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小曽根真がビッグバンド版にジャズアレンジした
モーツァルト:ピアノ協奏曲第9番『ジュノム』を日本初披露!
NYフィル首席奏者ジョゼフ・アレッシ(tb)と彩るクリスマスナイト
サンケイホールブリーゼに向け語るインタビュー&動画コメント

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モーツァルトは300年前にもうビバップをやってたわけですね
 
 
 昨年、結成10周年を迎えた、世界的ジャズピアニスト小曽根真率いるビッグバンドNo Name Horsesが、クリスマスシーズンの大阪に帰ってくる! ジャズとクラシックの世界をクロスオーバーする彼が今回挑んだのは、モーツァルト:ピアノ協奏曲第9番『ジュノム』。彼がスコティッシュ・ナショナル・ジャズ・オーケストラに招聘され編曲した同曲は海外メディアでも賞賛の嵐を巻き起こし、12月17日(木)サンケイホールブリーゼにて、いよいよ日本初披露の日を迎えることとなった。編曲を進めるにつれ「モーツァルトのスピリットは非常にジャズに近い」と確信したと言う彼は、こうも語る。
 
「特に『ジュノム』の第3楽章なんかは、そのまんま譜面に書いてあることをスウィングのリズムに乗せたらビバップになる。音楽を発展させていく普遍的な1つの方法として、モーツァルトは300年前にもうビバップをやってたわけですね。あと、コンポーザー的に、古典の中で元々の世界観を壊さずにジャズに持っていけるのがモーツァルトかなと。モーツァルトはジャズミュージシャンにフレンドリーで、だからキース(・ジャレット)とかチック(・コリア)とかもやってるし、自由な分、演奏者のセンスも問われる。『ジュノム』は僕個人的に一番弾き込んでいる曲なので、モーツァルトがこれほど自然にジャズに入っていくんかと思ってもらえるアレンジになってると思います」

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久しぶりに集まって音を出すと、音がスッと1つになる
“ここに来たかったんや”っていう音がするんですよ


ozonemakoto2_josephalessi.jpg そして、当日はスペシャルゲストにNYフィルの首席トロンボーン奏者、ジョゼフ・アレッシを迎えた特別編成で挑むのも話題に。ジャズピアニストがクラシックのオーケストラのツアーに参加したのを縁に、今度はアメリカ最古の歴史を誇るオーケストラの首席奏者がビッグバンドのツアーに参加する。まさに国境やジャンルを超えた魂の交流とも言えるこの機会のため、NYフィル自体もハイシーズンにも関わらず日本へと駆け付ける、「トロンボーン吹きからしたら“神”」である存在。そんな奇才の参加にも、「人生何が起きるか分からないというか、ダメ元でも1回聞いてみるもんやなと(笑)」と笑う小曽根からも、その厚い信頼関係が伺える。もちろん、迎え入れる本艦No Name Horsesも磐石の体制。昨年、フェスティバルホールで魅せた感動のステージも、彼らの絆をより強固なものにしたことだろう。
 
「ホントにこの10年を通じてファミリーになれて、その集大成が去年のツアーでやった『ROAD』で。チームを組んでまじめに正面から向き合っていると、必ず個人的なイシューがあちこちから出てくるんですよね。それをみんなで相談したり助け合ったりして…音楽とは関係ない個人個人が持ってるイシューをみんなで乗り越えてはじめて、ちゃんとバンドになった気がします。だから今はすごいタイトですよ。久しぶりに集まって音を出すと、音がスッと1つになる。“ここに来たかったんや”っていう音がするんですよ」
 
 その舞台となるのが、クリスマスシーズンを前にした12月17日(木)サンケイホールブリーゼだ。
 
「前半はオーケストラというよりもジャズクラブに近い空気がホールで作れたらなと思ってるんです。後半はコンサートというクラシックに近い形で出来ればなと。ホールで出来るジャズコンサートっていうのが、以外にないんですよね。劇場というミラクルな場所で、演出、曲の世界観…ホールでしか出来ないコンサートをしたい。ポップスとかのアーティストたちがとんでもない仕掛けでおもしろいショーを作るでしょ? そういう意味では、一般の方たちの目も肥えてきてるから、そんな中でジャズコンサートをつまらないと言わせるのは悔しいし、やっぱりお客さんをハッピーにしたいしね。ライブハウスでは味わえない演出を含めて、クリスマスというのもありますし、1つのショーとしてスペシャルな2時間を作れたらなと思ってます!」
 
 
Text by 奥“ボウイ”昌史



ぴあ関西版WEB音楽担当:奥“ボウイ”昌史のオススメ!

「毎度会って思うんですが、小曽根さんは本当にパワフル。軽々と話していくその戦歴に、ポップスやロックとは異なるある種の共通言語を持つからこそシビアで、世界レベルの才能が数多いる世界を生き抜いてきた “凄み”みたいなものを感じます。ただ同時に、関西人ならではのユーモアを潤沢に含んだそのトークと(笑)溢れるバイタリティが、いつも僕らを和ませハッピーにしてくれる。普段自分が多く摂取するライブとはまた違う刺激と幸福感を存分に味あわせてくれる小曽根さんの、ジャズの、そしてクラシックのコンサートは、音楽という海がまだまだ広くて深いことを教えてくれます。いや~音楽ってすげーわ! やっぱり」

(2015年12月14日更新)


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Profile

大曽根真

おぞね・まこと…’83年バークリー音楽院ジャズ作・編曲科を首席で卒業。同年米CBSと日本人初のレコード専属契約を結びアルバム『OZONE』で全世界デビュー。’03年にはゲイリー・バートンとのデュオアルバム『VIRTUOSI』がグラミー賞ノミネート。ソロピアノ、トリオ、自ら率いるビッグバンドNo Name Horses、舞台音楽、作曲など、多方面で活躍中。近年はクラシックにも取り組み国内外の主要オーケストラと共演。’14年2月にはニューヨーク・フィルハーモニックのアジアツアーにおいて、初の日本人ジャズピアニストとしてソリストに抜擢され成功を収めた。平成25年度文部科学大臣賞を受賞。国立音楽大学教授。

小曽根真 featuring
No Name Horses

おぞね・まこと・フィーチャリング・ノー・ネーム・ホーセス…’04年に結成。小曽根真が率いる総勢15名のビッグバンド。メンバーはいずれも日本を代表するミュージシャンで、自身のバンドでリーダーを務めるなど大活躍している。これまでに3枚のスタジオアルバムと1枚のライブアルバムをリリース。これまでに国内ツアーの他、アメリカ(世界最大のジャズ・コンベンション『IAJE(国際ジャズ教育協会)』)、フランス(ラロック・ダンテロン国際ピアノ音楽祭)、スコットランド(エジンバラ・ジャズフェスティバル)、ウィーン、シンガポールにて演奏。また、’13年7月上旬には、東北支援キャラバンツアーを行い被災地に演奏を届けた。

【メンバー】
小曽根真(p)/エリック宮城(tp,fl)/
木幡光邦(tp,fl)/奥村晶(tp,fl)/
岡崎好朗(tp,fl)/中川英二郎(tb)/
山城純子(B-tb)/近藤和彦(As,Ss,fl)/
池田篤(As,fl)/三木俊雄(Ts)/
岡崎正典(Ts,cl)/岩持芳宏(Bs,cl)/
中村健吾(b)/高橋信之介(ds)

小曽根真 オフィシャルサイト
http://www.makotoozone.com/

Live

クリスマスシーズンにビッグバンド
で贈るスペシャルナイト!

 
『小曽根真 featuring No Name Horses
「クリスマス・ジャズ・ナイト」』
チケット発売中 Pコード272-067
▼12月17日(木)19:00
サンケイホールブリーゼ
S席8500円
[ゲスト]ジョゼフ・アレッシ(tb)
ブリーゼチケットセンター■06(6341)8888
※ブリーゼシートの取り扱いはなし。未就学児童は入場不可。

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Column

小曽根真率いる最強ビッグバンドが祝・結成10周年! 音楽が導いた
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