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「悔しい想いだけでずっとやってきてる」
15歳の衝動とプロ意識をガソリンに走り続けるコレクターズの
21枚目の“意地”『言いたいこと 言えないこと 言いそびれたこと』
加藤ひさし(vo)インタビュー&動画コメント

 来年で結成30周年を迎えるTHE COLLECTORSが21枚目(!)のオリジナルアルバム『言いたいこと 言えないこと 言いそびれたこと』をリリースした。’00年代に入って以降、作風が少しずつ変化を見せ風刺や批判とも取れる歌詞が増えてきたが、今作ではそれプラス人生といった重く生々しいテーマも描かれ、よりリアルにかつプライベートをも滲ませる内容となっているのが興味深い。「年齢を重ねてきたから書ける歌だよ」と笑う一方で「でも、15歳の俺も棲んでいるアルバムなんだ」と目を輝かせるフロントマン、加藤ひさし(vo)。酸いも甘いも噛み分けて、今なお枯れることのない音楽への情熱、匂い立つような青臭い想いは、いったいどこから生まれるのだろう? アルバム、そして音楽観について、歯に衣着せぬ勢いで語りまくる!

 
 
とにかく減速するのが嫌だったし
現役感を出すためにも制作を続行したんだよ
 
 
――ここ数年はコンスタントにアルバムをリリースしているTHE COLLECTORSですが、このペースはもう最近のスタンダードという感じですか?
 
「ホントここ最近だね、このペースが定着してきたのは。CDがだんだん売れなくなってきた’00年代初頭から、毎年アルバムをリリースしたくてもプランが立てられない状況になってきて。’07年に『東京虫BUGS』を出して、その次に『青春ミラー』(‘10)、『地球の歩き方』(‘11)、『99匹目のサル』(‘13)って3枚出してきたんだけど、この3枚を自分の中で3部作として捉えていて、とにかく喝を入れていこうという感じだったんだよね」
 
――喝を入れる…その辺りから音楽を作るにあたっての気持ちの変化があったんですか?
 
「多分25周年の辺りで改めて、長くやってきたという実感があったし、果たしてこれから先もっと長くやれるんだろうか? 周りも含めCDのセールスがどんどん急降下している中で、出せる内に出さないとマズいかもっていうのもあって、無理矢理3部作を作ったんだよ。途中震災を挟んだりもしたけど、とにかく3年ほどで3枚出せたのは手応えがあった。『99匹目のサル』が終わったところで、NHKの方から“おじゃる丸”(Eテレで放映中のアニメ)のエンディングテーマを依頼されたんですよね」
 
――なるほど。
 
「まぁ、ありがたいことだよね。ただ、今の時代ってアイドル以外はフルアルバムの方が売れるんですよ、特に俺たちみたいに古くからやってるバンドは。購買層がアナログレコードに触れてきたアルバム世代だから、やっぱりシングルはなかなか買おうって気にならないみたいで。だから、おじゃる丸のシングルをリリースするのはすごくリスキーだから、前作の『鳴り止まないラブソング』(‘14)に収録しようと。ただ、そのレコーディング準備中にベーシストが抜けてしまって…作業が止まりそうになったんだけど、とにかく減速するのが嫌だったし、現役感を残すためにも制作を続行したんだよ」
 
――危機的状況があったんですね。
 
「で、今度は作り終わった時点で、“’16年は結成30周年だよ”って言われて。そしたら’15年はどうするの? また3〜4曲入りのシングルでも作るの? いやいや売れないっすよ…って話になって。でも、何もリリースしないまま30周年迎えるのも何だかなぁって感じでしょ? じゃあアルバム作るかって感じで今作の『言いたいこと 言えないこと 言いそびれたこと』の作業が始まったんですよね」
 
――アルバム以外に選択肢がなかったと。
 
「そうだね、出すならアルバム、出さないなら何も出さないって。ここで休んだら30周年を前に陰りそうな気がして…。だって来年が結成30周年で、再来年がデビュー30周年とアニバーサリーが2年続くから、そのためにも出そうと。でも、30周年にもアルバム出さなきゃいけないから、こりゃいつもの倍、曲を作らないといけないなと」
 
 
自分がカッコいいと感じるものをやるしかないし
それを疑わずに形にするしかない
 
 
――じゃあ今作は曲のストックがほとんどない状態からのスタートで?
 
「全くのゼロだよ(笑)」
 
――(笑)。絞り出す感じで作業が始まったんですか?
 
「こんなに長くやってると、絞っても出ないよ(笑)。ま、ゼロからのスタートは今に始まったことではなく…だってもうアルバム21枚目だよ? やりたいことなんて最初の2枚くらいで出し切ってるから、それ以降はもう溜まってきたものが出てくるだけの話じゃないのかな。でも、昔は大きな流行りがあったじゃない、マンチェスターブームとかレニー・クラヴィッツとか、いわゆるアイコンとなるスターが出てきたり、流行りのお手本みたいなものもあった。そういう連中から感化されることはものすごくあるんだよね。だけど今は不在だし、いるとしてもストーンズみたいな重鎮しかいない世の中じゃん。そんな状況下で作っていくというのは、同じゼロからのスタートと言っても辛いのね。何をやってもいい分、じゃあ何がいいんだ?ってなるから」
 
――そうなったとき、基準となるのは?
 
「自分だよね。自分がカッコいいと感じるものをやるしかないし、それを疑わずに形にするしかないわけだよ。この’00年代はそういう感じでやってきたかな。あとは、日々何かしらの変化や出来事はあるわけで、そのとき感じるものをどう歌おうかっていうぐらいだよ」
 
――なるほど。そうやって日々の中で感じるものを綴っているからでしょうか、今作の歌詞も生々しさというか、人間臭さがより強まった印象を受けました。さらに、すごく太くて分かりやすい芯…人生や愛という結構重たいもの…が貫かれている作品だなと。
 
「やっぱり自分がやってきたことが如実に歌になるよね。例えば1曲目に収録されている『ガリレオ・ガリレイ』の2番で、“未来を変えるのはDNAじゃない/アニメとアイドル”って歌詞があるんだけど、ちょっと前の自分なら絶対に歌えなかったと思うのね。でも、AKB48の『恋するフォーチュンクッキー』(‘14)があまりにもおもしろくて。アイドルすげーって認識したんだよね。あれね、ホントめっちゃ楽しかったんだよ」
 
――いろいろなチームが『恋するフォーチュンクッキー』を踊った動画がYouTubeにアップされましたが、加藤さんが中心となって多くのロックミュージシャンが集まったバージョンですね。
 



「そもそも『恋する〜』は、ファンが教えてくれたんだよね。『99匹目のサル』の1曲目『喜びの惑星』のサビで“人生捨てたもんじゃないぜ”って歌ってて、AKB48は“人生捨てたもんじゃないよね”って歌ってるじゃん。だから“加藤さん、パクられましたよ。ちょっと聴いた方がいいですよ”って言われて聴いたらさ、パクられてるどころかAKB48の方がいいじゃねぇかって(笑)。で、“何このすごい歌!”って思ってたら、あれよあれよという間にいろんな人がYouTubeでダンス動画を上げてるから“おいおい、これロックバンドでやんなきゃダメなんじゃねぇの?”って思って、怒髪天の増子くんを誘ってやったんだよ」
 
 
メジャーカンパニーから作品を出させてもらっている以上
金メダルを取らないともう許されないんだよ
 
 
――最後に収録されている『自分メダル』(M-11)もまた生々しくて“自分はまだまだこんなもんじゃない”というもどかしさやジレンマが歌詞に滲み出ていて。これは加藤さんのリアルな心情だったりするんですか?
 
「この曲はね、もう歌い尽くされてきたテーマだよ、SMAPの『世界で一つだけの花』(‘03)で歌われているような“人間はオンリーワン”っていう普遍的な内容。ただ、普遍的なテーマって、恋の歌や人生の応援歌や絶望くらいで、実はそんなに多くないと思うんだ。でも、表現するときにモチーフとなるものはいろいろあると思うのよ…花なのかメダルなのかっていうね」
 
――そこで加藤さんならではの視点や表現の切り口が効いてくる。
 
「そうそう、そこはやっぱり加藤ひさし節になっているはずだよ。やっぱりメジャーカンパニーからこれだけずっと作品を出させてもらっている以上、THE COLLECTORSは金メダルを取らないともう許されないんだよね。まぁ、うちらだけでなくメジャーにいるどんなバンドでも。そこで“いやいや自分たちなりの色のメダルでいいんじゃない?”って言うんだったら、勝手にインディーズでやれよっていう話になるじゃない。金銀銅取ってくれよって想いでこれだけ多くのスタッフが関わってくれて、算段してくれてるわけだからさ」
 
――誰もが認める色でないといけないわけですね。
 
「そうだよ。仮に今の時代、金メダル=50万枚売ることだったら、やっぱりそれだけ売らなきゃいけないということよ。サボったらサボっただけ輝きは失われていくだけだしね。そんな風に思って作ったから、ある意味リアルな心情でもあるし、聴いてくれた誰かの励みになればいいなっていう感じ」
 
 
やっぱりリアルなものにはかなわない
歌詞と自分や日々の生活は直結しているから
 
 
――思えば、’00年代より前の作品は、映画のワンシーンを思わせるようなスタイリッシュでロマンチックな世界を描いた歌詞が多かったと思うんですが、『自分メダル』をはじめ最近は、心の闇というか奥底のドロッとしたものを描いた楽曲が増えてきているじゃないですか? これはやはり年齢を重ねてきたせいですか?
 
「うん、間違いなくそうだね(笑)」
 
――アハハハハ!(笑)
 
「やっぱりリアルなものにはかなわないよ。例えば、子供を育て上げるのはホント大変でさ、成人するまでに何でこんな金かかるんだろうって思うわけよ。そしたら世の中のどっかで誰かが悪いことをしてて、年齢を重ねるごとに社会の仕組みも分かってくるわけ。原発が爆発したら子供が一番影響を受ける。じゃあどうすればいいのか調べるじゃない? そしたら世の中のシステムが分かる。年を取ることや子育てを通じて物事をより深く知るチャンスがどんどん増えてくる。そりゃ自然と作風も変わってくるよ。やっぱり歌詞と自分や日々の生活は直結しているから、その時々の自分が出てくるのは当たり前だよね」
 
――日々の生活という意味では『家具を選ぼう!』(M-6)なんて、とても日常的なことを描いていますよね。
 
「きっかけはNHK-FMで俺がDJをやっている『ソング・アプローチ』って番組でね。俺が講師役になっていろんなJ-POPの歌詞を分析するんだよ。“この歌詞、どこにも着地してない”とか“こんな歌詞で泣ける人いんのか?”とか」
 
――言いたい放題ですね(笑)。
 
「そう、バンバン斬るんだよ。その番組では常に“同じラブソングでも視点を変えることで愛の形がずいぶん変わって見えるんだよ。だから、もう誰もが歌うようなアイラブユーは止めようよ”って言ってんのね。で、ある日、キッチンテーブルを買いにIKEAに行ったら、あちこちで口論が起きてるわけだ。“この幅のラックは入んないよ!”とか、“お前、ちゃんとイメージ持ってる?”ってね。そのやりとりを見てて思ったんだよ。男と女が家具ごときでこんなに熱くバトルするなんて、真剣に自分たちの生活や未来を考えているからで。2人で指輪を見に行ったとしたら、もっと穏やかでしょ? でも、それよりも俺は全然愛を感じたの」
 
――IKEAで人間観察をして歌詞のヒントにしてしまうところが…。
 
「そこがもう、詩人の俺ならではだよ!(笑) きっとみんなそういう光景なんて興味ないだろうし、口論なんて耳にも入んないでしょ。でも、2人で家具を選ぶことは2人で未来を作ることで、本人たちは気付いていないだろうけど、そんなやりとりが出来ることって、実は超幸せな瞬間なんだぜっていうね。すごくシンプルで分かりやすい話だよ。まぁ、ラジオで散々他人の歌詞について言ってる以上、俺が作るものはハッキリしていないとダメじゃん」
 
――ラジオで喋ることの影響は大きいと。
 
「デカいよ。だって一応、講師である以上、模範解答は持ってないといけないでしょ。“俺はこうなんだ!”っていうのがないと説得力ないもん。だからいいプレッシャーになったよ。番組をやってるおかげで、言い切る歌詞を作るにはどうしたらいいのか勉強もするし、何度も書き直す。レコーディングもギリギリまで引っ張って、納得出来るものになるまでとにかく直すんだよ」
 
 
“意地”だね
THE COLLECTORSが正当に評価されていない気がするんだ
 
 
――来年には結成30周年が控えていますが、ここまで足を止めずにこられた原動力はどこにあるんでしょうか?
 
「きっと“意地”だね。THE COLLECTORSが正当に評価されていない気がするんだ。ずっと平坦なまま来てピークを迎えてない、それが悔しくてね。悔しい想いだけでずっとやってきてる感じはする。やっぱり金メダルを手にするまでは辞められないよ…あ、でも(古市)コータロー(g)が先に死んじゃったら辞めるだろうな(笑)」
 
――(笑)。一蓮托生ですか。でも、やはりここ数年のTHE COLLECTORSはすごくおもしろいです。次はどんなことを歌ってくれるんだろうって。
 
「ホントおもしろいよね、自分でもそれは思うわ。多分『たよれる男』(『東京虫BUGS』収録)の中で“甲本ヒロト”って言葉を書いて歌ったことで、何かがハジけちゃったんだよ(笑)。もう、何でも歌えるわ、って。曲の中に誰かの名前を入れたいっていうのはずっと思ってて…生まれて初めて予約して買ったポール・マッカートニー&ウイングスのアルバムの中で、ポールが“ジミー・ペイジ”って普通に歌ってんのよね。それを15歳のときに聴いた衝撃が、今になってやっと形になったんだよ」
 
――点が線になって今の音楽人生につながっている感じですね。
 
「そうだね。だから自分の好みややりたいことは、結局やっぱり変わってない。もうちょっと大人らしく進化していくのかなって思っていたこともあったけど、何だかんだ言って、やっぱり15歳のときに好きになったものは絶対なんだよ。人間ってさ、多分10代半ばから後半くらいで、ある程度完成されちゃうんじゃないかな。このアルバムを聴いてると、15歳の加藤ひさしが棲んでるんだよ」
 
――そして、リリースツアーですが、結構本数もありますよね。
 
「今回は20本だからまだいいよ。前回は26本でさ…死んだよ(笑)」
 
――(笑)。来年の結成30周年、再来年のデビュー30周年に向けて何か考えていることありますか?
 
「ま、30周年っていうのも元気でやれる最後の周年じゃないのかなぁ?って(笑)。でも、考えてみてよ、次の周年のときには66歳だよ、俺。絶対に歌えている気がしないんだよね、『世界を止めて』(‘93)とか(笑)。だから、これが最後の周年になってもいいやと思えるくらい、30周年も一生懸命やるってことだよ」
 
 
Text by 森川和美
 




(2015年11月13日更新)


Check

Movie Comment

21枚作目を大家族に例える(笑)
加藤ひさし(vo)からの動画コメント!

Release

変わらぬスピリットと今言いたいこと
30周年に向けた21枚目の最新作!

Album
『言いたいこと 言えないこと
 言いそびれたこと』
発売中 2593円(税抜)
日本コロムビア/TRIAD
COCP-39234

<収録曲>
01. ガリレオ・ガリレイ
02. 自分探しのうた
03. Tシャツレボリューション
04. 深海魚
05. ガーデニング
06. 家具を選ぼう!
07. 永遠ロマンス
08. 始まりの終わり
09. 劇的妄想恋愛物語
10. SONG FOR FATHER
11. 自分メダル

Profile

コレクターズ…‘86年、加藤ひさし(vo)と古市コータロー(g)が中心となり結成。’87年、アルバム『僕はコレクター』でメジャーデビュー。幾度かのメンバーチェンジを経て現在は阿部耕作(ds)、山森JEFF正之(b)を加えた4人組に。結成以来、活動休止などは一切なく、日本屈指のモッズバンド、ブリティッシュビートバンドとして注目を集め独自のシーンを築き、the pillowsの山中さわおなど多くのミュージシャンにも支持されている。’15年9月16日には、21枚目のオリジナルアルバム『言いたいこと 言えないこと 言いそびれたこと』をリリース。来年’16年には結成30周年、’17年にはデビュー30周年を迎える。

THE COLLECTORS オフィシャルサイト
http://www.wondergirl.co.jp/thecollectors/

Live

リリースツアーもいよいよ終盤!
大阪公演が間もなく開催

 
『THE COLLECTORS TOUR 2015
"SUPER DUPER"』

【神奈川公演】
▼9月21日(月・祝)F.A.D YOKOHAMA
【埼玉公演】
▼9月23日(水・祝)HEAVEN'S ROCK Kumagaya VJ-1
【島根公演】
▼9月26日(土)松江canova
【岡山公演】
▼9月27日(日)IMAGE
【静岡公演】
▼10月1日(木)浜松FORCE
【香川公演】
▼10月3日(土)高松MONSTER
【神戸公演】
▼10月4日(日)神戸VARIT.
【京都公演】
▼10月10日(土)KYOTO MUSE
【広島公演】
▼10月11日(日)ナミキジャンクション
【福岡公演】
▼10月16日(金)DRUM LOGOS
【熊本公演】
▼10月17日(土)熊本B.9 V1
【北海道公演】
▼10月24日(土)cube garden
【青森公演】
▼10月31日(土)Quarter
【宮城公演】
▼11月1日(日)仙台CLUB JUNK BOX
【新潟公演】
▼11月3日(火・祝)GOLDEN PIGS BLACK STAGE
【石川公演】
▼11月4日(水)金沢AZ
【沖縄公演】
▼11月7日(土)桜坂セントラル
【愛知公演】
▼11月14日日(土)名古屋クラブクアトロ

Pick Up!!

【大阪公演】

チケット発売中 Pコード267-837
▼11月15日(日)17:00
umeda AKASO
オールスタンディング3900円
キッズ(小学生対象)2500円
(スタンディング)
清水音泉■06(6357)3666
※未就学児童は保護者同伴に限り入場可、小学生以上は有料。

チケットの購入はコチラ!
チケット情報はこちら

 
【東京公演】
▼11月22日(日)EX THEATER ROPPONGI

Comment!!

ライター森川和美さんからの
オススメコメントはこちら!

「ご縁あって、私が音楽ライターとしてまだペーペーだった22〜23歳の頃から取材をさせていただいてきたTHE COLLECTORS。このバンドの何が素晴らしいかって、まず30年間一度も休止することなく活動してきたこと。そんな底力ありまくりのど根性オヤジたちだからこそ、放つ言葉や音の説得力とリアリティたるや…もう、古寺に鎮座する苔むした庭石のごとし。愛を語ろうと、失恋を嘆こうと、人生を応援しようが悲観しようが、どんな歌にも泣けるポイントが満載で、どうにもこうにも沁みまくりなのです。そして幾つになっても躊躇なく“ベイベェ〜”だ“チュルッチュー”だのと堂々と歌えてしまうエンターテイナーボーカリスト加藤ひさし氏。一方、“自分、やれることやるだけっすから”的頑固一徹職人気質で愛器を掻き鳴らすロックンロールギタリスト古市コータロー氏。こんな対照的な2人が出会い一緒に音楽をやっているところも、もしかしたら奇跡なのかもしれません。フロアからステージに向けてリグレイチューインガムが投げ込まれるライブや、加藤氏がまとうユニオンジャック柄のスパンコールジャケットは、もはや伝統芸…ある意味日本の音楽シーンの歌舞伎! だから、やっぱり日本人なら、一度は聴いて観ておかないとダメなのです。泣けて、笑えて、ちょっぴりロマンチックな気分になれて、時に心の闇や隙間を容赦なく突いてくるTHE COLLECTORSは、日本の宝なのですから!(言い過ぎ?)」