バンド最大の危機を乗り越え劇的トランスフォーム!
復活LEGO BIG MORLが掲げるニューモード『RAINBOW』以降
怒涛のライブデイズを展開中の進撃の4人に問う
メンバー全員インタビュー&動画コメント
lego big morlからLEGO BIG MORLに改め、心機一転リスタート。昨年2月にタナカヒロキ(g)が不慮の事故に遭い、表向きには活動休止状態が続いていたLEGO。心配されていた怪我の治療とリハビリを終えたタナカが無事に復帰し、今年になって4人揃っての活動が再開された。そんな彼らが直面した試練と「このままじゃ終われない!」という気概を生々しくて提示した配信曲『Wait?』に続き、この春には移籍第1弾となるシングル『RAINBOW』をリリース。爽快なメロディラインと軽やかなループ感が結合した表題曲をはじめ、「闇から光に向かいたい」という起死回生の想いを見事に昇華。リリース後は全国各地で精力的にライブ活動を展開。10月にはニューアルバム『NEW WORLD』のリリースもアナウンスされ、理想的なチームワークで新たな進撃を開始した4人に、復帰までの経緯と今後に向けての意気込みを聞いた。
次のLEGOのテーマとして
“ループ”とか“トランス”がキーワードとしてあった
――昨年、タナカ(g)さんの不慮の事故で表立ったバンド活動を休止してから、今年約1年ぶりに活動再開するまでの経緯をお聞きしたいのですが。
ヤマモト(b)「事故の次の日がライブだったんですけど、それはやろう!と、すぐにみんなで決めました。待っていてくれる人のためにも活動をストップせずに、LEGOの音を届けたかったんです。それから、九州から北海道まで各地を3人でまわって、その動画を(タナカ)ヒロキに見せたりしていましたね。いつ復帰出来るか定かではなかったけれど、いつ戻ってきたとしても、ただ“良かったね”で終わらせるのはイヤだったし、事故の前ぐらいからメンバー間で新しい音を模索していて、LEGOらしさということをすごく考えていた時期でもあったので。この機会に、それをより深いところまで見つめ直そうということになって。入院している間は曲作りをするしかなかったし、僕は個人的にはすごく前向きでしたね。世の中的にはLEGOの活動が止まっているように見えたかもしれないけれど、自分たちとしては熱量が徐々に高まっていってたんです」
アサカワ(ds)「地方ライブが終わってから、シンタロウ(ヤマモト)とキンタ(=カナタ(vo&g))が2人でデモを作るようになったんです。その時点で昔のデモと全然違ってきっちり作られていて、これはカッコいい曲になりそうだなと思いましたね」
――そんな苦境に立ったときも前向きな姿勢で取り組めたというのは、バンドにとっても大きい力になりますね。
ヤマモト「デモの制作に入った段階で、自分らの次のモードがこれなんじゃないかっていうのが、すぐ音として形になったのも大きいと思います。以前やっていたように4人で音をぶつけ合いながら曲作りしていくことが出来ない状態だったので、キンタと一緒にパソコンでPro Toolsを主体に曲作りするようになったんです。次のLEGOのテーマとして、“ループ”とか“トランス”がキーワードとしてあったので、僕が持っていったものをキンタが広げて、そこにメロディを衝動的に乗せていく形で出来上がっていきました」
――それは作品になっているんですか?
ヤマモト「それが今回のカップリングの『絶望は希望よりも美しい』(M-2)ですね。曲作りに入った初期の曲です」
――カナタさんはどんな心境でしたか?
カナタ「シンタロウと一緒にずっと作業していたので、ベースがこう弾いているからギターはこう弾こう、こういうメロディを乗っけてみようっていう風に、1つ1つ理解しながら重ねて作っていったから、自分的には分かりやすく音楽を作れて気楽でもあったなって感じですね」
ヤマモト「元々はキンタが主体で曲を作ってたんですけど、僕が持ってきたものに関しては、よりフラットに自分の音を入れることが出来のかなと思います」
――そうやって着々と活動再開に向けて曲作りをしていってたんですね。
カナタ「アルバムを作るつもりで曲を作ってたから」
ヤマモト「そうそうそう! それでだんだん曲も出揃ってきて、ヒロキの怪我の回復も見えてきたので、その第1弾としてどの曲を出すかっていう話しをしながら、何曲かレコーディングもしていました」
――タナカさんは心身ともにどんな風に回復されていきましたか?
タナカ「事故の直後はだいぶ落ちてましたけど…身体の方はとにかくリハビリ次第ということを先生が仰ってくれたので、言われた通りリハビリにはほぼ毎日行っていましたね。手術も何回かしましたが、途中からギターを弾くことがリハビリにもなっていました」
――そういう過程で、気持ちを前向きにさせてくれた一番のきっかけは何だったんでしょう?
タナカ「それはやっぱりデモですね。1ヵ月入院している間にデモが数曲届いて、“早っ!”って思ったしクオリティも高くて、明らかに新しい音が鳴っていたので。パソコン上で1コーラス作るっていうのは今までになかったことで、それにもビックリしたんですね」
音の鳴っていない余韻をどう気持ちよく感じられるか
――デモを作っていく中で、“ループ”や“トランス”というキーワードが出てきていましたが、それはどこから?
ヤマモト「今までは4人で音をぶつけ合っていたのが持ち味で、そこにキンタの作るストレートでポップなメロディが乗るのがLEGOらしさだったんですけど、いろんなアプローチを試してきた中で、リフというかフレーズも自分たちの強みなんやなって気付いたんです。自分がカッコいいと思うフレーズを1つ持っていって、そこにシンプルなリズムを張り付けて、キンタにLEGOっぽいギターを乗せてもらうと、それだけでカッコいいものが出来る。だから、元からそういうテーマがあったというよりは、やりながら見付けたっていう感じですね」
カナタ「2人だけの作業でパソコンと向き合っていて、そこからどう広げるかってなると、とりあえず出来てきたフレーズを張り付けていってみるしかなくて。それがループ感につながったというか。とりあえずやってみたことが結果的にカッコよくなったんですよね」
――復活第1弾として配信限定で『Wait?』を出して、その次が今作『RAINBOW』(M-1)となるわけですが、2曲ともに込められたメンバーの想いはかなり強そうでしたね。
タナカ「復活の方法はすごく迷ったんですけど。『Wait?』が第1弾であるべきだろうと。『Wait?』はループ感が新しいモードではあるんですけどソリッドな部分が強いし、絶対に待っていた人たちの期待には応えられるだろうと思ったんです。『RAINBOW』はその頃からあった曲なんですけど一番の推し曲でもあったので、メンバー全員、“ここ!”っていうタイミングで出したいという想いが強くて。“復活しましたよ!”っていうことと、レーベル移籍第1弾としてLEGOがどう変わったのか見られるときに、間違いない1曲として出したかったですね」
ヤマモト「この曲はイントロの瞬間から“イイ!”と思える曲やったんで。なるほど、一発でカッコいい曲とはこういうことかと。ディレイやリバーブといった、音の鳴っていない余韻をどう気持ちよく感じられるかにこだわりました。メロディとリフは軸としてあったので、あとはどれだけ高揚感を高められるか。今回はプログラミングも駆使する新しいエンジニアさんと一緒にやって、トランス感とかをすごく教えてもらいました。それも相まってこういう形になりましたね」
アサカワ「ドラムの録り方も変わっていてすごく新鮮で。シンバルやハイハットはそんなに数を打たなくてもいいとか、ハイハットをミュートするような音作りもすごい勉強になったし、すごく楽しいレコーディングでした」
タナカ「やっとギターを弾けるようになって、すぐにレコーディングに取り掛かれたので僕も楽しかったですね」
――カナタさんのボーカルもとても爽やかに響いてきます。
カナタ「のびやかに歌えましたね。自分に一番合ってる歌かなと思います」
去年の借りがあるので即返します!
――カップリングの2曲はどうやって決めていったんですか?
ヤマモト「まず新しいLEGOを伝えるという意味で1曲では物足りないだろうなと思ったし、僕らの新しいモードを提示してライブでも栄えそうな曲を入れました。実は『Star+?(スター)』(M-3)っていう曲はヒロキが事故した次の日のライブで、リリースを発表する予定の曲だったんです。その曲自体すごく出したかったし、今の曲と並んだときに違和感もなく、歌詞も含めてこれが入るとより良くなるんじゃないかと」
――ということは、今回の3曲の中では『Star+?』が一番早く出来ていた曲なんですね。タイトルは“Start”にかけているようですが、再出発するタイミングにも符合しますね。
タナカ「そうなんですよ。ホンマに偶然なんですけど。この状況にリンクしちゃったなと」
――3曲とも歌詞はバンド名義になっていますが、どのように書かれたんですか?
タナカ「『RAINBOW』と『絶望は希望よりも美しい』に関しては、僕が入院中にひたすらメモしていた想いや言葉が元になっています。特に『RAINBOW』はデモ段階からピカイチだったので僕が一番気に入っている歌詞にしましたし、『絶望は希望よりも美しい』は全然違う角度からの同じ想いを書きました」
――普通は『絶望は希望よりも美しい』とは言わないですよね。それを逆転させてやるぞ!っていう気概を込めて?
タナカ「ですね。それぐらい僕は落ちてたんです(笑)」
――それぞれ書かれている歌詞のタイプは違いますけれど、そこには何か普遍性があるように思います。
タナカ「うん。本質的には多分『RAINBOW』も『絶望は希望よりも美しい』も歌っている角度が違うだけで、一緒やと思います。やっぱり闇から光に向かいたいですし、その闇は誰もが持っている。そこはこれから一貫してLEGOで書いていきたいと思っているところでもありますし、僕が事故に遭ったことでその想いがより説得力を帯びちゃったというか…僕も自信を持って書けるようになりました」
――今まで以上に歌詞が心に響いてくるように感じました。
カナタ「伝えたいっていう各々の気持ちは高まっているんじゃないかな。1年間も休んでいたし、まずは音源で思いっきりやらないと何も伝わらないと。そういう気持ちが乗っかってるんじゃないでしょうか」
――今後の活動に向けては何かありますか?
タナカ「去年の借りがあるので即返します! 年内はひたすら精力的に動くつもりなんで」
――10月22日(水)にリリースが決まったニューアルバム『NEW WORLD』の方も気になるところですが。
カナタ「ホンマにいい感じっす! 新しい曲は自分たちにハマッている気がします。リンクしているというか、ちょっと大人になったというか、クールになれているところもあるし。そういうところを聴いてもらえたら嬉しいです」
Text by エイミー野中
(2014年9月11日更新)
Check