レイザーズ先輩、20周年おめでとうございます!!
RAZORS EDGEが20年の歴史を詰め込んだベストアルバム
『RAZORS MANIA』をリリース。KENJI RAZORS(vo)が
メンバーの本音に迫るインタビュー企画が開幕!
大阪が誇るパンクヒーロー、レイザーズエッジが1996年に結成されて今年で20周年を迎えた。2013年からは全国でも珍しいパンク、ハードコアのバンドが一堂に会しアメリカ村のライブハウスを占拠するサーキットフェス『STORMY DUDES FESTA』を主宰し、第4回目の今年はチケットがソールドアウト。輝かしい20年を記念して発売されたベスト盤『RAZORS MANIA』はなんとCD収録時間のギリギリまで、44曲(新曲1曲収録)ものレイザーズクラシックス及びスタンダードを収録。また、現在開催中の20周年アニバーサリーツアーのファイナルは、12月17日(土)、彼らの聖地である十三ファンダンゴにて6年ぶりのワンマン!公式発表もされている通り、年内でTAKA(g)の脱退が決定し、現在の布陣での最後のワンマンとなる。今回は20周年を祝し、リーダーでありバンド創始者であるKENJIがインタビュアーとしてメンバー3人にあらゆる質問をぶつけます。普段はあまり語られることのない4人の最初で最後の貴重なトークをお楽しみください。
3人が思うRAZORS EDGEとは?
――今日は通常のインタビューとは違って、バンドメンバーのケンジがインタビュアーとして3人に話を聞くという試みでやります。まずはレイザーズエッジ20周年おめでとうございます! 乾杯!
KRASH&TAKA&MISSILE「乾杯!」
――早速、20周年記念盤『RAZORS MANIA』が発売になりましたが、手に取ってみてどう?
TAKA「ライブ感がありますね。どっさり44曲も入っているにしてはサラッと聴けますね」
KRASH「でも長いから、1枚全部通して聴けない」
MISSILE「何でいきなりそんなマイナスなこと言うの?(笑)」
――(笑)CDの収録時間ぎりぎりまで詰め込んだから。俺が一生懸命選曲して曲順もいろいろ考えてるなっていうのは、分かってくれた?
TAKA「よーく分かった! ダテに何百回もセットリスト組んでないよね」
――そう。じゃ、次の質問。レイザーズのオリジナルメンバーは俺だけで、MISSILEとKRASHが2002年に加入してTAKA君は2005年に加入。それぞれ入る前はレイザーズにどんな印象を持ってた?
MISSILE「怖かった(笑)。やんちゃな音楽やし、前のメンバーの佇まいも怖かった。特にJUNYA SUGARさんの酔っぱらいぶりがすごくて、確か初めて飲んだ時におしぼりを全力でブン投げられて(笑)」
――その時、MISSILEは何歳やった?
MISSILE「21歳とか」
――若いなー。その頃はまだ俺のこと“西川さん”て呼んでくれてたな(笑)。
TAKA「俺はきっちゃん(KRASH)が入った時のライブも見てますね。ファンダンゴで」
――TAKAくんは『THRASH ‘EM ALL』(2000年)の時も観に来てくれてて、“アルバム買いました”って言うてくれたね。きっちゃん(KRASH)も前にやってたバンドで対バンしてたし、同じライブコンピアルバムに参加しててみんな加入する前からつながりもあって。
KRASH「単純に好きなバンドやったけど、まさか自分が入るとは思ってなかったですね。メンバーが抜けるイメージがなかったというか」
――入ってみて、“思ってたんと違った”みたいなのはあった?
KRASH「あんまりそういうのはなかったかな。」
――全然オモロない話やな(笑)。じゃあ誘われた時は何で入ろうと思ったん? ミサイルはハイスタとか好きでその頃ハードコアなんか知らんかったよな。
KRASH「年齢も若かったし、“なんか面白そう”みたいなのじゃないかな。で、入ってみて特に違和感もなく」
TAKA「そこやろね。僕は2005年の3rdアルバムのリリース後(2005年)に入って。ハイスタも好きで、自分の聴いてる音楽が間違いじゃなかったっていうのがあって。それまでも普通にレイザーズのライブが好きで僕の中では、ラモーンズ、ハイスタ、レイザーズぐらいの勢いやったから」
――そこにレイザーズが入るか!(笑)。
TAKA「一番最初のハードコアの入り口はレイザーズでしたね。入れてよかったっていうのもあったし、自分の力を試してみたいっていうのもあったし」
――俺が当時感じてたのは、この4人がそろったらこれまでシーンにいたバンドと違うバンドになれるって印象があって。3人とも向上心もやる気もあるし、“ここはこういうふうにした方がいいね”って言うと、“そうですね”って返ってくる。そういうのを面倒に感じたり、“難しいこと考えんと、呑んでライブやったら楽しいやん”っていうヤツもいたからね。けどこの4人やったら、自分のやりたい音楽を作れるなって思えた。他の人がメンバーだったらそう思えてないし、20周年は迎えれてなかったと思う。というイイ話は置いといて(笑)、初めてのレコーディングを振り返ってみてどうやった?
MISSILE「今では考えられへんぐらい緊張してました。一番年下っていうのもあったし、曲を覚えていくのなんて当たり前やろって思ってたけど、前からいたメンバーがまさかの曲を覚えてないっていう(笑)」
――あったあった(笑)。
KRASH「僕の場合は曲もレコーディングのやり方とかも、やりながら覚えていった感じで。“あ、こういうことができんのや”とか」
――『RAZORS RISING!!!』(2003年)の時に、きっちゃんがかなり気合いが入ってたのは覚えてる。
TAKA「『SWEET 10 THRASHERS』(2006年)のデモを最初に聴いた時に、パンクっぽい印象があったから俺に合わせてくれてんのかなって勝手に思ったのは覚えてる(笑)。その頃、ケンジさんと話した時にダムドとか初期パンクの話になって結構そういうモードなんかなぁって。それまでレイザーズでやってたツカツカのビートじゃなくて、もうちょっとドタバタした感じをやりたいんかなって」
――TAKA君が入ったことで、実は意識的にガラッと変えたところもあって。実際ベスト盤でその時の曲を聴いたらわかるけど、TAKAくんのプレイとかギターの音を良い感じに出したいなと思ったらそういう曲になっていったんよね。音に関してもレコーディングの時はそんなに考えるわけじゃなく、基本は自分の作りたい音で作って行ってたけど、やっぱりギターの音はレイザーズにとって大事な要素やから。TAKAくんの音にはものすごくファンも多いしね。他の人は出されへん。俺らにしたら普通の音やけどね(笑)。
TAKA「それはなんでなんでしょうね? 僕は実はレイザーズはMISSILEありきだと思ってるんですけどね…」
MISSILE「?」
――ただ、こいつ(MISSILE)は、音に対するこだわりがまーったくないからね(笑)。
TAKA&KRASH「アハハハ!」
――そうやってレイザーズは作品ごとに音がどんどん変わっていったバンドですが、そこは全然気にならんかった?
TAKA「曲の違和感みたいなものはなかったし、変わっていったことは全然感じてなかった。“こういうことが今やりたいんやろうな”っていうだけのとらえ方で。自分が聴いてきた音楽とあきらかに外れたこともなかったし」
KRASH「作ってる時は多少こそばゆい曲でも、やってるうちに慣れていくから『MOUNTAIN MOUNTAIN』(M-16)とか」
――それまでまったくなかったような曲やもんね。
KRASH「『RAZORS RISING!!!』に入ってた『EVERYBODY NEEDS! NEEDS! NEEDS!』とかにしても、レイザーズはもっとハードなイメージやったから、そういう曲を作ることに対してあんまり最初はピンとこなかった。そういう意味では、“あれ?自分が好きなレイザーズじゃないなぁ”みたいなんもあったかな」
――『RAZORS RISING!!!』からガラッと曲が変わったもんなぁ。改めて聴いてもそれまでとそれ以降では全然違うと思ったわ。
KRASH「ハードなものとか、例えばMELT BANANAあたりの影響で作られてるような曲は好きだったんですけど、メロウな曲とかは全然好きじゃなくて(笑)。ただ、やってるうちに、ライブでお客さんの反応とか、周りのバンドの反応やシーン全体の流れみたいなものの中で、単純に自分がそれに慣れて行った感じで。『THRASHING GOES LOVELY』(2008年)にも今でもこそばゆい曲もあるけど」
――それは俺もあるな(笑)。
KRASH「ただ、『MAGICAL JET LIGHT』にしても『PUNKADELIC』、『SWEET 10 THRASHERS』とかもポップやったし、『THRASHING GOES LOVELY』を録る時も自分がこそばゆいとかは置いといて、これからの動きでそういう曲がいるんやろなという感じでとらえてたかな。『DREAM TEAM』(M-40)とかも曲としていいと思うし。この曲のPVを撮った時に最初に“撮るなら『DREAM TEAM』かな”って言った時はみんな“ええっ! 何で?”って反応やったけど」
TAKA「覚えてるわ」
――“新境地でええ曲やん”って言ってたよね。俺の個人的な印象でいうと、『THRASH ‘EM ALL!!』(2000年)まではレイザーズらしい定番な曲を詰め込んで完成させてた。その後はそこから脱却せなあかんし、同じような曲ばっかりでは飽きるから『RAZORS RISING!!!』でガラッと変えた。最初は浮いてたかもしれへんけど、今では『EAT THE PASSION』とか『I FEEL ALRIGHT』とかライブの定番みたいになっていて、そういう新境地な曲を定番化していけたのはいい自信になったかな。そういう挑戦は意識してやってたかな。
KRASH「それまでとは違う一面を出してきた感じが当時、あったよね」
RAZORS EDGEがここまでこれた理由? RAZORS EDGEの武器とは何?
このアルバムを誰に聴いてほしいか?
――では次の質問。めでたく20周年を迎えましたが、なぜレイザーズはここまでこれたか。レイザーズの武器とは何か?
MISSILE「ほぉ~~」
KRASH「それはボーカルじゃないですか」
――オ~、イエ~! 次のビールは俺が奢るわ(笑)。
TAKA「確かにここまで速くてキャッチーなバンドはそんなにいないですよね。速くてグワーッてアガるのはあるけど」
――ポップネスがそこに存在してるよね。
TAKA「それは当初から変わらず自分の好きなポイントですね」
――どこか1か所だけを向いてるやさぐれたハードコアというか、ハードコアが大好きでハードコアだけを打ち出してるバンドとは一線を画する部分はあるよね。普通にロックもパンクもレゲエもテクノもJ-POPも聴くし。
KRASH「そこに行きたいって気持ちがなかったらそこにたどり着けないだろうし、行きたいと思っていても行けなるとは限らないし、曲が云々というよりはバンドのキャラクターかな。演奏力でいえばそんなうまくないし」
KENJI&TAKA「アハハハ!」
MISSILE「それは外に向けて発信することじゃないっすよ!」
――でもレイザーズはうまいほうよ。いろんなバンドを観てて思うけど、悪く言えばまとまってて面白くないところもあるけどね。ハードコアのグシャグシャなところがないっていう
MISSILE「それじゃないですか武器は。ごく一部の人だけに向けてやってるわけじゃないところ」
――レイザーズのオリジナリティもそういうところかな。では次に、今回のベスト盤をどういう人に聴いてほしい?
KRASH「どう広がるのかは未知数ですけど、今の若い子にこの音がどう聴こえるんやろうという興味みたいなのはあるかな。今って、音の作り方もだいたい似てるじゃないですか?クオリティの高い低いはあれど。今出ているバンドの音源とか作品って、どれもだいたいきっちりしてるし。年を取るほどにいろんな音源の楽しみ方ができるというか、ブラックフラッグとか、昔聴いた時はただ単にロウファイな音やなって、よくわからへん感じやったけど、聴いてるうちに味わい深くなってきてて。そういうのが減ってるでしょ。メタリカも今聴いてみると音が揺れてるし」
――じゃあ今まで知ってくれてる人というより、このアルバムを入門編に聴いてもらいたい?
KRASH「聴けるんかな」
MISSILE「だから! マイナスなことばっかり言うてるやん(笑)」
KRASH「マイナスっていうより、ほんまにどう聴こえるんかなって(笑)」
TAKA「俺がもともとレイザーズに入った時って、すごく激しくてキャッチーっていう印象があって、“自分の好きなバンドを見つけた!”って感じで。だから、レイザーズを知らない人でも、一回ちょっと聴いてみてほしいっていうのはあるなぁ。最近のバンドはみんな同じ音でおもしろくない、みたいに飽きてる人もおるんちゃうかな」
――うるさいだけでもあかんしね。僕ら自身もいろんな音楽を聴いてるけどとんがってる人達なので、おもしろい音楽みたいな感じで聴いてもらえたら。長くやってるから曲もいっぱいあるし、作品ごとの違いとかも楽しんでもらえたら。
MISSILE「“昔レイザーズ聴いてたな”って人に聴いてほしいですね。“今はこんな感じなんや”って驚きもあると思うし」
メンバーが選ぶ好きな3曲
――次に特に好きな曲を3曲ずつ上げてください。思い入れのある曲でも何でも。
KRASH「思い入れのある曲は『BORN AGAIN』。好きなのは『MAGIC NUMBER』(M-7)、『SKATE RIOT』(M-)。『BORN AGAIN』は1番最初にレイザーズでかっこいいと思った曲。『MORE SOUL FOR BEAT』(M-5)も当時の自分にはすごくポップな曲やったけど、『BORN AGAIN』は一番カッコイイっていう位置づけでしたね。『MAGIC NUMBER』は演奏してても楽しいし曲としてもかっこいいし」
――嬉しいねぇ~。2010年の曲やな。『SKATE RIOT』は、きっちゃん(KRASH)好きそうやなぁ。
MISSILE「手数とリズムの感じなんかが特に」
――そうそう。ものすごくシンプルにできるんやけど、めちゃくちゃ手数の多いプログレッシブなリズムで作ってる。
KRASH「ライブでやり切ったっていう印象はないんですけど、聴いてて好きです」
――難しいんよね、『SKATE RIOT』は。“なんでライブでやんないんですか”ってよく聞かれるけど、難しすぎてちゃんとできへんっていう。中途半端にやりたくないし。
TAKA「俺は『GLOW IN THE DARK』(M-8)、『BLITZKRIEG THRASH!!!!』(M-19)、『UGLY KID』(M-24)、『JUSO CRAZY NIGHT』(M-6)かな。『GLOW IN THE DARK』はお客さんでライブを観に行ってた時から、ライブの1曲目にあれが聴こえてきて、“レイザーズが始まる!”っていう印象があって、今やってても上がりますね。『JUSO CRAZY NIGHT』は音源で聴く前にファンダンゴのライブで初めて聴いて、“なんちゅう曲や!”って思ったのをすごく覚えてて。ライブで初めて聴いて、“食らう”ことって少なかったけど、あれはきましたね。曲の展開もおもしろいし」
――俺的にはうれしいね。ライブでいきなり通用したってことやもんね。
TAKA「『RADIO“PUNK 007”』(M-14)はとにかくレコーディングが大変で、“そんなに速く弾くんや”、“そんなピッキングすんねや”って(笑)
――今回並べて聴いてみても、『RADIO“PUNK 007”』の体感速度はピカ1やな。速いわ(笑)」
TAKA「今、あれを再現できるかと言えば無理かもしれん。“うぉりゃあ!”ってよくわからんままやってたところも良かったのかなって」
――弾けてるか弾けてないかわからんけどやってたっていうところ?
TAKA「そうそう」
MISSILE「僕は『RAZORS EDGE IS MOST THRASH!!』(M-15)。この曲は俺が入る前にライブのコンピ盤に入っていて、出だしの“La la la la la…”でつかまれる。それと『POSTMAN』(M-31)。8ビートの曲が渋みもあって尖ってるのがいい」
TAKA「『POSTMAN』のリフは凄いと思う。めちゃパンクなスリーコードやけど、そこにこのメロディーを乗せるかっていう」
MISSILE「そう。後は『STORMY! STORMY!』(M-39)ですね。のちにイベント名になったけど曲自体もいいし、途中のグシャッとしてるパートが斬新でもあって」
TAKA「そこの部分は“あ、ここは何してもええトコやな”ってデモを聴いた時に思った(笑)」
KRASH「『MAGIC NUMBER』もデモの段階で響いた曲ですね」
――いきなりギターソロから始まる珍しいアイディアで作った曲やったからね。俺が3曲選ぶとなると、自分で曲を作ってるからなんとも言われへんけど……やっぱり、自分の好きなバンドのかっこいい曲に勝る曲を作りたい、そういう曲を自分のバンドでやりたいと思ってたくさん曲を書いてきて、“これ、キたな!”と思ったのは『LIVINGDEAD』(M-9)。それまでJUNYA SUGARが作った『BORN AGAIN』(M-4)がレイザーズの基盤になっててそれを超える曲を書きたくて。ああいう、“オイ! コラ! クソ! ボケ!”とか言ってる簡潔で変な歌詞もやってみたかった(笑)。俺、スターリンが好きで『天ぷら』って曲は歌詞が3つのワードしかないんやけど高校時代に聴いて、“なんやこれは!”と思って。自分なりにそれをやりたいなというのもあったし、『MORE SOUL FOR BEAT』(M-5)もそれに近いものがあった。ただ、バンドとはちょっと別に、ソングライティングとして楽しい『MOUNTAIN MOUNTAIN』と『TRAIN TRAIN TRAIN』(M-25)。俺の中からこんなメロディーが出てくるんやとも思ったし、だからたぶんライブでもたくさんやるし、それで曲が育っていったというか。後は、普通に聴いてて好きなのは『I HATE WRITING LYRICS』(M-26)かな。
レイザーズでどうやって自分らしさを出してきたか?
――では次の質問。これまでレイザーズでどうやって自分らしさを出してきたか?
MISSILE「うまく言われへん(笑)。絵に例えると、線をきっちり描く部分と、ぼかして描くところとありますよね。輪郭付けをしっかりしながらそれを使い分けるというか、各メンバーの性格もある程度は知っててどんなプレイをするかも知ってる。それを考えつつ、ベースのポジションを考える。自分としてはその立ち位置なのかなって」
TAKA「点を線にする?」
MISSILE「逆に線を点にするところもあったかな」
TAKA「まさにベーシストやな。役割的に」
KRASH「タイプ的には俺は逆やな。“これ、前もやってたやん”みたいなフレーズとか、テクニカルなものをシンプルなものにすればだいたいどれにも当てはまるけど、それをやってると自分が飽きるし楽しくない。できるかどうかは置いといて、やってみる。というのはいつも意識してる」
――チャレンジやね。俺も、きっちゃんのフレーズの乗せ方とかは攻めてるなと思う。俺が求める以上のものをやろうとしてるのを感じるし。
KRASH「昔と今を比べたら今のほうが客観的に見れるようにはなってきてます。昔の曲とかはコピーすればいいだけかもしれんけど、自分なりのフレーズで新しくやってるし、そういう時にとりあえず演奏できるかは置いといて新しいフレーズを入れた時にMISSILEがカバーしてくれてんなっていうのは感じる。それに、ベースに対して我を出しすぎたら余計ごちゃごちゃになってわからへんようになるから」
TAKA「僕は、ケンジさんが曲を作ってきた時点でリフは決まってるところがあったから、レコーディングに関しては自分がどういう音でやるかを考えたかな。なるべく歌えるギターソロというか、シンプルでキャッチーなギターソロをということを思いながらやってた」
――俺もTAKAくんのギターのスキルをわかってるくせに、“この速さでこのフレーズは無理やろ”っていうのを考えるからな(笑)。
TAKA「そういうおもしろさはありますよね。チャレンジっておもしろいし、自分のバンド(BURL)で曲を作ってたら自分の範囲で収めてしまうから、挑んでいく楽しさはわかる」
――レイザーズに入ってから、BURLでTAKA君が作ってる曲に影響があったりした?
TAKA「それはめちゃめちゃありますね。曲作りに関しても、もちろんレイザーズ自体が自分の好きな音楽のルーツになってしまってるから音作りは勉強になってます。けど、ケンジさんが聴いてきた音楽の量は俺とは全然違うから(笑)。PAさんとかレイザーズに関わってくれた人には、音作りの面でも影響を受けてますね」
――そういうレイザーズの関わってきたPAの人たちって、ロックとかパンクも聴けばボアダムズとかエキセントリックなものが好きで。そういう中でどうやったら大衆に伝わるかっていうせめぎあいがあるよね。
TAKA「それがためになったし、BURLだけやってたら身についてなかったでしょうね」
思い出に残る出来事と6年ぶりのワンマンへ向けて
――では質問を変えて、思い出に残る出来事は。20年このバンドにいるのは俺だけやけど、MISSILEとKRASHは15年、TAKA君は11年で、そんなに長い期間、1つのバンドにいることも普通はそんなにないよね。バンドやってたからこそ体験できたおもろいことがあれば。
TAKA「俺はファンダンゴで初めてワンマンをやった時のあの感じは忘れられないですね。10周年の時かな。始まった瞬間のワーッてなった感じとか」
――確かに体験したことのないヒーロー感とか高揚感はあったよね。
TAKA「もちろんフェスで大きいところでやらせてもらえたりもあったけど、曲を憶えるのも結構大変やったりしたから、そういうのも含めて」
MISSILE「ミュージックビデオ撮影の富士登山ですね。前日の夜中まで呑んでて、二日酔いのまま行って。バンドやってなかったら二日酔いで山に登ることもなかったでしょうね」
――登りたくて登ってたのは俺だけやったもんな(笑)。
KRASH「僕はフジロックに出た時に、SEが流れた時にモニターに爆音で返してくれたのが思い出深いです。それで目が覚めた感じがする。本当の意図はわかんないですけど、“いつも通りやで”みたいにライブハウス感を出したくれたんかな。すごく鼓舞されてるような、エールを贈ってくれてるように思えて。それがすごく思い出深い」
――俺もそれまでフジロックは遊びに行ってて、“いつかは出たい”って目指してたから、7年とか8年とかかかって出られた時の、ライブ後に飲んだビールは忘れへんわ。あの時、モーサム(MO’SOME TONEBENDER)とかもソデに見に来てくれて、一緒に乾杯してくれたのも嬉しかったね。2008年やな。もう1回出なあかんね。では最後の質問です。20周年ツアーはどんなふうにしていきたいですか?今回、ツアーファイナルの12月17日(土)に十三ファンダンゴで6年ぶりのワンマンをやります。TAKA君の最後のレイザーズでのステージにもなりますが、どんなライブにしようか考えてる?
MISSILE「わっちゃわっちゃしたライブを。変に構えてうまくいったことのないバンドやからな(笑)。よそ行きモードとか特別感を出そうとするよりも、いつも通りで」
――MISSILEは酒呑んだらパーティー野郎なのに普段は真面目やからな。“いつも通り”とか言ったりして(笑)。
KRASH「僕もライブはわちゃわちゃしたいです」
TAKA「まぁでも、いつもの感じですよね。いつもマックスですから。レイザーズっぽく」
――定番曲もやりつつ、さっき話したような思い入れのある曲をやりますか。
TAKA「でも20周年でベストも出したから、みんなが聴きたい曲もやりたいですね。その辺はガチガチなバンドじゃないんで」
――Twitterで募集する(笑)?みんなにありがとうを込めて。最後になるけど、今回、12月17日のライブを最後にTAKA君がレイザーズエッジを脱退します。でもレイザーズはまだやりたこともあるし、やれることもあるし。『STORMY DUDES FESTA』も来年開催すれば5周年になるし、いつも6月にやってるけど時期をずらして秋に開催してもいいかなとも考えてて。海外でライブをやるのもいいなと思っていて、実際に呼んでくれてる国もあったりして、これからも僕らなりの目線でレイザーズエッジは活動をしていきたいと思う。それと、今回のベスト盤に最新アルバム『RAW CARD』の曲はあえて入れませんでした。理由は、『RAW CARD』はキャリアの中で一番いいアルバムができたっていう手応えがあるから、ベスト盤と『RAW CARD』の2枚あればレイザーズがどんなバンドかということをだいたいわかってもらえると思うし、その2枚を入り口に他のアルバムを聴いてもらえたらと思います。ワンマンも6年も間を空けるつもりじゃなかったけど、すべてがこのタイミングやったんかなという気もしてるので、ぜひ足を運んでください! ではツアーで会いましょう!!
interview by KENJI RAZORS
text by 梶原由紀子
(2016年11月25日更新)
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