ポルノグラフィティ晴一×湘南乃風SHOCK EYE×
凄腕トラックマネージャー篤志=THE 野党が
キャリアも衝動も詰め込み本気で遊んだ3rdアルバム『10:10 pm』
人生を鼓舞する名言連発で贈る全員インタビュー&動画コメント!
ポルノグラフィティの新藤晴一と、湘南乃風のSHOCK EYE、ポルノやDiggy-Mo(SOUL'dOUT)等の音楽制作を手掛けていたトラックマネージャーの篤志により、`11年にスタートしたTHE 野党。彼らから早くも3作目となる新作『10:10 pm』が届いた。オープニングの狼煙を上げる『Third H.S.A』はSHOCK EYE曰く「篤志の真骨頂」。そのSHOCK EYEのちょっとした芝居(!?)が楽しめる『ALERT』は、最後の意外な展開が聴きもの。晴一がリードボーカルを務める『バニラ with ブラックペッパー』は、何時間でも踊っていられそうなダンストラックといった具合に、熱い想いや遊び心が絶妙なミュージシャンシップの元に融合した全11曲が、楽しくないわけがない! このアルバムを携えた2年ぶりのツアーが間もなく大阪からスタート。まさに彼らの音楽そのままに、熱く爽やかに語ってくれたインタビューをどうぞお楽しみください。
それぞれが自分の活動基盤を持っているからこそ自由にやれる部分もある
――1stアルバム『8:10 pm』('11)から始まって今回の『10:10 pm』。すでに2時間経ちましたね(笑)。
篤志「一次会が終わりましたね(笑)」
――アルバムも3枚目で、THE 野党は一過性のプロジェクトというよりパーマネントなバンドと捉えていいですか?
晴一「そうですね。改めて“長く続けていこう”みたいなことは言わないけど、みんなで楽しみながら自由にやっている間は、いつまでも続けていたいですね」
――元々は晴一さんとSHOCK EYEさんが呑み友達だったところから始まったと?
SHOCK EYE「知り合ってから1年ぐらいは音楽の話もほとんどしなくて只々呑んだり(笑)、ゴルフに行ったり仲良くさせてもらってたんですけど、あるときふと、“音出してみよっか?”っていう話になって。晴一くんと篤志くんはそれ以前にポルノグラフィティのアルバム制作で知り合っていて、一緒にやり始めたらあれよあれよと曲が出来ちゃって、さぁどうしようって(笑)」
――学生時代に友達同士でバンドを組む感覚ですね。3人とも、年齢もキャリアも重ねてきている大人ですが。
晴一「それぞれが自分の活動基盤を持っているからこそ自由にやれる部分もあるし、それぞれの活動でこれまで試行錯誤しながらやってきたことを持ち寄ってやっているからこそ、ヘンに戸惑うこともなく楽しくやれてますね」
――音楽的には勢いとか初期衝動的なものに富んでいて、決して“大人=しっとりした音楽”ではなく(笑)。
SHOCK EYE「それはそうですね(笑)。音楽を奏でる楽しさとか、純粋に音楽を楽しむことって、キャリアを重れば重ねるほど難しくなるし、求められていることに応えなきゃいけないし、裏切れない現実もある。そこで戦っていること自体が充実しているんだけど、それ以外に10代の頃に気の合う仲間とバンドを作って遊ぶような楽しみ方も、音楽には絶対的にあって。THE 野党は、思いつくまま自由に、楽しみながら遊びながら音楽をクリエイトしつつ、最終的にはプロフェッショナルに仕上げるっていうことをテーマに掲げてやってますね」
やっと僕らは僕らの音楽を
いち新人として聴いてもらえるところまで持っていけたように思いますね
――バンドにとって3枚目のアルバムと言うと、いわゆる勝負作みたいな見方もあります。
篤志「僕以外の2人は背負っているバンドも大きいし、ジャンルも確立されている。その2人と一緒にやらせてもらって感じたのは、THE 野党が初期衝動で動き出した1枚目の頃はまだ、僕らにとって何が軸なのか、どんな人が聴いてくれるのか自分たちでも分かっていなかった。そこから模索してライブもやって、やっと今回の3枚目で “THE 野党”としてまとまることが出来たのかなっていう感じがありますね」
SHOCK EYE「ポルノグラフィティを通して晴一くんを見ている人、湘南乃風を通してSHOCK EYEを見ている人たちには、その印象を拭わないとTHE 野党として存在出来ていない気がしていて。でも、それはメガトン級の曲を作ってガラッと印象を変えるとかじゃなく、キャリアを重ねて、活動を続けていく中で慣れていってもらうしかないと思ったんですね。人付き合いと一緒で、初対面でいくらフレンドリーな態度や振る舞いをしたって、一回会っただけではその人のキャラクターや心は全部は分からない。何かから派生したグループではなく、純粋にTHE 野党を見てもらいたいもどかしさもある中で、1枚目、2枚目と重ねてきて、やっと僕らは僕らの音楽を、いち新人として聴いてもらえるところまで持っていけたように思いますね。それは奏でる音楽だけじゃなく、僕らの立ち居振る舞いとか3人が一緒にいるビジュアルも含めて、やっとTHE 野党になれたような気がしています」
――アルバムを作る上では最初にどんなアイディアがありました?
晴一「ライブに向けたものを作りたかったんですね。1、2枚目を作ってきてツアーも2回やって、THE 野党のライブの中心になるのはSHOCKくんだから、彼がもっともっとライブを盛り上げられるような曲や、今までのTHE 野党に足りなかった曲を中心に選んでいきました」
――『エナジーエナジー』(M-2)は確実にライブで盛り上がるでしょうね~!
SHOCK EYE「まさにライブのために作った曲だし、“音楽ってこういう楽しみ方があるんだよ”っていう曲ですね。これまでやってきたライブでも、ステージから見えるみんながワーッて騒いで盛り上がってるシーンが一番好きだったんで、それを思い描きつつアルバムの最初はTHE 野党の名刺代わりになる曲を持ってきたくて」
――バンドが始まった最初の頃はライブのノリも違った?
SHOCK EYE「お客さんも僕らも手探りでしたね。MCでも何を話せばいいんだろう?って思ったこともあったし、僕らなりの“自由にやる”っていう制約の中でいろいろ考えました。こういうバンドの性格上ライブの回数もそれほどないから、1回1回明確に答えを出していかないと何も掴めないまま進んでいってしまう。そうならないために、毎回のライブで答えを出しながら進んでいこうと決めて、今回のアルバムを作る上でも自分たちの中で答えを持って制作出来たことで、次のライブはより素晴らしいものに出来るなって確信しましたね」
――『B.B.』(M-3)なんかは特にギターがカッコよくて。
晴一「ありがとうございます。自分の好きな感じにギターを弾いて、そのまま当たり前にロックをやるのも好きなんですけど、そこにSHOCKくんや篤志くんのエッセンスが入ると、それが当たり前じゃなくなっていく。その過程が僕はTHE 野党だなと思うんですね。この曲も、普通の3ピースバンドの3曲分ぐらいのアイディアや要素がもれなく詰め込まれていて、欲張りというか、手を抜かないというか(笑)」
自分がラクに、悩まずに生きていくための方法やルールは
自分で決めちゃっていいんじゃないかな
――『虹』(M-5)『Hi Cheese』(M-6)の流れは何度も聴きたくなります。『エナジーエナジー』みたいに気持ちがグッとアガる曲もあれば、『虹』のようにメッセージがじっくり届く曲もあり、そのどちらもが大きな幹としてアルバムの中に共存していますね。
SHOCK EYE「多分、僕がそういう性格なんでしょうね。静かな時間も好きだし、すっごく盛り上がってワァ~ッてなるのも好きだし。基本的にウジウジしたくないので、そうなりそうな状況を脱出する術が2通りあるんですよ。1つはお酒を飲んでワ~ッて盛り上がって忘れて、また勝負して行こう!って熱くなるやり方。もう1つはまさに『虹』じゃないけど、自分の原風景の中に虹とか海とかの“自然”が必ずあるんで、それに触れたとき、自然や地球という大きなものに包まれている感覚があって、デトックス出来るんですね。まさに静と動というか、その2つしか持ってないんで、それが曲にも出てるんでしょうね(笑)」
篤志「僕も普段は内向的な、家にこもる仕事が多いんで、行き詰まることがあると山に行きたくなりますね。1人でキャンプに行ったりして(笑)」
SHOCK EYE「アーシーだねぇ(笑)」
――晴一さんが煮詰まったときの解消法は?
晴一「…サウナかな。俺たちは、日頃は人の目をすごく気にして生きているんですよね。例えば男だったら、どういう状況でも女性の目を気にしていたり、意識していたりすると思うんだけど、それを全く感じないのがサウナなんですよ。ものすごく昭和な風情の、おっさんばっかりが行くサウナがあるんですけど(笑)、そこで普段は絶対手に取らないような分厚いマンガを読み、ビール飲みながら、無駄に3時間ぐらい過ごす。で、夕方ぐらいに元の世界に戻っていく。それが、僕が最近見付けたデトックス法です(笑)」
SHOCK EYE「いいですね、サウナ。男のサンクチュアリ=聖域ですね(笑)」
――アハハ!(笑) でも、“人の目を気にしている”のは、自分も含めてきっと誰もが思い当たることで。だからこそ“そのままのお前でいいぜ”と歌う『エナジーエナジー』の一節には、惹きつけられました。
SHOCK EYE「自分を買い被ってもいけないし、自分を見下してもいけないんですよね。自分を実力以上に過大評価しちゃって、結果が伴わないことに“自分は何てダメなんだ”と落ち込む。中にはそれをエネルギーに変えられる人もいるし、俺もどっちかっていうと“出来ない”“悔しい”から頑張れるタイプなんですけど、もちろんそういう人ばかりでもない。ありのままの自分自身の実力を認めてあげることで、自分の良さって見えてくると思うんですよ。そのスイッチの入れ方は人それぞれだから一概には言えないけど、俺の中では“ありのままでいること”がとっても大切。でも、“ありのままでいい=わがままを言ってもいい”、ではないんですよね。誰もがそうやって自分自身を見極めてみようぜっていうことを、どの曲でも言ってるんだと思いますね」
――自分を認めてあげたいけどなかなかそうはなれないときに、『Hi Cheese』の“Don’t hate yourself Because I like you”の一節は、すごく励まされると思います。
SHOCK EYE「本当にその詞の通りで、仲間とか家族とかに対しても、”お前が自分を嫌いでも、俺がお前を好きなんだからいいじゃん”って思うんですよ。逆に、周りの人間が自分を嫌っていても、自分が自分を好きでいられたらそれでいいと思うんですね。自分がラクに、悩まずに生きていくための方法やルールは自分で決めちゃっていいんじゃないかな。でも、大前提として、人をおとしめたり足を引っ張るようなことはしちゃいけない。でもそれは、わざわざ詞で俺が言わなくても分かるよね?って思うんですよね(笑)」
――さっきからSHOCK EYEさんが話していることと、歌詞の1つ1つが見事にリンクしていて、改めて歌をリアルに感じています。
SHOCK EYE「本当にそのまんまなんですよ。わざと言ってるんじゃないです(笑)」
目に映る街の景色が一変するようなライブをします
――最後の『Change your clothes』(M-11)を聴き終わったとき、晴れ晴れとして爽快な気持ちになりました。アルバムを聴いている間、すごくいい時間を過ごせた気分です。
SHOCK EYE「サウナみたいにデトックス効果のあるアルバムですよね!」
篤志「うわ、そこサウナに繋げますか~(笑)」
SHOCK EYE「ヒーリングCDとも言うかな?(笑)」
晴一「ヒーリング!(笑) 全くそういうノリの音楽じゃないけどね(笑)」
SHOCK EYE「でもね、音楽をやる身として作品を前にしたときに、“こんなことが出来ちゃうのってスゴいでしょ?”とか、”このメロディ最高だろ?”って言いたくなる側面もあるんですけど、そこをピックアップする聴き方よりも、聴いたことで“あれ、聴く前よりも、ちょっと性格が良くなったかも”って思ってもらえるような、そんな風に音楽が作用出来たらいいなと思いますね。みんなそれぞれの人生があるけど、音楽はその片隅にあって。さっき言っていたみたいなデトックスの効果があって、踏み込めば踏み込むほどその効果は大きくなっていくと思うんですよ」
――東名阪ツアー『遊説2014 ~Third~』が、6月11日(水)大阪BIGCATを皮切りにいよいよ始まります。最後にぜひメッセージをお願いします。
SHOCK EYE「俺たちのライブは、本当にすがすがしい気持ちになれると思いますよ。今度のツアーは、ライブが始まる前に会場の入口から入るときと、ライブが終わって扉を開けて出たときでは、目に映る街の景色が一変するようなライブをしますので、ぜひ来てください! あと、8月31日(日)には『FREEDOM aozora 2014 淡路島』にも出演するので、そっちは青空の下でみんなでお祭りを楽しみましょう!」
Text 梶原有紀子
(2014年6月10日更新)
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