあるのかなっていうことを歌詞にすることは多いですね」
――『声』(M-3)もちょっと意味深で、どんな想いが込められているのか気になります。
「大切な人を思って書いた曲ですね。その人にはもう会えないかもしれないけど、“あの人の歌を前に作ってたじゃない? その歌を今、あなた覚えてる? まだ歌えるの?”って、自分に問いかけている歌です」
――自分と向き合うことで生まれてきたんですね。
「そうですね。作りかけの曲だったんですけど、それを完成させて最後まで歌ったら、“何かが変わるかな?”って。自分の大好きだった人を思って書きました」
――今作の中では、最後の『未熟なうた』(M-7)から、瀬川さんの赤裸々な想いが一番伝わってきます。
「何年経っても初心を思い出せるように、自分のために書きました。音楽活動をしていると、いいときも悪いときも必ずあるから。例え思うようにいかないときでも、音楽を始めた頃のピュアな気持ちに戻ってこられるようにって」
――1行目からいきなり“白状します”と歌われると、ドキッとします。
「悪いことをしているわけじゃないけど、ずっと後ろめたさがあったんです。本当は歌手になりたいくせに言い出せなかったから。田舎育ちのせいにして、表向きの夢が看護師で裏の夢が歌手だったんです。でも、それは違うなと思って。“いい加減白状します、私は歌うのが大好きなんです!”って、みんなに宣言しようと思って書きました」
――この曲のピアノはご自身で弾いているんですか?
「そうですね。最初のアルバムは名刺代わりなので、ポップな曲からカッコいい曲、バラードまで、いろんなタイプの曲を詰め込みたかったんですけど、この曲は唯一自分でピアノを弾いて歌っています」
誰かの心を救えるような曲を生み出して、ずっと音楽を続けていきたい
――全体的にはバンドサウンドの楽曲が多いですが、ライブもバンド編成でやっているんですか?
「ワンマンライブはバンドでさせていただいています。バンドでやるのは楽しいですね。私が演奏せずに動き回って歌える曲も増えるし、見てくださっている方にもいろいろな伝え方ができるなと思います。何よりバックがいるのは頼もしいし、グルーヴ感が生まれるので。ツアーもバンド編成でやります。だんだんと私もバンドの一員として、自分のアイディアを盛りこめるようになってきましたね」
――『“SegaWanderful” LIVE TOUR 2017 ~ニコニコニッコリ2ッ5リツアー~』というタイトルも面白いですね。
「毎回ヘンテコなタイトルを付けています(笑)。ツアー初日の4月28日(金)の前日が誕生日で25歳になるので、2と5にかけて付けました。このツアーを通してみんなを笑顔にできたら最高だなという意味を込めています。今までシングルを2枚しか出していなかったので、アルバムをリリースしたことでお客さんの楽しみ方も変わるんじゃないかなって。『妄想スニーカー』はダンスにも挑戦しているので、みんなで一緒に踊ってくださったら嬉しいなと思います。弾き語りもあるし、ワンマンでしかできないようないろいろなことをやりたいですね」
――最後に今後に向けて意気込みを聞かせてください!
「まだほんのスタートでしかないので、ここからまた新しい曲をいっぱい書いて、誰かの心を救えるような曲を生み出して、ずっと音楽を続けていきたいなと思います。そして、もっともっとファンの方やスタッフの方に恩返しができるように、みんなの背中を押せるように頑張っていきたいなと思います!」
Text by エイミー野中
(2017年4月26日更新)
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