“Surf Beat Music”を掲げるバンドSPiCYSOLが多様なジャンルの 音を昇華させた7曲入りのアルバム『Tropical Girl』をリリース!! バンドの成り立ちから、新作の聴きどころまで語ってくれた SPiCYSOLメンバー全員インタビュー&動画コメント
“Surf Beat Music”を掲げた新世代ハイブリッド・バンド、SPiCYSOL。西海岸カルチャーを愛するフレンドリーで開放的な5人組。6月22日にリリースされた2ndミニアルバム『Tropical Girl』には旬のトロピカルハウスを取り入れた表題曲をはじめ、メンバー全員が声を出して攻めていくヒップホップチューン『イッチョ舞え!!!』、ハートウォームなウェディングソング『Coral』、TOTALFATのShunをフィーチャーしたレゲエテイストのカヴァー曲『Room45 ft.Shun(TOTALFAT)』といった多彩なナンバーを収録。バンドの成り立ちや心意気、新作の聴きどころなど、メンバー全員に聞いた入門編的なインタビューをお届け!
SPiCYSOL結成と掲げる“Surf Beat Music”
――SPiCYSOLっていうバンド名から、もっとトガっててやんちゃな感じなのかなと思いきや、とても快適なハイブリッド・サウンドですね。
AKUN(Gt,Cho) 「僕らは、“Surf Beat Music”っていうジャンルを掲げてて。バンドとしてかっこいい部分は残しつつ、自然に耳に入ってきて聞きやすい、ノリやすいっていうのを一番意識して曲作りやライブをしてます」
――“Surf Beat Music”というのは新しいジャンルですか?
KENNY(Vo,Gt) 「そうですね。サーフミュージックでもなければ、ファンクでもないし、本当にハイブリッドなジャンルですね。そういうシーンを代表するアーティストになりたいなと思ってます」
――結成当初に目指していたバンド像ってどんな感じですか?
KENNY 「ゴリゴリの爆音ミュージックではなくて、一番最初にイメージしてたのは、Maroon5かな…」
AKUN 「Victoria's secret (*有名下着ブランド)のイベントに出ている映像をKENNYに見せてもらったのが最初で…。バンドなんだけどゴリゴリしてないしスタリッシュで曲もいいしカッコよくて、聴いてると自然に体が動く感じがいいなと思いましたね」
KENNY 「僕はただただ下着の女の子たちの前で歌えるっていう環境が素晴らしいなと思ったのかもしれないですけど(笑)」
――(笑)でも、Maroon5っていうのはすごく納得です。SPiCYSOLってけっこう洋楽フレーバーも漂ってくるから。
KENNY 「そうですね。Bruno Marsなんかもいいなと思うし。やっぱり日本にいないようなものをやりたいっていうのは、けっこう根底にあるよね。だから、もし今の日本でこういうオーガニックなサウンドが流行ってたら、僕はやりたくなかったかもしれないです。あと、共通項としてアメカジとか西海岸カルチャーがあって。そういうアメリカンな感じは影響受けてますね。だから、PVとかアー写とか、ジャケットにしてもカリフォルニアの色合いにしてますね。今回の『Coral』(M-4)のPVのも敢えてくすませた色合いで西海岸っぽくしてるんですよ」
――メンバーの音楽的なルーツはけっこうバラバラなんですか。
KENNY 「根底のルーツはバラバラかもしれないですね。実は僕自身はバンドでやるのが初めてだったので、最初は何ができるのかもよくわからず、みんなに合わせながらやってたんですけど…。もともと弾き語りとか、ゆるいサーフミュージックみたいなのが好きだったので、だんだん俺の好きなものを出すようになって、今のジャンルに寄ってきた感じですね」
――そもそものメンバーのつながりや成り立ちは?
AKUN 「昔からの古い仲っていうわけではなくて。結成が2013年なんですけど、みんなが知り合ったのがそこからですね」
KENNY 「AKUNとはもともと飲み友達で繋がってて…」
AKUN 「お互いの音楽活動が落ち着いた時に、僕がKENNYの歌声を聴いて一緒にやろうよって、声をかけたんです。他のメンバーは友達伝いで探していって…。まだメンバーも揃ってないし、曲も全然できてないのに、ファーストライブは決まってましたね(笑)」
KENNY 「MOOさんは僕の飲み友達で(笑)。ドラムのKAZUMAは友達の友達。最初は、練習するたびにスティック1本必ず折るっていう、謎のヘヴィドラマーだったんですけど(笑)、人間性も面白くて。PETEも飲みの場にいたっていう(笑)」
KAZUMA(Dr) 「PETEは最初、こんなファンキーな外見じゃなくて。普通のサラリーマンみたいにスーツ着てて黒髪で(笑)」
KENNY 「でも、“キーボードもできるしトランペットも吹けて、洋服のデザインもしてるし、WEBのデザインもできるんですよ”って話しで。だから、SPiCYSOLのホームページはPETEが作ってるんです」
PETE(Trumpet,Cho,Key) 「全部趣味の延長です(笑)。でも、やっぱり一番は音楽をやっていきたいなと思っていて。僕もトランペットとキーボードと両方できるバンドをやりたいなと思ってたんですよ」
学校や仕事場で疲れてる人にも聞いてほしい
洋楽好きな人にも、愛する人や家族ができた人にも聞いてほしい
――作詞作曲は基本的にKENNYさんが?
KENNY 「はい。骨組みはまずは僕が作って、それをどう色付けしていくかっていうのをみんなで決めてく感じですね」
――新作の『Tropical Girl』に入っている『イッチョ舞え!!!』(M-2)はメンバー全員で作詞してますが、こういう形は初チャレンジ?
KENNY 「そうですね。自分のパートは自分でってことで」
AKUN 「みんなでリードボーカルを取るっていうのも初めてですね」
KENNY 「これは本当にただただ、ライブで盛り上がってくれればいいなっていう願いを込めて作った曲だったんですけど、今回のツアーで初披露したら、すごくレスポンスもよくて。当たったなって感じがしなかった?」
AKUN 「よかったよね。バンドって、ボーカルが歌うみたいな感じが強いけど、SPiCYSOLはそういう概念をなくして、盛り上がるものはどんどんやっていこうと思ってます」
――この曲は本当にメンバー全員の心意気が伝ってきていいですね。
KAZUMA 「僕はもともとはボーカルをやりたかったのでやっと歌えるようになって、とても楽しいです(笑)」
PETE 「僕も昔はピアノの弾き語りでボーカルをやったこともあるんですけど、その時に難しさを知って(笑)。今回のレコーディングはラップだったし、ラップは一回もやったことがなかったんで、けっこう苦戦しました(笑)」
KAZUMA 「俺はEminemとか聞いてたし、元々ヒップホップが好きだったんで、あんまり抵抗なく。スタジオでもずっとラップしてます(笑)」
MOO(Ba) 「俺は、レッチリ(Red Hot Chili Peppers)が根底にあって、日本ではRIZEとかDragon Ashとか好きで聞いてたんで、ヒップホップって言うのも自分の中にはありましたね。自分も高校生の時はバンドでギター・ボーカルだったんですけど。今回、初めてこうやってキレイに録ってもらったので、ほんまに嬉しいです!」
――メンバー全員歌えるというのも強みですね。KENNYさんのボーカルはもちろん、コーラスワークもいいし、そこも力を入れている部分ですか?
KENNY 「そうですね。まずは歌モノってことで。“声でシビレさせたい!”と思ったので。レコーディングのコーラスに関しては、全部僕の声で重ねて入れてるんですけど。ライブはみんなでやってもらってて。サビもハッとするようなものを考えますね」
――新作『Tropical Girl』に関しては全曲違うタイプで、いろんな角度から楽しめます。中でも、表題曲の『Tropical Girl』(M-1)なんかはエレクトロなサウンドがフィーチャーされてて、ちょっと異色ですが。
KENNY 「デビューミニアルバムに入っている『Around The World』もそうなんですけど、そこからさらにエレクトロ色を強くしたいなと思って作ったのがこの曲ですね」
AKUN 「夏に合う曲ということが大前提だったので、“この夏、トロピカルハウスっていいよね”って、今年に入って作った曲ですね。アルバム自体、今までのストックを使わずに今年になってから2か月ぐらいの短期間で集中してレコーディングしたんです。その時の気持ちやトレンドを新鮮なまま表現したいなと思って」
KENNY 「『V.A.CATION』(M-3)はアメリカとかヨーロッパのティーンズアイドルポップのイメージでわかりやすいサマーチューンをがっつり出そうぜと。みんなで騒げて、ドライブでかけたいねっていう気持ちで作りました」
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――『Coral』(M-4)はウエディングソングのようですね。リリースが6月だし、ジューンブライドを意識して?
KENNY 「あ、そうか…、全然意識してなかったです(笑)。ぜひ、結婚式で使って欲しいですね。今まで、SPiCYSOLではこういうハッピーな気分になれるバラードはなかったんですよね」
――この曲ができたきっかけは?
KENNY 「たまたま僕の幼馴染が結婚したんです。僕は北海道出身なんですけど、自分たちのライブをやる時まで帰らないって決めていたのでその幼馴染みの結婚式に出席出来なくて。そのかわりに曲を贈ろうと思ったんです。最初はかなりレゲエ要素を強くして、そこにJ-POPエッセンスを少し入れたんですけど。途中で逆だなと。J-POPに少しだけレゲエの要素を垂らした曲にシフトしないとって思って、今の『Coral』の形に落ち着きました。なので、かなりJ-POPライクだと思います」
――『My Roots』(M-5)も親友に向けての歌のようですが?
KENNY 「そうですね。やっぱり、西海岸カルチャーもそうですけど、仲間っていう気持ちがけっこう強いのかな。男の友情大好きなので。北海道から上京するときに、一緒に夢を追って出てきた友達がいて。ずっと8年間ぐらい東京で戦ってきたんですけど、色々あって、去年、その親友は帰っちゃったんです。その友達に贈ろうと思って、“心配するな、お前はお前のままで行け”っていう気持ちがすごく乗った曲ですね」
――TOTALFATのShunさんがフィーチャリングされている『Room45 ft.Shun(TOTALFAT)』(M-6)はどういった経緯で実現したんですか?
AKUN 「TTOTALFATはレーベルメイトで、先輩後輩の仲なんです。去年のTOTALFATのツアーで2箇所出させていただいた時に、リスペクトを込めてカバーをやろうってことで、KENNYが一番好きだったこの『Room45』を選んだんです 。最初はけっこう原曲そのままで、先輩方に“不合格”って言われて(苦笑)。その後アレンジをし直して、この収録曲の元になる形を披露したら、“合格”って。TOTALFATの皆さんから“アルバムに入れちゃえばいいじゃん”って言っていただいたので、今回入れることになりました」
――やっぱり原曲とは違って、いい感じのユルさでSPiCYSOLのカラーが出てますよね。
AKUN 「SPiCYSOLカラーなんですけど、Shunさんの声もすごく合うし、KENNYとシンクロする感じもすごく合ってて。このアレンジはすごくうまくいきましたね」
KENNY 「自分たちとルーツが繋がっている人とは、今後もこういう形で何かやっていきたいですね」
――最後にOutro(M-7)として、KENNYさんの弾き語りを入れたのは?
KENNY 「6曲収録のアルバムなので、もう一周したくなるような、切ない弾き語りで1分少々のやつ→短めの曲を入れようぜってことで。また1曲目に戻った時に、やっぱいいじゃんって思えるのがいいなと。アルバムを通して聞いてほしいという思いがあったし、ミニアルバムでもボリューミーで聞き応えがあって、何周もしたくなるようなものにしたかったんです」
――本当に、一曲一曲で多彩に楽しめますよね。
AKUN 「けっこうジャンルがバラバラなんですけど、全部にSPiCYSOLの色を入れて、タイトル通りトロピカルなアルバムになったと思いますね」
――すごく夏のアルバムって感じがします。このアルバムを聴くと、2016年の夏を思い出しそう。
KENNY 「願わくば、1年中聞いてください!僕ら的には“肩の力を入れすぎず、ありのままのお前でいいぜ!”っていうメッセージを込めているので、学校や仕事場で疲れてる人にも聞いてほしい、洋楽好きな人にも、愛する人や家族ができた人にも聞いてほしいなと思いますね」
――年齢や性別に関係なく幅広いリスナーにキャッチされそうなところもSPiCYSOLの強みではないかと?
KENNY 「そうですね。リラックスできる曲だけでなく、相反する激しい音もあるし、“負けんな!”っていうメッセージの曲もあるから激しく騒ぎたい人も大歓迎です!」
――では最後に今後の抱負をお願いします!
KENNY 「大阪でまたワンマンもやりたいですし、大阪の夏フェスにはまだ出たことがないんで、RUSH BALLとかすごく出たいなと思ってますね。基本的にフェスならなんでも、外で歌えるならどこでも、みたいなスタイルなんで(笑)! あと、関西では神戸や京都はまだライブ自体したことがないんで、早く回れるように頑張っていきたいですね」
Text by エイミー野中
(2016年7月29日更新)
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