インタビュー&レポート

ホーム > インタビュー&レポート > 10周年を迎えるライブハウス・アメリカ村CLAPPERの 福原徹店長にインタビュー 10/1(土)・3(月)には10周年アニバーサリーライブも開催!


10周年を迎えるライブハウス・アメリカ村CLAPPERの
福原徹店長にインタビュー
10/1(土)・3(月)には10周年アニバーサリーライブも開催!

2006年10月1日に大阪アメリカ村にOPENしたLIVE HOUSE & CLUB、"アメリカ村 CLAPPER"。未来に向けアーティストを発掘、育成していく事を中心に幅広いジャンルに対応し、関西の音楽シーンを根元から盛り上げている。今年で10周年を迎える、アメリカ村CLAPPERを立ち上げ時から知る福原徹店長が、『音楽』、『アーティスト』、『仲間』について熱く、熱く語る!!

――今年で10周年、おめでとうございます。福原さんはCLAPPERの立ち上げ時からいらっしゃるんですよね。
 
ありがとうございます。そうなんですよ。前にお世話になっていたライブハウスを抜けて少し経った時に、CLAPPERのオーナーからお話を頂いて。場所、キャパシティ、サウンドシステム、オープニングスタッフ、そしてライブハウスの名前に関しても、僕が頭から結構ワガママ言わせてもらいました。
 
――そこから10年。この間にイイこともそうでないことも色々あったようですね。
 
そうですね。火事で全焼になった時も一回閉めるかって言われましたし…。
 
――全焼ですか!?
 
全焼ですね。爆発してバックドラフトみたいな感じになったんですよ。怪我人がいなかったことは幸いでしたが、高価な機材も含めて全てが真っ黒で、チーズのように溶けてて…むちゃくちゃひどかったですね。でも、その時のスタッフやお客さんやバンドの方々が「またやりましょう」って言ってくれて。他の場所にしようかと言う話もありましたが、全面やり替えてなんとか同じ場所で再営業することができました。他にも、立ち上げ時には実施していたクラブ営業が、風営法の関係でできなくなっちゃったりとかね。当時はクラブとライブの2本柱で営業していましたので、その時も続けていくのは難しいかもな…って話にもなりました。でも僕も当時のスタッフもとにかく頑張ってみたら、ライブだけででも経営していける方向性が出来て。協力してくれたみんなに本当に感謝しています。
 
――やはり10年の間では、様々なことがありますね。ここまで続けてこられたターニングポイントや秘訣はどんなことだったんでしょう?
 
“この人が”という風にあげていくとたくさんいらっしゃるんですよね。お客さん一人ひとりもそうですし、バンドマンやクラブ関係者も。「この日にあの人からこう言ってもらったのが心に残って」とかもあるかもしれないですけど、振り返ると、むちゃくちゃ周りの方たちに助けてもらってる日々があったから今があるんじゃないかと思います。「あの時の火災保険のお金が下りたお蔭で今があるんです」とかは全くなくて(笑)。もうダメだっていう時にも奇跡的に誰かが手を貸してくれるんですよ。
 
――素晴らしいですね。ひとえに福原さんの人柄ゆえかもしれないですね。
 
ありがとうございます。どうしても人手が足りない時にはね、元スタッフも快く手伝ってくれたりする。CLAPPERや僕のことを悪く思っていたら、そんな風に協力してくれないと思うんですよね。CLAPPERを信用して出演してくれるバンドに対しても失礼なことはできない、会場のイメージを悪くできないっていう気持ちを、たぶん元スタッフたちも持ってくれてて。本当に僕がどうこうとかではなく、そういう力が集まっていますので、もうダメだって時もなんとかなり10年迎えられたって感じなんですよね。
 
――気付いたらもう10年だったと。
 
そう! 気が付いたらなんですよ。ちょっと言い過ぎですけど、「来月どうする? スケジュール全然決まってないけど」とかはずっと考えてますけどね…(苦笑)。

clapper3.jpg
――なるほど(笑)。では10月に行われますアニバーサリーイベントについて質問します。
今回は1日(土)と3日(月)に開催される内容に関してお話が聞ければと。
 
1日(土)に出演してくれるMOROHAは、僕と仲の良いMCのチプルソくんに以前紹介してもらった時に意気投合し、CLAPPERに出演してもらったこともあります。その時に会場のことをすごく気に入ってくれて今に繋がっていますね。LOSTAGEは実は初めて出演してくれるんです。彼らとは面識もなかったんですが、FLAKE RECORDSというレコードショップのダワさんや、僕と仲の良い奈良NEVER LANDというライブハウスのブッキングを担当している子が協力してくれ、直接会いに行きオファーしたんです。MOROHAが一緒にやりたいと言っていることや、僕の人柄や対バンの内容などを全部伝えてくれたら快諾してくれて決定しました。そんな風に、いろんな人が協力してくれて実現した日ですね。
 
――3日(月)の『not forget pleasure3』は夢番地のレオさんと一緒にされているとか。
 
そうです。レオくんとは昔からの知り合いで今も仲良くしてもらってます。実を言うと…僕、病気で一昨年の秋から今年の5月頃まで手術や入院をしていたんです。ちょっと大変な状況だったので正直“もう終わったな”って考えることもありました。でもなんとか退院でき、少しずつ仕事も出来るようになりましたので、関係各所に挨拶に回ってたんです。その時あるライブハウスで、その日のライブ制作に入っていた夢番地のレオくんに会って。彼には病気になった時も話していましたが、あらためて退院までの経緯とかも話したら、すごく喜んでくれて。「戻ってくれてよかったです。ぜひ復活祝いをやりましょう!」って言ってくれたんですよ。でもこう表現すると失礼な話ととられるかもしれませんが、みんな本当に忙しいし建前ってこともあるじゃないですか。だから、実際開催できるかどうか分からないけど、そう言ってくれる気持ちだけで嬉しかったんです。でも後日本当に「僕絶対に、やるって言ったじゃないですか。福原さんの復活祝います」って連絡をくれて。8月に別の企画をして、今度10月にもこうやって開催してくれる運びになりました。
 
――なるほど。各出演バンドはどのように決められたんですか?
 
この企画は今回が3回目で。1回目からレオくんと出演バンドも一緒に決めているんですが、彼とは感受性が近いというか感覚的に近いものを持っていて、いつ会っても話しやすくて、バンドの話をする時「え、誰?」っていう話が飛び交わずに一緒にやれるんですよね。「なんか分かんないですけど、イイって言うんだったら入れましょうか」という感じじゃなくて、本当にお互いより好みな趣向で出演バンドを決めることが出来てます。そういう感じで、これまでも「溺れたエビの検死報告書」や「Sawagi」にも出演してもらいました。今回のバンドで言えば、あらかじめ決められた恋人たちへはCLAPPERへ昔も出てくれてます。レゲエ・ダブ・インストバンドって、カッコイイのに世間一般としては知る人ぞ知るという感じがありますよね。彼らの音楽って、テンションをゴリゴリにあげていくんですけど、反面メロディ感で哀愁が出てるというか。使用しているテルミンなんて、フレットも何もないのに、鍵盤の黒と白に分かれていないところで完璧に音程をつけられるんですよ!? 本当にすごいですよね。ライブも集客力がありますし、十分、知名度もありますが、どメジャー路線じゃないところにいるんですよね。Yasei Collectiveもね、FUJI ROCKに出演した時もすごく評判が高くて。UnderslowjamsやTempalayもここ最近グイグイきてますしね。
 
――同じような感性で、お二人が出演されるアーティストを決められたんですね。やっぱり実際にライブを観られたことがある方を選ばれてる?
 
そうですね。今回は、レオくんがほとんど組んでくれたんです。僕も結構誘っていましたが、スケジュールのタイミングもあってちょっと決まらなくて。でも、どちらもそれぞれライブを観たことがあるバンドだけ誘ってます。基本はやっぱりメールをピュッと送って交渉するとかではなく、ライブを観てたり知っているから間違いないという部分で押し出せるアーティストと一緒にやろうっていう話はしてましたね。
 
――今、たくさんの方に観てほしいという気持ちも? 
 
確かにそういう気持ちはありますね。僕、一見八方美人なのに中身はゴリゴリ尖ってるんで(笑)どう表現していいか分からないんですけど…。世の中のポップロックももちろん素敵だと思うんですよ。やっぱりメロディセンスや流れとか、サビやサビ明けのアレンジとか。でもある程度凝り固まったりしてる部分もあると思う。もちろん音楽を仕事にしている人たちにとってはビジネスでもありますからね、世間的に流行りと呼ばれる楽曲を汲み取り、売れるだけ押し出す感じもあると思うんですよ。そんな中だからこそ“この音楽やったら売れるよ”というレールが引けてないところを、本当に自分らがかっこいいと思ってやっているバンドたちもいることを、いろんな人に知ってほしいですね。
 
――なるほど。
 
そこにジャズ要素をぶっこむんや、急に展開変わったなとか、オモテで拍子を取ってたのにいつの間にかウラになってる、これどこでひっくりかえったんやろとかね。めちゃくちゃ発想がカッコイイんですよ。そんなカッコイイ音楽性と趣向性を持ってる集団をこの凝縮した空間で観られるっていうのは僕たちの欲求ですね。
 
――福原さんが観たい=観てほしいと。
 
観てほしいです。一般的にツイッターなどSNSが流行っていますので、今って自分の欲しい情報だけを手に入れられるじゃないですか。それも情報量はすごいんですけど、やっぱり僕はレコード屋やCDショップに行って、オススメのレコメンドを読んで聴いてみようっていう昔ながらの音楽の取り入れ方も知っていますので、自分で足を運んで知る方法もあるんだというのを今の若い人たちにももっと活用してほしいんですよね。こういうこと言うとすごく尖っているかもしれないですけど、世間的に“売れてるという代名詞があるから聴こうかな”ではなくてね。もちろん自分から掘り下げてる人もいると思うんですけどね。
 
――確かに。今はその場で好きな情報が手に入りますからね。
 
今回出演してくれるバンドもね、東京でワンマンするようなメンツだったりもしますので、すでにファンはたくさんいらっしゃる。ただ、知らない人がそのバンドを知らないまま人生終わるっていうのは… もったいないですよね。好きじゃなくても名前だけでも知っているアーティストってたくさんいますよね。それはそれで良いと思うんです。でもある種存在もしらないまま過ごすっていうのは…。だから僕はそういうところをちょっと掘り下げていきたいし、自信を持って押し出していきたいです。むちゃくちゃカッコいいから一回観てみ?ってね。
 
――出演されるバンドの方々は関西でライブもよくされているんですかね?
 
いや~、あまり大阪に来ていないバンドもいますので、このタイミングで呼べるっていうのは嬉しいですね。CLAPPERとしては縁がないメンバーも多いんですけど、今回のことをキッカケに出演してくれることになりました。よく考えてみると10周年でありながら11年目のスタートですので、CLAPPERや僕にとって新たな出会い半分、昔からの繋がり半分といった感じでイベントができるのは嬉しいです。例えば、10月1日であれば、僕からしたらLOSTAGEが新たな出会い。3日は、あら恋は繋がりがあって、Yasei Collectiveは前々から出演をして欲しいと思っていたのでレオくんが繋いでくれて、とかね。“10年経ちましたよ、今までありがとうございます。11年目です、これからもよろしくお願いします”という感じで、これまでを振り返るだけじゃないようにしたいなと思っていましたので、この2日間がそういう組み合わせで出来ることになって嬉しいです。その他にもね、アニバーサリーとしてラウド系のバンドが出てくれる日もありますし、お世話になっている方や、仲のいいDJさんが出演してくれる日もある。海外からアーティストがくる日があったりとかね。ありがたいお話しです。
 
――この周年をきっかけに11年目もスタートされるわけですが、これから先の展望や願望をお教えいただけますか。
 
僕は現場が好きで、だいたいCLAPPERに居ます。僕はマネージャーですが、結構月のブッキングを組んだり、イベンターさんとの話しもしていたりする。良くも悪くも、何でもかんでもやっちゃうんですよね…。それをもう少しスタッフに任せていきたいなと考えています。そして僕はLOSTAGEに会いに奈良まで行ったように、もっと外に出ていこうと思っています。いろんな方と繋がって広がった縁もすごくたくさんありますが、自分からもっと外に出てみようとね。
 
――なるほど。新たな試みですね。
 
たぶん、各地方にめちゃくちゃカッコイイバンドが居てると思うんです。でも、大阪に来られるキッカケがないし、「いきなりツアーで行って、とんでもない目に遭わされてもかなわないから」というバンドも絶対いると思う。全然知らないライブハウスにお願いすると、「俺らV系じゃないのに、俺ら以外全部V系や…」みたいな話もちょいちょい聞くんですよ(苦笑)。それは、僕たちが送り出す立場でもあります。そんな事があると、知らない場所に行くことにも二の足を踏んじゃうじゃないですか。「知り合いのバンドが出演していたらいいですけど」とかね。そういうのをちゃんと僕が観に行って縁を繋いだりしたい。後は…今、発言するのは早いかもしれませんが、自分たち発信のフェスや大きいイベントがしたいですね。それに、今、CLAPPERに出てくれてるけど、まだ全然知られていないカッコイイバンドもいるから、そういうバンドを自分の力でもっと外に出していきたいです。3日に出てくれる、SUBLIMITYもそのひとつで、ドロッドロなダブバンドなんですけど、本当にカッコイイ。やっぱり、CLAPPERで一緒にやるような縁のあるバンドはもっともっと押し上げたいんです。
 
――本当にカッコイイと自らが思う音楽は、色んな方に聴いて頂きたいですよね。
 
はい。フェスとかもね、言うてるだけで出来ないかもしれませんが、目標があれば“やろう”とすることによって、希望には寄せ続けることは出来ると信じているんです。叶わないかもしれないですが、努力することで、その力がバンドに繋がればいいなと思うので、あえて店を離れてもっと色んなバンドと出会っていきたいです。僕、英語は全然出来ないんですが、意欲的に翻訳ソフトとつたない英語でやりとりして、海外からバンドを招聘していたりもするんです。でももっといろいろ呼びたいし、いいバンドは海外に送り出したいと思っていたりもしますので、海外にも積極的に行こうと思っています。
 
――たくさん目標がありますね。
 
店が好きで、ブッキングラインで出てくれてるバンドも好きで、和気あいあいとバンドと会話しながらやっていくのは大好きなんですけど、もうちょっと外に行きたいなという気持ちもあって。あら恋やYasei Collectiveとか知らない人が、もし知ることが出来たらその人はきっと得をすると思っているんですよね。だから、CLAPPERから発信できることをもっと色々していきたいですね。
 
――素晴らしいです。それがライブハウスの発展であったり、知名度広げることに繋がる可能性もありますしね。これからも色々と楽しみにしています。
 
ありがとうございます。頑張って続けていきたいです!
 
――ありがとうございました!!

取材・文:小西麻美



(2016年9月15日更新)


Check

CLAPPER 10th ANNIVERSARY

写真左から、MOROHA、LOSTAGE

MOROHA自主企画「破竹 」第11回 presents MOROHA × LOSTAGE 2MAN SHOW!!

発売中 Pコード:302-683
▼10月1日(土) 19:30
アメリカ村 CLAPPER
スタンディング-3000円(整理番号付、ドリンク代別途要)
[出演]MOROHA/LOSTAGE
※3歳未満は入場不可。
[問]アメリカ村 CLAPPER■06-6213-6331

チケット情報はこちら


(上段左から)あらかじめ決められた恋人たちへ、Tempalay
(下段左から)Yasei Collective、underslowjams+SOMA

CLAPPER 10th ANNIVERSARY presents. 「not forget pleasure3」

発売中 Pコード:305-796
▼10月3日(月) 18:30
アメリカ村 CLAPPER
オールスタンディング-2500円(整理番号付、ドリンク代別途要)
[出演]あらかじめ決められた恋人たちへ/Tempalay/Yasei Collective/underslowjams/SOMA
[オープニングアクト]SUBLIMITY
※未就学児童は入場不可。オープニングアクトは18:15スタート。
※販売期間中は1人4枚まで。
[問]夢番地■06-6341-3525

チケット情報はこちら


アメリカ村CLAPPER ホームページ

~はみだしCLAPPER~

福原さんにアレコレちょっと
質問してみました♪

Q. CLAPPERの名前の由来は?

A. まずは検索した時に埋もれたくなかったので他に出てこない名前であることと、ライブハウスってワーキャーいっているイメージがありましたので、色々調べて“喝采”という意味を持つこの名前にしました。

Q. 10月にオープンした理由は?

A. 色々重なってですが、実はMINAMI WHEELに合わせてなんですよ。10月に立ち上げたら華々しいオープンが飾れるかもって話になって。でも、実際に立ち上げてFM802さんに挨拶にいったときには既に参加会場は全て決まった後で(笑)。そりゃそうですよね。2年目からは無事会場に入れて頂きました(笑)。

Q. 近隣にもたくさんライブハウスがありますが、ここは負けてない! というところは?

A. 難しい質問ですね…(苦笑)。基本近隣のライブハウスとはすごく仲良くさせて頂いてますが、そこは仲間でもありますしライバルでもありますからね、ちゃんと客観視はしてます。例えば、あるハコにはメロディックのバンドの出演者数では勝てるとは思わないし、あるハコにはラウド系バンドの出演者数では勝てると思わない …とかね(笑)。その中であえて言うと、“気遣いと関わってくれた人たちを絶対悪いようにはしない”という思いだけはどこにも負けてないですね。ライブハウスの雰囲気って演者だけが作り出すものではなくて、箱側からも作れる空気ってあるはずなんです。キャッシャーとかPAとかスタッフの対応ひとつでもね、それによってお客さんのモチベーションが変わることもある。“出てあげてる、出してあげてる”ではない関係性の中で、良いバンドに対しても、まだまだ演奏力が足りないというバンドに対しても絶対イイ一日を同じ目線で作れるような場所でありたいという思いだけは負けてないと思います。その辺り僕、めちゃくちゃ自分トコのスタッフに厳しいんでね(笑)。