ホーム > インタビュー&レポート > デビューから15周年を迎える吉田兄弟が 新歌舞伎座で3度目となるコンサートを開催 9人の和楽器奏者を迎え総勢11人で贈る 『和の祭典』について語る!
――まもなく新歌舞伎座でのコンサートが行われますが、大阪という土地の印象をまずは聞かせてください。
良一郎:一番の思い出はデビュー当時ですね。HEP FIVEのオープニングで演奏させてもらったのですが、その時は正直、反応が薄いなって思ったんです。でもそれから僕たちがメディアで紹介してもらったりしていくうちに、2年後には大阪が日本で一番、盛り上がる土地になりましたね。反応や、拍手のタイミング、演奏を盛り上げるという意味では、大阪が一番です。熱くて、芸事の街という印象です。
健一:東阪名と訪れる中で、自分たちを試す場所という感覚があります。今回も、総勢11人で演奏するのですが、この人数自体、今までで一番多いです。コンサートでは最大。チャレンジするという意味でも、新たな気持ちで何かを迎えることができて、それを試させていただける場所で。大阪は受け入れてもらえると、すごく長期で観てもらえるという気がします。でも、認めてもらうまでには時間が必要で、それには続けることが大事だと思います。挑戦する自分たちを“がんばってるな”って思ってもらうことが大事だと。そういった意味でも、今回もまた新たにステップアップしていく今の僕たちを見てもらいたいと思います。
――新歌舞伎座での公演は、2012年、2013年に続いて3年連続、3度目となります。舞台からご覧になって、新歌舞伎座ならではだな~と思われることがあれば教えてください。
良一郎:『和の祭典』に一番似合っている場所だなと思います。
健一:全体がテーマパークという印象ですね。自分たちもその演出の中の一部で。それだけに一体感を感じます。お祭りの中にいるみたいで、それはホールよりも断然、強く感じますね。さっきもお話しましたが、大阪は“試せる場所”という印象があって、それは新歌舞伎座でも同じで。それだけに、アンコールで“次につながっていくな”っていう感じがあります。それが舞台が終わった後に快感として残りますね。また“今年も受け入れてもらえた”という安心感もあって、“じゃあ、来年もあるな。来年もがんばろう”っていう気持ちにつながっていきます。
――では、新歌舞伎座に足を運ばれるお客様の印象はどうですか?
健一:普段は演歌を聴いていらっしゃる方が多いと思うんですが、我々はその演歌の中ではバックバンドにあたる楽器です。その楽器がメインになったとき、“こんなに変わるんだ”とそのギャップにお客様が驚いたりとか、そういうところを見るのが楽しみですね。“やってやった”感があります(笑)。
良一郎:拍手の色で分かるんです。なんとなく拍手をされているのと、わーっていう高揚感を伴ってされているのとでは明らかに違うんですね。その拍手の音で“また来年も来れるんじゃないか”って期待できる場所でもあるし、『和の祭典』にもすごく合っていると思います。
――今年の『和の祭典』では薩摩琵琶と胡弓が加わりますね。
健一:そもそも、中国から入ってきた楽器が三味線になったのですが、三味線にしたのが琵琶奏者だったんです。琵琶は弾き語りの楽器で、三味線とは全然違うのですが、原型ではあるんです。その琵琶と三味線が並んだときのビジュアルもすごく面白いですね。そして胡弓は、二胡と間違われがちなのですが、三味線のミニチュア版といった形で、弓で弾く楽器です。音色も哀愁があり、二胡に比べて中域音が出ます。あれだけ音が伸びるものも、和楽器にはないですね。
――そんな薩摩琵琶と胡弓の奏者と合わせて、今回の『和の祭典』は11人の奏者が登場します。
健一:『和の祭典』ではほかに、尺八と胡弓の組み合わせも面白いですし、そういう一つ一つの発見が掛け算になっていって、最終的に11重奏がもっと壮大に見えると思うんです。それが今回の一番面白い部分だと思います。この舞台でみんながどんなパフォーマンスをするのかもすごく楽しみですし、やってみないと分からない、実験的な要素もあると思います。僕たちもお客様と同じくらい、楽しみですね。また、このコンサートはゴールではなく過程です。今後、改めてスタートラインに立ったとき、また楽器が増えたり、奏者も増える可能性があって。こんなふうに変わっていく、曲がこんなふうに成長するんだって思ってもらえるんじゃないかと思います。
――7月23日にはアルバムも発売になりました。
健一:去年、『和の祭典』用に作った曲には琵琶と胡弓は参加していませんでした。今回、レコーディングに参加していただいて、“こんなに目立つんだ”と実感しましたね。琵琶の音の力強さ、その場の空気を全部持っていきますよね。今回は15周年ということで、僕らを中核にして全部を混ぜたような構成にしています。全員のシーンに匹敵するレベルで個も強くなってます。たとえば、11人で演奏した後に琵琶の独奏シーンがあっても遜色なくて。
――今回のチラシでは、お二人それぞれのユニットである“WASABI”も“疾風(はやて)”の名前をあえて入れていませんね。
健一:今回はそれをなくそうという発想です。WASABIも疾風も、そのよさを残しますが、個のよさ、集合体のすごさ、この両極端な部分を同じレベルで成立させるように構成していこうと考えているので、一つ一つの楽器にも注目していただきたいですね。
――もちろん、お二人のじょんがら節もたっぷりと。
良一郎:これをなくしては…。新歌舞伎座のお客様は特に“金返せ”とおっしゃると思います(笑)。僕たちが津軽三味線の引き出しを開けて、“こんな曲ができるんだ”“こんなバリエーションがあるんだ”っていうところをお見せしたいです。でも根底には伝統的なじょんがら節のすばらしさ、津軽三味線のすばらしが詰まっていて。
健一:そこを通して何を見せられるかというのが僕らの役割だと思っていて、それをとにかく全うすること。こういう音楽をもっと日本人に知ってほしいし、そのためには自分たちの存在意義、存在価値を示していかないといけないと思っています。コンサートでも“日本人でよかったな”と思える瞬間を出せたらと思いますし。和の音が嫌いな人はいないので。やっぱり、どこか血の中にあるんだと思うんです。それは変えられないものだと思いますし、祭りですから、血が騒ぐようなコンサートにしたいと思います。
――では最後に、15周年の舞台にかける意気込みをお願いいたします!
良一郎:デビューして15周年ですが、三味線を持って30年になります。30年やってきたことを、この15周年コンサートでどれだけお客さんの前で楽しく伝えられるか。そして、日本はすごいんだ、こういうことができるんだというところをお見せしたいと思います!
健一:僕は和楽器奏者ですが、和楽器のことをまだまだ全然、知らなくて。僕が驚くぐらいだから、お客様はもっと驚くと思います。この15周年の『和の祭典』はゴールではなく、過程です。成長している僕たちないし、曲、和、“今に生きる伝統を作っているんだな”というところ、そういう部分を見てほしいですね。そして一緒に体験して、その場を作っていけたらと思います。
(2014年7月23日更新)
▼7月26日(土)12:00/16:00
▼7月27日(日) 13:00
新歌舞伎座
A席(1階・2階-6500円
B席(3階)-4000円
[出演]吉田兄弟、他
※未就学児童は入場不可。
[問]新歌舞伎座
[TEL]06-7730-2121
新歌舞伎座
http://www.shinkabukiza.co.jp/