nano an aperture、ウルトラタワー、SHE’S、SAPPY、
オカダユータが、様々なベクトルでフレッシュな魅力を爆発させた
『音エモン』presents『LIVE BURGER next vol.1』をレポート!
深夜の音楽番組『音エモン』のチョイスにより、春夏秋冬を通じてネクストブレイク必至のアーティストを一同に集め人気を博したライブイベント『ニューエモンLIVE』が、よそいも新たに『LIVE BURGER next』へと衣替え! その記念すべきvol.1には、nano an aperture、ウルトラタワー、SHE’S、SAPPY、オカダユータと、エレクトロでハイパーなバンドサウンドから、グッドメロディな歌モノ、エモーショナルなピアノポップまで、関西から全国へと発信する有望株がズラリ。転換時には新たにFMOSAKA『なんMEGA!Z』(金曜18:00~19:00)のDJ小早川秀樹のナビゲートによるトークコーナーも交えつつ、様々なベクトルでフレッシュな魅力を爆発させた、大阪・天王寺のROCKTOWNでのライブをレポート!
記念すべき『LIVE BURGER next vol.1』のオープニングを飾ってくれたのは、現役高校生による軽音楽部の甲子園『スニーカーエイジ』でグランプリを獲得した
LUCKだ。物怖じしない伸びやかなツインボーカルで聴かせた『LUCK~はじまりの唄~』で、新たな歴史を刻み始めたこのイベントに華を添える。1人は語学留学で不参加というのもいかにも高校生らしい。本日は1stミニアルバム『LUCK』のリリース日ということもあって、続く切なきラブバラード『向日葵』といい、その収録曲から惜しみなく披露。“皆さんは電車の窓に映った自分を見たことがありますか?”と電車のSEをバックに切り出した『電車(仮)』は、クールなロックナンバー。オープニングアクトゆえ3曲と短い時間ではあったが、キュートな魅力はそのままに、確かな可能性をステージに残してくれた。
クールな転換ビジュアルに否が応にも期待が高まる中、メンバー紹介を兼ねたクールなSEを背に、色とりどりのカラフルな衣装に身をまとってステージに登場したトップバッターは、
nano an aperture! 真紅の照明の中、ノイジーなギターとサイバーなシンセが入り乱れて突入した1曲目は、彼らの代表曲であるポップでキラーな『パラレルワールド』!! 前途有望なアクトと言えども、それぞれキャリアを積んだ歴戦のプレイヤー揃いのメンバーだけに、しょっぱなからハイクオリティなバンドサウンドをフルドライブさせるトップギアのライブを展開。
「『LIVE BURGER next vol.1』盛り上がってますか~!?」と煽った後は、ハイスピードチューン『SOS』、エレクトロなダンスナンバー『プラシーボ』、パーカッシヴなビートに突き動かされる『彼是サラウンド』と怒涛の3連発! そして、最後は切なき『ココログオン』でエンディングへ。曲中に湯浅(vo&g)が語った「僕らが音楽をやり続けて、みんなが音楽を好きでい続けてくれたら、きっとまたどこかのライブハウスで会える」というMCには、ライブシーンを生き抜いてきた彼らのバンド哲学の全てが込められているようだった。
ウィルコの『You Never Know』のSEを背に、暗闇の中から大濱(vo&g)の弾き語りで始まった『世界が終わる夜に』のオープニングから、
ウルトラタワーの歌ヂカラにもう鳥肌。ロックミュージックにジャストフィットする独特の揺らぎのある歌声を幹に、ド真ん中のメロディとエネルギッシュなギターがその枝を伸ばすように楽曲を形成。これぞ歌モノロックバンド然とした堂々のステージは、世に蔓延するトリッキーなフックと高速四つ打ちビートにサーフする凡百のバンドとは、まるで別の道を歩んでいることを感じさせる。続く『勇者さん』は、牧歌的なリズムに乗るひと際ハイトーンなボーカルにグッとくる。平柿(b)がボードを手に司会のように先導するメンバーとのMCにも(笑)、その人柄が現れていて好感が持てる。
後半戦は「全ての乙女たちに捧げます」(大濱)と現在レコーディング中の新曲『RUBY SPARKS』を披露。ギターのリフが物語を描く『yellow baby』、そして「最後に1曲、すごく大事な曲を聴いてください」と『さよなら』へ。短編映画のような風景が浮かぶ珠玉のミドルバラードは、オーディエンスの胸にしっかりと残ったに違いない。
荘厳でクラシカルなSEをバックに、ステージ中央で円陣を組む4人。3組目の登場となるのは、ピアノロックバンド
SHE’Sだ。きらびやかな調べが奏でる切なきメロディ、ドラマティックな曲展開とコーラスワークが、彼らの個性を際立たせる『Voice』でライブはスタート。続く『フィルム』といい、そのバンドの形態ゆえの特異性とは異なる確固たる世界観で、若きバンドシーンにおいて独自の輝きを放つ理由を明示。「天王寺でのライブは2年ぶり」と言う彼ら。最新作『WHO IS SHE ?』から披露した『彼方』では、りょーま(vo&key)が冒頭アコースティックギターにスイッチ。よりタフさと強靭さを感じさせるバンドサウンドは、このバンドの未来を示唆するように響く。『信じた光』でも畳み掛けるようなスリリングなビートでグングン加速していく。そして、最後は『光灯の右手』。
「『LIVE BURGER next vol.1』ということで、イベントの1回目に出させてもらってますけど、何かを積み重ねていくことは結構大変なことで。バンドを始めていろんな人と出会ってきて、ライブの度に愛おしい時間になる。全てがイヤになったり不安になったり逃げ出したくなることはいっぱいあったけど、生きてりゃ何とかなるのも音楽から教えてもらったから。だからライブの最後には、この歌を歌うんです」
楽曲に引き込まれたオーディエンスの表情が、拍手が、彼らの想いがしっかりと届いたことを物語っていた。
真っ赤な光を浴びながらギターをかきむしるtaru(g)、パッドを叩きまくるsappi(vo&key)、絞まったビートを転がすみよす(b)と、ライブの冒頭から三者三様のパフォーマンスでアイキャッチしたのは、男女混合エレクトロドリームポップバンド、
SAPPY! ミラーボールよろしくファンタジックに魅せた『Ivy』、どこかファニーなポップソング『Youth』にしても、フレーズやサウンドメイクの端々に80sディスコフレーバーを今の感覚でアップデートしたような最新のビートが、そこはかとなく機能。SAPPYブランドの信頼の肌感覚が伺える。
MCでは「今の『Youth』という曲は『音エモン』の5月のエンディングテーマに選んでいただいて。皆さん見ていただけましたか?」とオーディエンスを喚起。『ボーダー』では一転メランコリックな世界観で聴かせ、「この魂の歌が届いたらいいな」と歌い上げるsappiのポップアイコンたる姿に、オーディエンスもグッと引き込まれる。そして、「ここからアガっていきましょう、踊っていきましょう、これがダンスミュージック!」と『weekend』『Dance XX』と、打ち込みとバンドサウンドを行き来する変幻自在のサウンドで、『LIVE BURGER next vol.1』のハイライトとなるライブを見せてくれた。
そして、『LIVE BURGER next vol.1』のエンディングを飾るのは、この日唯一のシンガーソングライター、
オカダユータ! 気心知れたバンドメンバーを引き連れ鳴らした最初の一音から、彼がこの日のトリである理由が伝わってくる。オープニングナンバーは『lullaby』。楽曲提供も手掛ける彼だけに、そのクオリティは品質保証済み。だが、自身の楽曲の根底に熱く流れるのは、決して短くはないキャリアで経験した、多くの苦難と幸福。だからの彼の歌は、ただのポップソングでは終わらないのだ。「ROCKTOWNの皆さん、最後まで残ってくれてありがとうございます!」と挨拶した後は、この日出演した全アクトをねぎらう心遣いも見せつつも、噛んでしまうのはご愛嬌(笑)。大人のダンスナンバー『ジレンマ』でも、会場の最後方まで突き刺さる歌声をしっかりと聴かせてくれる。そして、「今日は初めから今までいい音楽が溢れてたじゃないですか。だから帰りに空を見上げたら、きっとキラキラした星空が見えると思うんです」と披露した『星の夜』、そして、「1つ夢が終わったからって、この旅が終わったわけじゃない」と歌った、彼の最新アルバムの表題曲であり、代表曲であり、まばゆいばかりの可能性を秘めたミドルバラード『希望風』に、会場は思わず息を呑む。ラストは、名曲『僕のすべて君のもとへ』。いつまでも鳴り止まない拍手が、この日の素晴らしいフィナーレを彩ってくれた。
最後に彼が
ブログにしたためた、このライブの前々日の一節をここに記そう。“29日のバンドライブをイメージをし山ほどのコーヒーを飲みました。僕には音楽しかありません。趣味も夢も目標も生きがいも自負も悩みも喜びも。だから僕は音楽で恩返ししようと思うのです。精一杯いい歌を書いて色んな場所で自分の歌を歌い、音楽が導いてくれたみなさんに、なんどもお返ししたいと思うのです”。
新たな才能との出会いのきっかけを生む『LIVE BURGER next』、今後も乞うご期待!
Text by 奥“ボウイ”昌史
Photo by はやしまこ(maco-j)
(2014年9月 5日更新)
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