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「10年も歌を作ってきたら、自分の歌で当時の想いが
 フィードバックしてきたりします」
6年ぶりのアルバム『ARIGATO DAYS』発売に伴うワンマンを前に
佐合井マリ子が10年間の想いを語るインタビュー

 関西を中心に活動しているシンガーソングライター・佐合井マリ子。地元の滋賀県では、テレビ出演やFMのレギュラー番組を持つなど人気を集めている彼女が、6月18日(木)に6年ぶりのフルアルバム『ARIGATO DAYS』を先行発売、南堀江knaveでワンマンライブを行う。地道に活動を続けてきた彼女が、この10年で見付けたものとは――。

 
 
本当にあっという間の10年間でした
 
 
――振り返ってみて、この10年はシンガーソングライター佐合井マリ子にとってどんな時間でしたか?
 
「本当にあっという間の10年でした。自分としてはあまり変わった感じはしないのですが、周りからは“声が変わった”とよく言われますね。そうかなぁと思って3~4年前の音源を聞き直してみると、“本当だ、変わってる”、みたいな(笑)。あとは、当たり前ですが若かった(笑)。今でも昔の歌を演奏すると、そのときの自分の環境や心理状況を思い出します。学生時代に聴いていた音楽が流れていると、その当時のことを思い出したりするじゃないですか? “あぁこのとき、こんな恋をしていたなぁ”とか、“あんな辛いことがあったなぁ”とか。10年も歌を作ってきたら、自分の歌で当時の想いがフィードバックしてきたりします」
 
――音楽性も変わった?
 
「根本的には変わっていません。こういう自分でありたいとか、人間として大きな心を持ちたい、というようなシンプルな世界観。無理矢理アイデアを振り絞って曲を書くというより、そのときにふと浮かんだことを曲にしていくスタイルも変わらないです。いろんなキャンペーンソングのお仕事をいただく場合は、テーマがあるのでそこから膨らませて曲を作るんですが、自分の曲は無理には作れません。音楽家として、たくさんの曲を作らなければならないことは分かっているのですが、それではなかなかいいものは生み出せない。この10年でそれに気付きました」
 
 
『地球兄弟』という曲に出会えたことは
私の音楽人生において、とても大きな出来事でした
 
 
――’06年に河口恭吾が発起人となり始まった『地球兄弟プロジェクト』に参加されました。このプロジェクトは、市民一般を対象として、楽曲『地球兄弟』を通じ平和活動や国際協力の推進に寄与するもので、今でもライブでほぼ欠かさず歌われていますね。
 
「そうですね。『地球兄弟』という曲に出会えたことは、私の音楽人生において、とても大きな出来事でした。それまでは、自分の心の中から出た言葉を歌っていたのですが、それが正しいのかどうか不安がありました。でもこの曲は、楽曲を通じて平和を考えてもらうという、アーティストの使命のようなものを明確に教えてくれました。この曲は、私が歌うことの糧になっています。でも、『地球兄弟』は河口さんの曲で、自分のものではない。だから、この曲は私にとっての壁のようなもの。これを超えるものを作らなければならないと思っています」
 
――地元では、びわこ放送の人気番組『びわ湖カンパニー』(金曜24:15~25:10)で司会を務める川本勇から“ミスびわこ”と呼ばれるなど、地元タレントとして一定の地位を築いたのでは?
 
「おかげさまで、私の声と音楽はよく聴いていただけているみたいです。でも、顔は意外と知られていません(笑)。先日、草津で商業施設内のキャンペーンがあって歌わせていただいたのですが、リハーサルが終わって会場付近にいたら、お年寄りの男性に“今日はここで何があるの?”と聞かれたんです。それで私が“佐合井マリ子っていうシンガーソングライターが歌うみたいです”と言ったら(笑)、“へぇ~佐合井さんがくるんかいな!”ですって。“それ、私です”って言いそうになりましたもん(笑)」
 
 
“やっぱり私には歌しかない、続けていかなければならない”
 
 
――そして、佐合井マリ子は、これからどういう道に進んでいくのですか?
 
「実は自分のことが、まだよく分かっていないんです。曲作りはある意味、自分自身を探す旅のようなところがあります。だから、自分の中から言葉やメロディが湧き出てくる以上は、おばあちゃんになっても歌い続けていくでしょうね。今までも、ライブハウスにお客さんがほとんどいなくて、寂しい思いをしたことが何度もあります。“このまま続けていっていいんやろうか”と悩むこともありました。でも、そういうときに必ず声をかけてくれる親族やスタッフ、それからファンの皆さんがいた。“佐合井さんはやっぱり、歌ってないとね”と言われると、“やっぱり私には歌しかない、続けていかなければならない”と思います」
 
――6月18日(木)南堀江knaveでは、記念すべき10周年ライブがあります。先行発売されるアルバムも楽しみです。
 
「私は、特別なことをやるみたいなのが、どうも苦手みたいなんです。確かに10年は区切りの年ですが、自分としてはいつも通りです。もちろん、バンドにも手伝ってもらって、ちょっと贅沢な感じにはなりますよ。アルバムには何曲か懐かしい曲も入れましたし。でも、昔からのテーマは変わりません。佐合井マリ子の音楽を聴いて、前より少しでも元気になって欲しい。それが、私の生きるテーマなのかも知れないですね」
 
 
Text by 清水智宏

 

 



(2015年6月 8日更新)


Check

Release

ワンマン当日に先行発売!
6年ぶりのフルアルバムが堂々完成

Album
『ARIGATO DAYS』
6月24日(水)発売
2500円(税込)
デフレンシャルレコーズ
DEFR-3513

<収録曲>
01. 春夏秋冬
02. 京阪のうた
03. シャイニングサイクルスター
04. 憧れの街へ
05. それでも星は瞬いて
06. 宝箱
07. 地球はまわる
08. Summre Girl
09. 道標
10. 風になった人

Profile

さごい・まりこ…滋賀県出身。3歳の頃、母親に強引に連れて行かれた音楽教室で、音楽に触れ始める。中学生の頃、姉に強引に誘われ吹奏楽部へ入部。高校に進学しても、先輩に強引に誘われ吹奏楽の道へ。いつしかピアノは親友だと一方的に思い始め、音楽の学校へ。卒業後、自分なりに音楽を表現したいと作った曲が予想外の大反響を呼び、’05年よりシンガーソングライターとして活動を開始。『地球温暖化防止フェア』、『スポレク滋賀2008』、つるやパン、草津市こども環境会議等数々のテーマソング・イメージソングを担当し、関西主要FM局でのレギュラーの他、滋賀・草津のコミュニティーFM・えふえむ草津では、自身プロデュースの番組『佐合井マリ子のCaddy Spoon』(火曜13:00~14:00)を、USTREAMでは『Caddy Spoon USTREAM』も放送中。また、河口恭吾が立ち上げた『地球兄弟プロジェクト』に参加するほか、スガシカオ、高野寛、増田俊郎、是方博邦等のミュージシャンをはじめ、陶芸家の福田藍や花作家かわしまよう子、落語家の桂かいし、劇団ドクターイエロウ等、多岐にわたるアーティストとも共演。滋賀が誇るご当地グルメ“サラダパン”を製造する、つるやパンの“つるやパン大使”に任命され、’14年より滋賀県草津市のPR大使“KUSATSU BOOSTER”としても活動中。滋賀県の観光親善大使にも就任予定の、地元滋賀をこよなく愛するシンガーソングライター。

佐合井マリ子 オフィシャルサイト
http://www.deflectial.com/351/


Live

バンドを従えた10周年を彩る
アニバーサリーワンマンが間もなく!

 
『SAGOI MARIKO SPRCIAL LIVE
 ARIGATO DAYS』
チケット発売中 Pコード261-138
▼6月18日(木)19:00
南堀江knave
自由席3000円
南堀江knave■06(6535)0691

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チケット情報はこちら


Comment!!

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「彼女の歌声を聴いたのは、今から16年ほど前になる。当時の彼女は話すと何だかフワフワした感じで超天然なイメージだった。しかし、10年前にソロシンガーとなり、その雰囲気とは対照的なラブソング『涙』という歌を聴いたときに驚いた。決して上手くはないが、その唯一無二な深みのある声と、シンプルなメロディのギャップに、シンガーソングライターとしてのポテンシャルを感じたものだ。そして、今年5月、久しぶりにライブを訪ねた。10年経っても変わらない純粋な言葉とメロディ。日々の生活の中でふと見過ごしてしまうような幸せの欠片を集めた世界観は変わらない。しかし、その歌声は、別人と言っても過言でないほど変わっていた。低音の音圧は暖かく、伸びやかな声は心地よい。ともすれば佐合井マリ子の楽曲に、声がようやく追いついた感さえする。10年の月日は彼女を紛れもないシンガーにした。新たな佐合井マリ子の出発とも言える今回のライブ。進化し続ける彼女の歌が待ち遠しい」