バンド+アイドル+野球=がんばれ!Victory
全国ツアー開幕に向け“絶対生音主義”で邁進する5人の解体新書
“平成オールド・ロック”を目指すイノセントな新世代に迫る
はじまりのインタビュー&動画コメント
結成はなんと小学校6年生! バンドでありアイドルである、その名もハイブリッドな“バンドル”として、今年5月にメジャーデビューを果たした平均年齢19.4歳の5人組、がんばれ!Victory。いつの間にやらその“バンドル”に“野球”が結合した予測不能の化学反応で(笑)独自路線を突っ走る彼女たちだが、我が道を行くのはそれだけではない。 ディープ・パープルやAC/DC、ガンズ・アンド・ローゼズにMR.BIG他、ある世代以上が如実に反応するロッククラシックのDNAを宿した“平成オールド・ロック”なサウンドは、他のバンドともアイドルとも一線を画している。ただ、それを“やらされている”ならただのオワコンでしかないが、彼女たちが只者でないのはそのサウンドフォームをアイドル特有のオケではなく、天真爛漫の笑顔でバッシバシに生演奏する、驚異の“絶対生音主義”を掲げているところだ。そんな5人の地元・佐賀の地で育まれた純度と絆は、これからのバンドに、アイドルに、どんなハレーションを起こしていくのか? この特異なグループのルーツと成り立ちから、様々なミッションをクリアしたどり着いたメジャーデビューシングル『全力!スタート/夢のつづき』、現在の心境に未来像まで…これを読めば全てが分かる!? 間近に迫った全国ツアーに向けお届けする、がんばれ!Victory解体新書にして、はじまりのインタビュー。
舞い上がれないです。今までたくさん怒られてきたんで(笑)
――メジャーデビューは目標の1つだったとは思いますけど、率直にどうでしたか?
れな(g)「こうやって取材をしていただけるようになったりして、ようやくだんだん実感が湧いてきたなぁって」
しのぶ(b)「“メジャーデビューなんてすごいね!”みたいに言われても、なかなか実感として感じられなかったんですけど、そんな風に周りからの評価というか声がやっぱりあるので、“もっと気を引き締めて頑張らないとな”って」
――みんなすごいしっかりしてんな(笑)。舞い上がる感じじゃないね。
しのぶ「いや、もう舞い上がれないです。今までたくさん怒られてきたんで(笑)」
――全員19歳でデビューってすごいよね。でも、何せ結成が早過ぎるから。
れな「小学校6年生からなんで(笑)」
しのぶ「今年で9年目なんで(笑)」
――当時のみんなの夢として、例えば歌手になりたいとか、アイドルになりたいとか、どういうところからこのバンドは始まってるの?
しのぶ「みぃ(=g・みなみ)が誘ってくれたよね?」
みなみ「うん。先輩のバンドさんを観て、楽しそうだなぁって」
――先輩のバンドっていうのも、当時何歳やねんっていう話よね?(笑)
あやき(vo)「小…5?」
――アハハハハ!(笑)
しのぶ「元々、学校の担任の先生が趣味でバンドを教えられていて、その校内の発表会みたいなやつで観て。バンドのことは何も分からなかったんですけど、“何か楽しそう! 何かカッコいい!”っていうだけで、“ちょっとやってみらん?”ってみぃが言ってきたのが始まりで」
まゆこ(ds)「音楽室に、ドラムとかギターとかベースとかアンプがあったんで」
しのぶ「何かそれを触ってるのがカッコいいみたいな」
れな「最初は音が出ただけで感動するから」
――普通、小6ぐらいでやってる楽器って、ハーモニカか縦笛ぐらいやもんね(笑)。そう考えたらバンド始まりで、アイドル先行じゃないんやね。
れな「そうですね。割ともう、野原で遊ぶみたいな生活を送ってたので(笑)」
オーディションでバンドとか人前で演奏することを、初めて意識した
――そこで最初に10人ぐらいが集まって、半分が“たんこぶちん”として先にメジャーデビューして、残りがポンコツと呼ばれた“がんばれ!Victory”と(笑)。とは言え、キャリアを振り返るとすでに『ROCK IN JAPAN FES.2011』とかに出てるなんてすごいよね。
れな「でも、そこから変わったというか。それまではコンテストで賞をいただくことはあってもパッとしないというか(笑)。『TEENS ROCK FESTIVAL』のオーディションで九州大会に出たんですけど、そのときにバンドとか人前で演奏することを、初めて意識したようなタイミングでしたね」
――パートとかはどうやって決まったの?
まゆこ「挙手制、みたいな」
あやき「先生に紙を提出しました(笑)」
みなみ「私はベース志望だったんですけど、弦も太いし弾きにくいし、“お前の手はギターに向いてる”って言われて、じゃあって(笑)」
れな「私は親戚がギターをやっていたのもあって、結婚式でギターを弾かないといけなくなって先生に習ってて。向こうの方で何か賑わってるな~と思って行ってみたら、ちょうどパート決めをやってたんで、流れでギターに(笑)」
まゆこ「私は元々ピアノをずっとやってたんですけど、活発で力強いものが好きだったんで、じゃあドラムって」
――プロフィールには“すべての楽器を使いこなすVictoryの特攻隊長”とありますね。何でも弾けるの?
まゆこ「あぁ~(照笑)。みんなギターとかだと家に持って帰れるじゃないですか? けど、私は自宅にドラムがなかったんで、それがちょっと羨ましいなって並行して他の楽器も始めて、少し弾けますっていう程度なんですけど」
――でもね、ドラムが一番マルチでいろんな楽器が弾ける人って結構多いですね。歌も上手かったり。
あやき「上手いです! コーラスもやってますもんね」
――そんなまゆこちゃんのキャッチフレーズが、“佐賀のゴジラ(松井)”って何?(笑)
まゆこ「前にダイエット企画があって、私がサボって55キロになったときがあったんですよ。そしたら野球つながりで、松井(秀喜)さんの背番号が55番っていうことで、じゃあ“佐賀のゴジラでよくない?”みたいな(笑)」
――しのぶちゃんの“風邪気味お母さん”は?
しのぶ「もう単純に風邪をよく引くんですよ。本当に、月に2回ぐらい引いてて(笑)」
――アカンやん!(笑)
今どきの音楽にオールド・ロックの要素を入れて、私たちらしさを出せたら
――音楽性に関しては“平成オールド・ロック”ということで、同世代と聴いてる音楽が違い過ぎるでしょ?(笑)
れな「中学校2年生のときに、オリジナル曲じゃないと出せないオーディションに向けて、先生にアドバイスをいただきながらみんなで曲を作って。その曲をライブで披露する度に、おじさまたちに“渋いね”とか“ちょっと古いね”っていう言葉をいただいて、それが自分たちの中にすごく残ってて。じゃあそれがバンドの色になればいいなって思うようになってから、昔の曲とかを聴いて勉強するようになりました」
まゆこ「私たちぐらいの歳だったら、本当はJ-POPが基準なんだと思うんですけど、その先生から教えていただきながら作った根本的なものが、ちょっとオールドロック寄りだったんで、多分今こういう状況になってるのかなって」
――その先生の影響力はすごいね。
しのぶ「先生から“これ、お前らによさそうやけん聴いてみろ”って、70年代とかのCDをいただいたりして。“これが私たちの色に、武器になるのかなぁ”みたいな感じで、聴くようになりましたね」
――メジャーデビュー曲の『全力!スタート』も、本当にデビュー曲にピッタリな曲で。あと、ガンズ(・アンド・ローゼズ)の『スウィート・チャイルド・オブ・マイン』(‘87)ちゃうんかい!”っていうようなリフ(笑)。
まゆこ「私が最初に曲を作るんですけど、例えばガンズっぽいフレーズを入れたり、今どきの音楽にそういうオールド・ロックの要素を入れて、私たちらしさを出せたらって。お客さんもノレる前向きな曲調にと思って作りました」
――ライブも観させてもらいましたけど、5人で“キャハハ~”って笑いながらバッシバシに演奏出来てるからすごいなぁって(笑)。歌詞はどうしてるんですか?
まゆこ「『全力!スタート』は最初あやきに頼んで、それにみんなの意見を取り入れて、変えて変えて、みたいな感じで。最初に軸を一応作ってもらって作る」
――なるほどね。あと、あやきちゃんはボーカルやのに喋らなさ過ぎやろ(笑)。
(一同笑)
あやき「あ~よく言われます(笑)」
しのぶ「さっきラジオの収録があったんですけど、そのときも“喋らな過ぎ”って言われ(笑)」
あやき「喋るの苦手なんですよ。だからいつもしのぶに頼んでる(笑)。歌うのは好きだったんですけど、人前に立つのは実は超嫌いで。親にも“何であんた楽器じゃなくてボーカルを選んだの?”みたいに反対されて。“だって他の楽器はみんながするって言ってるもん! みんなとバンドやりたいの!”って泣きわめいたら、やらせてくれました(笑)」
――デビューシングルが出来たときって何か思いました?
れな「上京するちょっと前に作曲を始めて、今までは“作りたいね”とか“出来たね”だったんですけど、だんだん締切があるようになって、自分たちで絞り込むようになって。最初は慣れなかったんですけど、ライブで新曲をやるとやっぱり喜ばれるし、何かすごい楽しいなぁって。『全力!スタート』は全くのオリジナルで、レコーディング的にも、曲のスキル的にも以前よりレベルが上がっていて、歌録りも歌詞も最後まで悩んで、結構苦戦したというか。過程が濃かったので、出来たときはすごい嬉しかったですね」
しのぶ「『全力!スタート』のMVには元阪神の亀山努さんに出演していただいたんですけど、もうすごく優しい方でした。ヘッドスライディングも生で見せていただいて」
まゆこ「私たちもしました、ヘッドスライディング(笑)」
――あとジャケットもね、初回盤、通常盤に加えて、あざとくメンバー盤の5種もあって(笑)。
れな「そうなんですよ(笑)。あと全部中身が違うので」
しのぶ「(『全力!スタート/夢のつづき』の)メンバー盤には、それぞれが作詞作曲してお蔵入りになってた曲をデモ音源のまま入れてるんですけど、れなの作った曲でみなみのお気に入りの曲があって、ずっと入れて欲しいって言いよったんよね」
みなみ「はい。私のヤツに入ってます(笑)」
アイドルの曲の方がロックな曲が多い
――ちなみに、普段から音楽はよく聴きます?
全員「聴きます!」
れな「もう本当にすぐに引き出しがなくなっちゃうので(笑)、すごい聴きますね」
まゆこ「私は最近、スイサイダル(・テンデンシーズ)とかを聴いたり」
――アハハハハ!(笑) マジで!?(笑)
まゆこ「ブルックス・ワッカーマン(ds・バッド・レリジョン)がカッコいいなぁと思って、その辺りとか。あとは、今どきのアイドルさんの曲を試聴したりもします。こだわり過ぎるとやっぱりそっちに傾いちゃうんで、いろんなものを聴いてますね」
れな「私はエアロスミスが好きなんで、ずっとそればっかり聴いちゃうんですよ。だから、いろいろと携帯に音楽を入れるようにしていたら、シャッフルでシルヴァー・サンが流れて、“カッコいい!”って思った曲があって。一番最初に作った『NIJI』っていう曲に似てる曲で、『NIJI』ももうちょっと色を付けたらこうなるかなぁ?って、すごく親近感が湧いて好きになりました」
――今までの話を聞いていると、純粋にバンドでいいのではとも思うけど、アイドルとしての立ち位置みたいなものが出てきたきっかけは?
れな「やっぱり今、アイドルさんがすごく盛り上がってるのもあるし、アイドルの曲の方がロックな曲が多かったり、清楚なだけじゃなくて泥臭かったり、年齢的にも楽曲的にも、自分たちにも取り入れられるような…それも生で演奏が出来たら、すごく魅力的なんじゃないかなって。アイドルイベントに出させてもらえるようになって、本当に実感しました。最初は全然そういう世界を知らなかったんで戸惑いはあったんですけど、やっぱりライブの盛り上がりはすごいなって。すごくいい景色を観させてもらったので、どっちも行けるようになったらいいなぁって」
しのぶ「それこそバンドの現場でも、アイドルの現場でも、通用するグループになりたいと思うようになって。どっちもすごく盛り上がってるし、声を出したり拳を突き上げたり、ライブを楽しむというところは変わらないんだなって。だからどっちにも出て行って、楽しんでいただけるようになったらいいなぁと思います」
――っていうのは納得するとして。
しのぶ「はい!」
――野球は要るん!?(笑)
(一同笑)
しのぶ「そうなんですよ~(笑)。本当に一番最初は、単純にマネージャーさんが野球好きだからそうなったって聞かされてたんですよ。さすがに活動のコンセプトを決めるのにそんな簡単な理由アリ!?って(笑)。でも、改めて聞いてみたら、野球ってたくさんの人から愛されてるスポーツだから、がんばれ!Victoryも、そういうグループになれと」
――なるほどね。でも、後から思い付いた理由かもしれんな(笑)。
(一同笑)
しのぶ「あ~確かにそうかも(笑)」
れな「そうですね。この1年間、何で野球なのか知らなかったから(笑)。その理由も最近聞いたんで」
しのぶ「ポジションも何も分からなかったよね? ファースト? セカンド?みたいな」
れな「そしたら“余りにも知らな過ぎる!”って言われ、みんなで試合を観に行こうって。阪神VSヤクルトを神宮球場に観に行って」
まゆこ「ちゃんと阪神のユニフォームを着て、耳も付けて応援しました(笑)」
――またライブ会場とは違うエネルギーがありますよね。
しのぶ「すごいですよね。応援する皆さんの熱気が」
まゆこ「前のおじさんたちが、おらぁ~っ! 打てやぁ~っ! ってめっちゃ言ってて。すごい熱いなぁって(笑)」
――バンドという自分たちがやってきたこと、音楽におけるアイドルという盛り上がってるシーン、日本の国民的スポーツである野球が合体したら、最強やな(笑)。あと、リリース毎に“出来高制”のおもしろ企画があったりするのもいいですね。ただ、かつてのダイエット企画では5名中3名が失敗って、成功する気なかったんちゃう?(笑)
れな「すごい言われる(笑)」
――アハハハハ!(笑)
しのぶ「それで“お前らが一番嫌がることをしよう”みたいになって、改名(※)になっちゃったんですよ」
(※)…Victory→がんばれ!Victoryへと改名
れな「スタッフさんも驚かれたらしいです。“さすがに名前は変えたくないから痩せると思ってたよ”って(笑)」
まゆこ「でも、私は“がんばれ!”が付いたことで、おもしろく受け入れてもらえることが出来たので。ちょっと失敗しちゃったのはあるんですけど、ポジティブに考えたら改名してよかったのかなってすごく思います」
いろんなところに爪痕を残していけたら
――そして、がんばれ!Victoryは“絶対生音主義”ということで、去年は年間200本もライブをしたと。
しのぶ「1週間毎日ライブとか。そのリハもやるので、もう本当に毎日毎日ライブしてる気分でしたね、去年は」
まゆこ「しかもダブルヘッダーも結構ありましたし」
れな「お客さんだけじゃなくて、会場によってもすごい雰囲気が違うんですけど、200本もやると、慣れてだんだん大丈夫になってきて(笑)」
しのぶ「ちょっとのハプニングにも動じなくなったり」
――佐賀から東京に上京してからも1年ぐらい経ちますけど慣れました?
れな「まだ街に1人で、ライブ会場に向かうときなんかは、結構緊張します(笑)」
まゆこ「渋谷とかでも方言バリバリの大きい声で“何とかだっちゃけど~!”とか喋るんですけど」
あやき「おばちゃんがよく振り返る(笑)」
れな「楽屋とかでも、対バン相手の方に“九州の方ですか?”とかすごい言われて、“あ、バレてる”って(笑)」
――ちなみに、今までに解散の危機とか、ピンチはありました?
しのぶ「あ、もうめっちゃありました(笑)」
(一同笑)
しのぶ「私たちは小学6年生から常に一緒にいるので、あんまり言い合いというか話し合いをしてこなくて、その重要性もあんまり分かってなかったというか。上京してからスタッフさんに“だからちょっとしたことで誤解が生まれたり上手くいかないんだよ”って言われて。そこから深夜まで話し合いをするようになって、もうみんな号泣(笑)。それでちょっとずつちょっとずつ出来るようになってきた感じですね」
――友達同士で始まったことが、今はチームになって、お客さんも含めていろんな人が夢を重ねて。背負うものがありますもんね。それじゃあ最後に、今年の目標をそれぞれにもらろうかなと。
まゆこ「メジャーデビューしてどんどん知ってもらう機会も増えると思うので、いろんなところに爪痕を残していけたらなぁって。大っきい会場でも小っちゃな会場でも、自分たちの力を120%引き出して、ライブが出来たらなってすごく思います」
あやき「ポンコツなんですけど、ちゃんとフロントマンとして、バンドの良さをお客さんに伝えていけるように頑張りたいと思います」
しのぶ「まだまだ名前も知られてない状態なので、いろんなところでライブをやって、がんばれ!Victoryを覚えてもらって。9月にはワンマンライブも控えているので、そこにたくさんお客さんが来て欲しいなと思うし、私はMCをする機会が多いので、喋りの部分でもこのバンドの良さをドンドン伝えていけるようになったらいいなと思ってます」
れな「いろんな挑戦を今させてもらえてる時期なので、周りの皆さんに支えられながら、その勢いにちゃんと自分たちも乗っかって、引っ張っていけるようになれたらいいなぁって。せっかくのデビューの年だしどんどん盛り上がって、一歩ずつ進んで行けたらなって思います」
みなみ「たくさんライブして、ファンの人をいっぱい取り込んで、年末とかにはワンマンツアーもやりたい!」
――Tシャツの背中にツアースケジュールを載せたいね~。
全員「載せた~い!!」
――いつかそのスケジュールがズラーッと並ぶことを目指してね。本日はありがとうございました!
全員「ありがとうございました~!」
(2015年9月 4日更新)
Check